性格の悪さを神様に買われて加護を得ました   作:フーツラ

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第15話 和久津の冒険

「おおお!結構集まってるっす!」

 

 第6階層に転移した先には人、人、人。50人は超えてるじゃないかな? これみんな、掲示板を見てユニーク狩りに集まったエクスプローラー? マジ凄い熱気。たまらねぇっす。

 

「わ、ヨコチン!」

 

 有名なエクスプローラー系YouToberのヨコチンがアクションカメラ付きのヘルメットを被って準備をしている。

 

 ヨコチンはゴリゴリマッチョで肉弾戦を得意にしていて、素手でモンスターに立ち向かうシリーズが有名だ。オーガとノーガード殴り合いする動画は1000万再生を超えていて、俺も何度も見た。

 

 ヨコチンの周りにはスタッフぽい男女もいて、ハンディカムも回っている。どうやら本当に今日のユニーク狩りを配信するつもりらしい。やばい、楽しくなってきた!

 

「皆さん!ヨコチンのマネージャーをしている田村由美と申します!本日は第6階層で目撃情報のあったオークキングの討伐を配信したいと思います!ご協力頂ける方はグループチャットに招待したいと思いますので私のところまで来てください!」

 

 これは! ヨコチンと知り合いになるチャンス! 出来れば田村さんともお近づきになりたい! 

 

 俺は急いで田村さんの所へ行く。

 

 人だかりを掻き分けて辿りつくと、田村さんは「冒険しよう!」アプリでフレンド登録してくれて、グループチャットに加わることが出来た。これでいつでも田村さんにDM出来る!

 

「グループチャットに加わった方は自由に探索を始めて頂いてかまいません!そのかわりオークキングを見つけたらグループチャットでマップ情報を送ってください!ヨコチンが駆けつけます!皆さんも集まってください!見つけた方にはもちろん謝礼を払います!!」

 

 そりゃー、ユニークモンスターを譲るんだ。謝礼は貰わないとね! よーし探すぞー。オークキングは俺が見つけるっす!

 

 まだ他のエクスプローラーが向かってなさそうなところに目星をつけてぐいぐい進む。ちょくちょく普通のオークに遭遇するが、1対1なら遅れを取ることはない。スキルも必要ない。いざオークキングと遭遇した時のためにスキルは温存してしておかないと。

 

「今日は調子がいいっす!」

 

 さくさくオークを倒しながら小走りにダンジョンを進む。時々スマホで他のエクスプローラーの状況を確認するが、今のところグループチャットにオークキングの情報はない。

 

「よーし! マジで見つけて有名人になってやるっす! 道で歩いてたら、和久津さんですよね? って言われるようになるっす」

 

 意気揚々と俺は先へ進んだ。いざ、オークキング!

 

 

 

 

 2時間ぐらいダンジョンを歩きまわった頃、グループチャットに変化があった。オークキングぽいやつを見つけた!でも逃げられた!みたいな書き込みがいくつも上がり始めたのだ。

 

添付のマップ情報を見るとここからそれほど離れていない地点で複数の目撃情報がある。ヨコチンもこの付近が怪しいってことで向かって来ているらしい。これはマジでヨコチンと仲良くなれるかもしれない!

 

「……うん?」

 

背後から嫌な気配がした。別にスキルではないけれど、エクスプローラーのカンってやつだ。岩陰に身を隠しながら振り返りると遠くに動く影が見える。

 

マジックポーチから双眼鏡を取り出して覗くとそこにはオークの姿。だが! しかし! 普通のオークじゃない! マントと王冠! オークキングだ! きたー!!

 

叫びそうになるのを我慢し、素早くスマホを取り出してグループチャットに書き込む。

 

"オークキング発見!!場所はここ!"

 

"でたー!オークキングだ!"

 

"まだいる?"

 

"まだいる!ゆっくり歩いてる。みんな早くきて!!"

 

"もうすぐ着く!!"

 

チャットをしている内にエクスプローラー達が集まってきた。みんなオークキングに気付かれないように静かにしている。そして真打登場。ヨコチンだ!走って来たのか額に汗が浮かんでいる。スタッフの男性と田村さんも一緒だ。

 

"それでは以降はヨコチンにお任せください!危なくなったら助けて下さいね!笑"

 

田村さんの書き込みのあと、みんなの前にヨコチンが立った。田村さんがマジックポーチからコンパウンドボウを取り出し、オークキングに狙いをつける。まだ200メートルぐらいありそうだけど、釣るだけなら問題ない。

 

「やっ」

 

控えめな声が響き、次の瞬間、オークキングがこちらに身体を向けた。当たったかどうかは分からないが、こちらに気付いたのは間違いない。

 

「全員、戦闘準備!!」

 

 ヨコチンが声を張り上げた! 俺も短槍を構えて戦闘体制だ! ヨコチンが1番前で、15人ほどのエクスプローラーが後ろで控えている。ダンジョンの通路はエクスプローラーでいっぱいだ。

 

「来る!」

 

ヨコチンがそう叫んだ頃にはオークキングはすぐそこまで来ていた。オークのくせにめちゃくちゃ足が速い!どうなってんだよ。

 

「来い!」

 

 ヨコチンがグローブを鳴らして威嚇する! やばい! 動画で見たことあるやつだ! めっちゃあがる!

 

 オークキングが剣を振りかぶった。

 

「なっ!」

 

 ヨコチンはオークキングが投げた剣を躱し、体勢が崩れたところをオークキングがタックル! ヨコチンが軽く吹っ飛ばされた! オークキングやばい!

 

 周りのエクスプローラーもまさかの展開に呆気に取られると、オークキングはお構いなしにこっちに突っ込んできた。

 

「くらえ!」

 

 パワー系のエクスプローラーがメイスを振うが、オークキングは身体を捻りながら躱し、バックブローを叩き込む。

 

「「ぐえっ」」

 

 吹っ飛ぶメイス野郎に2人のエクスプローラーが巻き込まれて被害は拡大する。

 

 オークキングは倒れていたヨコチンの両足を両脇に軽々抱え、その場で回転を始めた。ジャイアントスイングだ。そしてエクスプローラーの方に投げつける。

 

 5人くらいのエクスプローラーがヨコチンの巨体で更に吹っ飛ぶ。もうめちゃくちゃだ! 包囲網は完全に破られた。

 

 オークキングはスタッフの男性のもつハンディカムをチラ見したあと、悠々と走り去っていく。

 

「みんな、追って!! ヨコチンは大丈夫! たっかいポーション飲ませたら追いかけさせるから! お願い!オークキングを追って!!」

 

よし! 今度は追いかけっこだ!

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