性格の悪さを神様に買われて加護を得ました   作:フーツラ

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第40話 目々野の日常

 あああー絶対に面倒くさいことになるようう!

 

 新しいボス、根岸なんとかに呼び出されてしまった。何もしてないはずだけどなぁ。何かあったかなぁ? ずーっと自分の部屋でダラダラしていただけなのに。

 

「ちょっと目々野さん! さっきからボスが会議室で待ってるんです! 早くしてください!」

 

 金髪の女が部屋の入り口で仁王立ちをしている。勝手に鍵を開けてこの態度だ。こいつはいつも僕を急かすから嫌いだ。

 

「10分で布団からでる。10分だけ待って」

「さっきもそれ言ってましたよ!もう待てません!」

「お、おかわり」

「出来ません! 今すぐ布団から出て下さい!」

「見られてると出ないんだようう。ほら、わかるだろう?」

「全然わかりません! 何の事言ってるんですか!? いいから出て! ほら」

 

 金髪女は僕の部屋に上がりこんできて布団に手をかける。

 

「いい加減に! 出て! 下さいっ!」

 

 バサッ

 

「ひゃー」

「キャー!! なんで裸なんですか! 死ね?」

「か、勝手に部屋に入ってきたんじゃないかようう! 一々服なんて着るわけないだろうう」

「いいから服着ろ! 殺すぞ!」

「……はい」

 

 納得いかないようううう!

 

 

#

 

 

「久しぶりだな。目々野」

「ひ、久しぶり、です」

 

 前のボスも苦手だったけど、新しいボスも苦手なんだよなぁぁ。何考えてるか分からないし。目が怖いし。早く布団に帰りたい。

 

「どうだ?何もせず自分の部屋でダラダラする日々は」

「さ、最高」

「俺のお陰だな。勝手にメシも出てくるし、何不自由ない生活だ」

 

 ああああー、これは絶対に何かやらされる流れだようううー!恩着せ!がましい!

 

「カンシャシテマス」

「そうか。よかった。で、今日呼び出したのはな……」

 

 来たああああ! 絶対に面倒くさいやつだようう!

 

「プレゼントを持って来た」

「えっ?」

「プレゼントだ。しかもレアな魔道具だぞ」

 

 なんでなんでなんで! ボスはマジックポーチを漁り始めた。

 

「ちょっとデカイぞ。っと、これがプレゼントだ」

 

 出てきたのはデカイ箱みたいなもの。

 

「これは【転移】のスキルが付与された葛籠だ。もともとは2つセットの魔道具なんだが、もう1つは他のところにある」

「はぁ」

「この魔道具は凄いぞ。一方の葛籠にモノをいれて蓋を閉めると、もう片方の葛籠に転移するんだ」

「はぁ」

「この葛籠を目々野の部屋に置いておく。何か転移してきたら箱が光るから、その時は適当に対処して俺に連絡をくれ」

「はぁ」

「目々野。人にプレゼントを貰ったらどう言うんだ?」

「あ、アリガトウゴザイマス」

 

 納得いかないようううう!

 

 

#

 

・・✴︎ ・・✴︎ ・・✴︎ ・・✴︎ ・・✴︎ ・・✴︎ ・・✴︎ ・・✴︎ ・・✴︎ ・・✴︎ ・・

 

 くそ! また来た。こうなったら見て見ぬふりだ。布団かぶって数分待てば葛籠の点滅もおさまるだろう。ボスはなんて厄介なものを置いてったんだ。完全に嫌がらせじゃないかようう!あああー、面倒くさい面倒くさい面倒くさい! もう大丈夫かな? チカチカ点滅はおさまったかな?ちょっと見てみようか。布団の中からそっと。

 

✴︎・✴︎ ・✴︎ ・✴︎ ・✴︎ ・✴︎ ・✴︎ ・✴︎ ・✴︎・✴︎・✴︎・✴︎・✴︎・✴︎・✴︎・✴︎・✴︎

 

 むしろ点滅が激しくなってる! どういうことだようう! 部屋の中でこんなでっかい葛籠が点滅してたら落ち着かないだろうう!

 

 ガリガリガリガリガリガリ

 

 うわわわわ! なんか動いてる! ああー、もう無理もう無理。金髪女を呼んでなんとかしてもらおう。メッセージするのは面倒くさいが、仕方ない。

 

"たすけて"

 

"え、どうしたんですか?目々野さん"

 

"きんきゅうじたい"

 

"何があったか教えて下さいよ!"

 

"しんにゅうしゃ"

 

"え?そんなまさか!"

 

"ほんとう"

 

"とりあえず行きます"

 

 よし。これで大丈夫だ。あとは全て金髪女に任せよう。僕は寝る。3日寝る。いや、4日だ。うん、おやすみ。すーぴーすーぴー。あー、意識の遠くの方で部屋の鍵が開く音がする。来たか。金髪。

 

「えっ!目々野さん、なんですかこの光ってるのは?」

 

「うーん、ボスからのプレゼント」

 

「中から音がしてますよ!」

 

「中のモノ、捨ててきて」

 

「えっ、中に何が入ってるんですか?」

 

「わからない」

 

「ちょっと!なんですかそれ!自分でやってくださいよ!」

 

「面倒くさい」

 

「ふざけないで下さい!さっさと布団から出て!あっ、服着てますよね?」

 

「着てない。だから出られない。永遠に布団の中」

 

「えええー!本当に私がやるんですか?」

 

「ボスにスキルオーブ貰ったら、お前にやる」

 

「……本当ですか?」

 

「ほんとう」

 

「……分かりました。やります。蓋、開けます」

 

 布団の隙間から覗くと、金髪女が葛籠の蓋を抱えるように持ってゆっくりゆっくり開けている。

 

「ちょっと、本当におっきいですね。この箱。人間も入れちゃいますよ」

 

もう少しで蓋が開く。さあ、さっさと蓋をあけて中のものを捨ててきて。僕は寝るから。

 

「えっ」

 

 ガリガリガリガリガリガリガリガリ

 

 何かを引っ掻くような音が部屋に広がった。全くなんだようう。落ち着かない。

 

「何が中に入ってるの?」

 

「か、カブトムシのオスとメスです!」

 

「へえ。捨ててきて」

 

 完了完了。さーて、寝るぞー。

 

「ちょ! オスがメスに乗っかってます! どうしましょう! 目々野さん」

 

「し、知らないようう。そんなの」

 

 えええ! そんなこと僕に聞くなようう!

 

「メスが逃げようともがいてます! これって助けた方がいいですかね?」

 

「ぼ、僕にメスの気持ちが分かるわけないだろうう!」

 

「わ、私だって分からないですよ!」

 

「女なら分かるだろうう! 本当に嫌かどうか」

 

「わ、私だって経験ないんですから! わかりません!」

 

 結局、オスとメスが離れ離れになるまでこの気まずい時間は続いた。もううう! 一体なんなんだよううう!

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