星界の小章   作:ケンタ〜

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都市船アブリアルへの訪問(オトデ・アブリアルサリ)

 美しきご先祖レンファーニュに対して私は長いこと憧れを抱いていたものだが、結局のところ私は軍士(ボスナル)になることはなかった。

 

 これを書いている今の自分に繋がる最も古い記憶は、何かの用があって、帝都ラクファカールに赴いていた時のことだった。

 

 それまでの私は、とある豊かな伯爵(ドリュー)の領地において運営されていた商館の中で過ごしていた。

 

 というのも、その伯爵はかなりの交易好きで、かなり巨大な商館を運営していらした。もちろん、その中で過ごす人の数もかなりのものだったのである。

 どれくらい巨大化というと、その中で恋をし、子どもを産むひともいるくらいだった。ちなみに私はそこで生まれた。

 

 再三言うが、私の家はかなりの変わり者だ。アーヴという種族は空間に生きる種族だが、どこかしら帰る家を持つものだ。

 しかし、私の属するユリュア一家は、なぜかそれがなかったのだ。

 

 私の家は、多くのアーヴが定住するラクファカールにすらとどまらず、帝国(フリューバル)じゅうのいろんな場所を転々として生きていた。

 

 それで、その転々としたうちのひとつが、カセール伯国(ドリュヒューニュ・カセル)という場所で、私はそこで生まれたのだった。

 

 母親はそこで結構な地位を得ていて、カセール伯爵(ドリュー・カセル)とも結構いい感じの関係だったらしい。が、私はそこを離れてラクファカールにいた。

 具体的には、帝都ラクファカール、それを象徴する都市船アブリアルの中に。

 

「……すごい……」

 

 アブリアルの発着所から出て、私は絶句していた。

 

 都市船アブリアル。その名を知らぬものは、アーヴの中どころか、帝国じゅうの地上人(ナヘーヌド)にすら存在しないだろう。

 もちろん、私も知っている。

 

 帝国創建よりさらに前、アーヴという種族がはじまってから存在する、アーヴの歴史そのものだ。

 

 かつて、無限の熱量を生み出す源泉粒子、今は閉じた門と呼ばれる無限の動力を八つ腹の中に収めた巨大な恒星間航行船。かつてその中でのみ、アーヴという種族は存在していた。

 

 その中で、数万のアーヴが暮らせるほど、圧倒的に巨大すぎた都市船だ。

 

 知識として、その偉大さは知っていた。だが、実際に目にしてみると、その大きさは自分の想像が愚かしいと思えるほどのものだった。

 

 まず、天井が頭上の遥か数ウェスダージュ(数百メートル)向こうにあった。

 

「ありえない……。空間(ダーズ)に浮かぶ構造体で、こんなに巨大なものなんて」

 

 そして、その天井は透明な素材でできていた。

 

 その向こうに、まばゆく輝く恒星アブリアルがのぞいている。

 

 私はそこで、しばらく唖然としていた。

 まわりの人々が私を怪しいものを見る目で見ていたのだが、それすらどうでもよかった。

 

 私の感覚は、初めてアーヴの世界に触れた地上人と同じようなものだっただろう。

 アーヴの世界に触れた地上人は、たいそう驚くものと聞く。私もきっと、それと同じくらいの衝撃をその時受けていた。

 

「やあ、そこの人」

 

 誰かが私を呼ぶ声があった。

 

 男の声だった。

 

 振り返ってみると、私よりすこし背の低い、若干少年的な見た目をしたアーヴが立っていた。

 少年的な見た目をしているというだけで、彼の本来の年齢はわからなかった。アーヴは皆、見た目的な年を取らない。

 

 短い紺色の髪の間から、彼は私を見上げて言った。

 

「見るに、アブリアルに来るのは初めての方かな?」

 

 その喋り方で、私はこの少年が、おそらく私より少し上くらいの年なのではないかと想像した。

 実際のところ、後でそれは合っていたことが判明したのだが。

 

「あ、はい……じつは、ラクファカールに来るのも初めてで……。あ、貴方は?」

「おや、これは失礼」

 

 少年の見た目をした彼は、にこりと微笑んで自己紹介をした。

 やけに細く、しかしくっきりとした眉がやさしくゆがむ。

 

「僕は、ダーショ(Dachoc)ウェフ(üémh)クテーム(ctemr)・ロブジェール《lobgherh》。君は?」

 

 ダーショ……この者は、あのダーショの氏に名前を連ねる者なのか。

 

 ダーショといえば、かつてアーヴの世界のすべてが都市船アブリアルだった時代に、源泉粒子、つまり閉じた門を管理、運用していた一族だ。帝国創建後である現在も、優秀な技術者を多数輩出する家だが、最も目立つのはその芸術好きの性格だ。

 

 この人が芸術に関してどうなのかは知らないが、少なくとも悪い人ではなさそうだった。

 

「あ、えっと……私は、ユリュア(Yuryac)ボルジュ(baurgh)ティエノアル(tienoar)センレーニュ(senluenh)といいます」

「そっか、よろしく、センレーニュくん」

「あ、はい……」

 

 いきなり、名前で呼ばれた。

 

 かなりぐいぐいと来る人だ。初対面なのに。

 

 だが、不思議と不快感は感じない。

 

「その、ダーショ、さん。なんで私に声を……?」

 

 もちろん、私は距離感というものをわきまえていたので、彼を苗字で呼んだ。

 すると、ダーショさんは意外そうな顔をした。

 

「そりゃ、困ってる若者がいたら、助けてやるのが責務だろう」

「そ、そうですか……?」

 

 今となっては「優しそう」などと言えるが、当時の私はかなりの警戒心を抱いていた。

 

 いくら自由なアーヴにしたって、自分の生活というものがある。

 それにいくら暇だったとしても、誰が都会知らずの田舎者に進んで声をかけようとするのだろうか。

 

 アーヴに無法者は少ないとは言え、初対面の人に対して警戒のひとつやふたつはするだろう。

 

「まあ、若者(ファクナシル)よ。年上のいう事はすんなりと聞くものだぞ」

 

 にやり、と再びその人は口角を上げる。

 まるで、私がおどおどしているのを楽しんでいるかのようだった。

 

「そ、そうでしょうか……」

 

 目の前のこのアーヴが怪しい、とは言っても、私はどこかへと逃げる気にもなれなかった。

 そもそもここがどこだかわからないし、逃げるとしてもどこへ行けるかも知らない。

 

 うっかり皇帝の夜殿(ディアフ)にでも駆け込んでしまったら目も当てられない。

 

「まずアブリアルに来たのなら、とりあえず宿か何かをとっておいたらどうだ?」

 

 それも、まあ、もっともだった。

 

「ついて来なさい。案内してあげよう」

「は、はあ……」

 

 くるりと踵を返して、ダーショさんはそそくさと歩いて行く。

 

「ちょ、ちょっと待って……」

 

 私よりも背が低いのに、ずんずんと歩いて行ってしまう。

 何か特殊な歩き方をしているようにも見えないのに、その二本の脚でわたしより速く歩いて行く。

 

 おかげで、私は早々に息が切れてしまった。

 

「はあ、はあ、はあ……待って……」

「どうした、若者(ファクナシル)。そんなに体力がないのか」

 

 アーヴは総じて体力が地上人よりも高い。

 

 だが、それは遺伝子の設計上での話だ。

 

 運動をしなければ体力は下がるし、運動をしている地上人と運動をしないアーヴとで走らせれば、余裕で地上人が勝つだろう。

 

移動壇(ヤーズリア)とか……つかわな、はあ、使わないんですか」

「そんなもの使っていたら体が衰えるだろうに」

 

 なんなんだ、この人……。

 私はだんだんとそう思い始めていた。

 

 膝に手をつきながら息を整える。

 考えてみれば、地上世界の二分の一程度の重力の場所でこれだけ息を切らしてしまうなんて、確かにずいぶんと間抜けにも思えた。

 

 見上げると、ダーショさんが何やら端末腕環(クリューノ)を操作していた。

 

「な、なにをしているんですか?」

「ん」

 

 ぴっ、とダーショさんが向こうを指さした。

 

 移動壇が歩くよりも少し速い程度の速度でやってきて、近くで止まった。

 

「あ、ありがとうございます」

「初対面でこういうのもなんだが、ずいぶんと間抜けに見えるぞ、若者(ファクナシル)よ」

「初対面で言わない方が良いですよそう言うの……」

 

 まあ、自分に対する罵倒の言葉はよく母親から受けていた(家風のせいか、なぜかこの家の親は総じて口が悪いのだった)ので、それほど気にならなかった。

 

 それにしても、初対面で言い過ぎではないかと思ったが。

 帝国法(ルエ・ラゼーム)には、罵倒の言葉を取り締まる法律はないのだろうか。

 

 移動壇が発進した。

 

 私は備え付けの腰掛に座って息をついた。

 

「あなた、何者なんです?」

 

 正直なところ、それが気になってしょうがなかった。

 

 この人が変わり者と言ってしまえばそれまでだが、どうもそれだけじゃ説明がつかないような気がした。

 この人は何かがある。

 

 さっきから、この人は顔に納得感のようなものを浮かべていたのだ。

 

 『やっぱりか』、とでもいうような。

 

 私は他人の顔色を伺うのも小さいころから鳴れている。

 火山(キーガーフ)のごとき母親の噴火(ムーケ)を防ぐために、日々悲しい努力をしたものだった。

 

「僕は親切な老人だよ、若者よ」

 

 顔色一つ変えず、ダーショさんは言って見せる。

 しかし、私は納得しなかった。

 

「そんなはずないでしょう。移動壇の呼び出しだってただじゃありません。なんで初対面の私にそんな親切なことをしてくれるんですか?」

 

 すると、ふむ、とダーショさんは顎に手を当てた。

 

「賢いのか賢くないのか、分からないな、君は」

「どういう意味です?」

 

 褒めているのかけなしているのか。

 

 ビボーズ氏とでも会話をしているのだろうか。

 真空空間(ダーズ)でもつかもうとしているかのように、会話に手ごたえが感じられない。

 

「そのままの意味だよ。あまり老人の言葉を詮索するんじゃない、若者(ファクナシル)。まあ、こちらとしては、君が思い出してくれることを期待していたがね……」

「思いだす……?」

「まあ、隠しても仕方がない。私は君の母親にお願いされてきたんだよ」

「え……?」

 

 頭に、母親の顔が浮かんだ。

 

 アーヴらしい美貌を持ち、鮮やかな青色を持った我が母親。

 

 いくらアーヴでも中身は美しくできなかったのか、母親は全く母親らしからぬ性格と思考回路をしていた。

 

 何でも、ユリュア家に、始祖たるティエノアの代から伝わることわざにこういうのがあるらしい。

 

『リーシュ・ア・ワトセ・ヤルルークル・ラーネ――――獅子は子を千尋の谷に突き落とす』

 

 アーヴの世界に谷なんてものは存在しないので、やはり地上世界を起源に持つ、始祖ティエノアの言葉であろう。

 謎に満ちたことわざだ。なんでこんな突飛な意味の分からないことわざを後世に残そうとしたのだろうか?

 

 おかげで、私はこの名のもとに、母親に指導と暴力のはざまを行き来する教育を受けることになってしまった。

 

 ラクファカールに来たのも、母の指導によるものだ。

 

 いや、あれを指導どいえるかどうか、審議の余地があるだろう。

 

 母親についての最後の記憶(といっても五十時間ほど前だが)は、困惑するわたしを、カセール伯爵所有の連絡船(バウリア)に押し込んで『早くラクファカールに行ってこい』と怒鳴る姿だった。

 

 ……愛がない母親ではないのだが……どうも、あんな送り方をしたのに助けをよこすとは、思えなかった。

 

「……それ、本当ですか?」

「君の母親も息子にそれだけ怪しまれるとは、変わらないようだね」

 

 ふふっ、と彼は笑った。

 

 何か、母親のことを知っているのだろうか。

 

「まあ、正確には、君の母親がカセール伯爵にお願いして、私が呼ばれたのだがね。ちょうど私も、退職して暇だったものだから、重い腰を上げてはるばる飛んできたのだ」

「カセール伯爵と……」

 

 カセール伯爵は、紫がかった青髪を持つ、成長(ザーロス)期の後半あたりの見た目をしたアーヴ女性だ。

 母親が仕えている貴族なので、もちろん私も面識がある。

 

 母親が直接カセール伯爵に直訴して私に助けをよこしたとは考えづらい。おそらく、カセール伯爵がそれとなく察して知り合いに様子見を頼んだのだろう。

 一応、伯爵には、それなりにかわいがられた記憶がある。

 何なら初恋の相手だったりもする。

 もちろん相手は高嶺の貴族でありしかもウン十年の年上なので、早々にあきらめたが。

 

「それで、やっぱり私の顔は思いださないのかい?」

 

 ダーショさんが顔を覗き込んできた。

 相変わらず、なれなれしい。

 だが、その口ぶりからして、私は彼と面識があるようだった。

 

「あ、はい……ちょっと、すみません……わかりません」

「そうか……君がほんの生まれたてだったころに、会いに行ったことがあったんだがな……」

「そりゃ無理ですよ……」

 

 いくらアーヴといえどもそこまでの記憶力は持っていない。

 

 さっきまでのなれなれしさは、そう言う事か。わたしを文字通り生まれたころから知っているから、親戚の叔父さんの感覚で接してきているらしい。

 こっちからすれば記憶上は会ったことないので赤の他人にも等しいのだが……。

 

 まあ、生まれたばかりの私を見たくらいだから、母親とそれなりの面識はあるのだろう。赤の他人は言いすぎたかもしれない。

 

 そこでふと気になって、聞いてみた。

 

「その、カセール伯爵(ドリュー・カセル)とはどんな関係なんですか?」

 

 アーヴの世界は、階級社会だ。

 

 帝国法が定めるところによると、アーヴは、

 

 皇族(ファサンゼール)

 貴族(スィーフ)

 士族(リューク)

 

 のみっつで構成される。

 

 私の姓称号である『ボルジュ』、そしてダーショさんの『ウェフ』は、どちらも士族の姓称号だ。

 

 もちろん、カセール伯爵は貴族。確か姓称号は『スューヌ』だったはず。

 スューヌは帝国創建後の新興貴族を表す姓称号なので、それだけでは先祖の起源はわからないが、確か地上に起源をもつ貴族であるとお聞きしたことがある。

 

 貴族世界(スィームフェ)は狭いとはよく聞く話だ。とはいえ、私のような身の上でもなければ、貴族と士族、世界の異なる相手が交わることは多くない。貴族、とくに伯爵のように、領地を持つ諸侯(ヴォーダ)は、自らの領地で仕事に従事しているものだからだ。

 

 それに、伯爵という、人間の住む星系を有する階級は帝国の中でもちょっとしたものである。

 

 この人はどういうわけで、カセール伯爵と知り合って、そして助けを呼ばれる仲になったのだろうか。

 

「ああ、もと想人(ヨーフ)といえばいいかな。星界軍(ラブール)にいたときに出会ってね。今でもそれなりの仲さ」

 

 想人とは、端的に言えば、友達以上の熱烈な関係に発展した相手のことだ。

 地上人の言うところの、恋人だとか、恋愛相手だとか、そんなところだ。

 

 もちろん私にはそんな相手など存在しないのだが。

 

 それにしても、そうか、星界軍か。それならば納得だ。

 

 貴族(スィーフ)には、義務(スレムコス)がある。

 それは、最低でも十年、星界軍で兵役に従事すること。

 そこであれば、貴族も士族も、それどころか皇族も関係ない。熱烈な関係に発展するだけのきっかけはあるだろう。

 

「そうでしたか……」

 

 その時、移動壇が停止した。

 まだ聞きたいことは多くあったのだが。

 

「よし、ここだな」

「ここは……?」

 

 かなり大きな建物の前だった。

 

 体中に宝石がちりばめられた黒色の鳥。その紋章が後ろに掲げられ、そこに『星々たちの巣(ルー・グリューラク)』と曲線の多いアーヴ文字で書かれていた。

 

 どうやらここが宿の様だった。星々たちの巣(ルー・グリューラク)の名は、私も聞いたことがある。

 

若者(ファクナシル)よ、軍資金(テーニュ)は持っているか?」

 

 移動壇から降りながら、ダーショさんが聞いてくる。

 

「あ、はい。数スカールですが……」

 

 私は自分の端末腕環をたしかめた。五スカール入っていた。

 別れ際、母親から振り込まれたそれなりの金額だ。

 だいたい、二〇スカールもあれば、三〇日間それなりに生活できる。

 

 一応、ちゃんと宿のひとつは取れるくらいの金額だろう。

 

「ならじゅうぶんだ。よし、入るぞ」

「はい」

 

 ダーショさんに続いて扉をくぐると、そこは広間だった。

 

 数ウェスダージュほどの広さはたっぷりある。

 

 そこはたくさんの人でにぎわっていた。

 地上人らしき人の姿も多数見受けられる。

 

 おそらく、発着場から近いところを見ると、都市船アブリアルに来たばかりの人たちのための宿らしい。

 

「いらっしゃいませ。星々たちの巣(ルー・グリューラク)へようこそ。何名様ですか?」

「二人です。僕と、この若いの(ファクナシル)

「あ、ちょっと」

 

 都市船アブリアルの広い旅館を見渡しているうちに、ダーショさんがそそくさと受付を始めてしまった。

 

「では、ここに名前をお願いします」

「ようし、坊主、名前くらいは自分で書けるね?」

「誰が坊主ですか……」

 

 空中に映し出された紙の立体映像に、指で名前を書いていく。

 かき終わると、紙はすぐに消える。

 

「あ、そうだ。僕と、この若いのの部屋は別々でよろしく」

「かしこまりました。それでは、お部屋の電子鍵をお渡しいたします」

 

 端末腕環に通知が来た。電子鍵が渡されたらしい。

 

「ようし、じゃあ僕はもう休むから、あとは勝手にな、若者よ(ファクナシル)

「あ、ちょっと……」

 

 手をひらひらと振って、ダーショさんは宿の中へと歩いて行ってしまった。

 何から何まで全部勝手にやられてしまった。

 

 というか、何をそんなに急ぐ必要があるのだろうか。

 

「はあ……」

 

 思わず、ため息をついてしまった。

 

「お客様、大丈夫ですか?」

 

 店員の地上人が、心配そうに顔を覗き込んでくる。

 

「あ、いえ。大丈夫です。どうも」

 

 自分も部屋に向かうか……。

 

 私に振り分けられた部屋は、三階にあった。

 昇降筒(ドブロリア)で三階に上がり、端末腕環で鍵を開けて中に入る。

 

 それなりに広い部屋だった。受付によると、一部屋は一晩で一スカールと八〇〇〇シェルカールだった。

 一スカールは一〇〇〇〇シェスカールである。なので、シェスカール換算で、一泊一八〇〇〇スカール、ということになるだろう。

 

 一応、三食つきでこの値段。かなりお得だ。

 

 この計算だと、私は二、三日くらいはこの宿で暮らすことができるという事になる。

 

 ……大丈夫だろうか、これから先。

 ていうか結局、ダーショさんって何者で、何がしたかったんだろうか。

 

 いろいろと心配だ。

 

「ふぁ……」

 

 あくびが口をついて出た。

 

 今日は一日、ほとんどカセール伯国からの移動で過ごしたから、かなり疲れた。

 

 とりあえず、休むとしよう。自分のお金でとった部屋だ。誰にも邪魔はされないだろうから、ゆっくり寝よう……。










原作には(おそらく)存在しないアーヴ語解説

ムーケ myce(噴火)

fucu(吹く)⇒fuc(母音脱落)⇒myc(子音と母音変化)⇒myce(動詞語尾)

リーシュ lish(獅子が)
sisi⇒sis⇒lis⇒lish(名詞の主格語尾)

ラーネ laine(谷へ)
tani⇒tain(母音脱落・融合)⇒lain⇒laine(名詞の向格語尾)

テーニュ tainh(軍資金が)
zeni⇒zein⇒tain⇒tainh(名詞の主格語尾)



アーヴ語はmh、nh、rh、など、hが特定の子音と一緒になると音が変わる。

mh⇒フ
nh⇒ニュ
rh⇒ル(表記上あんまり変わってないように見えるが、/R/という『ガ』と『ラ』の間みたいな音になる)
th⇒ス
gh⇒ジ
ch⇒シ(チ?)
bh⇒ヴ

例:ラフィール(人名)⇒lamhirh
mとhが一緒になっているので、「ラムヒール」ではなく「ラフィール」となる。
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