「事情は理解したわ」
陸王は自分が幼い頃から具島零と付き合いがあった事。自分がアイドルをしていた頃にファンの女性に刺されそうになった際に零が自分を庇い、その怪我で医師を続けられなくなった事。どういう経緯かは分からないが零は他ユニバースに行き来する手段を見つけ、その実験として織戸を別ユニバースに送ったと話していた事を角乃に伝えた。
「理解した上ではっきり言うけど、あんたが原因で一概に全て悪くないっては言えないけど、とりあえず織戸が別の世界に送られた事には関係してなさそうなことは分かったわ」
「ありがとう」
「だけど全部を許したって訳じゃないから」
角乃はすべてを許していないながらも陸王を認めることはする事にしたので、ひとまず大事に至らなくて安堵した他のメンバーだったのだが、その次の瞬間に訪れた予想外の来訪者に一同は騒然とした。
「「ゴジュウジャー!!」」
テガソードの里にいきなり来店してきたのはMr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケークだったからだ。
「お母さん!また変な人がきた!」
「え?何あの人?というか人?」
飯島親子にMr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケークを見せないように竜義らが誤魔化すうちにホエルと禽二郎が彼らを外に連れ出す。
「テメェら!いきなり押し掛けるとはいい度胸じゃねぇか!」
「「エンゲージ!」」
【ゴジュウウルフ!】
【ゴジュウイーグル!】
ゴジュウウルフとゴジュウイーグルに変身したホエルと禽二郎。2人はテガソードの刃を構えようとすると、突拍子もない事を言われた。
「ゴジュウジャー!」
「ここ、ここを切って!」
なんとMr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケークは自分たちの真ん中を引き裂いてほしいと懇願してきたのだ。
「い、言われなくても!」
【フィニッシュフィンガー!ウルフ!!】
ゴジュウウルフには切れない。
「なら僕が!」
【フィニッシュフィンガー!イーグル!!】
ゴジュウイーグルにも2人を引き裂く事は出来なかった。その後も何度か挑戦したのだが2人を引き裂く事は出来ずに、ホエルと禽二郎は変身を解除して話を聞く事にしたのだった。
「フム、話をまとめると朝食の際に様々な要因が重なり喧嘩になり、離れたくなったと?」
「まぁ、大まかにはそういったところだ」
「そもそもダーリンは細か過ぎるのよ!」
「キミが大雑把なのだ」
未だに口喧嘩を続ける2人。それを禽二郎はまあまあと宥める。
「君たちは生まれてから長らく一心同体だったのなら、これぐらいの喧嘩・・・」
「ヤダ〜。昔からこの姿だった訳ないじゃない」
「聞きたいか。私たちの馴れ初めを!」
2人は聞いてもないのに自分たちの馴れ初めを語りだす。昔は人間姿だったスイートケーク。そんな彼女は記憶を失っていた異形の流浪人だったシャイニングナイフと出会い、恋に落ち、身分の違う者同士の愛の逃避行の末に2人は一つになったとの事だった。
「やはり私にはキミしかいないよ。ハニー!」
「私もよ。ダーリン!」
ひとしきり話したいことを話した2人は互いの愛を再確認して勝手に和解する。ホエルと禽二郎は話について行けずにポカンとしていると、そこで数時間前に零が植え付けた『種』が芽吹いた。
「・・・そうだ。私はクラディス」
「え?いきなりどうしたの?ダーリン?」
豹変したMr.シャイニングナイフにMrs.スイートケークは驚いた瞬間、シャイニングナイフから伸びた触手にスイートケークは貫かれてエネルギーを吸い取られていく。
「この体は私だけのモノだ!!」
「ダーリン、どうして?」
目の光を失ったスイートケーク。するとMr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケークの体は愛の力無しに巨大化し、見境なく暴れ出す。
「いったいどうしていきなり」
「簡単な事さ。愛し合う2人は実は敵同士だった。方やブライダンに方や厄災ってね」
唐突に現れたクオンはシャイニングナイフを厄災だと告げると、その事実にホエルと禽二郎は驚く。
「禽二郎、アイツらを頼む」
「分かった。カモンヌ!テガソード!」
【テガソード!グリーン!!】
テガソードグリーンと人神一体した禽二郎は暴れるシャイニングナイフを押さえ込む。
「クオン、お前アイツの仲間じゃねえのか?仲間なら止めてやれよ!」
「仲間。いい言葉だ。ゾッとする程ね」
シャイニングナイフを助ける気のないクオン。そんな中禽二郎は必死に町の被害を最小限にしながらシャイニングナイフを説得しようとするものの、シャイニングナイフは止まらない。
「しっかりしろ!君は愛妻家ナンバーワンだろう!」
「ウワァァァァっ!」
「仕方ない。テガソード!キューピッドアロー!」
【イーグル!アローシュート!!】
必殺技の矢を受けたシャイニングナイフは爆発して元のサイズに戻ると、クオンは溜め息をつく。
「なんだ。あの程度なら以前の厄災の欠片のほうがまだマシだね」
ガッカリした様子のクオンはこの場を去っていくと、シャイニングナイフは意識を取り戻す。
「はっ!私は何を?大丈夫かいハニー?」
シャイニングナイフの問い掛けにスイートケークは答えない。そしてシャイニングナイフは自身の意識が途切れていた間の事を思い出してしまう。
「私が、私がハニーを。うわぁッ!?」
大切な相手を手に掛けてしまった。その事実はシャイニングナイフを絶望させるには十分だった。
「厄災か。あの厄災の力が私を・・・」
自分が厄災の出身だと思い出してしまったシャイニングナイフは厄災に、種を植え付けた零に報復を決意した。
「こんにちは」
翌日、気持ちの整理がつかない角乃は河原で感情の整理をつけようとしていると、背後から声をかけられて振り返る。そこには零が怪しげな笑いを浮かべながら立っていた。
「一河織戸ちゃんのお姉さんだね」
「よくもノコノコと私の前に!エンゲージ!」
【ゴジュウユニコーン!】
「エンゲージ」
【クラウゼロ】
ゴジュウユニコーンに変身した角乃は単身で零に挑みかかると、零もクラウゼロに変身して応戦する。
「私と織戸を引き裂いたあんたは絶対に許さない!」
【ユニコーンドリル50】
ユニコーンドリルを手にクラウゼロに突撃するゴジュウユニコーンだったが、その攻撃はあっさりと受け流されてしまう。すると耳のいい陸王が騒ぎに気づき、ホエル以外のメンバーを引き連れて変身した状態で駆けつけてきた。
「零さん!もうこんな事はやめてくれ!」
「なんだよ陸王。指輪の戦士同士、指輪争奪戦をしてるだけだろ?」
「厄災の力の指輪を使ってるクセによく言うぜ」
「ホエルっちはどうした?」
「バイトに行ってて、いませんでした」
「おっとっと。流石に頭数が増えると面倒臭いな。こっちも頭数を増やそうか」
【キョウリュウジャー】
【ガオレンジャー】
【カクレンジャー】
【キングオージャー】
【Xクロニクル】
ホエルがいなくともと果敢にクラウゼロへと挑むゴジュウジャーの面々。次第に押され始めたクラウゼロは洗脳している若葉を含めた学園の生徒を数人指輪から解き放ち、彼らをユニバース戦士に強制変身させた。
「さらにオマケ」
更にクラウゼロは厄災の能力で歴代スーパー戦隊が対峙した戦闘員を模した怪人たちモリスをも大量に召喚して数の有利を取ってきた。
「おい、オマケの数ではないぞ!」
「ユニバース戦士だけでも厄介だというのにこの数は些か・・・」
「なら雑魚は任せろ」
【シンケンジャー!】
「助っ人参上デース!」
【サンバルカン!】
数の不利を感じていたところにシンケンレッドとバルイーグルが参戦し、ゴジュウユニコーンたちは操られているユニバース戦士らとの戦闘が始まった。
「烈火大斬刀」
シンケンレッドは紅く大きな刃を振るい、モリスを焼き斬る。
「飛羽返し」
バルイーグルは円月殺法からの切り返しでモリスを斬り伏せる。
「零さん!もうやめてくれ!」
【レオンバスター50】
ゴジュウレオンはレオンバスターでドラマレッドと撃ち合いをしながらもクラウゼロにもうやめるよう懇願するも、聞き入れてもらえない。
「奴は厄災の手先になっている!何を言っても無駄だ!ベアックマ!」
『はいクマ〜!』
ゴジュウポーラーはベアックマも手に握り両手のラッシュでキョウリュウレッドと殴り合う。
「アイツは絶対に許さない!」
ゴジュウユニコーンはユニコーンドリル片手にクワガタオージャーと刃を交える。
「しかしこの戦士らをどうにかせねば」
【ティラノハンマー50】
ゴジュウティラノはティラノハンマーでニンジャレッドを叩こうとするも、ドロンと煙に撒かれて避けられる。
「この子らは学園の生徒だ。あまり傷つけたくはない」
【イーグルシューター50】
ゴジュウイーグルはガオレッドのファルコンサモナーによる矢をイーグルシューターで撃ち落とす。
皆がクラウゼロと戦う一方でバイト中のホエルはというと。
「イセカイピザでーす。お届けにあがりました〜」
とある家へとピザの配達に来ていたのだが、その家の家族を見てホエルは固まってしまう。
「ありがとうございます!」
配達先には遠野家。つまりホエルの実の両親とその養子である子供2人のいる家だったのだ。ホエルは何とか平静を装ってその場をやり過ごし、その家を後にする。
「父ちゃんと母ちゃん、元気そうだったな。これでいいんだ。あそこに俺は・・・」
あの場所に自分の居場所はない。そう考えながらホエルは帰り道を歩いていると、ホエルはいきなりテガソードがいる空間、ロボの墓場に送られた。
『遠野ホエル、何故ここに?』
「なんか頭の中に剣みたいなのが浮かんだと思ったらここに・・・」
『そうか。厄災に対抗すべく再び現れたのか。最後の剣よ』
テガソードがそう告げるとホエルの背後には地面に突き刺さる一本の両手剣が現れる。
『それは今まで誰にも抜けなかった最後の剣。それが現れたという事は、遠野ホエル。お前は選ばれたのだ』
等身大のサイズでホエルのもとへとやってきたテガソードはホエルに選ばれたことを告げてくる。
「選ばれた?剣にか?」
『剣の試練にだ。2つに1つ。世界はお前の手に委ねられた』
テガソードが試練を告げると、ホエルは眩い光に包まれ、気がつけば遠野家の前にいた。
「あら?ホエル!おかえりなさい!」
ホエルの事を家族と認識している母に驚きつつも家の中に入ると、そこには父とクオン、もとい久光がいた。
「どうなってんだ?俺は・・・」
突如ホエルの中には自分が経験してないはずの『あり得た時間』の記憶が流れ込む。すると次の瞬間には狭間の世界、最後の剣が存在する空間に戻されていた。
「どうなってんだ?今のは?」
『今ここは2つの世界の分岐点となっている。1つは元の世界』
テガソードは片側にクラウゼロと戦うゴジュウジャーの面々を映し出す。
『そしてもう1つは今お前が見た。私が存在しない世界。その世界は私も厄災も干渉してない平穏な世界だ。今のお前には選択肢がある。平和な世界で家族と生きるか、その剣を引き抜き、修羅の道を再び歩むか』
「俺は・・・」
ホエルは自分がどうしたいのかを自問自答していると、平和な世界の家族の囁きが聞こえ、ホエルはそちらに歩もうとする。
『それでいい。それが本来あるべき生き方だ』
「・・・」
平和な世界を選ぼうとしていたホエルは寸前に歩みを止めて、クラウゼロと戦うゴジュウジャーの姿を眺める。
「なぁテガソード。アイツらはどうなる?」
『世界が違えどかの者たちは存在する』
「他の世界から来た連中は?アイツらがお前にかけてる願いはどうなる?」
『・・・』
テガソードは答えない。
「消えるのか」
『本来なら出会うはずのなかった人間たちだ。お前は・・・気にせず自分の世界を選べ』
「自分の世界か。なら」
ホエルは選ぶべき世界を決める。
「ごめん。兄ちゃん。母ちゃん。父ちゃん」
そして修羅の道を。最後の剣とテガソードの世界を選んだ。
「アイツらは仲間じゃねぇけど、ダチなんだ。一緒時間を過ごしたダチなんだ。俺ははぐれ一匹!遠野ホエル!アイツらの願いが、世界が、出会いが消えるなら、俺は修羅の道を往く!」
『お前は幸せに生きることが出来るんだぞ!なのに!』
「俺の幸せを勝手に決めんな!修羅の道だろうと抗って噛みついて、自分の道にしてやる!」
そう宣言したホエルは最後の剣を掴むも、引き抜く事は出来ない。
『引き抜く事が出来ないという事は想いが足りないという事か』
「ふざけんな!お前が俺を生かして、俺が選んだんだろうが!つまり俺たちは共犯者って事だ。だから手を貸せテガソード!」
『共犯者か。私にそんな事を言った人間はお前が初めてだ』
ホエルと並び立ったテガソードは共に最後の剣を掴み取り、それを引き抜く。
『そうか。この剣は1人ではなく、2人で引き抜くものだったのか』
「・・・じゃあな」
テガソードとともに究極剣を引き抜いたホエルはもう1つの世界には振り返る事なく世界の狭間を抜け出す。
次回「奇跡のコラボ!リョウテガソード!」