私は日記をつけることにした。
今までにあったことを忘れないように。そして自分が生きていた証を遺すために。
そして我がユリュア家の
これを書いているのは、私が初めての仕事を終えたしばらく後である。こう書けば、日記を頭から読んでいる方々は時系列が分かりやすいだろうか。
記憶に残ったことを思い出して飛ばし飛ばし書いているのでいろいろと分かりにくいところもあるだろうか、我慢して読んでもらいたい。
あれからだいぶ時間が経った。私はかれこれ一か月ほど
仕事の内訳は、
ほかの雑務については、これを読んでいる方々はよくわからないだろうと思うから、一応説明しておく。
ほかの雑務とは、
ほとんどは
ほかには、三十日に一、二回来る定期連絡船への定期報告。
これらの書類仕事を、私は任された。
おかげで、それなりに忙しくなった。
それまでは反物質の輸送を一週間近くかけて行うだけのゆったりとした生活だったが、書類仕事はかなり忙しかった。
必要な情報を収集し、書類を制作し、見落としがないか確認して、それを
最後に
かなり集中力をすり減らす仕事だった。
何と言ったって、
だが、まあ、今のところは何の変哲もなく仕事を行うことができている。
それくらいだろうか、私が入ったばかりの時と変わったのは。
ああ、そうそう。今はまだなのだが、もう少ししたら、この
しかし、これはかなりの優れものだ。今までは軌道上にむき出しだった
つまりどういうことかというと、自分で動いてもらうことができるのである。
という事は、私の仕事がなくなるのである。
あれ、これって結構まずいのでは。私の仕事の五割を占めている燃料輸送の仕事がなくなるって結構まずいんじゃ?
そう言えば、これから
もしかしたら今後の待遇の変更(控えめな表現)についての相談かも知れない。
ま、まあ、未来のことを今から考えるのはよそう。
私はそれなりにこの所領と
男爵は今回、それを三つ発注した。まあまあ奮発したらしい。
航行力はそれほどでもないのだが、そうだとしても自分で燃料槽を運んでくれるのが利点である。
しかしこれがかなり巨大で、それに
これを読んでいる人なら
対して
我々はこの中を進むことで、隣の星系に数日や数時間で行くことができる。
それで、どうやって
それで、その門は、ただで通ることはできない。通行料を支払う必要がある。
これはその名の通り、
三次元空間の中の圧縮された六次元連続体のように、
ちなみに
更に、平面宇宙の中では、
これは端的に言えば
それはほんの小さな四次元時空、
この
平面宇宙の中に最初からある
つまり、
なので、常に
これが平面宇宙に対して支払う通行料となる。
もちろん、
端的に言えば、より大きい船や物ほど、
そして更に、
この限界質量を超えてしまうと、大きい泡が小さい泡に分裂するように、
まあ、何が言いたいかというと、重いものを運ぶときには、
だから、大きなもの、今回の場合は
そうなるともちろん組み立てる必要がある。
もちろん私や
つまり、どういうことかというと、一緒に技師がやってくるのだ。
つまり、来客である。
私が
それで、私は一つの仕事を仰せつかった。
「私の第一の
だそうだ。
「あ、はい」
と答えた。
もちろん断れるはずもないので。
考えてみれば、ようやく
私の考える家臣は、皆何かとぴっしりとしていて、貫禄があるものだった。
なぜかと考えてみたが、私が出会ったことのある
だからこれが私の初めての、『
が、困った。
毎日何かしら困っているような気もするが、まあそれは置いておこう。
私は生まれてこの方誰かをもてなしたことなど一度もない。
というか、考えてみれば自分が仕える
ということで、私はいろいろと勉強せざるを得なかった。
もちろん
なので、もらった休日の時間をその練習に費やした。
貴族の
だいたい一週間くらい練習したところで、それを
「ダメです」
「え?」
ダメだった。
自分が身に着けた行儀作法を用いて色々と
ていうか初めて
「どうしたのですか? なぜこんなことを?」
すっごく心配な顔をされてそう聞かれた。
「あ、いや、その……来客が来るという話だったので、色々と行儀作法を……」
その時の私は結構な衝撃を受けていた。なにせ、かなりうきうきして
それで向けられたのは、怒りの表情でもなく、嗜める表情でもなく、
「……?」
という、疑問の表情だった。
「あ、あの、すみません……。で、出直します」
と、いたたまれなくなったので、私は
何がいけなかったのだろうか。
自分の中ではかなり完璧に物事をこなしたはずである。
それとも、そもそも私が見た情報が間違っていたのだろうか?
と、後ほど情報源を確認したのだが、これがちゃんと帝国のお墨付きをもらった行儀作法の本だった。
本来アーヴはそのような振る舞いかたを親から教わったりするのだが、地上出身の士族は知らないことも多い。
私は生粋のアーヴといっていいくらいのアーヴのつもりなのだが、例のごとく母親はちゃんと教えてくれなかった。ので、この本がぴったりだと思っていたのだが……。
……どうするんだ……。私は途方に暮れた。
自室で寝台の上にうつぶせになって私は絶望していた。
結局、そのあと、
輸送の仕事が終わった後に会食する、という謎の決まりごとが出来上がったりしていたため、何度か会話や食事をすることもあったのだが、その時にも
結局、そのまま何も聞かずに、技師たちを迎え入れる日になってしまった。
原作には(多分)存在しないアーヴ語
客人に banodori 語源は『客人(まろうど)』
ceutes banodhoti(一人の客人ごとに)というフレーズのアーヴ語の、『客人ごとに』であるbanodhotiを抜粋して原形化して流用。