№1ユニバース 世界と指輪と願い事   作:エルモライト

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キョウダイ

「クオン、お前もしかしてテガジューンを・・・」

 

「そうだよホエル。僕はテガジューンを取り込んだんだ。元々僕は時が来たらテガジューンに取り込まれる予定だったんだ。だけどその契約の証を利用して弱くなっていたテガジューンを逆に取り込んだってわけさ」

 

 自分がテガジューンを取り込んだ経緯を簡単に説明したテガジューンガリュードは武器テガジューンの銃口をホエルへと向ける。するとそれとほぼ同時に女王の間の天井が崩れて、テガソードの手が差し向けられた。

「ホエル君!脱出するよ!」

 

「・・・分かった」

 

 テガソードの手に乗ったホエル。するとテガソードもゲートを作ることができるようで、巨神の世界へ繋がるゲートを開通させて、元いる世界へと戻っていった。

「帰っちゃったか。まぁ、今日決着をつける気はなかったから別に構わないよ。さてと次は」

 

 次にすべきことに動こうとした矢先、テガジューンガリュードのいる女王の間にファイヤキャンドルとMr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケークがやってきた。

「っ!ガリュード、その姿はなんだ?」

 

「テメェ、まさか女王を!」

 

『ひれ伏せ』

 

 シャイニングナイフはテガジューンガリュードの姿を見て問いただそうとするやいなや、ファイヤキャンドルが掴みかかろうとする。しかしテガジューンガリュードはテガジューンの威圧でファイヤキャンドルたちを無理やり跪かせた。

「今の僕はテガジューンと1つ。創造主に君たちが逆らう事はできない」

 

「お前が腐ったのは知ってたが、まさかここまでとはな」

 

「まぁ、僕のお願いを1つ聞いてくれさえすれば後は君たちのしたいようにしていいよ」

 

 変身を解除したクオンは思い描く最後の計画を実行しようと動き出したのだった。

 

 

 

 

 クオンがテガジューンを取り込んでから数日後。テガソードが住処としているロボの墓場には眠りにつくブーケとそれを見守る陸王、そして真白たちの姿があった。

『コイツ、ここに置いておくクマ〜?』

 

『駄目だ。この者はブライダン。目覚めれば人間にどんな被害をもたらすかわからん』

 

 ブーケをこのまま捨て置けないと判断したテガソードはブーケを消し去ろうとすると真白が口を挟む。

「相変わらず器が小さいなテガソード。だからお前に神は任せて置けないんだよ」

 

『ブライダンは、テガジューンは敵だ!危険な要素は排除しなければ!』

 

『向こうの世界で見たテガジューンは何だか悲しそうで、苦しんでるように思えました。神様というのはそういった相手を救うのが役目なんじゃないんですか?』

 

『むぅ、しかし』

 

『僕にも何かできる事があれば』

 

 グーデバーンは苦しむテガジューンを救いたいと考えていると突然テガソードの里での映像が映る。どうやらテガソードが無意識で繋いでしまったようだ。

「もうすぐクリスマスだしお母さんにプレゼントをあげたいんだけど、何がいいかな?」

 

 葵は禽二郎と角乃にプレゼントの相談をすると、禽二郎は笑顔で答える。

「家族からのプレゼントなら何でも嬉しいはずだぞ。大切なのは相手の事を思う気持ちだ」

 

「そうだよ葵くん。だからお母さんに君の気持ちが伝わるプレゼントをしよう」

 

『気持ちが伝わるプレゼント。・・・そうか!』

 

 プレゼントで気持ちを伝える。その答えを得たグーデバーンはその準備に取り掛かった翌日。事は動き出した。

「ホエル!お母さんが変な人に攫われた!」

 

 母であるさゆりと買い物に行っていたはずの葵は、息を切らして帰ってくるなりホエルにそう告げた。

「変な人?」

 

「テレビでよく見るAI会社の社長!」

 

「クオンか」

 

「お母さんを解放して欲しいならホエルをここにって」

 

 葵はホエルに決戦の場所を記したメモを渡すと、ホエルは葵の頭を撫でてからメモに記された場所に向かおうとする。

「管理人は俺が必ず連れ戻す。クリスマスの準備をしとけ」

 

 ホエルがテガソードの里を出ようとすると陸王たちもそれに続く。

「僕らも行くよホエル君」

 

「管理人には我々も縁があるからな」

 

「そうかよ。ならとっとと連れ戻して葵の準備を手伝うぞ」

 

 ゴジュウジャーはクオンの指定した決戦の場へと到着すると、ホエルはクオンを睨みつけながら問い詰める。

「クオン!管理人を何処にやった?」

 

「彼女なら僕の中さ!」

 

 クオンはノーワンが人間を取り込むのを応用して自身の中にさゆりを取り込んだようだ。

「僕はテガジューンを取り込んでいる。つまり僕がノーワンワールドの支配者。さぁ、ノーワンワールドのすべてを賭けた最終決戦。開幕だ」

【ガリュード】

 

「「「「「エンゲージ!」」」」」

【ワイルドパワーアップ!】

【ゴジュウレオン!】

【ゴジュウティラノ!】

【ゴジュウイーグル!】

【ゴジュウユニコーン!】

 

 テガジューンガリュードへと変身したクオンはファイヤキャンドルたち率いるブライダンを呼び寄せると、ホエルたちも変身する。

「ホエル、外野は任せてアイツとの決着をつけなさい」

 

「他の連中は僕らに任せろ!」

 

「あぁ、そうさせてもらうぜ」

 

 ワイルドゴジュウウルフはブライダンをゴジュウユニコーンたちに任せてテガジューンガリュードと向かい立つ。

「あの青い剣を使わなくてもいいのかい?」

 

「テメェにはこれで十分だ」

 

「強がっちゃって」

 

 とある事情からリョウテガソードを使えない為にワイルドゴジュウウルフとなっていたホエルはそれでもテガソードゴジュウウルフと同格のテガジューンガリュードに喰らいつく。

「ブーケ嬢を返せ!」

 

 そしてブーケがゴジュウジャーに攫われたと思い込んでいるファイヤキャンドルはゴジュウレオンと対峙する。

「彼女がそれを望むならそうするよ。だけど今の君たちの在り方を彼女が望むかい?」

 

「・・・チッ」

 

 テガジューンが取り込まれ、クオンに支配されているブライダンはブーケが望むものではない。それは理解しているファイヤキャンドルは何も言い返さない。こんな戦いは少なからず不本意だと感じているファイヤキャンドルは烈怒になる気はないようだ。

「先日は逃がしたが今回はそうはいかない!」

 

「ここで決着をつけるわよ!」

 

 ゴジュウイーグルと戦うMr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケークは今回を最後の決戦と定めて全力で挑む。

「僕は正直君たちの事を嫌いではない!だからこそ君たちの決意に全力で応えよう!」

 

「それで良い!」

 

 互いに全力でぶつかり合うゴジュウイーグルとMr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケーク。互いに一歩も引かない戦いの横でワイルドゴジュウウルフはテガジューンガリュードに押されていた。

【フィニッシュフィンガー!!】

 

「フンッ」

 

 ワイルドゴジュウウルフの必殺技をアッサリと捌ききったテガジューンガリュードはワイルドゴジュウウルフの首を掴む。

「昔から、お前は本当にグズだねぇ。そんなお前のせいで僕はどれだけ多くのものを失ったことか。あの時お前を追いかけてノーワンワールドに行かなければ。何度そう考えたことか」

 

「過去は過去だろうが!後ろばかり見ないで前を向きやがれ!」

 

「そうしたかった!だけどお前への感情が僕をグチャグチャにする!お前がいなくならない限り、僕は先には進めない!!」

 

 もがくワイルドゴジュウウルフを蹴り飛ばしたテガジューンガリュードは武器テガジューンにセンタイリングをセットする。

【ダイレンジャー】

 

 ダイレンジャーのセンタイリングを発動してリュウレンジャーを召喚したテガジューンガリュードは即座にリュウレンジャーを撃ち抜き、気力ボンバーをワイルドゴジュウウルフへとぶつける。

「ぐっ!?」

 

「ホエル、お前はジャンク品だ。・・・ジャンク品でいてくれよ。僕と同じようにさァ!!」

 

 力をそのままにテガジューンを分離させたテガジューンガリュード。すると兄弟は決意の名乗りを上げる。

「お前のすべてを僕が壊す。それは僕の唯一の願い。リングハンターガリュード。お前は僕の獲物だ!」

 

「俺の世界。もう誰にも壊させねぇ!はぐれ一匹ゴジュウウルフ。お前は俺の獲物だ!」

 

「ナンバーワンバトル!Ready?Go!」

 

 ワイルドゴジュウウルフとテガジューンガリュード。ホエルとクオンの最後の兄弟対決。そのゴングが鳴らされた。

「ようやくお出ましだ。グーデバーン。覚悟はいいな?」

 

『はい!準備は出来てます。行けます!』

 

 遅れて参戦してきた真白とグーデバーンはテガジューンと対峙しようとすると、テガソードもその場に駆けつける。

『ゴジュウジャーよ。私に力を貸してくれ!』

 

「竜義!」

 

「心得た!今参りますテガソード様!」

【アウェイキング!】

【アライジング!】

 

「「超越人神一体!」」

【リョウテガソード!降臨!】

 

 竜義と角乃は2人でリョウテガソードに人神一体してグーデバーンと並び立つ。

「女王!今加勢に・・・」

 

「悪いね。今日の君は僕の相手だ」

 

 テガジューンに加勢しにいこうとするファイヤキャンドルはその行く手をゴジュウレオンに阻まれる。

『テガナグール!何故お前はそうあれるのだ!何故私はこうなのだ!』

 

 怒りや悲しみで今にも壊れそうなテガジューンはリョウテガソードを押し退けるとグーデバーンに銃撃を浴びせながら接近し、何度も殴りつける。リョウテガソードはテガジューンを掴み引き剥がすと下がらせようとしてきた。

『テガナグール!お前は逃げるのだ!』

 

『嫌だ!僕は逃げない!逃げちゃいけないんだ!僕はあなたたちの息子で、あの時感じた感情。凍えた心を温めたい!だから僕は前に出る!』

 

 リョウテガソードの手を払い除けて前に出たグーデバーンは『とっておき』を取り出して、それをテガジューンへと飛ばす。

『これは!!』

 

 最初は抵抗しようとしたテガジューンだが、それは攻撃ではないことを理解する。それはなんと赤い手編みのマフラーだった。マフラーはテガジューンの首に巻き付けられるとグーデバーンはテガジューンに歩み寄る。

『プレゼントだよ。夜なべして作ったんだ』

 

『・・・間違っていたのは私だったようだな』

【インフィニティディバイド!】

 

 空に向けて光線を放ったリョウテガソードはその軌道で『Merry Christmas』と文字を描く。

『立派になったな。グーデバーンよ』

 

『父さん、今僕の事を・・・』

 

『温かいな。本当に』

 

 グーデバーンの横に立つようにテガジューンに歩み寄ったリョウテガソード。テガジューンは冷え切っていたはずの心が温められる。グーデバーンのプレゼントであるそのマフラーは彼女だけでなくブライダンたちにも『温かさ』を伝達させた。

「ねぇダーリン。女王様って寂しかったのね」

 

「そうだな。まさか彼らに気づかされるとは」

 

 Mr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケークはゴジュウイーグルに再び深々と頭を下げる。

「ありがとう!」

 

「あなたたちのおかげよ。だからこそ」

 

「次の一撃で決着をつけよう」

 

「あぁ。そうしよう」

【フィニッシュフィンガー!イーグル!!】

 

 わだかまりが無くなり戦う理由はなくなった。だからこそ決着をつけるために互いに最後の刃を振るう。その一撃に敗れた夫妻にゴジュウイーグルは語りかける。

「待っているぞ。いつの日か君たちと茶飲み友達になれる日を」

 

「それは悪くない。そうだろ?ハニー」

 

「そうね。ダーリン」

 

「・・・チッ、冷えてきやがった」

 

 ゆっくりと意識を失った夫妻。ファイヤキャンドルもこの場は矛を収めそれぞれの決着がついた頃、ワイルドゴジュウウルフとテガジューンガリュードだけがまだ戦いを続けていた。

「ウオォォッ!!」

 

「ヴァァァァ!!」

 

 互いに消耗しきったワイルドゴジュウウルフとテガジューンガリュードの刃が互いを斬りつける。両者が同時にその場に倒れ込むとホエルもクオンも変身が解除された。

「本当は、昔からお前が羨ましかった。いつだってあるがままでいられるお前が」

 

「羨ましい?そりゃこっちのセリフだ。お前は昔から何でも出来てさ、何でも1番で、俺の憧れだった」

 

「いいや、俺の方が本当は何もないんだ。ただ『できる』だけで、お前はいっぱい『持っていた』んだ。だから俺はお前を倒してお前になる!」

 

 自分を偽る事なく本当の自分でホエルと話すクオンは上半身を起こし、武器テガジューンを拾い上げる。

「そうしなきゃ俺は、生きられない」

 

「ごめん。兄ちゃん。兄ちゃんは俺を助けるためにノーワンワールドまで来てくれてた。ずっと謝りたかった。だけど怖かった」

 

「今更謝るなよッ!もう遅いんだよッ!」

 

 涙するクオンに何度でも謝るとホエルも立ち上がる。

「兄ちゃん!何度でも謝る!許してくれ!」

 

「許さない!俺から怒りまで持って行くな!ホエル!!」

 

【ゴジュウウルフ!】

【ガリュード】

 

 最後の力を振り絞って変身したホエルとクオン。お互いの感情を込めた一撃がぶつかり合うと、爆炎を掻き分けて前に出たゴジュウウルフはテガソードをテガジューンガリュードに突き刺してさゆりを救い出す。テガジューンガリュードから引き抜かれたさゆりは取り込まれた場所に転送されると、テガジューンガリュードの変身が解除され、彼の持っていたセンタイリングはすべてゴジュウウルフが掴み取った。

「ゴジュウウルフ!WIN!」

 

 兄弟最後の戦いを制したのはゴジュウウルフ。遠野ホエルとなった。




次回「罪と罰の受け皿」
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