№1ユニバース 世界と指輪と願い事   作:エルモライト

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今回から第二章となります。


突き上げる拳 突きつける裁き
ニューワールドタイム


「やっべ、バイトに遅れちまう」

 

 バイトの時間が迫り、コンビニへと急いでいる青年の名前は『遠野ホエル』。夢無し職無し愛想なしの自称『取り柄のない人間』だ。

「ギリギリセーフ」

 

「セーフじゃないですよ。遠野さん」

 

 バイト仲間である上条当麻にアウトだと告げられたホエルは急いで準備をしてレジに立とうとすると、何やら中年の男がナイフを当麻に突き立てていたのが見えた。

「おら、この袋に金を入れろ!」

 

 コンビニ強盗だと理解したホエルは当麻を助けようと動こうとしたが、それよりも早くその男がやってきた。

「金が欲しいか?なら俺様から奪ってみろ」

 

 その男は札束を取り出すと自分から奪えと言い出す。

「金が惜しくねえのかよ」

 

「惜しくないな。だがお前程度のヤツには渡せないな」

 

 札束でナイフを白刃取りした男は強盗の脚を蹴って転倒させる。

「騒がせて悪かったな。ここのコンビニのものは俺様の奢りだ。お前ら好きなだけ持っていけ」

 

 そう言い残した男は札束を置いて立ち去ろうとすると、助けられた少女の1人が呼び止める。

「待って!せめてお名前だけでも!」

 

「熊手真白。人呼んでゴッドネス熊手。名乗るほどの名だ。覚えておくといい」

 

 熊手真白と名乗る男がコンビニを去っていくと白い何かはがホエルの前に飛んできた。

「な、なんだ?」

 

『オイラは悪魔の取り立て、ベアックマ!受け取るクマ!』

 

 ベアックマは口から請求書を出すとホエルに受け取らせる。そこには1千万と記載されていた。

「ハァ!?ざけんなよ!」

 

 ホエルは急いで真白を追いかける。

「待ちやがれ!」

 

「なんだ。2代目」

 

「2代目?何だそれ?そんな事より、勝手に助けたくせに金取るな!しかも俺だけに請求しやがって。しかも高過ぎんだろ」

 

「なら、サービスだ。お前も直してやろう」

 

 真白はホエルの額にデコピンをすると、ホエルは一度は滅びた世界を思い出す。

「思い・・・出した。アイツらは!」

 

 記憶を取り戻したホエルはテガソードの里へと急いで戻ってみると、そこには貧乏学生のような輝きの欠片もない陸王。さゆりとラブラブカップルで信者らしくない竜義。ヘルパーに介護されている頑固さを失った禽次。節約生活をするラグジュアリー要素のない角乃。そんな彼らをみてホエルは唖然としているとこの状況を理解しているであろう学園へと急ぐ。

「イテッ、なんだコレ?・・・ッ!」

 

 学園に入ろうとしたホエルだったが見えない壁のようなものに阻まれて入れなかった。そして背後に誰かの気配を感じたホエルは即座に振り返るとそこには金髪の神々しい男、本郷猛に鎧武と呼ばれていた男が立っていた。

「こいつはお前の仕業か?」

 

「世界のコードが書き換えられる直前に指輪の能力の凍結で学園の時間そのものを凍結した。今は世界改変の影響を受けてないが、解凍されるのも時間の問題だ。学園が改変の影響を受ける前にお前は破滅の王子、テガナグールを探して世界のコードを元に戻すんだ」

 

 ホエルにテガナグールを探すように告げた鎧武は少しずつ透明になって消えようとする。

「待て!お前はいったい?」

 

「葛葉紘汰。こことは違う世界の神様みたいなもんだ。破滅の王子の指輪はこの街の何処かにある。それさえあればきっと」

 

 葛葉紘汰と名乗った神は最後まで言い切る前に消えてしまう。ホエルは手がかりも少ないのにどうすればと頭を抱えているとポケットが赤く光っていた事に気付く。

「これはあの時にクオンに・・」

 

 世界が改変される直前にクオンに奪われたはずの指輪がそこにはあり、その事を疑問に思いつつもホエルはポケットからそれを取り出した。

『ようやく繋がる事ができた』

 

 すると人間サイズのテガソードがホエルの前に現れた。

『今の私は他の者には見えていない。遠野ホエル。そして他世界の神である葛葉紘汰の指輪のみが無事だったからだ』

 

「俺とさっきのヤツの指輪だけ?」

 

『何かがお前の指輪を守り、葛葉紘汰は自身の力で指輪を守ったのだろう。そして葛葉紘汰はさらに学園の者たちを守るため、今もその時を止めている。あの者から聞いているだろう。破滅の王子、テガナグールを探せと。今この世界のコードは不安定だ。早急に探さねばならない』

 

 

 

 一方その頃、ノーワンワールドではファイヤキャンドルたちが揃って慌てていた。

「どうしてこうなった!?」

 

「事態は深刻だね」

 

「人間世界は不安定で満ちていますからね」

 

「生成は失敗っことかしら?」

 

「ちょ、ハニー女王様の前で」

 

『早くあの子を、テガナグールを連れ戻せ。このままでは2つの世界のコードが崩壊してしまうやもしれん』

 

「そのためには何処かにいった王子の指輪を手にしなければ」

 

 クオンたちは王子の指輪を回収すべく人間世界へと向かった。

 

 

 

 

 王子の指輪を探していたホエルとテガソードだったが、昼休憩にとハンバーガーを買ったホエルは段差に座った。

「・・・食うか?」

 

『いや、いい』

 

 明らかに気が滅入ってるテガソードにホエルはハンバーガーを差し出すもテガソードは食べなくていいらしい。

「あの時、何が起こった?」

 

『あの時、確かに破滅の王子は生まれた。だが儀式には本来最低でも50のセンタイリングが必要なのだが、向こうにも数は揃っていなかった。だから王子は不完全に誕生して悪戯にコードが書き変わった。何もかもデタラメなのはそのせいだ』

 

「元に戻すにはどうすればいいんだ?」

 

『王子テガナグールのみ世界を元に戻せる。故に早急に探さねばならぬのだ』

 

 次の瞬間、街中で爆発音が鳴り響いたのでその場所に視線を向けると、そこには以前倒したはずのノーワンたちが人々を襲っている光景があった。

「あいつら、前に倒したことがある奴らだぞ」

 

『世界のコードが不安定になっているせいだ。故にあのノーワンたちに、人が入っていない』

 

「こっちは王子の指輪とやらを探さなくちゃならねぇってのに邪魔立てしやがって」

 

 面倒なタイミングで面倒なのが来たと愚痴を言うホエルはいざ変身しようとした矢先、ブーケがやってきた。

「お騒がせして申し訳ありません。しかし我々には速やかに探さねばならないものがあるのです」

 

「破滅の王子とかいうヤツの指輪か」

 

「はい。どうやらそちらも探していらっしゃるようですね」

 

「ふむ。探しものはこれか」

 

 いつの間にやらホエルの横に立っていた真白は自身の指輪を見せびらかしてくる。そこには探していた破滅の王子テガナグールの指輪があった。

「2つの世界を守るため、その指輪を・・・ッ!?」

 

 ブーケは指輪を渡して貰えるように話し合おうとしたものの、ベアックマが光線を放ちながら飛んできたため、話し合いが中断される。

「さて、久しぶりだなテガソード。相も変わらぬつまらない顔だ」

 

「知り合いか?」

 

『あぁ。奴は熊手真白。元、ウルフの指輪の契約者にして前回の指輪争奪戦チャンピオンだ。ユニバース大戦に参戦した私と熊手真白は滅びゆく世界を救うという願いを叶えた』

 

「俺様はこの世界を救った。お前は俺様のかわりでしかなかったってことだよ。2代目」

 

 代わりだから2代目だとホエルに告げた真白は右手に白いガントレット、グーデバーンを装備する。

「今のこの世界は真の救世主たる俺様のもの。それを誰かの勝手にされるのは面白くない。世直しだ」

 

 指輪を外した真白は変身のための言葉を叫ぶ。

「エンゲージ!」

 

 リングを装填し、左腕を回して小さくジャンプを4回、深呼吸し、円を描くようにターンをして顔の前でグーデバーンを叩くと、全身が氷に覆われる。アッパーの動作で氷を砕くとシロクマを思わせる戦士の姿に変身した。

【ゴジュウポーラー!】

 

 ボクシングガウンを彷彿とさせる白いコートを脱ぎ捨てたゴジュウポーラーは暴れているノーワンたちに挑みかかる。

「ハッ!」

 

 ノーワンたちの攻撃を巧みに回避したゴジュウポーラーはボクシングの動作でノーワンたちを殴りつけて怯ませる。

「2代目!話に聞いてるぞ!お前には夢も願いもないつまらねぇ奴なんだってな。安心しな。お前に代わって俺様が世直しをしてやる」

 

「テメェ!言わせておけば!」

 

 いい加減言われっぱなしは気に入らないと思ったホエルはノーワンに跳び蹴りを決め込む。

「2代目、2代目って。好き勝手言いやがって。エンゲージ!」

【グラップ!ユア!ハンズ!】

【ゴジュウウルフ!】

 

 ゴジュウウルフに変身したホエルは遠吠えをするとノーワンたちに斬り込む。

「やっと火がついたか」

 

 わざと煽っていたような反応をしたゴジュウポーラーはゴジュウウルフに殴りかかると、ゴジュウウルフはその拳を受け止める。

「思ってた以上に面白い奴だ。あんたもそう思うよな?葛葉紘汰!」

 

 ゴジュウポーラーがそう告げるとゴジュウウルフの背後に紘汰が現れた。

「そうだな。だがお前がその指輪を持っていたとは思わなかったぞ。熊手真白」

 

「お前ら、知り合いだったのかよ」

 

「前のゴジュウウルフ。少し前に熊手真白に会ったことがあったからな。とはいえ、そのまま勝者となって願いを叶えた世界がこの世界っっていうのは知らなかったぞ」

 

「俺様はほぼ神。この争奪戦も勝利してアンタと同じ本物の神になる。どうだ神様の先輩。俺様と指輪を賭けて世直し勝負しないか?」

 

「あまり気乗りしないが、仕方ない。受けてやるよ。エンゲージ!」

【センタイリング!】

【タイムレンジャー!】

 

 紘汰は時の未来戦士、未来戦隊タイムレンジャーの赤き戦士であるタイムレッドに変身する。

「レッツゴー!ナンバーワン!」

 

「神様、仏様、熊手様。神へと至る俺様はゴジュウポーラー!い名乗るほどの者の名だ」

 

「ひらり舞い散る時の華。その木に宿る禁断の果実。タイムレッド!ここからは俺のステージだ!」

 

「世直しナンバーワンバトル!Ready?Go!」

 

 かくして始まった神とほぼ神の世直しナンバーワンバトル。ゴジュウポーラーは連続パンチを浴びせてノーワンをダウンさせると、対するタイムレッドも2本の剣タイムベクターで連続斬りをしてノーワンにダメージを与えた。

「ベアックマ!」

 

『アクマクマ!』

 

 ベアックマを左手に握ったゴジュウポーラーはその口からビームを放ってノーワンを攻撃する。そのビームに撃ち抜かれたノーワンは撃たれた場所を押さえると、懐にゴジュウポーラーが飛び込んでくる。

「ハァ!!」

【フィニッシュナックル!!】

 

 ゴジュウポーラー渾身のパンチを受けたノーワンは氷が砕けるように爆破すると、タイムレッドとゴジュウウルフもノーワンを撃破して残るノーワンもあと1体となる。

「ん?」

 

 何らかの気配を感じたゴジュウポーラーとゴジュウウルフ、そしてタイムレッドがその場を振り向くと、公園の真ん中の円から白い巨神、テガナグールが現れた。

「テガナグール様!」

 

 ブーケがテガナグールの名を呼んだことでゴジュウウルフは目の前の存在が探していた相手だと理解する。

「俺がぶん殴って手懐けてやる」

 

『ボクは!ボクは!』

 

 テガナグールはビルだけでなく自分をも殴りつけて壊そうとする。

「グズってばかりのベイビーだな」

 

『ッ!』

 

 ゴジュウポーラーを視界に捉えたテガナグールはその拳を振り下ろすと、ゴジュウポーラーも自身の右拳を振るい、拳をぶつける。押されたゴジュウポーラーだったが踏ん張りを利かせて受け止めると、そのまま駆け上る。

「ありがたい俺様の声を聞け!!」

【フィニッシュナックル!!】

 

 テガナグールの顔を殴りつけたゴジュウポーラーはその精神世界に突入すると、そこは極寒の雪景色だった。その中心でテガナグールは氷の中に引きこもっていた事に真白は気づく。

「そんなところに引きこもってどうしたんだ?」

 

『ボクは分からない。破滅の王子として生み出されて、何が正しいかも何もかも分からない』

 

「ならまずは世界を知れ。喜び悲しみ色々なこと。俺様が教えてやる!」

 

 真白は氷を砕いて手を差し伸べる。

「俺様がお前の神になってやる!安心して外に出ろ!」

 

『貴方はいったい?』

 

「熊手真白。お前は?」

 

『テガナグール』

 

「センスがないな。グーでバーン。ふむ、今日からお前はグーデバーンだ」

 

『グーでバーン。グーデバーン!』

【アウェイキング!】

 

 グーデバーンの名を気に入った破滅の王子は精神世界で拳状態から今日の姿に変形する。

「リングイン!人神一体!」

 

『グーデバーン!』

 

「手懐けた・・のか?」

 

「女王様のもとに帰りましょうテガナグール様」

 

 グーデバーンと一体になった真白に驚くゴジュウウルフ。その横に立ったブーケはグーデバーンに帰るよう告げる。

『その名は捨てる。ボクは今からグーデバーンだ!ボクはこれから熊手さんといる!』

 

「そうは行かないぜ王子。力づくでも連れて帰るぜ」

 

 キングキャンデラーに乗ってグーデバーンの前に現れたファイヤキャンドル。一方でゴジュウウルフはノーワンとアーイーに取り囲まれると、グーデバーンは地面に拳を叩きつけて世界のコードを元に戻した。

「助けが必要かな?」

 

 声とともに感じたニオイに反応したゴジュウウルフ。するとアーイーたちはいきなり参戦してきたゴジュウレオンたちに切り伏せられた。

「トドメだ!」

【ウルフ!デカリバーフィニッシュ!!】

【レオン!ガトリングバースト!!】

【ティラノ!ハンマークラッシュ!!】

【イーグル!アローシュート!!】

【ユニコーン!ドリルアタック!!】

 

 全員がノーワンを仕留めようと偶然にも必殺のタイミングが重なると、ノーワンは全員の必殺技が命中して爆発した。

「グーデバーン!俺とお前の力、見せてやろう」

 

「ボクシングか。ファイヤ!」

 ボクシングの構えを取るグーデバーンにキングキャンデラーも剣を捨てて拳で語り合おうとボクシングの構えをした。

「ハッ!」

 

「シッ!」

 

 氷と炎。相反する拳をぶつけ合うグーデバーンとキングキャンデラーの戦いは、炎が凍りつく形でキングキャンデラーが押し負けた。

「お、俺の炎が凍るだと!?」

 

「グーデバーン。戦いの極意を1つ教えておこう。たとえ戦いは熱くとも、頭はクールにいくんだ」

 

『はい。熊手さん!』

 

「よし、決めるぞ」 

 

 拳モードに変形したグーデバーンはそのままキングキャンデラーへと突撃していく。

「俺様鉄拳!ブリザードクラッシャー!!」

【ポーラー!グーデフィニッシュ!!】

 

「熊手真白!WIN!」

 

 回転する拳に砕かれたキングキャンデラー。それとともに世直しの勝者が確定する。

「負けは負けだ。俺の指輪はお前にやるよ」

 

 戦いが終わると紘汰はタイムレンジャーのセンタイリングを真白へて渡す。

「結局お前も争奪戦をするってことか」

 

「争奪戦。するにはするが、こんな指輪を集めても意味はない」

 

「あんたにも願いはないと?」

 

 角乃はホエルと同じく願いはないのかと尋ねると、真白は願いを語る。

「願いはある。だが俺様はもうテガソードには頼らない」

 

 そう告げた真白はタイムレンジャーのセンタイリングを水色のものへと変化させた。

「テガソードを越え、俺様が新たな神となる。それが俺様の願いだ!!」

 




次回「銀河に轟くこの神の拳」
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