性格の悪さを神様に買われて加護を得ました   作:フーツラ

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第25話 金策の日々

 午前6時。周りの様子を伺う。人の気配はない。いつも通りだ。俺は第4階層のモンスターハウスの前まで来ている。

 

 こんな早朝から低層に潜るやつなんていない。だから好きに出来るのだ。俺はマジックポーチからゴブリン珠こと召喚オーブを取り出し、いつもの奴等を呼びだす。

 

「ゴブ隊、出てこい!」

 

 1番の古株。最早、風格すら漂うゴブとその手下が現れた。

 

「ゴビ隊、出てこい!」

 

 人懐っこい顔のゴビがニコニコしながら隊員と現れた。

 

「ゴバ隊、出てこい!」

 

 ゴブリンの中ではイケメン? らしいゴバが手下と格好付け合っている。

 

「よし!今日もいくぞ」

 

「「「「「ギギギ!」」」」」

「「「「「ギギギ!」」」」」

「「「「「ギギギ!」」」」」

 

 俺は15体のゴブリンと一緒に第4階層のモンスターハウス、通称コバルト鉱山に足を踏み入れた。モンスターハウスは入った人数×10体のモンスターが出現する。今回は160体のコボルトが出てくる。昔は40体だったのに大きな進歩だ。

 

 四方の壁が脈動を始めたのを確認し、慌ててゴブリンたちを召喚オーブに戻した。マジックポーチから酸素ボンベとマスク、そして二酸化炭素の入ったボンベを何本も床に転がす。

 

 以前はドライアイスに水をかけて二酸化炭素を発生させていた。これが非常に面倒くさいし部屋の二酸化炭素濃度を上げるのにも時間がかかった。

 

 そこで登場したのが二酸化炭素ボンベ、居酒屋でいう炭酸ガスだ。マジックポーチのお陰で重いボンベも問題ないし、何より仕事が楽で早い。

 

 俺はしっかり空気ボンベとマスクを装着し、漏れのないことを確認してから二酸化炭素のバルブを緩めた。

 

 シューー

 

 勢いよく二酸化炭素が出て密室の中に満ちていく。あとはひたすら待てばいい。さて、いよいよ壁の亀裂からコボルトが出てくる。

 

「「「「オエー!」」」」

「「「「オエー!」」」」

「「「「オエー!」」」」

「「「「オエー!」」」」

 

 コボルトの嘔吐反射がステレオ、いやサラウンドで聞こえる。コボルト達は床に崩れ落ち、次のコボルトに踏まれる。

 

「「「「オエー!」」」」

「「「「オエー!」」」」

「「「「オエー!」」」」

「「「「オエー!」」」」

 

 どんどんコボルトが煙となり地面にコバルト結晶が残る。

 

「「「「オエー!」」」」

「「「「オエー!」」」」

「「「「オエー!」」」」

「「「「オエー!」」」」

 

 この調子で行けば一回のモンスターハウスで1000万は間違いない。

 

「「「「オエー!」」」」

「「「「オエー!」」」」

「「「「オエー!」」」」

「「「「オエー!」」」」

 

 コボルトの嘔吐を聞く。これが俺のモーニングルーティンだ。

 

 

 

 

 午後は午後で忙しい。今日は落武者チャンネルの撮影だ。今回は初のフロアボス落とし穴チャレンジ。そもそも第10階層のフロアボス自体が初めてなのでかなり慎重に準備をしてきた。落武者チャンネルで死者を出す訳にはいかない。

 

「どもー! 落武者ワクツでーす!」

 

 和久津がカメラに向かって挨拶をする。随分とこなれてきたものだ。

 

「本日はーなんと! フロアボスの落とし穴チャレンジです!」

 

 和久津がチラッとボス部屋の方を見る。幸いなことに待ちパーティーはいない。自分達のタイミングでボスに挑むことが出来る。

 

「いやー、実は第10階層のフロアボス、初めてなんですよねー! 第10階層のフロアボスはそう! オークジェネラルです!」

 

 和久津が編集を意識してオークジェネラルを紹介する。

 

「オークジェネラルと言えばオークキング、オークチャンピオンに次ぐオーク系のモンスターなんです! まっ、オークキングは人間って説もありますけど、僕は全く信じておりません! あれはオークです!」

 

 オークキングことヨコチンのマネージャーには話を通してある。近い内にコラボする予定だ。

 

「それでは、早速行ってみましょう!落武者ワクツの落とし穴チャレンジ!今日のターゲットは、オークジェネラルゥゥ!!」

 

 一度カメラを止める。

 

「和久津。分かってるな。とにかく逃げろ。何があっても逃げろ。どうしても無理な時は切り札だ」

「切り札って大丈夫なんですか?これ」

「俺が嘘言ったことあるか?」

「嘘を認めないだけじゃないですかー!」

「準備はいいか?」

「スルー!もういいですよ!行っちゃいましょう!」

 

 随分と思い切りがよくなったものだ。自信に満ちているのがわかる。流石は登録者数100万だ。

 

「カメラ回すからな」

「いいっすよー」

 

 和久津と一緒にボス部屋に入る。背後で扉が閉まり大きな魔法陣が地面に描かれ、徐々に狭まって消える。

 

「ブヒヒイイイイィ!」

「うわ! デカイ! ヤバイ!」

 

 和久津が取り乱した。これは演技ではない。本当にびびっている。それぐらい、オークジェネラルは今までのモンスターとは違っていた。2メートルを遥かに超える近い巨漢に巨大なハルバードを持っている。

 

「全然想像よりデカイっすわ! こんなの1人で相手するの無理っしょ!」

 

 ゆっくりとオークジェネラルが歩き始めた。

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