ファイヤキャンドルが新たな力に目覚め、ブライダンが厄災ペスティスに勝利した翌日。復讐すべき相手だった破壊神テガギーシュを失ったオトは今後どうすべきなのかを今なお悩んでいた。
「うちは・・・どうしたいんだろう?」
産まれた世界。姉がいる世界を選ぶべきなのか。仲間が、第2の家族がいるユニバースを選ぶべきなのかを悩むオト。既に第2の家族がいるユニバースはテガソードの力により復活していて帰ろうと思えばそちらのユニバースに帰ることができるのだが、復讐相手がいなくなり燃え尽き症候群となっているオトは角乃の事も考えられる程には冷静になり、答えを出せずにいた。
「やあ一河織戸ちゃん。久しぶりだね」
「具島零・・・」
そんな悩むオトの前に現われたのは神殺しを目標に掲げた仲間の零だった。
「貴方、厄災の力を使って色々しているって聞いたけど本当なの?」
「へぇ、探偵をしてる君のお姉さんばりの情報収集能力だね。・・・そうだよ。今の俺は厄災と共にある」
「厄災。破壊神と同じく様々なユニバースを消しさった危険な存在。そんなの許していいはずないでしょ!エンゲージ!」
オト、いや織戸はデバイスVのセンタイリングで変身しようとするものの、自分の願いにましては『一河織戸』であるか『オト』であるかすら迷う彼女はエンゲージが出来なくなってしまっていた。
「どうして?どうして変身出来ないの!?」
「ハハハ、どうやら今の君には戦う力はないみたいだね。とはいえ俺も最近使ってたお気に入りは使えないからこっちで。エンゲージ」
【Xクロニクル!】
銀のテガソードにXクロニクルのセンタイリングをセットして久しぶりにドラマレッドに変身した零は手にした銃を織戸へと向ける。
「指輪を大人しく渡してくれさえすれば元仲間のよしみで痛い目に合わないままラクにしてあげるけど」
「指輪を渡してもうちを消すのは変わらないってんなら、答えは当然1つでしょ!」
指輪を外す動作を見せて油断を誘った織戸は即座に逃走を図る。
「やっぱり逃げるよね」
それも想定内と言わんばかりにドラマレッドはゆっくり歩きながら追いかけてくる。それも歩きながらモリスたちを召喚し、追手の数が増えてしまった織戸はすぐに追い詰められてしまう。
「はい。残念でした。観念したほうが・・・」
「観念するのはそっちよ」
そう織戸が告げた瞬間、空からいきなり矢が降り注ぎ、地面に穴が空いたかと思えばそこからゴジュウユニコーンが出てきた。
「大丈夫織戸?」
「ほら。やっぱり来てくれた。お節介なお姉ちゃんがね」
実の姉である一河角乃ことゴジュウユニコーンの登場をさも当然のごとく反応した織戸。すると少し遅れてゴジュウウルフとゴジュウレオン、そしてゴジュウティラノが駆けつけてきて、最後に上空からゴジュウイーグルが着地してくる。
「厄災のニオイがしたと思えば、今度は何をしてやがる」
「零さん・・・」
「大した事はしてないさ。ただの指輪集め。そのついでに厄災に命を捧げてあげようとしていただけさ」
「そのついでがいけないのよ!」
ゴジュウユニコーンは織戸の命を奪おうとしている発言に当然のごとく怒りを見せるとユニコーンドリルでドラマレッドへと突撃する。
「盛り上がりつつあるみたいだな。エンゲージ!」
【ゴジュウポーラー!】
「俺様たちも続くぞ!」
「遅れてきた奴が仕切んな!」
遅れてやってきた真白ことゴジュウポーラーが自分たちも続くよう告げると、ゴジュウウルフたちもモリスたちと戦い出す。
「織戸、エンゲージ出来ないの?」
「う、うん」
「願いに迷いがあるのね。私も前にそうなったことがあるわ」
以前自分の願いが定まらずに復讐ばかりを考えていた角乃はホエルたちと出会い、本当の願いを思い出すまで変身が出来なかった。その事を思い出したゴジュウユニコーンは何か思うところがあった事をゴジュウポーラーが察した。
「お嬢ちゃん。妹に言いたいことがあんだろ!ハッキリ言ってやれ!」
【フィニッシュナックル!】
ゴジュウポーラーがモリスを殴り飛ばしながら氷で壁を作りゴジュウユニコーンに道を作ると、ゴジュウユニコーンは織戸へと歩み寄る。
「織戸、10年前にお父さんとお母さんが亡くなって家族は私とあなただけになった。だからあなただけはと思って今日まで生きてきた。だけどあなたはこことは違う世界で大切な人たちを、新しい家族に出会えたなら、私はそれを否定しない。家族を大切にしなさい」
「そうよ。うちの、私の家族はお姉ちゃんだけじゃない。あっちの世界のみんなも私の家族。私の願いは家族とまた暮らしたいって願いなら、その願いを叶えるために世界を行き来出来るようになればいい!」
自身の願いがどうあるべきかを再び定めた織戸は銀のテガソードにデバイスVのセンタイリングをセットする。
【センタイリング!】
「それが私の願い!エンゲージ!」
【デバイスV!】
スマホRⅠに変身出来た織戸にゴジュウユニコーンが並び立つ。
「ありがとうお姉ちゃん。お姉ちゃんのおかげで私の本当の願いを見つけられたよ。だからさ、また家族に戻れるかな?」
「もちろん!ようやく家族に戻れたね織戸。なら、私の願いも織戸の願いを叶えてあげて、まだあった事のない『家族』に会うことにするよ」
「お姉ちゃん・・・っ!うん!一緒に叶えよう!」
ゴジュウユニコーンとスマホRⅠの願いが1つとなると、それが面白くないドラマレッドは2人に銃を乱射する。するとスマホRⅠはゴジュウユニコーンの前へと出てスマホ型デバイスを操作、バリアのアプリを起動して銃撃を防ぎ切る。
「角乃。こいつを使え!」
モリスたちと戦っていたゴジュウウルフはリョウテガソードをゴジュウユニコーンに投げ渡すと、ゴジュウユニコーンはそれを掴み取りリョウテガソードリングをセットした。
「使わせて貰うわ。エンゲージ!」
【最強!頂点!ユニバース!】
【テガソード!ナンバーワン!】
リョウテガソードの力でゴジュウユニコーンはテガソードの鎧を纏ったテガソードゴジュウユニコーンに強化されると、流石にそれはマズイと判断したドラマレッドはモリスたちをさらに大量に呼び出した。
「やれ」
「織戸!サポートお願い!」
「うん!お姉ちゃん!」
テガソードゴジュウユニコーンがモリスたちへと斬り込むと、スマホRⅠは電撃を放ちその道を作る。テガソードの両手とリョウテガソードの刃で次々とモリスたちを撃破していく様子に焦りと怒りを見せるドラマレッドはテガソードゴジュウユニコーンなら庇うはずだとスマホRⅠに銀のテガソードの刃を向ける。
「お姉ちゃん!」
「随分余裕だね!」
それに気づいたスマホRⅠはテガソードゴジュウユニコーンにデカレンジャーのセンタイリングを投げ渡すとその隙を逃さなかったドラマレッドは駆け出して銀のテガソードの刃を振るう。するとスマホRⅠが斬られそうになるより前にテガソードゴジュウユニコーンはリョウテガソードにデカレンジャーのセンタイリングをセットした。
【センタイリング!】
【ストライクアウト!】
「ストライクアウト!」
リョウテガソードの剣先から放たれた強烈な銃撃はドラマレッドへと命中すると、その変身が解除されて零の持っていたセンタイリングがゴジュウジャー各々の下に散らばる。
ゴジュウウルフはキングオージャーの指輪を手にし、ゴジュウレオンはガオレンジャーとXクロニクルの指輪を手にする。
ゴジュウティラノはシンケンジャーの指輪を手にし、ゴジュウイーグルはキョウリュウジャーの指輪を手にする。
そしてサンバルカンとカクレンジャーの指輪をゴジュウポーラーが手にすると倒れている零にゴジュウレオンが声をかけようと近づいていく。
「零さん。これであなたは指輪争奪戦から脱落した。もうこれで終わりにしよう。そして罪を償おう」
「ハハハ、確かにセンタイリングは全部俺の手元からなくなった。けれど俺にはまだ厄災の指輪が、力がある。お前たちもこの世界も全部俺と終わりを迎えるんだ!」
「俺と?零さん、まさか死ぬ気なの?」
「俺もこの世界も命を全部巻き込んで死ぬのが、俺が厄災に願ったことさ。べベルム!」
起き上がった零が厄災の指輪を空に掲げると、闇の中から戦禍の厄災であるべベルムが姿を現した。
「なんだアイツは?」
「アイツはべベルム。戦禍のべベルム。俺様がかつて戦った厄災の1体だ。気配で薄々は気づいていたが・・・やっぱり復活していたのか」
ゴジュウポーラーは厄災の復活に薄々は気づいていたようでゴジュウウルフたちにそれを告げると、ベルルムは周囲を見渡した後にテガソードゴジュウユニコーンを見つめる。
「フム、確かに戦禍の渦中と言うべき状況だな。具島零、貴様の願いを叶えてやろう」
「お姉ちゃん!危ない!?」
銃剣の切っ先をテガソードゴジュウユニコーンに向けたべベルムは負のエネルギー弾を彼女目掛けて放つ。その凶弾からスマホRⅠはテガソードゴジュウユニコーンを庇うと、その変身が解除されて倒れ込む。
「織戸!」
「お姉ちゃん・・・無事で良かった」
姉の無事を喜んだ織戸は手に持っていたデバイスVのセンタイリングをテガソードゴジュウユニコーンに握らせると意識を失ってしまう。
「よくも織戸を!許さない!」
織戸が自分を庇い倒されたことに怒りを見せたテガソードゴジュウユニコーンは冷静さを欠いた状態で突撃していくものの、今の彼女には目の前の相手しか見えておらずに横からの伏兵に気づくのが遅れていた。
「怒りに身を任せ周りが見えぬとはまさにこの事」
横からいきなり現われた飢餓の厄災ヒダルに殴り飛ばされたテガソードゴジュウユニコーンはリョウテガソードを手放して変身が解除されてしまう。
「モリス共、奴らを潰せ」
ヒダルは巨大なモリスを数体召喚するとべベルムと並び立つ。
「巨大なのを呼んでも雑魚は雑魚。俺様が蹴散らしてやる!グーデバーン!」
【グーデバーン!】
「末端の雑兵とはいえ厄災だ。気を引き締めていけよグーデバーン!」
『はい。熊手さん!』
「お前も来い!ベアックマ!」
『ホイ、キタクマ〜!』
グーデバーンと人神一体した真白は巨大なモリスたち数体と戦い出すと、すぐにベアックマを呼び出し、巨大化したベアックマの上にグーデバーンが乗る。そしてベアックマの機動力でモリスたちを翻弄しながら戦うと、べベルムはモリスたちが長くは持たないだろうと判断したのか、巨大なモリスたちの戦いを視線から外す。
「べベルム。この場でこの者たちを始末すべきではないか?」
「確かに私も同じ考えだが、具島零は奴等がなるべく苦しんで死なせたいと言うのが望みだからな。この場で始末するのは容易いかもしれんが、我らを復活させた具島零の願いだけは叶えねばクラディスの名が廃る」
「そう言ってくれて嬉しいよ。じゃあ願いついでにさ、俺にもう少し厄災の力を分けてくれないかな?」
「人を棄てる事となるぞ?」
「構わないさ。それで世界が厄災で滅びるならね」
「流石は具島零だ。いいだろう。我らが力、受け取るがいい」
べベルムとヒダルから厄災の力を受け取った零は指輪からその力が溢れ出し、その姿を一本角の狼鬼のような禍々しいモノへと変化させる。
「零・・・さん?本当に零さんなの?」
「ハハ、驚いてるね陸王。変身してるから顔が見えないけど・・・いい表情をしてそうだ」
人の姿を棄て狼鬼となった零は三日月型の剣を振るい、ゴジュウジャーどころかその周囲にも見境無く攻撃を与える。
「これは、いいね」
その厄災の力に溺れつつある狼鬼はひとしきり暴れた後、べベルムとヒダルと共にその場を去っていく。
「零さん・・・」
ゴジュウレオンはそれをただ呆然と見ていることしか出来ずにいると、モリスたちと戦っている最中の真白が喝を入れる。
「何暗い顔してやがるアイドルさんよぉ!どんな時でも周りを笑顔にする!それがアイドルだっていつも笑顔で語ってたお前は何処に行った!!シャキッとしやがれ!・・・決めるぞグーデバーン!俺様鉄拳!ブリザードクラッシャー!!」
【ポーラー!グーデフィニッシュ!!】
必殺の鉄拳でモリスを撃破した真白。ゴジュウレオンは拳をギュッと強く握ると自身が零をどうしたいのかの答えを出す。
「僕は零さんを人間に戻したい。そして罪をしっかりと償わせた上で、僕のライブに招待する」
変身を解除しながら決意を言葉にした陸王。零との最後の決戦の日はすぐそこまで迫っていた。
次回「百の夜をキミに」