星界の小章   作:ケンタ〜

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帝都ラクファカール(アローシュ・ラクファカール)

 帝都ラクファカール。

 

 それはすべてのアーヴの始まりでもあり、帝国の中心であり、ほとんどのアーヴにとっての故郷である。

 

 およそ九〇〇年前、アーヴはこの恒星系で(ソード)の技術を手にし、帝国(フリューバル)を創建した。それから九〇〇年間、帝国は一度の敗北も知らず、半分の人類社会を支配し続けている。

 帝都(アローシュ)の人口は数千万あまり。

 これは既知の人類星系において最も人口の多い軌道都市群である。空間(ダーズ)に生きることを常とするアーヴたちにとっては、惑星(ナヘーヌ)よりもどの地面(ソージュ)よりも、何もない真空空間に浮かぶ建物か船の中にいる方が居心地が良い。

 今でも帝都(アローシュ)ラクファカール、言い方を変えれば幾千幾万もの軌道都市(バーシュ)群はその規模をとどまることなく広げ続けている。

 そのため、帝都は『帝国の揺り籠(ギュルソーグ・フリューバラル)』と呼ばれる。

 また、『故郷(ムロート)』とも呼ばれる。

 多くのアーヴにとってここが生まれた場所であり、そして半生をここで過ごすからである。

 更に、『愛の都(ビロート・ネグ)』とも呼ばれる。

 人類世界に薄く広がるアーヴ。彼らは出会いを求め、同胞たちが最も多く集う帝都(アローシュ)へと向かう。

 ほとんどのアーヴたちはここで紡がれる爆発的恋愛の結実的結晶であり、そしてまた生まれた果実たちはここで新たな出会いを求めるからである。

 そんなアーヴたちの生まれる場所たるラクファカール。

 時に、『陥ちざるもの(ダワトサリア)』とも呼ばれる。

 この歴史上、帝国(フリューバル)は一度としての敗北も喫することが無かった。

 凄惨にあふれる人類銀河の戦争の歴史。不幸なことに帝国(フリューバル)がその当事者となることもあった。

 しかしその中で帝国(フリューバル)は、一度の敗北も喫することがなかった。

 そのさい皇帝(スピュネージュ)二人と皇太子(キルーギア)七人、そして数えきれないほどの貴族(スィーフ)たちとアーヴたちが空間(ダーズ)に砕け散ったが、彼らの犠牲が無駄になったことは九〇〇年間でただの一度もない。

 ほかにも、『八門の都(ビロート・ガソーダル)』とも称される。

 帝国の始まりたる八つの門。かつて帝国(フリューバル)がなく都市船アブリアルがアーヴの世界の全てだった時、都市船がその腹に宿していた八つの源泉粒子。

 今は恒星アブリアルの周りを周回し、帝国(フリューバル)の全ての八王国(ガ・フェーク)とその中心たる帝都をつなぐ門にその呼称は由来している。

 そして、それを比喩して『竜の頸の付け根(サース・ノーシャル)』と呼ばれることもあった。

 人類宇宙でもっとも名高い幻生物、『八頸竜(ガフトノーシュ)』。帝国(フリューバル)、アーヴ、アブリアル、そして星界軍(ラブール)紋章(アージュ)であるその竜の頸の付け根、つまり帝国の最も根幹の場所として、アーヴの全ての源泉として。

 

 帝国の揺り籠(ギュルソーグ・フリューバラル)故郷(ムロート)愛の都(ビロート・ネグ)陥ちざるもの(ダワトサリア)八門の都(ビロート・カソーダル)、そして竜の頸の付け根(サース・ノーシャル)――――帝都(アローシュ)ラクファカール。

 

 その八門のうちのひとつから、快速連絡艇〈ラーフボーム〉が、ラクファカールへと進入した。

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