憂鬱な月曜日の放課後、クラス代表決定戦の行われる第三アリーナのピット。
そしてセシリアに冷たい目で睨まれている俺。
「……何をしにいらっしゃいましたの?」
「いよいよ初陣だな~」
「貴方に心配されるほど、わたくし落ちぶれておりませんわ。見くびらないでくださいまし。不愉快ですわ。」
気丈なセシリア。
俺がわざわざここまで心配してやってきたと思ったのだろうか。
「む~。いや暇なんだって。これから戦おうって人はいいかもしれないけどこっちは見てるだけだし。」
少し気配と表情が和らぐセシリア。
代わりに追加されるのは呆れ。
どちらがいいのだろうか。
「じゃ~もし負けたらデートしてくれるってことで」
「あら、では負けるのもいいかもしれませんわね」
嫌がるかと思えば謎の乗り気だった。
「え~」
「冗談ですわっふふっ♪」
「心配しなくてもわたくしは勝ちますわ」
「たとえ第四世代機が相手であろうと、負ければ睡蓮さんの顔にも泥を塗ることになるのですから。」
「セシリアのプライドにもな。」
「誇りを守るために命を懸ける。それもまた貴族の生きざまですわ。」
「ひゅ~」
ぶーっとブザーが鳴り、シャッターが開く。
戦いが始まる。
「んじゃ行ってらっしゃい~暇つぶしに付き合ってくれて感謝するよ。」
「えぇ。行ってまいりますわ♪」
ひらひらと手を振るとセシリアのブルーティアーズがアリーナの空へと旅立ってゆく。
アリーナの観客席に戻ると、そこは結構な数の同級生や上級生による観客で埋まっていた。
声に感覚を同調させると、新入生の専用機持ちが入学早々試合すること、特にその一人は男のIS使いである織斑一夏であることで注目を引いたようだ。
爽やかイケメン死すべし慈悲はない。
「まずは逃げずにここまでやってきたこと、誉めて差し上げますわ。それとも最新鋭のその専用機があればわたくしにも勝てると思い上がってらっしゃるのかしらね?」
アリーナの上空で向かい合い試合前の和やかな一時を過ごすセシリアといっち~。
「あぁ。お前にしっかり勝って俺を猿呼ばわりしたこと、謝ってもらわないとな❗」
「あら、もしも貴方がわたくしに勝てたのならば三つ指ついてわたくしごときが貴方様のような逞しい殿方に思い上がった口をきいて申し訳ございませんでしたと謝ってさし上げますわ」
「……そこまでしろとはいってないけど」
「でもまぁそういうのを木に依りて魚を求むと言うのですわね」
まずはお互いの煽り合い。
口playの応酬ってやつである。
でもま~欧州それも英国上流階級のセシリアにわんさま~君が勝とうとするのは厳しいんじゃないかな~?
かな~?
「……言葉ではなく結果で証明して見せる!訓練に付き合ってくれた箒のためにも!!!」
己の不利を悟ったか、日本男児の潔さか素早くそれを打ち切る一夏。
「織斑一夏、セシリアオルコット、用意はいいな?」
織斑千冬の威厳ある声がスピーカーから響き、5秒後にブザーが鳴って両者の試合が開始された。
「先手必勝♪ですわ♪」
「っやらせるかっ」
開始が告げられると同時にスターライトMK3の銃口から放たれる正確無比なレーザー。
咄嗟に横にスライドし、難を逃れる白式。
大型狙撃銃から放たれる高火力レーザーはアリーナの壁を軽く焦がすに終わったが、しかしそれはあくまでも牽制。
その攻防が終わった頃にはすでにAI制御で3基の大型ビットブルーティアーズMK2が展開を終えている。
「さぁ、優雅にワルツを踊りましょう♪?でも貴方のようなお猿さんにはまだ早いかもしれませんわね?♪」
ここからは弾幕舞踏の始まりだ。
独立機動する3機のブルーティアーズmk2が独立したテンポ色とりどりのメロディで光線を放ち、白式を踊らせる。
突如爆発的な加速。
しかしあくまでもそれは直線的なもの。
冷静にスターライトMK3の引き金を引くと同時に上に放り投げるセシリア。
「っ!うおぉぉぉぉぉぉぉ!」
スターライトMK3による射撃を喰らいながらも怯まず、瞬時加速による突撃で接近戦の間合いまで持ち込んだ白式。
白き稲妻による電撃戦。そこは白式の領域。
エネルギーを無効化する雪片弐式が上段から袈裟懸けに斬り下ろされる。
あれを喰らえば一撃でゲームセット。今までの有利も一瞬でひっくり返る。
「お馬鹿さん♪」
しかし英国淑女は慌てない。取り乱さない。瀟洒に勝利を掴み取る。
スターライトMK3を放り投げたその体勢、肩口のスラスターからサーベルを引き抜くと一泊遅れたテンポでサーベルの刃を雪片弐式に絡めるように斬り下ろす。
その光景を予感しながら俺は呟いた。
「合撃……もどき」
「くそっ!」
白式から振り下ろされた斬撃が金と蒼を捉えることは紙一重で終ぞ無く。
ゲームチェンジャー雪片弐式による最強の斬撃も蒼き雫を捉えられなければ何一つ得ることはなく。
いや。何一つ得ることがないことはないか。
解答。背後から急行。
墜ちていく白。
ソードビットに膾に切り刻まれて白は蒼く塗り潰された。
「
「織斑一夏、白式 残存エネルギー0 勝者 セシリア・オルコット!」
「いくら高性能の武器を与えられてもお猿さんには使いこなせませんわね♪」」
斜め後ろ上方に放り投げたスターライトMK3を華麗にキャッチしながら決めセリフを決めるセシリア。
電光石火の攻防と決着に湧き上がるアリーナ。
まぁ他愛のない結果だったかな~。
むしろこれぐらいはやってくれないと偽お嬢様?偉そうなのは上の口だけってやつ~?
翌日の放課後のSHR
「昨日の放課後行われたクラス代表決定戦の結果、セシリアオルコットさんが勝利しましたが、その後クラス代表を辞退したため、1年1組のクラス代表は織斑一夏君に決定しました。」
IS学園で初の男子によるクラス代表の誕生に、盛り上がるクラスメイト達。そして対照的に項垂れるワンサマー。
ひとしきり項垂れると、捨てられた子犬のような感じと恨めしそうな目と何故という目でこちらの方を見てくる。
「それでは本日の授業もすべて終了だ。この後のパーティで盛り上がるのもいいが、余り羽目を外しすぎて私の世話になるなんてことがくれぐれもないように」
ドスの効いた目でクラスを一巡しねめつけるブリュンヒルデ。相変わらずおっかない女だった。
「起立。礼。」
そしてそのままクラス代表織斑一夏の最初の仕事である終礼によって、今日も一日が終わる。わけではなく。
そのままセシリアに捕獲されて寮の食堂の宴会室で開催されるパーティに連行とあいなりました。
「というわけでっ!織斑くんクラス代表決定おめでとう!」
「おめでと~!」
ワンサマーがパリピなクラスメイト達に囲まれよってたかってクラッカーが乱射される。
そしてそのまま胴上げ。服とかいろいろ奪おうとするクラスメイトをワンサマーが泣きながら迎撃している。
そこから宴は無礼講へとなだれ込んでいった。
「どうしてクラス代表になるの辞退したんだよセシリア~、あの時暴言吐いて立候補してまではやりたがってたじゃないかよ~」
女子高における男子クラス代表という名の客寄せチンパンジーが強化されて継続のワンサマーという名の敗者が見苦しく騒いでいる。
「あの時はあの時、今は今ですわ♪」
「気まぐれすぎる!あんまりだ!」
「あの時は分かりませんでしたが睡蓮さんの介護でわたくし忙しくなりそうですし♪それになにより貴方弱いんですもの♪お猿さん♪
わたくしを屈服させたければクラス代表として闘って経験を積んでいただかなければ♪まぁ極東のお猿さんには一生不可能かもしれませんけれども♪おほほ♪」
俺の方に頭を乗せたまま、口元に手を当てて高笑いし、ご機嫌そうなセシリア。
「ぐ!ぐぬぬぬぬぬ。」
セシリアに図星を突かれて唸ることしかできないワンサマーという名のバカ。かわいそうな存在であった。
なんだかご満悦そうに一夏の隣に座っていたが、それを聞いて不機嫌そうな感じになる箒chang
「代表候補生のお前と、ISに乗りはじめてまだ精々3、4日の一夏、それを比べて勝ったからって弱かったからだなどというのは不公平だろう!」
「あら、箒さん。貴女戦場で経験が浅いから見逃してくださいなどと見苦しいことを仰るんですの?今まで過大評価してましたかしら」
「ついでに言えば、睡蓮さんはわたくしに勝ちましたわよ?それも完膚なきまでのワンサイドゲームで。」
プライドの高いセシリアが、なぜか機嫌よく、そのしなやかな身体をぴったりとくっつけて猫みたいに頬と手を俺の胸のあたりにすりすりと摺り寄せてくる。
う~ん?煽り優先ってこと~?まぁ負けすぎて逆に気持ちよくなってくることあるかも?小さいころ修行中によくあったかも?
「ぐぬぬ、この破廉恥猫め、言ってくれる・・・・・・」
フラストレーションを貯めてる箒chang。大英帝国人は煽るの基本大好きだし、箒changの煽り耐性は見るからに低そう。
沸点低い大和撫子。一触即発。
「きゃ~こわ~い♪」
「何はともあれわたくしが譲って差し上げたのだから一年間クラス代表頑張ってくださいまし。
そしてこの機会を活かして、馬鹿にされないくらいに強くおなりなさい、睡蓮さんみたいに♪
これは貴方に見込みがまだあると思ったからチャンスを差し上げたのですわよ?一夏さん。」
「あぁ。セシリアに言われなくても強くなってやるさ。千冬ねぇの名に泥を塗るわけにもいかないしな。」
セシリアの甘い言葉で気炎を上げるワンサマー。
セシリア。男を虜にするのに長けた恐ろしい女。
英国令嬢。こわい。
「がんばえ~」
「てかお前はセシリアに勝ったのか?」
「もちのろん。弱かったら柳生の名前は名乗れないんだな~まぁそうでもないか。一族たくさんいるし」
「はいはーい!新聞部でーす!。話題の新入生達に特別インタビューをしに来ました~!」
黄色のリボンは二年生。
「あ、私は二年の黛薫子。よろしくね。新聞部副部長をやってまーす。はいこれ名刺。」
「ではではずばり織斑君!クラス代表になった感想を、どうぞ!」
きらきらした目と勢いでボイスレコーダーを拳銃のように一夏に突き付けている。
引き気味のワンサマー。いい気味?
「え~、お前は弱すぎる、強くなれといわれて譲られてしまったので、クラス代表トーナメント?などの機会を活かして経験を積み、
期待に違わず、千冬ねえが恥ずかしくないような強い弟になるために努力しようと思います。」
薫子が首を捻る。
「う~ん?悪くはないけど普通?ま~いいや面白いように適度に捏造しておくから。」
「お~い」
力なく突っ込みを入れる一夏。
「じゃじゃ今度は入学初日から脇目も振らずにイチャイチャしまくっていると話題のカップル!柳生くんとオルコットさんにインタビューを!」
「二人の馴れ初めは!?」
「ルームメイトになったことです~」
「そもそも別にルームメイトであって、そういう男女の関係ではありませんわ?」
「そうでもある。」
「またまた~タレコミと証拠はたくさん挙がってるんだよ?学内学外至る所でお二人さんがイチャイチャしまくっていると!」
熱量高くキラキラしながら詰めよってくる薫子。めんどくさそうだ。
「ではこれよりISの基本的な飛行操縦を実践してもらう。専用機持ち、試しに飛んで見せろ。」
ISの授業も二週目に入りようやく実際に体を動かす感じの授業が始まった。
実演に専用機持ちが指名されまして、俺とセシリアとワンサマーと簪changが皆の前に進み出る。
「まずは機体を展開して見せろ」
というクールビューティーの指示で、流石に専用機持ちだけあって即座に展開を済ますセシリアと簪changに対して未だに未展開の一夏。前途は多難ですねぇ。
「早くしろ熟練したIS操縦者は展開まで一秒とかからないぞ」
お姉さまもお怒りです。
そうじゃないと実戦でISのメリットが大きく減るからちかたないね。
それを聞いた一夏は変身ヒーローのように右腕を突き出し、待機形態の百式を掴むと、光の渦と共に一夏の周りにISが現れた。
「まあいいだろう。他の三人と同じ程度の速度で何時でも展開できるように練習しておくように。」
イチャイチャにつかれたら戦闘描写を書いて頭を痛める(´・ω・`)