「ガリュード!WIN!」
何処からともなく聞こえてきた応援団の声とともにガリュードと呼ばれた謎の狩人に巡の持っていたキズナファイブ含めた3つの指輪が飛んでいく。
「おいてめぇ!何者だ!」
「隙をついて背後を狙うとは、少々やり方が汚いな」
「フンッ」
銃撃をゴジュウジャーの手前目掛けて放ち、彼らを怯ませたガリュードはその隙に倒れている巡を攫っていく。
「先生!」
ホシノはガリュードを追いかけようとするも、ガリュードもノーワンたちと同じく円さえあればノーワンワールドへと移動できるようで、その場から去ってしまった。
「そんな・・。先生が・・・」
巡の生徒たちであるホシノたちは彼が攫われてしまったことに悲しむも、それに対してゴジュウジャーの面々は何と声をかければいいのか言葉が見つからなかったのだった。
「大変です学園長!またもガリュードが出現し、タイセイ君のセンタイリングが奪われたとのことです!」
「これで生徒が3人目か」
鳴介はガリュードにやられた学園の生徒、大成タイセイの事を本郷猛へと報告する。どうやらタイセイ以外にも何人か被害者はいるようで本郷猛と鳴介は険しい表情となる。
「今のところ攫われたのは坂田先生だけのようですね。攫われた理由はおそらく・・・」
「彼の能力『復元』を利用するためだろう。指輪を集めるだけでなく、能力次第ではノーワンワールドへと連れ去られる可能性もある・・か」
「生徒を守らなくてはならない以上後手に回らざる得ないですが、早急に手を打たなくては被害が増える一方ですね」
「そうだな。相手がただのユニバース戦士ならここまでの大事にならなかったのだが、ブライダン側の存在となると悠長にはしていられん」
次にガリュードが攻め入った時のため、本郷猛たちは対策を考えることとなった。
「やっとキングキャンデラーが修理完了だ!今日こそヤツと決着をつけてやるぜ。んじゃ、行ってくる」
「いってら~」
ノーワンワールド。キングキャンデラーの修理が終わったことを喜ぶファイヤキャンドルはさっそく出撃しようとMr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケークにホウレンソウをする。
「女王!俺の活躍を見ててくれよ!」
「ガリュード」
ファイヤキャンドルが眠りにつく女王テガジューンに告げた瞬間、女王テガジューンは目覚めた。
「なっ!?女王が目覚めた!?」
それに驚いたのもつかの間、その広間に1人の狩人がやってくる。
「女王テガジューン。おはようございます」
「よく戻った。リングハンター・ガリュード」
「勿体なきお言葉。痛み入ります。指輪狩りの方も順調です」
ガリュードの手に握られているのは巡から奪った『キズナファイブ』『ジュウレンジャー』『ニンニンジャー』のセンタイリングに加えて、学園の生徒たちを倒して得た『トッキュウジャー』『アバレンジャー』『ライブマン』のセンタイリングがそこにあった。
「素晴らしいぞガリュード。私は欲する。指輪と我が婿を」
「おいおい女王。なんでそいつに答えるんだ?何者だお前・・」
「キャンドル君は初対面だっけ?」
「彼は女王の切り札。リングハンター・ガリュード。指輪の戦士共に対する我らの狩人なのだよ」
「なるほどなぁ!こんな面白い奴がいたとは知らなかったぜ!」
「狩りの続きに行って参ります。次の獲物はゴジュウウルフ」
「何だと!?それは駄目だ!あいつは俺の獲物だ!」
次の狩りの獲物をゴジュウウルフに定めたガリュードは早速向かおうとすると、その行く手をファイヤキャンドルが阻む。
「あれはお前の手に負える相手じゃない。下がっていろ。連敗のファイヤキャンドルさん」
連敗と呼んで煽ったガリュードはそのままファイヤキャンドルの横を通り過ぎていったのだった。
「はい。テガソードの里です。はい、珈琲のデリバリーですね。ありがとうございます。ご住所をお伺いしてもよろしいですか?」
デリバリーの注文を受けた竜義は住所と注文内容をメモに記入していると、バイトの面接から帰ってきたホエルがやってくる。
「ホエルっち、面接はどうだった?」
「駄目だったな。どっかで俺を雇ってくれるところがあればよぉ」
「禽二郎さん。デリバリー注文が入りました。手順を教えるので一緒に来てください」
ホエルがバイト探しをしていると、禽二郎は竜義に呼ばれた。どうやら禽二郎はテガソードの里でバイトをすることになっていたようだ。
「おい、前みたく俺もバイトとして雇えよ!」
「人手が足りない時こそヘルプには使うかもしれんが、お前は常に雇うにしてはガラが悪すぎる。出来て番犬ぐらいだ」
「なっ!?」
「それでは禽二郎さん。参りましょう」
「禽二郎さんではなく、禽ちゃんと読んでほしいな」
「ハッハッ、そういうわけには」
2人はデリバリーにとテガソードの里を後にすると、ホエルは店番をすることとなったのだが・・・店番をし始めて数分後に1人の男が店へとやってきた。
「悪いが今は・・・」
「久しぶりだね。ホエル」
「え?・・・」
ホエルは半信半疑のまま指で〇を作ってその男へと向けると、相手の男も左右の人差し指で×を作る。
「お前は僕の獲物だ」
「そのしぐさ、もしかして・・・いや。間違いない!」
ホエルはその男が何者かを理解して、歓喜のあまり抱き着く。
「久光兄ちゃん!生きてたんだな!」
「あぁ。ホエルも元気そうで嬉しいよ。ただいま。そしてお帰り。僕たちの世界に」
「兄ちゃん!死んだと思ってたから本当に良かった!父さんと母さんにはもう・・・」
「会ったよ。ホエルも知ってるだろうけど彼らは養子の子供2人を家族に迎えて、もう前に進んでる。良いことじゃないか。僕にはお前がいて、お前には僕がいる。僕にはそれで充分過ぎるさ」
「そうか。そうだよな」
「せっかく会えたんだ。これから時間はあるかい?」
久光はホエルを連れてテガソードの里を後にすると自身の仕事の現場へとやってきた。
「久光兄ちゃんはどんな仕事をしてるんだ?」
「言い忘れてたけど、遠野久光の名は捨てたんだ。今はクオンと名乗っている。誰もが願いを叶えられる社会、クオンAIコンツェルン。僕はそこの社長をしていてね。AI×願いをテーマに世界シェアを拡大中なんだ」
「すげぇや兄ちゃん。昔っからなんでもできたけど、社長にまでなるなんて」
「いや。まだまだだよ。ところでお腹は減ってないかい?寿司を用意してもらっている。一緒に食べよう」
2人は共に寿司を食べ始める。そこには確かに仲の良さそうな兄弟の姿があった。
「にしてもすげぇな兄ちゃん。こんな高そうな寿司・・」
「僕の手伝いをしてくれればそんな寿司だっていつでも食べられるさ。どうだいホエル。僕の右腕として仕事を手伝ってくれないかい?」
「いいぜ。丁度バイトを探してたところだ」
「うん。それじゃこれを食べたら次の現場に行こうか」
昼食後、2人は次の現場へと向かって行くのだった。
「デリバリーのやり方は把握できましたか?」
「あぁ。ばっちりメモをしたぞ」
デリバリーの帰り道、竜義と禽二郎は買い物も済ませようと商店街に立ち寄っていた。
「そういえばホエルっちに引っ越しの挨拶がまだだったな。何を買って行こうか」
「手を組んでいても、我々は所詮ライバルですよ。あまり深入りしないほうがよろしいのでは?」
「でもなぁ。人生最後に残るのは人との思い出。いずれ戦うさだめでも、それまでは楽しくやらねば損だと考えている」
「なるほど。そのような考え方もあるのですね」
禽二郎の考え方を否定せず、素直に受け取る竜義。すると公園のほうがなにやら騒がしい事に2人は気づいた。
「行ってみましょう」
どうやら平和な日常を過ごしていた人々の前にアーイー軍団を引き連れたファイヤキャンドルが現れていたようだ。
「何処だゴジュウウルフ!他の奴にやられる前に俺の前に出てきやがれ!」
「ご指名の相手じゃないようだけど、僕らが相手をしてあげるよ」
そこに陸王と角乃も到着していて、ホエル以外の4人がその場に集まっていた。
「「「「エンゲージ!」」」」
【クラップ!ユア!ハンズ!】
【ゴジュウレオン!】
【ゴジュウティラノ!】
【ゴジュウイーグル!】
【ゴジュウユニコーン!】
ゴジュウジャーへと変身した4人はファイヤキャンドル率いるアーイー軍団と戦闘を開始する。
「なんだ?ゴジュウウルフはいねぇのか?」
「生憎だが我々は常に行動を共にしている間柄ではないのでな」
「しゃらくせぇ!面倒な連中だぜ!」
4人の連携攻撃をいともたやすく捌き切るファイヤキャンドル。その現場にホエルたちが近づいてきていた。
「それで?次の仕事ってのはなんなんだ?」
「簡単な仕事だよ。・・・そう、彼らを皆殺しにすることさ」
「え?」
他のゴジュウジャーを皆殺しにする。その仕事をするという事実にホエルは驚きのあまり思考を一時停止してしまう。
「な、なに言ってんだよ?」
「お前は昔から本当にグズだね。これを見せないと分からないかい?」
クオンの手にはガリュードの手にしていた武器テガジューンとそれに対応した白い指輪が握られていた。
「兄ちゃんがあの先生をやったってのか?」
「大好きなお兄ちゃんとの再会は楽しかった?だけどね、僕は変わったんだ。遠野久光はもういない。お前のおかげさホエル。感謝だってしてる。だけど今のお前を見てると昔の自分を見てるようでイライラするんだよ。仲間と一緒に弱い者を助けるヒーロー。ナンバーワン戦隊だっけ?それも結局僕のあとを追いかけようとしてるだけだろ?」
「それの何が悪いんだよ!」
「願いのないお前が何故戦う?」
「俺は願いを求めて、その先に願いがあると思って・・・」
「お前は虚無だし、何も願わない。・・・お前はこれまで多くを失い過ぎた。失ったものは取り戻せないのが自然の摂理だ。ホエル、何が言いたいのか分かるか?お前はもうまともにはなれないってことさ。一生ジャンク品さ。願いを見つけて、それを叶える?お前には無理だよ」
「俺は・・・俺は・・」
「だがそれでいいんだ。願いなんてものは僕たちにとっては鎖や首輪にすぎない。ただ獣のように牙を剥き、爪を振るえ。敵を狩り、己を証明しろ。お前はもうあの頃のお前じゃない。それを示せる力がそこにあるだろ?僕たちは変わったんだ。狩られる側から狩る側となった。あの頃に戻りたくないなら・・・分かるだろ?」
クオンはホエルの肩をポンと叩き、耳元で囁く。
「やるんだホエル。兄ちゃんを信じろ」
「・・・ウォォォォォ!」
【ゴジュウウルフ!】
「ぬぅ!?」
「来たな!」
戦いたい相手が来たと喜ぶファイヤキャンドルに対して、ゴジュウウルフへと変身を遂げたホエルだったが・・・あろうことかアーイーではなくゴジュウティラノを斬りつけた。
「遠野!いきなり何をする!」
「そうだぞホエルっち。戦う相手が違うだろう!」
「間違っちゃいねえよ!俺たちはライバル同士!仲良くやろうとしてたのがおかしかったんだ!」
次々とゴジュウジャーの面々を攻撃していくゴジュウウルフ。それを見ているクオンはニヤリと歪んだ笑みを見せる。
「偉いよホエル。お前は正しい選択をしたんだ。それじゃ・・・エンゲージ」
指輪をテガジューンにセットして銃を装填する動作を3回にリロードする動作をしたクオンはそのトリガーを引くと狩人としての姿に、リングハンターガリュードへと変身してゴジュウジャーの面々の前に着地した。
【ガリュード】
「あんたはこの前の!」
「君がホエル君に何かを吹き込んだのかな?」
「僕は大事な弟をしがらみという鎖から解放しただけさ」
ホエルがガリュードの弟という事実に一同は驚きを隠せずにいると、ガリュードはその銃口をまずゴジュウレオンに向ける。
「リングハンター・ガリュード。お前たちに罰を下そう」
「「「ハァァァっ!」」」
それぞれ目の前のアーイーを撃破したゴジュウティラノたちはゴジュウレオンに加勢すると、フリーとなっているゴジュウウルフにファイヤキャンドルが攻撃を仕掛けてきた。
「会いたかったぜゴジュウウルフ!テガソードを出せ!今度こそぶっ倒してやる!」
「いいぜ。俺の前に立つ全員が、俺の獲物だ!」
「来い!キングキャンデラー!」
「来やがれテガソード!」
【アウェイキング!】
「人神一体!」
【テガソード!レッド!】
テガソード・レッドと一体になったホエルとキングキャンデラーに搭乗したファイヤキャンドルが戦闘を開始すると初撃を与えたのはテガソードの方だった。真っ先にキックの一撃を受けたキングキャンデラーは怯みこそしたものの即座に態勢を立て直す。
「今日は随分と荒れてるじゃねぇか!」
荒れているホエルの動きに慣れてきたファイヤキャンドルはテガソードの攻撃を紙一重で避け、テガソードの攻撃が全くと言っていいほど当たらなくなる。
「どうしたゴジュウウルフ!動きが単調過ぎるぞ!」
「ぐぁっ!?」
背後を取られたテガソードはキングキャンデラーの一太刀を受けて片膝をつく。するとキングキャンデラーはその手に持つ剣に炎を灯らせてゆっくりと距離を詰めてくる。
「炎心剣・灯!」
必殺の一太刀を振るい下ろそうとするキングキャンデラー。テガソードは、それに乗るホエルは臆してしまっているとキングキャンデラーはその剣を寸でのところで止める。
「なんでだよ?・・・違う!こんなものは俺の待ち望んでいた戦いじゃねぇ!今のお前はまるで熱くねぇ!空っぽの人形なんかに倒す価値はねぇ!」
怒りのままその場を去っていくキングキャンデラー。ホエルは見逃された事実を噛みしめながらも敗北を味合わされるのだった。
一方でガリュードと戦っている他のゴジュウジャーたちは4対1という状況にも関わらず押され気味となっていた。
「フンッ・・」
マントでゴジュウイーグルの視界を遮ったガリュードはそのまま数回殴りつけて、地面へと転がすとゴジュウティラノの体当たりを避けて銃撃を浴びせる。
「それじゃあそうだな。・・・格の違いを見せようか」
【ニンニンジャー!】
【アバレンジャー!】
2つのセンタイリングをセットしてテガジューンの引き金を引いたガリュード。すると彼はあろうことか暴れてアッパレ、手裏剣戦隊ニンニンジャーのアカニンジャーと元気莫大、爆竜戦隊アバレンジャーのアバレッドを呼び出した。
「なんじゃありゃ?」
「指輪の力かな?」
「厄介だが・・・」
「やるしかないわね」
アカニンジャーはガマガマ銃を、アバレッドはアバレイザーを手に銃撃を仕掛けてくると、4人はそれに怯まず前へと出ていく。対するアカニンジャーは接近してきたゴジュウティラノとゴジュウユニコーンの攻撃を後ろに跳ぶことで避けつつ、ガマガマ銃から放つ光線を鞭のように振るって攻撃してきた。
「ぬぅ!」
「何それ!?銃の動きじゃないでしょ!」
一方でゴジュウレオンとゴジュウイーグルと戦うアバレッドはアバレイザーを剣へと変形させて、それを恐竜のようなパワーで振るってくる。
「これまた随分な暴れん坊だね」
「元気に溢れすぎとる」
「いいねぇ。お前ら」
その戦いぶりをみていたガリュードはアカニンジャーとアバレッドに銃口を向ける。
「使ってやるよ」
ガリュードに撃ち抜かれたアカニンジャーは忍者一番刀へと変化し、アバレッドもティラノロッドへと変化する。
「まずはこっちだ」
忍者一番刀を手に取ったガリュードは赤い竜巻のような一閃でゴジュウイーグルとゴジュウユニコーンを吹き飛ばすと、それを投げ捨てて次はティラノロッドを手に取る。
「噛み付け」
ティラノロッドの戦隊が巨大化して大きな顎でゴジュウティラノに噛みつくと、そのままゴジュウレオン目掛けてゴジュウティラノを払い飛ばす。
「そろそろお開きにしようか」
テガジューンの刃を近くの柱に突き刺したガリュードはその銃口にエネルギーを収束させると、紫色の破壊光線を4人目掛けて放ってくる。4人はギリギリで直撃は避けたが、その場からガリュードはいなくなっていた。
「・・・・」
そこにテガソードを降りたホエルが戻ってくると4人はホエルを取り囲む。
「ではお望み通り、お相手しよう」
「まずは君のから指輪をいただくよ」
「何があったのかは知らないけど、戦うなら容赦しない!」
「悪く思うな。とは言わん。すまんな。ホエルっち」
各々が叶えたい願いのため、指輪を譲る気のない4人の覚悟を見せられたホエルは指輪を手に取る。
「俺には願いなんてない。今までも・・・そしてこれからも」
そう言ったホエルはあろうことか指輪を投げ捨ててしまう。
「俺、ゴジュウジャーやめるわ」
願いも夢もないホエルはゴジュウジャーであることをやめてその場を去っていくのだった。
次回「俺はゴジュウウルフ」