『神狩りの集団。些か厄介だ』
テガジューンは先日現れたクラリス率いる神狩りの集団に強い警戒心を抱いていた。
「キャッキャッキャッ!そんな奴ら倒して指輪を奪えばいいだけじゃんか!」
「事はそう単純ではないですファイヤキャンドルさん。神狩りの力は指輪の能力由来のものではなく本人の技量。ノーワンワールドにいる女王様はともかく、今後の計画のためにテガソードと王子に万が一の事があれば・・」
『ガリュード』
ブーケは今後の計画のためにもテガソードやグーデバーンに何かあればと心配すると、テガジューンはクオンを呼び出す。
「お呼びですか女王様」
『多少力づくでも良い。テガナグールを早急に連れ戻せ。状況次第では我も呼んで構わん』
場合によっては自分も出撃するというテガジューンに周りが驚きながらもクオンは頷き了承する。
「まだ6月の余波が残る季節。それとこれまで集めた指輪があれば」
何かを企てるクオンは早速人間世界に向かうのだった。
うずめがテガソードの里で匿われるようになってから2週間が過ぎた。その間、クラリスたちの襲撃はなかったこともあり、一時の平和を満喫していたゴジュウジャー。そんな中ホエルはいつもより早起きしてまだ日が昇りきらない時間帯から出かけようとしていた。
「何処に出かけようとしているんだホエルっち。む、いや分かったぞ。皆まで言わないでいい」
禽二郎はホエルが虫取り網とカゴを持って出かけようとしていた事に気付き、すぐに昆虫採取に出かけようとしている事を察した。
「カブトムシとかクワガタはそれなりの値段で売れんだよ」
「面白そうだ!僕も行こうじゃないか!昆虫採取なんて何十年ぶりだろうか!」
意気揚々と付いてくると言い出した禽二郎に勝手にするよう伝えると、仕込みのために早起きしてきた竜義と出くわす。
「お二人は・・なるほど。しばしお待ちを」
持ち物を見て察した竜義はおにぎりと水筒を2人に持たせる。
「簡単ですが朝食です。熱中症にはお気をつけて」
「サンキュー」
「では行って来る!」
今度こそホエルと禽二郎は昆虫採取に出かけていく。
「しかしホエルっち。何処か当てはあるのか?」
「ねぇな。手当たり次第だ」
「ふむ。なら儂が所有してる山を案内しよう」
【テガソード!グリーン!】
禽二郎は自分が所有してる山にホエルとテガソードに乗って向かうと、早速オオクワガタを捕まえた。
「幸先がいいぜ。ここを案内してくれてありがとな」
「気にするな。こっちも若返って初めての虫取りで楽しいからな」
お金のためとはいえ、なんだかんだ楽しみつつ捕まえ続け、カゴいっぱいになったところで2人は朝食休憩をする。
「そういやここは東京から結構飛んできたが、何処なんだ?」
「四国の真ん中ぐらいの場所だ。ちなみに今は親戚に管理を任せているが電報で身内が山に入ると許可は取ってるから問題ないぞ」
「それなら安心して採取の続きができるな」
「まったく、素人だなホエルっち。カブトムシやクワガタの採取は時間帯が大事。ピークの時間帯は過ぎたぞ」
「そうなのか?」
「本来なら夜中に蜜を木に塗ったりして集まる場所を用意するものなんだ」
「まぁそんぐらいは知ってたから早めに出てきたが、ピークの時間はそんなに長くないんだな」
「昆虫も生き物だからな。カゴもいっぱいだし、これを食べ終えたら仕込み用の蜜を買って明日の用意をしてから帰るとしよう」
朝食を食べ終えたホエルと禽二郎は山を降りて少し田舎ともいえる町で蜂蜜を買いに店へと入ると、そこには偶然にも真白の姿があった。
「なんでお前がここにいるんだよ?」
「この店にはこの地域限定の蜂蜜が売っていると聞いたからな。その味を確かめに来た。お前たちは、ふむ」
カゴいっぱいのカブトムシとクワガタを見て察した真白は少し先の蜂蜜を指差す。
「この地域の蜂蜜はそれこそ自然の味ってのを大事にしていて高温処理がされていないから、昆虫たちも好んで食すはずだが、あの蜂蜜のほうがこの地域の昆虫たちも好むはずだ」
「なんだ?また情報料でも請求する気か?」
「請求してやってもいいが、2代目は貧乏で金を回収できる気がしないからな。今回は事前投資って事にしておくぞ」
「後で金を取る気かよ」
ホエルが真白に物申していると、小学生低学年ほどのツインテールの少女が中高生ほどの少女と昆虫の餌用ゼリーを買いに店に入ってくる。
「ほたるん。ここはうちの住んでた場所よりいっぱいものが売ってるのん」
「まぁこの規模の店はあの村にはなかったからね。あっ、これだね」
少女たちは目的の商品を手に取りレジに向かおうとすると、今回は彼女たちのどちらかを狙いノーワンが囁く。
「虫取り、楽しいよな」
「たのしいのん!」
「いっぱい捕まえようぜ!」
ツインテールの少女を取り込み、カブトムシのようなノーワンが現界した。
「オイラこそノーワンワールド虫取りナンバーワンノーワン!さぁ、オイラと虫取り勝負だ!」
「虫取り勝負か。いいぜ。相手になってやるよ」
虫取りナンバーワンを語るノーワンはゴジュウジャーに虫取り勝負を申し込むと、ホエルはそれを承諾した。
「虫取りナンバーワンバトル!Ready?GO!」
こうして始まった虫取り勝負対決。ルールは単純でより良いカブトムシをより多く捕まえた方が勝ちだ。
「仕込みをしてない互いに対等な条件。負ける理由はないなホエルっち」
「あぁ。勝ちにいくぜ」
ホエルたちは一匹一匹確実に捕まえていくと、ノーワンは予想打にしない行動を取った。
「秘技!蜜ぶち撒け!」
持っていた蜜を周囲に巻き散らかしたノーワン。するとそのニオイを嗅ぎつけた昆虫たちがノーワンのもとに集まり出した。
「贅沢な蜜の使い方だな。まるでコイツみたいだ」
「おい2代目、褒めても金はやらんぞ」
「別に褒めてねぇよ」
集まった昆虫を手当たり次第に捕まるノーワン。そんなやり方をされたホエルたちはこのままではと危機感を覚える。
「このままじゃマズいな」
「いや、まだ勝てる手段はある!ホエルっち。初めて現われたノーワンに対して行った奥の手をやってやれ!」
「誰から聞いたかは知らねぇが、なるほどアレか。エンゲージ!」
【クラップ!ユア!ハンズ!】
【ゴジュウウルフ!】
「ワオォォォォォォォォン!」
ゴジュウウルフに変身したホエルは大きく遠吠えをすると、それに反応した虫たちが地面にポトポトと気を失って落下する。
「取り放題だぜ」
耳の部分を押さえているノーワンの隙を突いてゴジュウウルフは地面のカブトムシやクワガタを拾い集める。すると木々の奥から白髪に黒い服の男がやってきた。
「ったく。人が気持ちよく寝てる時に五月蝿いのなんの」
「人の土地に勝手に寝てた様子の君は何者だ?」
「俺はアロウン。この山はお前の土地だったか。それはすまなかったな」
木々の奥から来たアロウンと名乗った男は剣を抜刀する動作で銀のテガソードを握る。
「迷惑料代わりに、そこのは俺が相手をしてやるよ。エンゲージ!」
【センタイリング!】
【キングオージャー!】
アロウンは赤いクワガタ戦士、王様戦隊キングオージャーの赤き戦士であるクワガタオージャーに変身した。
「さぁ魔王様の凱旋だ」
クワガタオージャーはオージャカリバーを手にノーワンへと向かっていく。
「フンッ」
重く鋭い一振りがノーワンに振るわれる。
「グゥ、ならばコレでどうだ!ツノアタック!」
ノーワンは御自慢のツノでクワガタオージャーに突進していくと、オージャカリバーから銀のテガソードに手持ちを変えたクワガタオージャーは城壁のようなバリアを展開した。
「アヴァロンの防壁だ。その程度の攻撃で俺の城は攻略できんぞ」
指輪の能力『絶対城壁(アヴァロン)』で攻撃を防いだクワガタオージャーはノーワンを蹴り飛ばすとゴジュウウルフの方を振り向く。
「おいそこの赤狼、こいつから人の気配も感じるが、どうしたほうがいい?」
「なんだお前、知らないのか?仕方ねぇ、どいてろ」
【フィニッシュフィンガー!ウルフ!!】
手本を見せてやるとトドメを頂いたゴジュウウルフは必殺の一撃とともにツインテールの少女を助け出すと、ノーワンが爆発した。
「ゴジュウウルフ!WIN!」
「なるほど。テガソードには取り込まれた人間を救う力もあったのか」
ノーワンと戦うは初めてな事もあり、テガソードの能力を初めて知った様子のクワガタオージャーだったが、誰より早く次の存在に気付き反応した。
「おい、デカいのが来るぞ」
クワガタオージャーの言う通りアイアイザーが出撃してくると、それを駆る金アーイーが名乗りを上げる。
「我こそ王道を往く騎士、グ・オー!お前たち、俺の王道の礎となれ」
「ここは僕の土地。僕が相手をしよう」
【アウェイキング!】
【射抜け!最速!グリーン!】【射抜け!最速!グリーン!】
【テガソード!グリーン!】
テガソード・グリーンと一体化した禽二郎はアイアイザーと向かい立つ。するとアイアイザーは身の丈ほどの鉄の塊のような大剣を構える。
「行くぞ!」
「来い!」
テガソードは上空に飛び上がり右足の矢を連射するも、その攻撃に対してアイアイザーは大剣に身を隠すことで防いだ。
「あの大剣、少し面倒だな」
「あの剣をどかせられればいいんだな?」
クワガタオージャーは再び絶対城壁を発動すると、バリアの城壁が大剣を押し上げるように弾いて、アイアイザーの懐がガラ空きになった。
「キューピットアロー!」
【イーグル!アローシュート!!】
テガソードの放った無数の矢による攻撃。その攻撃をアイアイザーは脇差の剣を引き抜き、そのほとんどを捌ききり、最小限のダメージで凌いだ。
「右腕に剣を!左腕には大剣を!」
右手に剣を握るまま、左手で大剣を手にしたアイアイザーは激しく横に回転して突風を巻き起こす。その風に揺らいだテガソードが地面に落下すると、アイアイザーはそのチャンスを逃さんと言わんばかりに2本の剣で斬りかかる。
「リングイン!」
【アウェイキング!】
「やれやれ。手助け料金は請求するぞ。人神一体」
【グーデバーン!】
横槍ならぬ横拳で参戦してきた真白はグーデバーンの右拳をアイアイザーに叩き込む。それに怯まされたアイアイザーは後退するとテガソードはグリーンからデカクロウへと変わった。
「こら!いきなり代わるなホエルっち!」
「こっからは俺が相手だ!」
テガソードは左腕の巨大な爪をアイアイザーに叩きつけようとするものの、大剣に防がれた。
「どんな攻撃でもこの剣には通用しない!」
「それはどうかな?俺様正拳、ダイヤモンドダスト!」
【ポーラー!グーデフィニッシュ!!】
グーデバーンは正面に氷の塊を作り出すと正拳突きで氷を砕き、氷の破片をアイアイザーへと飛ばす。その破片はアイアイザーを凍らせて動けなくした。
「2代目。トドメはくれてやる」
「テガソード!紅狼パニッシャー!」
【ウルフ!デカリバーフィニッシュ!!】
「ぐおぉ~!?我が王道がァァ!?」
テガソードの爪に貫かれたアイアイザーが爆発すると、禽二郎の山の隣の山にクオンがやってきた。
「さぁ、出番ですよ女王」
【アウェイキング】
【クイーン テガジューン】
降臨したテガジューンと人神一体したクオン。それに対してテガソードとグーデバーンが身構える。
「さぁ、この間の結婚式の続きだ。家族水入らずを楽しもうねホエルぅ」
『熊手さん。なんだが母さんの中にいる人、恐いよ』
「アイツが気持ち悪いのは分かるが、臆するなグーデバーン。ハートで負けたら、それは負けを認めると同義だ」
「とはいえこのままテガソードとテガナグールを相手に立ち回るのはいくら女王とはいえ難しい。そう、このままではね」
そう言ったクオンはこれまで集めた指輪の中からアバレンジャーの指輪を手に取るとダークウルフデカリバーを掲げる。
「コンバイン」
【アバレンジャー】
まるで幽霊のようにテガジューンの背後に現れたのは爆竜の暴王、アバレンオー。アバレンオーはテガジューンに憑依するかのように重なるとテガジューンの右腕にアバレンオーの赤いドリルの右腕が装着された。
「もう1ついこうか。コンバイン」
【メガレンジャー】
さらに宇宙対応のボイジャーロボ、メガボイジャーの左腕までテガジューンに装着され、ただでさえ強力なテガジューンはさらに強くなってテガソードとグーデバーンと対峙したのだった。
次回「2人の超力ホワイトバーン」