ユリュア・ボルジュ=ティエノアル・センレーニュ。それが私の名前だ。
ボルジュの姓称号の通り、地上人を先祖に持つアーヴだ。ただ、肝心のその地上人は千年近く前にアーヴになった人物なので、私は黎明の乗り手の子孫の次くらいに古いアーヴの家だといってもいいと思う。
当時の
当時は帝国は創建されたばかりで、
これは我が一族の誇れる事実のひとつだ。
我が母上が誇らしげに語ることによると、そういうことらしい。
だが正直、私はどうもピンとこなかった。
別に皇帝に謁見賜ることに対して何か疑義を感じるとか言うことでは決してない。もし私の死後に誰かがこれを発見しても、
まあ、とにかく、私が言いたいのは、この家が特にすごくもない家であるという事だ。
我がユリュア家は、ただの
それも、何かと名前を聞くエクリュアやコリュアとも違い、特に大きくもない、分家がいくつかあるだけの小さな家だ。
千年前からいたずらに歴史を重ねただけの、特に面白みもない家。
おそらく、歴史家にとっても、この家を見ることはほとんどないのではないだろうか。
たぶん、ユ・ティエノアがこの家の最盛期だ。
それ以降、ただ千年もいたずらに時間を連ねてしまった。
しかもさらに困ったことは、歴代のユリュア一家が同じような焦りを持ちながら、結局何も成せなかったという事である。
一応、この家の
私も一応、この長い歴史を持つ家の名誉のために調べてみたのだが、いいところが造船科の提督だった。だいたい数百年ほど前の、レンファーニュという名前の女性のご先祖だったらしい。たいそう頭の冴える女性だったのだろう、と思って昔の私は心を躍らせながら調べていたのだが、当時発生した帝国の内乱のために命を落としていた。当時これを調べていた少年センレーニュは、この内乱のことを大層忌々しく思ったものだった。
もしこの人が生きていればこの家はもう少し歴史に見合った風格を持っていたかもしれないのに、と考えたものだ。
まあ、現在のセンレーニュ青年は数百年前のことなんぞ考えても仕方がないと思想を改めている。
ともかく、何が言いたいかというと、我がユリュア家は大したことのない家、だという事だ。
何か素晴らしい貴族がたの叙事詩が見たかった人には申し訳ないが、この日記はただのしがないいちアーヴの日記だという事を分かってほしい。
それでも、私のことを知りたいという、奇怪な思想をお持ちの方がいるのであれば、ぜひ、次の頁をめくっていただきたい。
ルビなど間違っていたら教えてください。
原作に出てきていないアーヴ語などは、アーヴ語の変化にのっとって、造語しております。