性格の悪さを神様に買われて加護を得ました   作:フーツラ

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第10話 第五階層

「グギャー!」「ワォォーン!」

 

 ゴブリンとコボルトの威嚇を無視してショートソードで撫で斬りにする。その様子を見て後続のゴブリンとコボルトが怯む。つまり、お好きにどうぞってことだ。踏み込んでまた切り捨てた。4体は次々に煙になり、魔石が4つ転がった。

 

 第5階層は少々忙しい。モンスターがパーティーを組んで出てくるからだ。

 

「しけてんなぁ」

 

 しかし、実入りは少ない。普通にモンスターを倒しても魔石しかドロップしない。ゴブリンやコボルトだと一個100〜150円程度だ。初心者エクスプローラーが第5階層のクリアを急ぐわけだ。

 

 フロアボスを倒して強力なスキルを手に入れればダンジョン攻略は飛躍的に進む。それによって稼ぎもどんどん増える。エクスプローラー一本で生活するには第6階層より先に進まなければならない。というのが一般的らしい。

 

 俺はドロップアイテムに恵まれる加護があるので低層でも問題なく稼げるが、どうせならもっと稼ぎたい。

 

「グギャギャギャ!」

 

 ゴブリンが3体、角から躍り出てきた。盾持ちゴブリンが前に出て、その後ろから槍持ちゴブリンが2体、此方の様子を伺っている。

 

「低能な生物がエクスプローラーの真似事か?」

「グギャー!」

「おい、盾持ち。それでヘイトを集めているつもりか?」

「ギギギ!」

 

 盾持ちの後ろから槍が突き入れられる。ショートソードで刃先を払うと体勢を崩して盾持ちとぶつかった。

 

「ははは!やる気はあるのか!遊んでないで殺しに来いよ!」

 

 怒り狂った盾持ちが盾を突き出して向かってくるが、ショートソードの腹で受け止め、今度は全力で押し返す。盾持ちは後ろで構える槍持ちの槍に刺され、絶叫して暴れる。

 

 完全に連携の崩れたゴブリン達をさっさと処理すると、魔石3個と初級ポーションが2個。やはり性悪の神様は素晴らしい。フロアボスのスキルオーブにも期待だ。

 

 

 

 

 第5階層に入って4時間ぐらい経った頃、フロアボスのいる大部屋が見えてきた。大部屋を通らないと第6階層への階段には到達出来ない。

 

 大部屋の前では若いエクスプローラーのパーティーが2つ、順番待ちをしていた。フロアボスが倒されるか、エクスプローラーが全滅するかしないと大部屋は開かない。

 

 パーティーに近づいて挨拶すると、どちらのパーティーも愛想よく返してきた。こんなところで険悪になっても仕方ないのでちょうどいい。

 

 30分ぐらい待った頃、大部屋の入り口がズズズと開いた。中は見事に空っぽだ。きっとモンスターハウスと同じ様にエクスプローラーが入ってからフロアボスが現れるのだろう。

 

 先に待っていただろうパーティーが声を出して気合いを入れ、大部屋へと入って行った。

 

 大部屋の入り口が閉まる音が響き、その後は静寂が広がる。

 

「……あのー」

 

 若い4人パーティーの内の1人が話しかけてきた。線の細い男だ。

 

「なんだ?」

「急に話しかけてすいません。違っていればすいません。クーラーボックスの人ですか?」

「違うな」

「……すみません。何度か見たことあったんですけど、勘違いだったみたいです」

 

 男は申し訳なさそうにして頭を下げる。

 

「誰にでも間違いはある。気にするな」

「ありがとうございます。ところで、お一人で挑むんですか?」

「そうだ」

「やっぱり加護持ちだと強いんですね。羨ましい」

 

 首の刻印に視線を感じる。

 

「なんの神様の加護か聞いても良いですか?」

「釣りの神様だ」

「「「「えっ!」」」」

 

 パーティー全員が声を上げる。

 

「何かおかしいか?」

「……いえ、そんなことないですけど、」

 

 後ろの3人が小声で何か言い合っている。

 

「そんなことより、準備しなくていいのか?そろそろ順番が回ってきそうだぞ」

 

 俺がそう言った少し後に、大部屋の入り口が開いた。

 

「そうですね。行ってきます!お互い頑張りましょう」

 

 そうだな。俺のやり方で頑張ろう。

 

 

 

 

 俺に話しかけてきたパーティーが大部屋に入ってから15分ぐらいが経過した時、ズズズと入り口が開いた。

 

 中は空っぽだ。さっきのパーティーも先へ進んだのだろう。何も残されていないので少なくとも全滅はしていない筈だ。

 

 エクスプローラーはダンジョンで死ぬと体は煙になって消え、持ち物だけが残される。そこはモンスターと平等だ。

 

「さて、行くか」

 

 わざとらしく声を上げて大部屋に入る。大部屋の中は30m四方はあるだろうか。今はまだがらんとしている。

 

 背後で入り口が閉まる音がした。

 

 床が輝き、魔法陣の様なものが浮かぶ。全部で6つ。一つだけ明らかに大きい。

 

「グギャギャギャ!!!」

 

 光の収束と共に姿を現したのは筋骨隆々としたハイゴブリン1体とその取り巻きのゴブリン5体だ。

 

 ハイゴブリンは俺を見てニタニタと嬉しそうに笑う。

 

「何が嬉しいんだ。デカミドリムシ」

「ギャギャギャギャ!」

 

 ハイゴブリンが何か言うと、取り巻きゴブリン達も笑い出した。

 

「別に1人でもお前らなんぞ敵じゃない」

 

 俺の言葉を聞いてハイゴブリンが腹を抱えて笑っている。

 

「でもこの日の為に準備してきたからな」

 

 取り巻きゴブリン達も腹を抱えて笑っている。

 

「数には数で対抗しよう」

 

 俺はマジックポーチから召喚オーブを一握り取り出して念じる。

 

「ゴブ隊、出てこい!」

 

 召喚オーブが輝き、ゴブリンが5体現れる。まだ足りない。もう一握り召喚オーブを取り出して念じる。

 

「ゴビ隊、出てこい!」

 

 召喚オーブが輝き、ゴブリンが5体現れる。まだまだ足りない。もう一握り召喚オーブを取り出して念じる。

 

「ゴバ隊、出てこい!」

 

 召喚オーブが輝き、ゴブリンが5体現れる。

 

 総勢15体のゴブリンは俺から金属バットを受け取り、ハイゴブリン達に睨みを利かせる。

 

「どうした?もう笑わないのか?デカミドリムシ」

 

 ハイゴブリンの表情が冴えない。焦りすら感じられる。

 

「ははは!なんだその顔は!さっきまでの威勢はどこに行った?」

「グギャギャギャ!」

 

 ハイゴブリンが取り巻きゴブリンに何か指示を出すが、取り巻きゴブリンはお互いに顔を見合わせて動かない。

 

「ゴギャゴギャゴギャ!」

 

 ハイゴブリンが怒鳴り散らすが、やはり取り巻きゴブリンは動かない。

 

「おい、取り巻きども。こっちにつけば悪い様にはしない。どうする?」

 

 取り巻きゴブリンの内の1体が此方に走ってきて、ゴブ隊の横についてハイゴブリンに錆びた剣を向けた。

 

「ゴギャ? ゴギャゴギャゴギャ?」

「ははは! 傑作だな! 他の奴等はどうするんだ?」

 

 残りの4体も此方に走ってきて、ハイゴブリンに刃を向けた。

 

「ゲギョゲギョゲギョ!!」

「よし、やれ!」

「「「「「「ギギギ!」」」」」」

 

 ゴブリン達が一斉に走りだし、ハイゴブリンを金属バットで滅多撃ちにする。

 ハイゴブリンも反撃を試みるが全方位から殴られているのでまともなダメージは此方にない。

 

「もっとだ!徹底的にやれ!生まれたことを後悔させてやれ!」

「「「「「「ギギギ!」」」」」」

 

 ハイゴブリンは脚をやられたのか地面に倒されて俺からは姿が見えない。悲鳴が聞こえるので多分まだ生きているのだろう。

 

「よし!もういいぞ!引け」

 

 ゴブリン達は俺の号令を聞いて一斉に引き上げる。その後に残されたのは微かに動くハイゴブリンだ。

 

「無様なものだな。ハイゴブリンの癖にゴブリンにボコボコにされるなんて」

 

 俺はゆっくりとハイゴブリンに近づき、とどめを刺した。

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