無人機体を作り終わり艦内の装置や機器の稼働と外の活動を始めて集めた結果、今は原作から8年前の1086年のようだ。
つまり今はまだロドス製薬がバベルでありタルラがまだコシチェイの所に居る頃だ。
これは好機だ、タルラがコシチェイを殺していないなら不死の黒蛇の奴も巣食っていない、軍事委員会とバベルは対立関係だがトップ同士ではそこまで悪くなかったはず、ロドス・アイランド号もドクターもしくはオラクルも目覚めていないならやりようはあるはずだ。
計画の作成と実行を行おう。
それに丁度いい、何時の間にか和多志の中にいる
*
空は低く、重苦しい雲がテラの地を覆っている。
だが、この艦のブリッジから見える景色は、既存のどの勢力も持ち得ない高高度からの冷徹な俯瞰図だった。
「状況報告せよ」
和多志の問いに、無人機体が無機質な電子音で応える。
現在はテラ暦1086年。
後に「チェルノボーグ事変」を引き起こすレユニオン・ムーブメントは影も形もなく、その象徴たるタルラ・アルトリウスは、今まさにウルサスの雪原で「不死の黒蛇」コシチェイの歪んだ教育という名の檻に囚われている。
そしてカズデルでは、テレジアとテレシスによる内戦の泥沼の中、後にロドス・アイランドとなる「バベル」が孤軍奮闘を続けていた。
「好機、か……」
私はコンソールのホログラムを義体の指でなぞる。
原作の知識がある。そして、この艦には既存のオリジニウム技術とは一線を画すロストテクノロジーがある。
ドクターは石棺で眠り、ケルシーはまだ理想の果てに絶望していない。
ならば、歴史という名の濁流に「楔」を打ち込むのは今だ。
「フェイズ1開始。目標、北方ウルサス、およびカズデル特区」
和多志の命に従い、艦底のハッチが静かに開き、それらは白銀の雪原へと向かう。
目標はタルラだ。コシチェイが彼女の精神を完全に損なう前に、外側から「別の選択肢」を与える。
黒蛇の悪意が彼女を蝕むなら、私はそれ以上の
次いで、カズデルのバベル本営に向けて、暗号化された通信パケットを送信した。
内容は、現在彼らが直面している「鉱石病抑制剤」の未完成な理論を補完する、数世代先の医療データと現段階の即席施術のデーター。
これらを受け取れば、あの聡明なケルシーのことだ。送り主が「テラの住人ではない」ことに即座に気づくだろうがそれでいい。
「……ドクター。君の目覚めは、少しばかり和多志の手で早めさせてもらう」
ロドス・アイランド号、奥深く。
石棺の座標をロックオンする。
軍事委員会も、ウルサス皇帝の懐刀たちも関知せぬまま、私は「バベルの悪魔」という名の駒を、盤上から一時的に除外――いや、私の手元へと回収する。
モニターの中で、赤い警告灯が静かに消え、青い「実行中」の文字が点滅する。
テラの歴史が、軋みを上げてその軌道を変え始めた。
1086年。ここが、すべての悲劇を塗りつぶすためのスタートラインだ。
「記録を保存。……これより、歴史の改変を開始」
私は静かに、誰もいないブリッジで椅子に深く身体を預けた。
外では、まだ何も知らないテラの風が吹き荒れている。
【設定・補足】
1086年の状況: タルラがコシチェイを殺害し、その精神を「黒蛇」に乗り換えられる数年前という設定。
主人公の立ち位置: 圧倒的な技術力を持つ観測者。直接武力で行使するよりも、情報と技術で「運命の歯車」を狂わせていく予定だが......。
今後の展開予想:
バベルに医療技術を横流しし、テレジア生存ルートを模索する。
石棺ごとドクターを拉致(保護)し、独自の戦力とする。