「"Untitled"があれば」
「目の前にボーカロイドが来てくれれば」
凛「みのり〜ん!」(泣)
みのり「どうしたの、リンちゃん!?」
いきなりリンちゃんが泣きついてきた。もうただ事じゃない様子だけど…。
凛「クラス担任の先生がいなくなっちゃった!」
いきなり突然だな、突然すぎて私はなんて言えばいいのかわからないよ。
みのり「とりあえず落ち着いて。そうだな…、リンちゃんならGPSみたいに探すこととかできるんじゃない?ほら、ドラゴンボールの要領で気を感じとる的な」
凛「さっきからやってるよー!」
うーん、どこか遠くに行ってしまったのか…。いくらリンちゃんが魔法でなんでもかんでもできても限度があるか…。
みのり「じゃあ警察とか周りの大人の人に任せよう。信じることだって大切なことだから」
凛「うん、ぐすん」
ちょっとは落ち着いたかな。さっきまで焦って号泣していたけど、ちょっとは安心して泣き止んだ。
みのり「リンちゃんはその先生のことか好きなんだね」
凛「うん。明るくてお姉ちゃんみたいだったよ」
へぇ、生徒からかなり好かれそうだな。
凛「和楽器が演奏できて、ダンス部の顧問で、おまけに髪の毛がピンク色でアニメのキャラクターにそっくりだったの」
みのり「へぇ」
うん。今ほんのちょっと1日でも長く見つからないでほしいと思ってしまったが、これは気のせいなのだろうか。
そして翌日。
凛「みのりん!先生が見つかったよー!」
みのり「え、マジ、よかったね!」
大好きな先生が見つかったのか。リンちゃんはすごく嬉しそうだ。
凛「それで先生もあたしと同じで異世界転生してきたから連れてきたの。ほら」
「こんにちは。あなたがみのりちゃんね、私は"相野 茅絵里(あいの ちえり)"です」
みのり「あ、どうも」
この人は相野 茅絵里先生、通称"幽々子先生"。うちの女子校の生徒も何人か被害…………。じゃなかった、お世話になったことがあるけど、まさかリンちゃんのクラス担任だったなんて。
みのり「でも相野先生!」
幽々子先生「幽々子先生でいいわよ」
みのり「あ、はい。じゃあ幽々子先生、突然生徒にも何も言わずにどこかに行ってしまうなんて、教師としていけないですよね。みんな心配していましたよ」
幽々子先生「そ、そうよね。そのことはほんとに申し訳ないとおもってるわ。…………そんなことより聞いてよ!」
うん、周りのみんなに迷惑をかけたことを「そんなこと」で済ませたね。
幽々子先生「私、異世界転生してきたの!すごく成長できた気がするの!」
みのり「へ、へぇ…」
幽々子先生「もうすごかったのよ!学校の中でゾンビに追われたり、周りの女の子たちはみんな能天気だったけど、それでもすごく楽しかったの!」
話からすると、"がっこうぐらし!"みたいな世界観だけど、そんな世界観を楽しいと表現できる幽々子先生がどうかしているよ。
凛「よく無事だったんですね。あたしは異世界では魔法でなんとか生き延びたんですけど、先生はどうやって?」
幽々子先生「ゲームみたいに銃も無かったし、もちろん魔法も無かった。だから鈍器とかで殴ったりバリケード張ったりしながら生き延びたのよ」
へ、へぇ。そりゃメンタルがたくましくなるわけだ。そういうハードな毎日だったら。
みのり「ちなみに異世界に行くきっかけはなんだったか覚えてますか?」
幽々子先生「そうね………、最近上級生の子のあいだでウワサになってるアプリをダウンロードしたの」
みのり「え、それって…」
幽々子先生「"あんたいとるどぅ"だったかしら?なんでも初音ミクちゃんと出会えるアプリって聞いたけど、結局私は出会えなかったわ」
みのり「Untitled?」
どうも幽々子先生が行ってきた異世界の正体は"セカイ"のようだ。そしてリンちゃんが行った異世界も"セカイ"の可能性が高くなった。いやそれにしても、セカイは誰かの想いから誕生けれど、幽々子先生はいったいどんな想いを抱いていたのだろう。
みのり「先生はどんな子といっしょに生活したんですか?」
幽々子先生「えっとね、ピンク髪の女の子に「ごちうさ」のリゼちゃんにそっくりな子とかといっしょだったわ」
みのり(うん、幽々子先生が行ってきたセカイはもう"がっこうぐらし!"の世界そのものだね)