性格の悪さを神様に買われて加護を得ました   作:フーツラ

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第28話 面倒くさい

 はぁぁ。めんどくさいなぁ。なーんで僕が働かなくちゃならないんだよう。富沢さん、人使い荒いよなー。

 

「目々野さん、奴が移動しますよ」

 

 構成員Aが言う。名前は忘れた。昔からいるから顔は分かるんだけど、いつも名前がわからない。顔に名前を書いておいてほしい。

 

「落武者はダンジョンを出るみたいですよ。奴が1人になるチャンスでは?」

 

 構成員Bが囃し立てる。名前は忘れた。こいつ新入りの癖に生意気だなー。

 

「わかったわかったよー。追えばいいんでしょうう」

 

 今回の標的は根岸なんとか。一度富沢さんが挨拶という名の脅しをかけたんだって。そして今日は回収の日。レアな加護持ちだから必ず連れて来い! 奴はカオスサーガに必要な人材なんだ! だってさ。だったら富沢さんが自分で来ればいいのにね。まぁ、富沢さんの加護は敵味方見境ないから捕獲には向いてないんだけどさぁ。人にお願いする時はもっと違う言い方があるよね?

 

「でもさー、奴が転移石で何処の階層に行くかわかんないじゃん? どうやって追いかけるのよー?」

 

 なんでこいつ等はそんなことも分からないんだろ。本当に使えないなー。馬鹿ってやだねー。

 

「それは大丈夫です。午後、奴は第5階層と第10階層のフロアボスを周回することが分かってます。ここ一か月ずっと変わってません」

「そーいうことはさー、先に言わないとわかんないじゃん?」

「事前のメールには載せておいたんですが……」

 

 構成員Bが不服そうだ。本当に生意気だなー。

 

「僕は! お前達と違ってすごーく忙しいの! 一々メールの細かいところなんて見てられないの! 大事なことはちゃんと分かるように伝えないと、意味ないよね?」

「……すみません。気を付けます」

 

 構成員Bはやっとしおらしくなった。ここは僕も大人になるとしよう。

 

「もういいよ。奴行っちゃったし。で、どっちから?第5階層でいいの?」

「はい。第5階層で大丈夫です」

「はぁぁー、面倒臭いなぁ」

「目々野さんお願いします」

 

 構成員Aが頭を下げてきた。Bも遅れて下げた。

 

「さっさと終わらせて帰るからねー」

 

 あー、やだやだ面倒臭い。これが終わったら3日は布団から出ない。決めた。僕はただ怠惰に過ごしたいのに、有能さ故に周りがそれを許さない。僕の才能がそうさせない。あぁ、辛い。

 

「目々野さん、行きますよ」

「わかってるって!!」

 

 はぁ、面倒臭い。

 

 

 

 

「目々野さん。ちょっとマップを見て下さい」

「なんだよー。奴について行くだけなんだからマップは関係ないだろー」

「奴、フロアボスの部屋に向かってないです」

 

 構成員Aが真剣な表情してるけど、正直どうでもいいんだよねー。僕が本気を出せばなんとでもなるし。

 

「じゃー、どこに向かっているの?」

「このまま行くとモンスターハウスか行き止まりです。奴、誘ってますよ」

「ふーん、じゃー丁度いいじゃん。このまま行っちゃおう。歩き回るの疲れちゃった」

「罠を仕掛けているかも知れません」

「じゃー、B。新入りのお前が先に歩いて」

「自分ですか?」

 

 また構成員Bは不服そうな顔をする。

 

「そう。お前。心配しなくても大丈夫だよー。奴が仕掛けるとしても罠は落とし穴程度だから。槍で地面を突きながら歩けば平気だって」

 

 考えれば分かると思うんだけど、本当に馬鹿だなー。落武者チャンネル観てたら分かるじゃん。奴の仕掛ける罠は落とし穴一択なんだから。事前調査足りてないんじゃない? こいつら。

 

「……分かりました」

「じゃー、サクサク宜しくー。僕は早く帰りたいんだから」

 

 構成員Bは納得いかない様子だが、流石に逆らいはしない。先頭に立って地面を突きながら進んでいる。まっ、Bが落とし穴に落ちても助けないもんねー、僕。

 

「ほらー、あんまりゆっくりしてると日が暮れちゃうよー」

「……はい」

「は! や! く! は! や! く!」

「……はっ、はい」

 

 

#

 

 

 Bがゆっくりゆっくり進んでいる間に奴の姿は全く見えなくなってしまった。使えなさ過ぎてうんざりだようう。

 

「目々野さん。ここを右に行くとモンスターハウス。左は行き止まりです。どうしますか?」

「はああぁ? 馬鹿なの? 2人いるんだからそれぞれが見に行けばいいじゃん」

「ですが、罠の……」

 

 Aが申し訳なさそうに口を開く。見ていてイライラする。

 

「今までのんびりのんびり歩いてきて罠あったー? 大体落とし穴なんて埋められる前に出ればいいだけじゃん? モンスター並みの知能しかないの? ちみたちはー」

 

「……わかりました。行くぞっ」

「……はい」

 

 構成員A、Bがそれぞれ角を曲がり姿が見えなくなった。あー、早く帰ってダラダラしたいよー。カップ麺食べたらアラーム掛けずにそのまま布団に入ってずっとずーーーっと寝てやる。大体さー、この案件、僕がわざわざくるよーなもんじゃないよねー。もう2人に任せて帰ってもいいんじゃないかなー。そうだよねー。もう帰っちゃお。そうしよー。

 

「目々野さん、こっちには誰もいませんでした!」

「こっちもです!」

 

 ちっ。戻って来るの早いよー。こいつ等。

 

「いないってどーいうことー? モンスターハウスの中は?」

「モンスターハウスは空いてました。誰も中に入ってません」

「それ、根岸なんとかがモンスターハウスで死んじゃったんじゃない? もうそれしか考えられないよねー」

「いえ、第5階層ですし、流石にそれはないかと……」

 

 あああ! 本当にBが生意気だよううー!

 

「じゃーどーすんのよ?」

「今度は自分が確認してきます!」

 

 構成員Aがモンスターハウスの方へかけていった。これでモンスターハウスに根岸なんとかがいたらマジでBしめてやる。富沢さんに言って処分だ。

 

「おーい、B。じゃなかった。新入り。お前は行き止まりを見て来いよ」

「かっ、かひ」

「えっ、何ー?」

「かっ、ゲホッ」

「おい、B。どうした。変だぞ」

「ゲホッゲホッゲホッ」

 

 Bが口から血を吐き出し地面に蹲った。あー、汚ーい。そして、その背後の壁からは槍が突き出されている。

 

「奴だー!!!」

 

 あああ! 嵌められたようう!

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