リンちゃんの趣味はアイドルごっこだ。歌もダンスもヘタというわけではない。以前(第2話)、私に化けて歌って踊ったときもそこそこ上手だった。
凛「みのりん、あたしはアニメみたいなアイドルを目指すよ」
みのり「急にどうしたの?」
凛「この前、遥さんに会ったときに言われたんだ」
遥「リンちゃんはさ、アニメに登場するようなアイドルに憧れているんだよね」
凛「うん」
遥「だったらやればいいじゃない。だって一番大切なのはできるかどうかじゃなくてやりたいかどうかでしょ?」
凛「…ということでやってみようと思うんだ」
きっかけは遥ちゃんだったのか。ただ以前にも言ったけど、芸能界にはたくさんのトラブルがある。本気でデビューしたいなら応援はするけど、私個人としてはリンちゃんにはちょっとでも長く続けてほしいな。
みのり「どんなかたちで活動していくの?」
凛「あたしはネットアイドルをやる!」
うん、それだといつもと変わらないけど。いわゆる路線変更ということになるのかな。
凛「じゃあちょっと歌ってみるから見ててね」
みのり「うん、リンちゃんの実力は知ってるけど…」
♪〜
あいかわらず上手だね。でも私ひとりの判断じゃどうにも言えないし…。
みのり「リンちゃん、近所の公園に行こう。それで…」
〜近所の公園〜
というわけで私とリンちゃんはモモジャンのみんなを呼んだ。
みのり「リンちゃんがネットアイドルになるためにもみんなからの意見を聞きたいんだ」
愛莉「いや、あの、普段から動画投稿とかしているんじゃない?」
凛「それとは別にアイドルの活動をしたいと思っているんだ。あたしはアイドルが大好きだから」
愛莉「そ、そう」ドヤァ
あ、愛莉ちゃんちょっとドヤ顔になってる。この4人のなかでは誰よりも真剣に活動しているから純粋に"大好き"なんて言われたらこういう反応もするのかな。
雫「リンちゃんはどんなネットアイドルを目指すの?」
凛「アニメのアイドルみたいに派手なライブするの!ものすごいMVを作るんだ!」
遥「え、でもさ、ああいうのってかなり費用かかるんじゃない?いくらリンちゃんが動画で収入得ているっていっても…」
凛「大丈夫、あたしには秘策があるんだ…」
え、私聞いてないよ!?中学生が稼ぐ方法なんてあるの!?それともすごい助っ人を頼んだとか!?
凛「あたしには魔法がある〜!エモエモミラクルなんちゃらほい!」
パッ パッ ブワァァァァン
遥「うお〜、すげぇ〜!!」
緑の葉っぱの木は一瞬で桜並木に、地面は一瞬でお花畑になった。よく「領域展開」とか「固有結界」とか呼ばれている、アイドルの派手なライブシーンにでてくるやつだ。
遥「これなら再生回数、億はいくんじゃないかな!」
凛「でしょう!」
お〜、これならお金もかからない。ていうかこっちの世界でこんなことできるのリンちゃんぐらいだよ。…と浮かれていたけど。
愛莉「あのさリンちゃん、こういう一瞬で風景が変わる魔法ってさ、周りにも影響あるのかしら?」
凛「ん、多分そうなんじゃない?」
愛莉「ちょっと私の頭を触ってみて。そして何を考えているか…」
ガシッ
凛「ん、なになに。「周りの人めちゃくちゃビックリしてる」、「自動車事故起こった」、「なにこれ、ちゃんと許可とかとったの?」だって」
愛莉「まあ要するに、ああいう風景が変わる派手なライブシーンはアニメだからというのと理解してくれる観客がいてくれるからであって、リアルでやるとみんな混乱しちゃうんだ」
つまり愛莉ちゃんが言いたいことをひとことで表すなら、「炎上する」ということだね。リンちゃんがネットアイドルになる日はかなり遠いのかな…。
雫「じゃあ逆に、地味なアイドルを目指すのはどうかしら?」
凛「えっとどんな感じ?」
雫「そうねぇ…、初代アイドルマスターみたいな」
みのり「それ、地味なの顔だけじゃない…」