「俺がこの世界最初の!黄金騎士牙狼だァ!!」
黄金騎士牙狼となったファイヤキャンドルは意気揚々と名乗りを上げる。そしてさっそくゴジュウウルフたちと戦おうと剣を構えようとふるも、ガリュードに止められた。
「面倒な儀式までやってあげて完成させた鎧だ。いきなり無茶な使い方をして壊されては困るね」
「なんで壊す前提の話をしてやがる!」
「まぁファイヤキャンドル君だからねぇ」
「そこ!納得してんじゃねぇ!」
ファイヤキャンドルの事だから無茶な使い方をしそうだと口を揃えて言うブライダンサイド。だがファイヤキャンドルも一応は納得したようで今回は引き下がり、ブライダンはノーワンワールドへと帰り出す。
「ゴジュウウルフ。近々最高の決戦の舞台を用意してやるから覚悟しとけ」
そう言い残して牙狼もノーワンワールドへと帰っていき、結果的にはブライダンの計画が成功したという事実のまま今回の戦闘は終わったのだった。
ノーワンワールド。帰還したファイヤキャンドルは新しい力である剣を嬉しそうに広間で振り回していた。
「ヒャア!?危ないじゃない!」
「コラ。ファイヤキャンドル君。嬉しいのは分かるが、刃物を乱雑に振り回すのはいただけないね」
「わ、悪い悪い。だけどこの力、早く試してみたいぜ」
『牙狼の力はホラーと呼ばれる魔戒の存在を討滅するためにある。だがホラーのいないこの世界でその力が何のために存在するのか』
ザルバは牙狼の力がこの世界に何故に存在するのか、その理由を考える。
「そんなの女王が作ったからに決まってんだろ」
しかしファイヤキャンドルはその存在理由に疑問すら抱かない。
『すべてのモノには存在理由が必ずある。それを考えようとしないとは純粋なのか能天気なのか』
ザルバは考えなしのファイヤキャンドルに溜息をつく。するとテガジューンがその顔を見せた。
『ガリュード、そしてファイヤキャンドルよ。よくぞその剣に秘められし力を解放させる儀式を成功させた。我は以前、厄災の欠片を利用し、それを制御化に置く実験をしたが、厄災は我の力を持ってしても制御不能と理解した。そして厄災の残党はまだ世界の何処かに潜んでいる。牙狼の力は厄災との闘いに備えたものでもあるのだ。精進するのだぞファイヤキャンドル』
テガジューンは牙狼の力を再現した本当の理由を告げるとファイヤキャンドルは頼られてると考え、先ほどより激しく剣を振り回すのだった。
「ファイヤキャンドルの野郎、なんだか知らねぇが金ピカの鎧を手に入れたぐらいで粋がりやがって」
「あの鎧、エンゲージもなしで変身していたけど、何なんだろうね」
テガソードの里に戻ってきたホエルたちは牙狼の鎧を手に入れたファイヤキャンドルの事を話していると、宿題をしていた最中の葵に憑依したテガソードが会話に入ってきた。
『あの鎧は黄金騎士牙狼の鎧。厄災によって失われた世界に存在していた力だ。闇の因果を祓う魔戒騎士の中でも最強の称号を持つ黄金騎士牙狼は無数の世界にその存在は確認されてはいたが、よもやこの世界にも誕生する事になるとは』
テガソードすらこの世界に牙狼が誕生した事に驚きを隠せないようだ。
『だがファイヤキャンドルが牙狼となった以上、魔戒騎士の誓約により力を持たない人間を傷つけることは出来なくなる。その点は安心してよいはずだ』
「まあ、俺たち指輪の戦士が狙われる事に変わりはないけどな」
「あれ?なんかちょっと寝てたのかな?」
真白は自分たちが狙われる事に変わりはないことを告げるとテガソードは葵との憑依を解いて、いつもの葵に戻る。
「どうする?とりあえず次に現われたファイヤキャンドルからあの剣をぶん取るか?」
「いや、逆にあの剣を持たせていた方が誓約により人への危害は最小になるだろう」
下手に牙狼の力を取り上げるよりも、持たせていた方が誓約により動きが制限されると考えた竜義はひとまず現状維持で様子を見ようとする。
「随分と甘いものだな」
聞き覚えのある声に反応して店の扉へと視線を向けたゴジュウジャー。すると店の中にクラリスが入ってきた。
「なんだ?ほぼ神である俺様やそっちの女神を狙ってきたのか?」
ゴジュウジャーやうずめたちはいつ戦闘になってしまうのかと身構えると、クラリスはテーブル席に付いてメニューを眺める。
「そうだな。とりあえず珈琲を1つ」
「・・・承りました」
警戒しながらも珈琲を淹れる竜義。するとクラリスの向かいに真白が座る。
「さぁ、目的を話して貰おうか」
「私の目的は変わらん。神を殺す。それだけだ。この場に複数の神がいるとはいえ多勢に無勢、なおかつ無関係な一般人もいる場所で戦うなどする気はない」
一般人の葵をチラリと見たクラリスはこの場での戦闘の意思はないようでゴジュウジャーは警戒はしながらも戦闘体勢は解いた。
「なら何でここに来た?」
「宣戦布告だ。3日後、まずはそこの女神と神の気配のするそちらの魔王とやらを狩りに来る。ここを戦いの場にしたくはないのなら、広い戦いに向いた場所を選ぶといい」
珈琲を飲み終えたクラリスは席を立って、テガソードの里を後にしていく。
「よもや天王星とアロウン殿を倒すと宣戦布告してくるとは」
「売られたケンカは買うだけだ」
ホエルは売られた戦いを買う気でいると、クラリスと入れ違いで黎斗が店へとやってくる。
「こうして顔を見合わせるのは初めてなので、まずは自己紹介をしようか。私の名は檀黎斗。新たな世界の神となる男だ」
「ほう。ほぼ神の俺様を差し置いて神を名乗るか」
黎斗は新たな世界の神になると宣言するとほぼ神を自称している真白が反応する。
「それで?俺様を差し置いて神を名乗るお前さんがここに何の用だ?お前たちのリーダーはさっき3日後にと宣戦布告して帰ったぞ」
「ふむ。ここでは狭いので場所を変えるか」
場所を変える事を提案した黎斗は広い廃工場へと移動する。
「さて、改めて要件を聞こうか」
「3日後なんぞ待っていられるかァ!!まずは同じく白い姿になり、自称神の貴様から指輪を奪おうではないか!エンゲージ!!」
【センタイリング!】
【ショクニンジャー!】
黎斗はショクニンジャーの指輪を銀のテガソードにセットしてセイセイハクへと変身をした。
「ほう、この神をご指名か。いいだろう。相手をしてやる」
【ゴジュウポーラー!】
「これが神の恵みだァ!職忍技!採寸斬り!」
ショクニンジャーの共通武器である職NINガジェットを剣モードにして採寸通りピッタリの斬撃を繰り出してくる。その攻撃をゴジュウポーラーへと変身した真白はガードして、即座に反撃の拳を振るう。
「お前が神?お前と一緒にするな!」
セイセイハクの変身している人物である黎斗の事をゴジュウポーラーはあまり知らないが、何故か一緒にされたくはないと思ったゴジュウポーラーはそう叫ぶ。するとセイセイハクは一度ゴジュウポーラーと距離を取るとブンブンジャーの指輪を取り出す。
「中々やるな。ならばブゥンブゥンジャーの指輪の能力で強化させてもらおう」
【ブンブンジャー!フィニッシュ!!】
ブンブンジャーの指輪の能力で身体能力をブーストしたセイセイハクは先ほどよりも速く、重い攻撃をゴジュウポーラーへと振るう。
「ぐっ!?」
対応こそできたが後ろに下がらされたゴジュウポーラー。見兼ねたホエルたちは加勢に入ろうとすると、そこに1人の男が歩いてくる。
「キャッキャッキャ!やってるなぁ!」
ファイヤキャンドルだ。
「まだゴジュウウルフとの舞台は準備しきれてねぇが、その前に厄介な神狩り連中を倒すのはアリだな。おい、ザルバ!これは契約違反じゃねぇよな?」
『あぁ。お前たちのいう指輪の戦士から指輪を奪う為の戦いならば問題ない。だが殺しは無しだぞ?』
「あぁ!」
黄金の鎧を身に纏い、牙狼となったファイヤキャンドルは剣を肩に担ぎながらセイセイハクへと歩いていく。
「ヴェハハハ!貴様は指輪の戦士ではないようだが、邪魔する者は排除させてもらうぞォ゙!!」
セイセイハクは牙狼にバッドステータスを与えようと指輪の能力である腐食を発動して触れようとしてくると、牙狼はそれをジャンプして回避して、空中で一回転しながら斬りつけた。
「なんの!!私は不滅だァ!!」
ダメージを受けながらも即座に体勢を立て直すセイセイハクはマスクマンの指輪を取り出す。
【マスクマン!フィニッシュ!!】
「ヴェハハハ!オーラパワーだァ!!」
マスクマンのオーラパワーを放ったセイセイハク。そのオーラを受けた牙狼は指輪の能力で石化し始める。
「効かねぇなァ!!」
全身から黄金の輝きを放ったはその光で悪しきを浄化して石化を解除した。
「私の願い、すべての神を討ち滅ぼして私が唯一神となるための糧となれ!!」
【ショクニンジャー!フィニッシュ!!】
「その因果!俺が断ち斬る!!」
同時に駆け出した牙狼とセイセイハクは同時に互いへと刃を振るう。牙狼が脇腹を斬られて片膝をつくと、セイセイハクは振り返り笑い出した。
「ヴェハハハッ!!神の才能の前にひれ伏したか!これで・・・」
「あぁ。勝負は決したぜ」
「えっ?」
爆発したセイセイハクは変身が解除されて3つの指輪が牙狼の足元に転がる。
「牙狼WIN!」
戦いは牙狼の勝利で決着がついた。1回につき99秒しか鎧を身に纏えないという誓約もある牙狼の鎧を解除したファイヤキャンドルは3つの指輪を回収すると、ホエルたちの方に視線を向けた。
「ゴジュウウルフ。お前と戦うに相応しい場所の用意はまだ出来てないからお前と戦うのはまた今度だが、そっちの連中からは指輪を奪っておくか」
ファイヤキャンドルはアロウンとうずめに視線を向け直すと、そこにクラリスの仲間の1人である顔を隠したままの人物がやってきた。
「あちゃー。黎斗っち、負けちゃったんだね。勝手な行動をした上に負けるなんていっけないんだ〜。にしても、やっぱりこの黒マント、熱いしダサいからもう脱いじゃお!」
独断専行をした上で負けた黎斗をその人物は身を隠していたマントを脱ぎ捨てる。ギャルのような格好をしていた少女に角乃は知っている人物の面影を感じた。
「オトでーす!みんな、ヨロ!」
「オト?アナタ、織戸なの?」
苗字こそ名乗らなかったが角乃はその人物が行方不明の妹なのかもしれないと恐る恐る近づく。
「一河織戸。アナタは・・・」
「お姉ちゃん。その名前はもう捨てたの」
「え?」
一河織戸であった事を認めた上で、一河織戸の名は捨てたと発言した少女はもう一度名乗る。
「アタシはオト!そんでもって、エンゲージ!」
【センタイリング!】
【デバイスV】
オトはスマホモデルの戦士、通信戦隊デバイスVの赤い戦士であるスマホRⅠへと変身した。
「ユニバース戦士、スマホRⅠだよ!」
ユニバース戦士のスマホRⅠ気を失い倒れている黎斗を担ぎ上げる。
「独断専行した黎斗っちには姫ちゃんからキッツ〜いおしおきを与えて貰わないとね」
「待って織戸!アナタ、いったい今まで何処にいたの!!ずっと、ずっと探してたんだよ!」
スマホRⅠを呼び止めた角乃は長い間探していた事を告げると、彼女は仮面の中で少し笑いながら振り向く。
「探しててくれてありがとうお姉ちゃん。だけどもうアタシは一河織戸の名前を捨てたの。攫われたあの日、気がついたらアタシは別のユニバースにいた。1年前までアタシを仲間として、家族として大切にしてくれていたみんなと生きていた。なのにあの『破壊の神』はアタシから仲間を、家族を奪った。だからアタシは神を討つ姫ちゃんに付いていく事を決めたの」
「だったら私も!」
「お姉ちゃんって呼ぶのは次で最後。お姉ちゃんはこっちの、復讐の道に来ないで。『私』の理想の『カッコいいお姉ちゃん』でいてね」
姉である角乃と道を違えたオトことスマホRⅠ。角乃はならばと拳をギュッと握って言い返す。
「なら私は『カッコいいお姉ちゃん』でいるために、織戸を家族として引き戻す!それが私のこれからの願いよ!」
これからの願いを告げた角乃の言葉に何も答えなかったスマホRⅠは黎斗を担いだまま何処かへと去っていくと、空気を読んでいたのか黙っていたファイヤキャンドルが再び喋り出す。
「お前らの関係に興味はないし、気にもしねぇが決意を決めて戦うってのは悪くねぇ。だからこそ俺も決めたぜ!3日後だ!3日後に俺達が戦うに相応しい場所を用意する。そこで勝負だ!ゴジュウウルフ!」
3日後に相応しい場所で戦おうと告げたファイヤキャンドルはノーワンワールドへと帰っていく。
「おい、ちょっと待て!3日後って・・・日にち被ってんだよ」
こうして見事にクラリス率いる神狩りとファイヤキャンドルとの闘いの日取りがブッキングしてしまうのだった。
次回「化けて来たるは狐の怪」