「あれ?ここは?」
「織戸!目が覚めたんだね!」
織戸が意識を取り戻すと、真っ先に視界に入ったのは今まで心配し、意識を取り戻した事を喜ぶ姉、角乃の姿だった。
「お姉ちゃん・・・。そっか。私、お姉ちゃんを庇って」
自分が病院の一室にいることに気づいた織戸はどうして自分がここにいるのかを思い出す。
「お姉ちゃん。私の願い、お姉さんに託したから」
「うん。一緒に家族に会いに行こう」
織戸と願いの約束をした角乃は病室を後にすると、病院の前で待っていた陸王が角乃に声をかける。
「もういいのかい?妹ちゃんともっと話したいことがあったんじゃないの?」
「そりゃ色々あるわよ。だけどまた家族に戻れたんだから今はこれでいいの。失った時間は戻らないけど、私たちはまた新しい時間を作っていけるから」
「新しい時間。・・・そうだね。また一緒の時間を過ごせるものね」
答えに満足した反応をした陸王はその場を去っていくと指輪の能力である超聴覚を研ぎ澄ませ、零の居場所の手がかりを探す。
「見つけたよ零さん」
そして翌日、陸王はたった1人で狼鬼がいる場所を突き止めると、1人で狼鬼のもとにやってきた。
「たった1人だけで来るとは思ってなかったよ。てっきりお友達も一緒にと思って、手厚く歓迎しようとしてたんだけどね」
「悪いけど今の零さんの歓迎会にみんなは参加しないよ。今回は零さんだけの為の僕の特別ステージだからね。エンゲージ」
【クラップ!ユア!ハンズ!】
【ゴジュウレオン!】
【レオンバスター50】
ゴジュウレオンへと変身した陸王はレオンバスターを手に狼鬼に銃撃を浴びせるも、狼鬼はあまりダメージを受けていなかった。
「意気込みは強いみたいだけど、君の力じゃ今の俺は倒せない」
「そうだとしても、僕は絶対に零さんを止める」
銃撃を受けながらも狼鬼はゆっくりと近づいてくる。対するゴジュウレオンは少しずつ後ろに下がっていると、とうとう壁際まで追い詰められてしまう。
「さぁ終わりにしようか。陸王」
「・・・終わらない。終わらせない。僕には叶えたい願いがあるからね。それに・・・」
狼鬼がゴジュウレオンにトドメを刺そうとした瞬間、建物の天井が崩れ、そこからゴジュウウルフたち5人が降りてきた。
「やっぱり僕にはみんながいるみたいだ」
「やれやれ。結局6人相手か。この姿になっているとモリスの召喚がしにくいのに」
「自分は1人ですよアピールしやがって。しらばっくれるな。そこにべベルムとヒダルもいるだろ」
「やはりお前は気づいたか」
ゴジュウポーラーに暴かれたことで闇の中から出てきたべベルムとヒダルは狼鬼と並び立つ。
「さあ、陸王。お前のラストステージだ」
「滅びよ。ゴジュウジャー!」
べベルムの放つ強烈な一撃にゴジュウジャーは受け身の体勢を取ろうとすると、6人の戦士たちがその一撃を弾いた。
「どうやらヒーローの出番みたいですね」
ゼンカイザーにゴセイレッド。ジュウオウイーグルにリュウソウレッド。レッドホークとレッドターボの現在残っているユニバース戦士たちだ。
「厄災。復活していたとは聞いてはいたが、こうしてまた相対するとは」
レッドホークは再び厄災と戦うこととなり、拳を強く握ると一呼吸置いて頭を落ち着かせる。
「皆生きて、ここで厄災を倒すぞ!」
「なら、コイツでいくか」
【ワイルドパワーアップ!】
ワイルドゴジュウウルフに強化変身したゴジュウウルフはオルカブースターを構えようとすると、オルカブースターが勝手に動き出してジュウオウイーグルとリュウソウレッドに力を与えた。
「ジュウオウホエール!」
「ノブレスリュウソウレッド!」
オルカブースターの力で強化変身したジュウオウイーグルはジュウオウホエールに、リュウソウレッドはノブレスリュウソウレッドとなるとユニバース戦士たち6人とワイルドゴジュウウルフはヒダルと戦闘となる。
「二人ともいいな〜。ターボレンジャーにも強化形態ってないのかな?」
「今は厄災との戦いに集中するんだ!」
「ゴセイブラスター!」
レッドターボは2人のパワーアップを羨ましそうにしつつもレッドホークとゴセイレッドの2人と共に銃撃をヒダルへと与える。
【ジュウオウファイナル!】
「ハァッ!」
ジュウオウホエールもホエールチェンジガンから放つ強力な砲撃をヒダルへと喰らわせると、それが直撃したヒダルは大ダメージを受ける。
【デンジマン!フィニッシュ!!】
「デンジパンチ!」
そこにゼンカイザーは渾身のデンジパンチを叩き込むとリュウソウカリバーとリュウソウケンの二刀流で構えていたノブレスリュウソウレッドが指輪の能力で加速して駆け出す。
「ジ・イクリプス!」
「ま、まだ終わりではない」
26連撃の斬撃が炸裂し、ヒダルは自前のタフさで辛うじて耐えているところにワイルドゴジュウウルフがオルカブースターの銃口を向ける。
「いや、これで終わりだぜ」
【オルカ!ブーステッドノヴァ!!】
オルカブースターの必殺の一撃に撃ち抜かれたヒダルは今度こそ爆発して敗れ去ると、ゴジュウポーラーとゴジュウティラノ。ゴジュウイーグルとゴジュウユニコーンの4人と戦っていたべベルムは驚いた反応をする。
「よもやペスティスに引き続き、ヒダルまで倒されてしまうとは」
「お前もここで終わりだ!」
【フィニッシュナックル!!】
強烈な一撃の拳でべベルムを氷漬けにしたゴジュウポーラー。身動きが封じられているべベルムにゴジュウティラノたちも必殺技を発動する。
「ティィラァ!」
【ティラノ!ハンマークラッシュ!!】
「そいや!」
【イーグル!アローシュート!!】
「タァァッ!」
【ユニコーン!ドリルアタック!!】
「しまっ!?」
ゴジュウティラノたちの必殺技が直撃したべベルムも敗れると残る相手は狼鬼だけとなった。
「まさかべベルムたちが負けるだなんて」
「さぁ、クライマックスだよ。零さん」
ワイルドゴジュウウルフはゴジュウウルフに戻るとリョウテガソードをゴジュウレオンに差し出す。
「陸王!使え!」
「ありがとう。ホエルくん」
【最強!頂点!ユニバース!】
【テガソード!ナンバーワン!】
テガソードと1つとなりテガソードゴジュウレオンとなったゴジュウレオンは一閃で狼鬼を斬りつける。そして怯ませた隙にリョウテガソードにガオレンジャーのセンタイリングをセットした。
【センタイリング!】
【破邪百獣剣!】
「破邪百獣剣」
テガソードゴジュウレオンがリョウテガソードを構えるとゴジュウウルフたち4人がその両肩を掴み、支える。
「みんな。ありがとう。・・・邪鬼、退散ッ」
「ぐわあぁぁっ!?」
「零さん!」
リョウテガソードの刃を振り下ろしてその斬撃波で狼鬼を斬り伏せたテガソードゴジュウレオンはゴジュウレオンへと戻ると、即座にテガソードで狼鬼を突き刺し、その中から零を引っ張り出した。
「何故俺を助けた?」
「助けるに決まっているじゃないか。零さんがいなかったら今の僕はいなかったんだから。僕は零さんに生きててほしい。生きて罪を償って・・・僕のライブを見に来てほしいからね。零さんの夜明けはそう簡単にこないのは分かってる。だけど明るい夜を与えることが、今の僕にはできる。それこそ百の夜だってね」
「陸王・・・」
「まだだ!まだ終わりではない!」
零がゴジュウレオンの言葉で気持ちが揺らいでいると、先程倒したと思っていたべベルムとヒダルが巨大な姿となりながら復活してくる。
「2代目!」
「言われるまでもねぇ!」
「「超人神一体!」」
【テガソード!】
【ホワイトバーン!】
テガソードホワイトバーンと人神一体したホエルと真白はべベルムの銃撃に対してフィンガーミサイルをぶつけて相殺するものの、ヒダルの振るってきた拳に怯まされてしまう。
「火力は互角だが、厄災が2体同時となると手が足りないな」
苦戦しているテガソードホワイトバーンをただ見ている事しか出来ない事に陸王やレッドホークらユニバース戦士たちは煩わしく思っていると、ゴジュウレオンの持つガオレンジャーのセンタイリングが発光し、何処からか優しい音色がゴジュウレオンの耳に聞こえてくる。
「この音色は?」
『百夜陸王。この音色が聞こえるのだな。ならばガオレンジャーの指輪を天に掲げるのだ。そして告げよ。百獣召喚と』
「百獣召喚!」
テガソードに言われるがままゴジュウレオンはガオレンジャーのセンタイリングを掲げた瞬間、天空から光が舞い降りて百獣の精霊たちが降臨する。
奇跡が起こりました。百夜陸王の、そしてユニバース戦士たちの想いに応えようと眠りについていた精霊たちが目を覚まし、今再び1つとなり精霊の王が降臨したのです。
そう。天空を駆ける巨大な翼を持つライオンのケンタウロス。精霊王にして大いなる勇者、ガオケンタウロスが。
「君は、君たちも力を貸してくれるのかい?」
ゴジュウレオンの問いかけにガオケンタウロスは頷くとガオの心臓とも呼ばれる鳥、ソウルバードがゴジュウレオンのもとにやってくる。
「我々も行くぞ!」
レッドホークらもソウルバードに乗り、ソウルバードがガオケンタウロスと1つとなるとテガソードホワイトバーンと並び立つ。
「行くぜお前ら!」
テガソードホワイトバーンがフィンガーミサイルを放つと、それに合わせてガオケンタウロスも駆け出す。そしてすれ違いざまにエレファントソードでべベルムとヒダルに一閃を決めるとガオケンタウロスは天空に飛び上がる。
「おのれ。ケモノ風情が私を見下すな!」
怒るべベルムは蝙蝠のような翼を広げると飛翔し、ガオケンタウロスと空での戦いとなる。べベルムの銃撃をエレファントシールドで防いだガオケンタウロスは両翼から発するイカロスバインドでべベルムの動きを止めた。
「究極剣技」
「「「「「「「獣王の舞!!」」」」」」」
ガオケンタウロスは連続でエレファントソードを振るい、べベルムをメッタ切りにすると、そのままべベルムは爆散する結果となった。
「あっちは終わったみたいだな」
「こっちも決めるぞ2代目」
テガソードキャノンで接近してくるヒダルを怯ませたテガソードホワイトバーンは全砲門を展開する。
「「テガソード!ハートブレイカー!!」」
狼とシロクマのオーラと共に一斉射撃をするテガソードハートブレイカーが直撃したヒダルも爆発すると、零がつけていた厄災の指輪も消滅した。
「これで俺の願いは叶わなくなったか」
「零さん。零さんは自分もろとも世界の命を終わらせるのが願いだったって言うけどさ。零さんが心の底からそう願っていたなら僕を庇って医師生命を絶つような事はしなかったと思うんだ」
ガオケンタウロスが光となりロボの墓場に戻ると、降りてきたゴジュウレオンは零に語りかける。
「何言ってる。庇って医師生命が絶たれたから考え方が変わったんだぞ」
「世界を終わらせたい考えに至る人が誰かを庇うなんてしない。零さんの本当の願いは僕には分からないけど、それでも僕は零さんが僕が昔から知ってる『零さん』であると信じてるよ」
「信じているか。簡単に言ってくれるな。・・・陸王、着いてきてくれないか。警察に一河織戸の誘拐を自首しにいく」
考え方を再び変えたのか定かではないが、零は警察への自首を決めてゴジュウレオンに一緒に来てくれるように頼んできた。
「うん。一緒に行くよ」
ゴジュウレオンがその変身を解除しようとしたそのタイミングだった。
「厄災が指輪の戦士たちと戦っている場所はこの辺りですね」
戦いから少し遅れてやって来たブーケたちブライダンが来てしまったのだ。
「あっ・・っ!」
変身を解除するタイミングを偶然にも目撃してしまうブーケ。敵であるゴジュウジャーの1人であるゴジュウの正体が自分の推しである百夜陸王だったことにブーケは驚愕してしまう。
「ゴジュウレオンの正体が陸王様?そんな、そんなはず」
「とうとう知っちまったか」
「すまないブーケ嬢。君が盛り上がっていたため、中々言い出せなかったのだ」
「ごめんね。ブーケちゃん」
ブーケ以外のブライダンはゴジュウレオンが陸王であることは知っていたが言い出せなかった事を謝罪する。
「私は、私の推しと戦っていたという事ですか!」
動揺のあまりブーケはそう叫びながらノーワンワールドへと帰っていくと、ファイヤキャンドルたちもそれを追いかけるように帰っていく。
「僕のファンでいてくれた子が、ブライダン」
陸王も陸王でファンとして自分を支えてくれていたブーケがブライダンという事実を知ってしまい、心に揺らぎが出来てしまったのだった。
次回「大好きだった推し」