性格の悪さを神様に買われて加護を得ました   作:フーツラ

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第12話 鑑定結果

日本エクスプローラー協会の本部は日比谷公園内にある古い建物の中に置かれている。昔は建物の一フロアだけ借りていたらしいが、業務の拡大に伴い、今では6階建の建物ほぼ全てをエクスプローラー協会で使っているらしい。

 

鑑定サービスのカウンターはその歴史的建造の2階にある。受付に「冒険しよう!」アプリの通知を見せると、ソファーに座って待てと言われた。

 

「また待つのか」

「楽しみ」

 

黛奈々は当然のようについてきた。断ろうと思ったが、断っても意味がないことに気付き、同行を許可した。こいつはその気になればその存在を透明に出来るのだ。気分次第で世界中のどんな情報だって得られるに違いない。

 

少しあって、中年男性がこちらにやってきた。

 

「根岸三郎さんですね?」

「ああ、そうだ」

 

俺はアプリの本人確認画面を男に見せて納得させた。

 

「この封筒の中に鑑定結果が入っています。あと、お預かりしていたモノも返します。受け取り欄にサインをお願いします」

 

 そう言って男は書類と封筒とスキルオーブの入っている箱を渡してきた。俺はさっとサインを済ませ、そのままスキルオーブをマジックポーチへしまう。

 

「非常に興味深い鑑定結果です。もしご自身で使われない場合は協会までお願いします。悪いようにはしない筈です」

「生憎だが初めてなんだ。自分で使う」

「そうですか。分かりました。では、私はこれで」

 

男はそう言うとカウンターの向こうに戻っていった。

 

「見たい」

 

 大鎌をふりふりして黛がアピールする。一応、刃の部分にはカバーが付いているが、デカイ金属なので危ない。そもそも重くないのか疑問だ。

 

「ここでか」

「ここで。今。ライトナウ」

 

 わかってはいたが、こいつは我慢とかしないタイプだ。

 

「落ち着け」

 

 俺は封筒から3つ折りの紙を取り出して少しだけ中を開いた。

 ほう。これは使えそうだ。

 

「なんだった?」

「ここでは言えないな」

「なら見せて」

「声にだすなよ」

「出さない」

 

 俺は封筒の中身を黛に渡した。黛はゆっくりと開く。

 

「面白い」

 

 そう、面白い。非常に面白い。

 

 

 

 

「いいのか?」

「いい」

「後悔するなよ」

「しない」

 

 俺達は日比谷公園から移動して新橋駅近くのホテルにいる。俺は安いレンタルルームでもよかったが、流石にそこは気を遣った。

 

 じっと俺を見つめたままの黛に触れる。

 

「んっ」

 

 黛が小さく息を吐いた。俺は集中する。

 

「いくぞ」

「うん」

「くっ」

 

 身体から力が吸い取られ、視界が低くなる。

 

「……すごい」

「変わったか?」

「服、着たままなんだね」

「裸になると思ったか?」

「うん」

「着たままの方が良かっただろ?」

 

 俺は黒いワンピースに触れる。

 

「別に。見られても平気」

「ふん」

 

 俺は姿見の前に立ち、全身を観察する。

 

 黒髪のツインテール、黒のワンピース、華奢な手足。どこからどう見てもこの姿は黛奈々だ。

 

「声まで変わるのか」

 

 自分の口から出る高い声に妙な気分になる。

 

「私がいる」

 

 俺を見て黛が言った。本人からのお墨付きも出た。見た目だけなら完璧ということだ。

 

 そう、俺がスキルオーブから得たスキルは【変身】だ。鑑定結果によると、一度触れた生き物に変身出来るスキルだ。

 

「戻れるの?」

「さあな」

「ダメ。戻って」

 

 俺は元の自分を意識した。

 

「くっ」

 

 身体から力が抜け、視点が高くなる。いつもの慣れた高さだ。

 

「よかった」

 

 黛が少し嬉しそうな顔をしている。

 自分の身体を見ると、ちゃんと服も戻っている。

 

「戻っているか?」

「うん。大丈夫」

 

 自分の声が自分の声だ。

 

「わかっていると思うが、口外するなよ」

 

 エクスプローラー協会の鑑定サービスには守秘義務が課せられる。一部で共有されることはあるかもしれないが、おおっぴらに俺がこのスキルを持っていることが公開されることはない。漏れるとすれば、黛からだ。

 

「誰にも言わない。そのかわり……」

「なんだ?」

「フレンド登録して」

「容易い」

 

 スマホを取り出して「冒険しよう!」アプリでフレンド登録を済ます。よく見ると黛の瞳に喜色が浮かんでいた。

 

「死神も笑うのか」

「笑ってない」

 

 嬉しそうにスマホの画面を眺める黛に妙な気分になった。

 

「せっかくだ。飯に行くか?」

「行く」

 

 黛はさらに瞳を輝かせた。

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