お隣のお嬢様により一層駄目人間にされていく件   作:凱くん

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第一章 ~日の出ずる帝国 VS 日の沈まぬ帝国~
第一話 ルームメイトはお嬢様!?


高校いっちねんせい!春。

そう。それは、謎の鳥が早朝から騒ぎまくったりする麗らかな陽気の春。

人生一度きりの高校生活。悔いのないエキサイティングな生涯を送りたいね。

女子高に通うとかいいね。はい。全寮制の。甘い青春の香りがしますね。

とっもだっちひゃっくにんでっきるかな♪できるといいね。

 

入学式はさぼりましたが。うっかりしてましたん。

入学式は消した。もう居ない。

 

でもこの学校普通に入学式の日から授業やらなにやらある。

スパルタン。担任も飛び切りスパルタン。スパルタンX。

初日の午後からさっそく授業。

 

というわけで桜の花びら舞散る4月。

わたくし柳生睡蓮さんがただいまおりますのは、栄えある世界初のIS専門学校?ことIS 学園高等部~。

ぱちぱちぱちぱち~。

拍手喝采。はいらっしゃい。

その中でも一年一組の教室。

時刻は昼過ぎ。初めてのホームルーム開始前となっております。

 

只でさえさっきから視線を集めていたのに周囲の視線が突き刺さる。

俺また何かしちゃいました?え?ただ教室に座って突然拍手し始めただけですけど?何か?

だがそんなものではこの俺様を殺すにはまだまだ全然甘いんだよねぇ。激甘。

 

なんで視線が集まっているのかと言えばやらかしてしまったわけではなく、

学校名にもなっているこのISというロボ。なんでも開発者が言うにはロボじゃないよロボ。

それが基本的に女にしか乗れないって事なんですねぇ。

すなわちIS学園は女子高。原則的に女子高。原則的に実質的に女子高。

とまぁそういうことになっているわけですね。はい。

 

睡蓮さん?一応男です。生物学的に。少なくとも今は。

はい。すなわちこの場におけるイレギュラーですね。

だがしかしそんなイレギュラーは俺だけじゃないぜ~。

のってるぜ~。

 

視線を前に向けると教卓の前という特等席である中央最前列に一人の男子が座っているのが見える。

特性上女子高であるISにいる男子にほかのクラスメイトからは好奇の視線が飛んでいる。

後最近盛んにテレビニュースとかにも出てたらしい。知名度抜群。

だから注目集めてる度マキシマム。

黒い紙が燃やせそうなくらい。

 

異物(笑)教室の中央最前列に隔離(笑)

武術とかやってそうな引き締まったその身体こそ丸めてないもののすこぶる居心地が悪そうだ。

その特異で慣れない環境に緊張を覚え、フリーズしかけているようだ。

ご愁傷様である。

 

君ももうちょっとリラックスした方がいいぞ。

そう。この睡蓮様みたいにね。

ふふ~ん。睡蓮さんですよ~。

 

そのまま何となく視線を隣の席に滑らすと、いくつかの髪の房の先端がロールした金色の鮮やかな長髪に、澄んだ水面のように深い意思を湛えた碧眼のいかにも深窓のご令嬢といわんばかりの少女が座っている。

当たり?もしかして当たり?もしかしなくても当たり?ルンルンルームメイト?るんるんるん。

 

これから3年間、共に青春を過ごすパートナーには相応しい相手だといえるだろう。

目が合うと花が満開に花開くかのように華やかに微笑みかけてくれたので、こちらも笑顔でお返しをすることにした。にやり。

 

始業のチャイムが鳴ると背の低くて黒縁メガネをかけた童顔の激巨乳教師がやって来た。

そのおっぱいはおかしい。バランスブレイカー。

トリガーハッピーバランス考えて。

 

 

「全員揃ってますねーそれじゃぁSHRから一時間目の授業を始めますよー」

 

そのまま言い出しっぺ本人の自己紹介を始める

山田真耶という名前のようだ。逆から読んでもやまだまや。

 

「それでは皆さん一年間よろしくお願いしますね。」

 

し~ん。

女子高のはずの学園のクラスに男が二人いるのが異質なのか、クラスは変な緊張感に包まれているのかもしれない。

 

「じゃ、じゃぁ自己紹介をお願いします。えっと、出席番号順で。」

まずはクラス全員の自己紹介からということで、五十音順に自己紹介が始まった。

最初の女子が立ち上がり、挨拶を始める。

あ、あ、え~っと相川さんだったかな。

もう忘れちゃった。

機会があれば思い出すでしょ~たぶん。がしょ~ん。

 

お、次は世界最初の男のIS操縦者として知られた、織斑一夏という男のようだが。

しかし中央の最前列という特等席に座ってるにもかかわらず、心ここにあらずなのかフリーズしている。過剰負荷でございます。あの男に女子高は早すぎたんだ。

 

やたら童顔の副担任がおどおどしながらエクスキューズする

 

「……くん。織斑一夏くんっ。」

「は、はいっ!?」

 

しょうがなく少し大きな声を出した副担任に声を裏返らせる一夏。くすくすと漏れる失笑。

女子ってやっぱ陰険なのかな~。おっかないですね~。

ぺこぺことペコちゃん人形のように頭を下げおどおどとしながら自己紹介を促すやまだまや。

 

そして始まる、女性にしか使えないとされている機動兵器ISを世界で初めて動かしたとして世界的にも有名になった織斑一夏の自己紹介。

 

「えっと、織斑一夏です。よろしくお願いします。」

それで

「以上です。」

彼が冷や汗を垂らしながらそういうと、クラスの雰囲気はどっと弛緩した。

クラスの何人かはずっこけて頭を伏せているようだ。

 

「げえっ関羽!」

「誰が三国志の英雄か。馬鹿者。」

 

背後から現れた彼の姉織斑千冬による背後から出席簿による猛烈な一撃が頭に加えられて、一夏は悶絶している。あの炸裂音はいかにも痛そうだ。

そのままISの世界大会で二連覇した彼女が挨拶をすると、クラス中に猛烈な黄色い歓声が響き渡った。

うるさい。音響手りゅう弾かな?

隣を見てみる。金絹糸のような髪をふわりと垂らす彼女も少し眉をひそめているように見える。

 

「で?挨拶も満足にできんのか?お前は」

「いや、千冬姉、俺は」

 

再び出席簿による制裁。馬鹿だなぁイッチーは。の~ら~にんぐ。

消滅していく脳細胞に思いをはせながら一夏は涙目になっている。

 

今更ながらにこの二人の関係に気づいた一部のクラスメイトが再び騒ぎ出す。

さっきあんなミーハーな騒ぎをしていたのに、不思議なことだ。

代わってもらいたいとかいう声も聞こえるけどこんな暴力がさつ女がいいとか正気かっておもいますね。はい。

イッチーはご愁傷様である。

 

 

そんな事件もあったが、そのあとも自己紹介の時間は続き、隣の席の少女の番になって彼女がえへんというような感じで椅子から立ち上がる。

その良く縊れた腰に両手を当てると、これからルームメイトにもなる彼女の自己紹介が始まった。

 

「わたくしは栄えあるユナイテッドキングダムの代表候補生セシリア・オルコットと申しますわ。皆様どうぞお見知りおきを願います。」

 

ドレス風に改造されたらしき、スカートの両端をつまんで清楚にお辞儀をするセシリア。

英国激マブお嬢様。マブチモーター大回転。MAV。

制服の改造が許されてる珍しい学校IS学園。

ハイセンス。ナンセンス。それはあなたのセンス。

 

「好きな飲み物は紅茶とコーヒー。趣味はテニスですのでこの学園でもテニス部に所属しようと思っておりますの、不束者ではございますが、オルコットの名に恥じぬ振る舞いを心がけるようにいたしますので学友の皆様方、これから三年間どうぞよろしくお願いいたしましね。」

 

いかにもご令嬢という洗練された立ち振る舞いの自己紹介に沸く教室。

ちなみに入試は次席。倍率一万倍以上とも言われるエリートの通うIS学園の入試で次席。

超絶スーパーエリートお嬢様。セシリア・オルコット。

 

一方イッチーと俺は殆ど裏口入学のようなものである。

試験は一応あったけど。不正はありませんでした~。かろうじて。

それだけISを動かせる男は希少なのだ。モルモットとしての価値が高いのだ。

 

席に座り掛けに微笑みと共にウインクを一つこちらにくれるセシリア。

きゃ~。大英帝国代表候補生にしてアイドルのセシリアさんのウインクよ~。

 

自分の番が来たので席を立つと立ってやたら女比率の高い教室を見回しながら自己紹介をする。

 

「柳生睡蓮です。よろしくお願いします。以上です。」

 

もう一人の男である織斑一夏のあいさつに則ってみる。彼にウインクすると微妙な顔をされた。

え~もっと~とという野次がノリのいいクラスの女子から飛んでくるのでどうしたものか。

 

「苗字よりは名前で呼んでもらうほうが好きなので気兼ねなく睡蓮と呼んでください~こーるみ~すいれん。家名からしても戦うのは割かし得意です。ぶい。」

「あとロングヘア~だし名前とかも女の娘っぽいって声がいくつかありますので性別は不詳ということでお願いいたします~よろよろ~」

 

わ~!っと黄色い歓声で教室が盛り上がった。やったぜ。

女三人寄れば姦しいというが、それがこれだけ集まれば、その結果はもう推して知るべしということか。

どうやら暗そうとか本当に男?とかブラックホールみたいな眼とか言われてるみたいだけど気にしないことにしよう。それがいいとおもうよ。それが。笑えばいいと思うよ。

 

「さあ、最初の授業はこれで終わりだ。諸君らにはこれからISの基礎知識を半月で覚えてもらう。基本動作は半月で体に染み込ませろ。いいな?」

 

ぎろりという感じでおっかない先生が辺りを見渡しながらチャイムが鳴り響いて最初の授業の時間は終わりになった。きゃ~暴君。タイラント。微笑まぬ人。

 

 

 

 

15分の授業間休み時間のこと。短すぎるっぴね。

 

「これから三年間、ルームメイトとしてご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、何卒宜しくお願い致しますわ。」

「こちらこそ~よろしく~よろよろ~」

 

手を差し出してきたセシリアと友好の握手。

その手はとても柔らかかった。ふわふわましゅまろはんど。

 

「ところで睡蓮さんも名家の出なのかしら?」

「ん~ま~名家って言われるとどうなんだろうな~本家も地方豪族だしな~所詮~?でもま~凄い有名っちゃ有名かな~?特に武名は?って感じ~?」

「それは是非近いうちに一度お手合わせをよろしくお願いしたいものですわね。」

「やる気だね~」

「でも日の浅さなどを考えても流石にまだ専用機などはお持ちでないのかしら?」

「ある。ありますねぇ」

 

お洒落なaibo。へへ~んいいだろ~。

貴重な男特典かも~?

 

「わたくし貴方には只者ではない雰囲気を感じているんですの。わたくしの眼が節穴でないことを証明していただければありがたいですわね。」

「おまかせあ~れ~」

 

セシリアの真似をして両手を腰に当てて胸をそらす。

 

「似合っておりませんわよ。おほほ。」

 

口許に手を当ててお嬢様スマイルのセシリア。

どうやらだめだめらしい。

 

二時間目自己紹介の時間も終わりいよいよ始まった授業。

授業は学園の名前にもなっているISというマルチフォームスーツというものの基礎知識。

10年程前、「篠ノ之束」というマッドサイエンティストによって宇宙開発の為に開発されたパワードスーツのようなものだ。

 

兵器としては既存の兵器を過去にするほど強烈だったからか、

或いは重力に魂を引かれた人間たちには荷が重かったのか兵器とスポーツの用途でしか使われず、今も宇宙開発は碌に進んでいないのが現状だ。

火星は遠いよ。遠すぎた星。

 

主な特徴は「絶対防御」という名の回数制限ありだが強力極まりないバリア。

後コアに意志とかあって、自己進化とかしたりする。フューチャー。

そして何より基本的に女にしか反応しないこと。

この事により女性の権利向上は劇的に進み、何なら女尊男卑にすら行きかけたのだが、

一部有志がISをリバースエンジニアリングし、純兵器として改変して男も乗れるMSを作ったためバランスが取られている。

 

MSには絶対防御はないし兵器だから意志とか進化とかしないけどその分のエネルギーをほかに回すことができるのでその点に利点がある。

未知と可能性に満ちたIS VS 地に足のついたMSと言えるだろう。

 

再中央最前列にちんぷんかんぷんで座っている何処かのお馬鹿さんはおっかないお姉ちゃんに怒られている。

なんでも参考書を電話帳と間違えて捨てたようだ。なむ。な~む~。

 

ふと気が付くと体がゆさゆさと揺さぶられていた。

 

「初日の授業からサボタージュとは、なかなか度胸がありますわね。」

 

入学式があったので午前中最後の2時間目の授業はどうやら終わったようだ。

ジト目をこちらに送りながらその柔らかな五指で肩を握っているのは隣席のセシリア。

でも機嫌を損ねたらそのまま優しく握りつぶされそうである。こわい。

 

「ん~」

「お昼になりましたわよ。早く目を覚ましなさいな。」

 

差し出された手を握って立ち上がり食堂へ向かう。

 

「ふらふらふらふらと、先ほどから見ていれば、貴方真っすぐ歩けませんの?殿方なのだからしっかりして下さいまし。」

 

食堂へと向かう道すがら、のんびり歩く俺にペースを合わせながら呆れ顔でお冠のセシリア。

 

「おうぼ~noblesse obligeの精神はないのか~?」

「そう。そうですの。ふふふふふふ。睡蓮さんはよりにもよってこのセシリア・オルコットにそのような事をおっしゃいますのね。よろしいですわ。」

 

暗黒微笑み。

それと共にセシリアのか細く、しなやかな腕が俺の腕の間に入って絡め取られる。

そのままぐいぐいと腕と腕が絡み合ったまま歩き連行。

 

「ど~な~ど~な~」

「ふふふ全て貴方が悪いのですわ」

 

ずんずんずんずんずん。他人のことを考えない高速ペース。

 

「は~や~い~ぞ~」

「ふふっ泣き言なら聞きませんわ。」

 

周囲の雑踏と喧騒を尻目に怒れるお嬢様に引きずられて連行されていく俺。

 

昼食は食券制。な~に~に~し~よ~か~な~。

世界各国たくさんあるモックアップを眺めながら考えましょう。

 

「セシリアは何にするんだい?」

「Eat breakfast like a king, lunch like a prince, dinner like a pauper. 」

「我が国ではこう言い伝えられておりますわ。」

「I Know」

「な~に~に~す~る~?かちゅ丼?ステーキ?ラーメン?」

「どれも瀟洒ではありませんわね。」

 

いかにもダメ出しが得意そうな女。セシリアオルコット。

彼女に心折られた男は数知らず。知らんけど。

 

「三浦半島のまぐろフィッシュアンドチップスにしましょ~」

「かしこまりましたわ。睡蓮さんは先に行って席を確保していただけますかしら?」

「らじゃ~。」

 

空いている4人掛けの席を確保して烏龍茶を呑んでいると、優雅に両手にフィッシュアンドチップスとサンドウィッチセットのお皿をもってやってくるセシリア。

しゃなりしゃなりのお嬢様うぉーく。

 

時折呆れた顔のセシリアにお小言を零され、口許を拭われながらフィッシュアンドチップスをもしゃもしゃしていると、にゅ~かま~の姿が。

 

「ここいいか?柳生?」

「こ~るみ~睡蓮。いいよ~」

 

いっち~とポニーテールの黒髪爆乳和風少女が連れ立ってやってきた。

別にルームメイトと一緒に行動しなきゃいけないわけじゃないけど、いっち~のルームメイトは彼女のようですね。

 

「じゃあ睡蓮。2人きりの男としてよかったらこれから仲良くしてくれよ。」

爽やかイケメンスマイル。からの握手。

「隣は篠ノ之箒。久しぶりに会った幼馴染なんだ。共々仲良くしてくれると助かる。」

 

幼馴染、なんて甘美な言葉なんだ。リア充爆発しろ。

しかもルームメイトとかディックが爆発しちゃうんじゃないのかな?

やったねたえちゃん友達ふえたよ。

 

「あのさ柳生ってあの新陰流の柳生なのか?」

 

食事の合間のクエスチョンいっち~。

 

「ざっつらいと。ちょっと亜流だけど。」

「有名ですの?」

「徳川将軍御家剣術の柳生新陰流といえばフィクションでもたくさん出てくるし知らない日本人はほとんどいないんじゃないかな?」

 

かわりに答えてくれるいっち~。ほめてくれるいっち~。

もうあいつ一人でいいんじゃないかな?

 

「じゃぱに~ずとらでぃしょなるけんじゅつ」

「名家ということですのね。よろしいですわ。」

 

名家しんぱし~を感じたのかちょっと満足気のセシリア。

柳生の中でもうちは実は英国とも割とゆかりがあるのだが。

 

「篠ノ之って篠ノ之流の篠ノ之さん?」

「あぁ。そうだ。」

「ひゅ~く~る。」

「まだまだ修行中の身だ。茶化さないでくれ。」

「しーましぇん。」

 

いかにも真面目そうなしののんにギロリと睨まれる。ひぃん。ぱおん。ぴえん。

 

食後帰りは背中からセシリアに押されながら歩く俺。ぷっしゅぷる?

 

「仲いいんだな、二人も幼馴染なのか?」

「だったらよかったな~」

「御免こうむりますわ。」

 

セシリアが背中を押すのを止め、ペースを取り戻す俺。俺の時代が来た。

何かを納得したのか頷く二人。

 

「ほら。しゃっきとなさい。」

 

また制御され、押される俺。ベルトコンベアかな?

 

昼食を終えて教室の自席にもどりぐて~っと潰れていると忍び寄ってくる気配を感じた。

顔を起こすとおずおずと近寄ってくる水色っぽい珍妙な髪色の和風美少女の姿が。

 

「…………あの…………ありがとうございました…………」

 

そしていきなりの感謝の言葉。かなりの小声で。

突然すぎてわけがわからないよ。これは試験ですね?わかりました。

 

 

「~ん~あ~どうもいたしまして~お気になさらず~それよりそれ使ってお姉ちゃんぶっ倒したいなら協力するぜ~訓練とか~」

 

 

この如何にも根暗で気弱そうな彼女は更識家の簪ちゃん。

この国の暗部の一族にして、お姉ちゃんがこの学園の生徒会長なのである。

乗るはずだった専用機がいろいろあって開発中止になりかけだったのである。

「そんなの……むりだよ……でも……検討は……する……」

暗い。未来。

 

「今ならそこの大英帝国代表候補生も付いてきますよ~お得ですよ~」

「まったく付いてきませんわよ?」

 

取り付く島もないセシリア。

およよ。

 

「残念ながら付いてこないそうです」

 

ぶ~ぶ~と不満の意を表明すると軽く頭をはたかれた。

 

「あんだよ~代表候補生同士仲良くすればいいのに」

 

ぶーぶー。セシリアにほっぺたを指で突かれて破裂させられる。

血も涙もない女だった。

 

「あら、貴方も代表候補生ですのね」

「……うん……一応……日本帝国の……」

「なら胸を張りなさいな。それが選ばれたものの義務ですわよ?」

「……え……う……うん……努力は……する……」

 

捨てられた子犬のような目で助けを求める簪。

 

「戦わない者が望む結果を得ることなど古今東西未来永劫無いぞ、腰抜け」

「……安い挑発には乗らない」

 

一転してこちらを睨み付けてくる簪。

彼女も跡取りとして鍛えられているはずである。負け犬だけど。

彼女は無口で根暗でそして頑固なようだ。前途は多難そうだった。

 

「ほら笑った方がいいぞ~、見てみろセシリアなんかしょっちゅうあんなおっかない笑いしてるぞ~」

 

にこにこ。

 

「あら、どうかいたしまして?」

 

ずずずずず。得体の知れないオーラが染み出す。

地獄への路は笑顔によって舗装されている。

捨てられた子犬のような目で簪の顔を見る。

 

「知らない。」

 

にべもない。

この世界に神はおらず金色の悪魔のみが居るようだ。

 

「覚悟は出来てますわよね?」

 

うわ~!

クラスメイトの視線は冷ややかと生ぬるさが奇妙な共存をしていた。ちぎじょう。はくじょう。むじょう。

 

3時間目の授業の始め、

「ああ、その前に再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めないといけないな。」

どうやらクラス代表というのを決めるようだ。いいんちょみたいな奴か。

 

男子イケメン補正で一夏がすぐに推薦される。

モテル男は大変だねぇ。

 

「お、俺!?」

 

立ち上がって嫌がる一夏がぶった切られる。

身内の裏切り?

 

「自薦他薦は問わないと言った。他薦されたものに拒否権などない。選ばれた以上は覚悟をしろ」

それはまさしく選ばれた者の責務。

それは軽くはないかもしれないが、だがしかし、人殺しの道具を扱うものが覚えていてしかるべきものであるといえるだろう。

ぶった切った担任は辺りを見回すと言った。

「だがしかし、選んだ者には選ばれたものと同じように責任が生じることも肝に銘じておけよ?」

 

浮ついた空気から一転、途端にしんと静まる教室。

そしてそんな中隣でふるふると揺れている気配。

 

俺は機先を制して挙手し、立ち上がると宣言した。

 

「セシリア、オルコットさんを推薦します」

 

まだ粗削りとはいえ、彼女が選ばれし、そして自ら選んだ誇り高き英国淑女であることは自明の理。

隣の席のセシリアは薄っすらと微笑みを浮かべてどことなく嬉しそうだ。

 

「候補者は織斑一夏とセシリア・オルコットの二名、ほかにはないか?」

 

担任の目が一度クラスを見渡す。

 

「では、この二名の中からクラス代表を選出するものとする。異論はないな?」

 

「物珍しいというだけで推薦された極東のお猿さんとサーカスじみた争いをしなければならないというのは、あまり釈然としませんが、よろしいでしょう。わたくしの力を見せつけて差し上げますわ。」

 

クラス代表に対するやる気は特になかっただろうし、状況的にはそう遠からずとはいえサル扱いされたことに気分を害したのか一夏が言い返した。

 

「な、きょ、極東の猿って、イギリスだってそんな人に威張れるような大したお国自慢ないだろ。世界一不味い料理で何年覇者だよ。」

 

入学前の参考書をゴミ箱に捨てたお馬鹿さんの発言。

よりにもよって世界に覇権国家を唱えた帝国の一つであり、何より爪先から頭のてっぺんまでネタにまみれた大英帝国にそんな分をわきまえない発言をするとは。

ごはん?まぁノーコメントだ。めちゃくちゃうまいものも意外と結構あるけど。

 

英国淑女らしくお淑やかかつどことなく艶やかに微笑むセシリア。

 

「あら一夏さん、そんなお国の名物料理があるのですけど、ご存じですか?貴方のような殿方の両耳にパンを挟んだ、おバカさんのサンドイッチと言うのですけれども」

 

笑顔とは本来攻撃性の表れである。

ついでに追撃してみましょう。

 

「へ~いっち~7つの海を股にかけ、日の沈まぬ大英帝国を築き上げた大英帝国に対してずいぶんないいようだな~。」

「な、お前も人を猿扱いするような女の肩を持つのかよ」

 

眼を剝いて怒れるいっち~。まぁ迫力は足りないけど。

 

「まぁ、お互いにそこまで言い合ったんならお互いに納得のいく手段で白黒はっきり勝負を付けたらどうだ。日の出ずる所の帝国の男子として。」

「ああわかった。俺は何の勝負でも受けて立つ!」

 

犬歯を剝き出しにしてニヤリと笑う一夏。こいつも男ということか。

 

「ここはIS学園ではありますが、代表候補生が素人にISで勝負を申し込もうというのはあまり淑女にふさわしい立ち振舞とは言えないでしょうし……、勝負の内容は一夏さん、貴方に決めさせてさしあげますわ。」

「ここはIS学園なんだし、クラス代表ってのはIS勝負を代表して行ったりもするんだろ?なら勝負もISでいい。」

 

大言壮語を吐いた一夏。きゃ~かっこい~

 

「そうですか。ほかの種類の対決でも構わないと、わたくしは慈悲をお見せ致しましたが、貴方のほうからわざわざそう仰ったのだから、殿方にまさか二言はありませんわよね?」

「あぁ。もちろんだ。」

 

事態を静観していた担任の織斑千冬が両手を一つ打ち鳴らすと共に話をまとめた。

「さて、話はまとまったな。それでは勝負は一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで行う。織斑とオルコットはそれぞれ用意をしておくように。それでは授業を始める。」

 

今日の授業はあと二時間か~つかれたしはやく終わらないかな~。

担任は横暴だしな~。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いっち~がじゃぁ料理対決なとか言ってたら万事休すだった感。
いっち~漢気あるよ。

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