ウソとテストと青春ロード
「テガソード様」
破壊神テガギーシュとの戦いから2週間が経過した。とはいえ今なお竜義はテガギーシュによってテガソードが命を奪われかけてしまった事を深く気にしていた。
「神であるテガソード様とてお亡くなりになる時はある。やはり完全な存在となってもらうためには指輪を50個集めなければ」
テガソードを完全な存在とするべく自分のその願いにウソをつけない竜義は人知れずセンタイリングを集めることを急ぐ事を決意していたのだった。
竜義が決意を固めた翌日、まずは学園関係者の持つ指輪よりもブライダンの持つ指輪を優先することを約束すべくホエルたちは学園長室にいる本郷猛のもとへと向かおうとしていた。
「なんか今日はやたら静かだな」
「見た感じみんなテスト中っぽいね」
「そういや禽爺は高校のテストは大丈夫なの?」
「若い頃と内容が違うから学ぶ事も多いからそこそこの点数って感じっこだな。特に英語がやや苦手だ」
「おい、お坊ちゃん。いつもみたくこいつらに静かにするよう注意しないのか?」
「テガソード様のために・・・」
思い悩むように深刻な表情をしている竜義を見逃さなかった真白は一言物申そうとすると何やら教室の一箇所が騒がしい事に気づいた。
「ノーワンのニオイだ!」
ホエルもノーワンのニオイに気づいたので騒ぎの起きている教室へと急ぐと、そこにはタヌキの要素が混ざった教育者のノーワンが教壇に立っていた。
「ワタクシこそノーワンワールド、テストナンバーワンノーワン!この学園の外に出るにはワタクシを倒すしかないザマス!」
「だったら手っ取り早く速攻でぶっ倒してやるよ!」
「「「「「「エンゲージ!」」」」」」
【ゴジュウウルフ!】
【ゴジュウレオン!】
【ゴジュウティラノ!】
【ゴジュウイーグル!】
【ゴジュウユニコーン!】
【ゴジュウポーラー!】
変身したゴジュウジャーの面々はノーワンを倒そうと攻撃を仕掛ける。しかしどういうワケか攻撃がヒットするたびに『0』という表示が出てきて、実際にノーワンはまるでダメージがなかった。
「どういう事だ?まるでこちらの攻撃が通用してないぞ?」
「当然ザマス!この学園は既にワタクシのフィールド。この空間でワタクシにダメージを与えるにはテストを受けるしかないザマス!」
「そうだよゴジュウジャー。この空間だとテストの点数がアイツへのダメージポイントになるんだ。僕の最高得点じゃ大したダメージにならなくて、アイツを倒せなかったし」
「誰だお前?」
割って入ってきた明久にゴジュウウルフが反応すると、明久は指輪を見せながら自己紹介をする。
「僕は吉井明久。ターボレンジャーの指輪でレッドターボのユニバース戦士なんだ」
「ちなみにキミの最高得点を聞いてもいいかな?」
「・・・22点」
「ご、ごめんね」
そんな点数では確かにノーワンは倒せないと思ってしまったゴジュウレオンはすぐに謝ると、ならばと言わんばかりにゴジュウジャーは変身を解除した。
「仕方ない。ならば我々もテストを受けるしかあるまい」
「テストナンバーワンバトル!Ready?Go!」
こうして始まったテストナンバーワンバトル。一同は教室で席に座りテストに解答を書き始める。
問 海水に含まれる主な成分は水と何でしょう。
ホエルの答え 塩
陸王の答え 塩
竜義の答え 塩化ナトリウム
禽二郎の答え 塩
角乃の答え 塩
真白の答え 塩
明久の答え 酸化ナトリウム
問 火傷をした時の正しい処置を答えなさい。
ホエルの答え 水で冷やせ
竜義の答え 濡らしたタオルで冷やす
真白の答え 手切れ金を払う
明久の答え 心頭滅却すれば火も大丈夫
問 味噌に足りない栄養素を補うため、味噌汁に入れると良い具材の例を答えなさい。
ホエル ネギ
真白 ハチミツ
明久の答え ネギ
問 日本で最初に建てられた大学を答えなさい。
ホエルの答え 東京の大学
竜義 東京大学
明久の答え すぐそこの大学
問 隊を組んでキチンと並ぶ列を何という。
陸王の答え 待機列
竜義 隊列
明久の答え ピクミン
問 イタリア語で「おはようございます」を答えなさい。
竜義 ボンジョルノ
角乃の答え ジョルノ・ジョバァーナ
明久の答え ジョットガン・ジョラゴン
「それでは答案用紙を回収します」
答案用紙を回収したノーワンはさっそく採点をするとものの数分で彼らの採点を終了して答案用紙を返却する。
遠野ホエル 55点
百夜陸王 78点
暴神竜義 100点
禽二郎 80点
一河角乃 78点
熊手真白 95点
吉井明久 24点
「お前たち、時折答案をふざけてないか?」
唯一100点を取った竜義は他のメンバーの答案用紙を見てふざけなかったかを尋ねると明久以外は少し目が泳いでいた。
「そんなことよりさ、テストも終わらせたし、ノーワンを倒さないと!」
「そ、そうね!」
話をはぐらかした陸王たちは再びエンゲージしてゴジュウジャーへと変身すると明久も銀のテガソードを手に握る。
「僕も!エンゲージ!」
【ターボレンジャー!】
レッドターボに変身した明久もゴジュウジャーに並び立つと彼らは各々の武器を手にノーワンを攻撃する。その攻撃はほぼ赤点なレッドターボ以外の攻撃なら確実にダメージを与えていて、特に100点満点のゴジュウティラノの攻撃は致命傷になりかねないのか当たらないようにかなり意識している様子だった。
「ヤツの動きを止めて、お坊ちゃんの攻撃を確実にぶつけるぞ!」
「なら僕に任せて!僕のテストの点数じゃダメージにはならなくても、動きぐらいなら!」
指輪の能力で二頭身のレッドターボを召喚したレッドターボはその召喚獣とともにノーワンの両腕を掴んで身動きを止めにかかる。
「明久くん。感謝する!」
【ティラノ!ハンマークラッシュ!】
「私こそ!テストナンバーワンだ!」
ティラノハンマーの一撃が直撃して大ダメージを受けたノーワンに、ゴジュウティラノはテガソードを突き刺して中の教師を助け出す。
「オラァ!」
【ウルフ!デカリバーフィニッシュ!】
「ゴジュウティラノ!WIN!」
ノーワンから教師を助け出すと同時にゴジュウウルフがノーワンを撃破してゴジュウティラノの勝利が叫ばれた。
「よし、そんじゃとっとと用事を済ませて帰るか」
無事ノーワンを倒して囚われていた教師を解放したゴジュウジャーは本郷猛のいる学園長室に向かおうとするとゴジュウティラノは左腕を横に広げてゴジュウウルフを止めた。
「どうした竜義?」
「遠野、私と戦え」
「あ?何をいきなり」
「この世界にはテガソード様が必要だ。50の指輪を集めた完全なるテガソード様が。私はあの破壊神との戦いでテガソード様の御命が絶対のものではないと知った。私は二度とあのような光景をみたくない。だから指輪をかけて俺と戦ってくれ。遠野ホエル」
「今のお前じゃ俺には勝てねぇ」
「やってみなくては分からんぞ」
ゴジュウティラノの覚悟を受け取ったゴジュウウルフは皆とともに校舎の外へと出る。
「本気なんだな」
「あぁ、全力でお相手願おう」
「分かった。ガチで行くぜ」
【ワイルドパワーアップ!】
ワイルドゴジュウウルフへと強化変身したゴジュウウルフとゴジュウティラノが向かい立つ。
「ナンバーワンバトル!Ready?Go!」
ゴングが鳴り響くとともに2人の戦いが始まる。
「そんな、こんないきなり・・・」
「よく見ておけ。俺様たちは戦隊とは言え指輪の戦士である以上、避けられない戦いだ」
「ヌンっ!」
【ティラノ!ハンマークラッシュ!】
ゴジュウティラノの必殺の一撃を受け止めようとしたワイルドゴジュウウルフだったが、そのパワーを受け止めきれずに地面に叩きつけられてしまう。
「やるじゃねぇか」
【ウルフデカリバー50】
ウルフデカリバーを手にしたワイルドゴジュウウルフは空間を切り裂いてゴジュウティラノの真上を取ると、ゴジュウティラノはティラノハンマーを弾かれて、手離してしまう。
「ッ!」
オルカブースターで水弾を放ち攻撃をしたワイルドゴジュウウルフはゴジュウティラノを吹き飛ばすと、ゴジュウティラノはティラノハンマーを呼び寄せて再度手にして、水弾を叩き落とす。
「ど、どうしてゴジュウジャーのお二人が戦っているんですか?」
「ぼ、僕にも何がなんだか」
騒ぎを聞きつけたソラたちが外へとやってくると、ワイルドゴジュウウルフとゴジュウティラノが戦っている事に驚き、明久に何故戦っているのかを尋ねた。しかし竜義の心情など分からない明久にそれは分からなかった。
「オラァ!」
水弾を弾いたゴジュウティラノにワイルドゴジュウウルフは跳び蹴りを浴びせて怯ませると、テガソードとウルフデカリバーの二刀流で連続斬りを浴びせる。その攻撃で地面を転がったゴジュウティラノに対して、ワイルドゴジュウウルフはゆっくりと必殺の構えを取る。
「お前は俺の・・・獲物だ!」
【フィニッシュフィンガー!】
ワイルドゴジュウウルフの必殺の連続斬りを受けたゴジュウティラノはその場に倒れて変身が解除され、勝敗がつく。
「ゴジュウウルフWIN」
倒れた竜義から指輪が変身を解除したホエルのもとに転がると、竜義は痛みを堪えて立ち上がる。
「やはりお前は強いな。あとは、頼んだぞ」
ホエルにあとを託した竜義はこの場を去ろうとゴジュウジャーの横を横切ると、陸王は彼を呼び止める。
「待って。本当にこれで終わりなの?」
「エゴは捨てる。テガソード様にとっては誰かが指輪を集めきるだけで良いのだ。たとえそれが私でなくともな。私は所詮、大勢のうちの1人でしかないのだから」
竜義はそう言い残してゴジュウジャーのもとを去り、テガソードの里にも帰って来なかったのだった。
「ゴジュウティラノ。暴神竜義さんが戦線離脱をしてしまったか」
ゴジュウジャー同士の戦い。ゴジュウティラノの離脱は学園のすぐ外で戦っていたこともあり、瞬く間に学園中の話題として広がってしまった。竜義が思い詰めていたことは理解していたためブライダンを倒すまでという約束は無下にはしないと学園の指輪持ちは考えたが、それでも自分たちの希望でもあったこの世界のスーパー戦隊から1人離脱者が出るというのは指輪持ちではない生徒に失望を与えてしまうには十分な影響を持っていた。
「スーパー戦隊は学園の生徒たちの希望だったというのに、どうしてこんなことに」
寮へと帰ろうとしていた若葉は希望を失ってしまった生徒たちのことを心配していると、下校途中の彼女の前に零がやってきた。
「やぁ、乃木若葉ちゃん。始めまして。俺は具島零。まぁ、こういうものかな」
零はXクロニクルのセンタイリングを若葉へと見せると、若葉は学園外の指輪持ちだと理解して警戒する。
「狙いは私の指輪か」
「確かに指輪が狙いなのは間違いじゃないけど。こんな指輪に俺は願わない」
Xクロニクルの指輪を外した零は真っ黒の宇宙を思わせる指輪を身に着けた。
「これからはテガソードに願うんじゃなく、厄災に願う」
厄災の指輪にXクロニクルとキングオージャーの指輪を吸い込ませると、零は厄災の指輪を外して武器テガギーシュを手に取る。
「厄災に関係するであろう指輪にテガギーシュだと!?」
「拾い物を厄災に俺が使えるように調整して貰ったんだ。それじゃ、エンゲージ」
【クラウゼロ】
零は黒い靄に包まれると赤い1つ目の機械的騎士に姿を変えた。
「リングイーター、クラウゼロ。それが新しい俺の名だ。君の指輪も喰らわせてもらう」
「厄災の力を持つ相手というなら出し惜しみなどせん!エンゲージ!」
【キョウリュウジャー!】
キョウリュウレッドに変身すると同時に指輪の能力で強化形態となった若葉はガブリカリバーの刀身を紅く輝かせて斬りかかろうとするものの、黒い靄が彼女を覆った事によりクラウゼロに攻撃が届くことはなかった。
「くっ・・・!」
身動きが取れなくなったキョウリュウレッドに対してクラウゼロは余裕そうな態度で近づいてくると、厄災の指輪をキョウリュウレッドへとかざした。
「さぁ、厄災の贄となれ」
「うわぁぁぁぁっ!?」
黒い靄に完全に包まれたキョウリュウレッドはそのまま厄災の指輪に吸い込まれてしまい、その場にはクラウゼロのみが残された。
「ご馳走様でした。ん?」
「ひ、ひぃ!?」
変身を解除しようとした零は偶然にも若葉が厄災の指輪に喰われてしまう一部始終を目撃していた複数人の生徒らの存在に気づき、彼らはクラウゼロに怯えて腰を抜かしてしまう。
「指輪持ちではなさそうだ。食後のデザート。というよりはただのおつまみってところかな。厄災はまだ食い足りない様子だし、君らもいただこうか」
この日ユニバース戦士キョウリュウレッドであった乃木若葉を含めた5人の学園の生徒が失踪してしまった。
次回「隠れた心をさらけ出せ」