■ アストライア・極秘戦略層
参加者は限定された。
イヴァンジェリスタXI世。
ヒルデガルト。
エリナ。
エンシオデス・シルバーアッシュ。
ヴィクトリア・ウルサスの特命代表。
ライン生命最高研究責任者。
そして――
アース。
ドクター。
ケルシー。
記録媒体は持ち込み禁止。
外部通信遮断。
この場の内容は各国上層部ごく一部にのみ共有。
アースが告げる。
「これより先は、ブラックホール協定を超える。」
室内の空気が変わる。
■ 第一の爆弾 ― テラは孤立していない
ホログラムが展開する。
星図。
既知の天体ではない。
「エンフィールド時代の記録だ。」
ざわめき。
先史文明滅亡後――
文明は完全には途絶えていない。
一部は宇宙へ脱出。
外宇宙拠点を築いた。
そして数百年後。
通信が途絶。
エリナが呟く。
「……何があったのですか。」
ドクターが答える。
「観測対象に“認識”された。」
沈黙。
■ 第二の爆弾 ― 先史文明が滅んだ本当の理由
重力核の暴走。
それは表面的な原因。
真因は別にあった。
アースが映像を切り替える。
外宇宙観測データ。
“何か”が重力異常に反応している。
《高次観測体反応確認》
ケルシーが静かに言う。
「重力核実験は、宇宙の外側に信号を送った。」
それは通信ではない。
“位置情報”。
文明は自ら居場所を知らせた。
数十年後。
外宇宙拠点は消滅。
痕跡のみ。
ヒルデガルトの声が震える。
「敵……なのですか?」
「違う。」
ドクターが首を振る。
「敵という概念ではない。」
「観測者だ。」
■ 第三の爆弾 ― メインストーリー級の出来事との接続
ケルシーが続ける。
「源石。」
各国代表が息を呑む。
源石は災厄の象徴。
感染症。
天災。
戦争。
「源石は自然発生物ではない。」
沈黙。
「先史文明が封印と同時に展開した“観測撹乱装置”の副産物。」
ざわめきが広がる。
つまり。
源石は盾。
重力異常の痕跡を覆い隠すための“ノイズ”。
シルバーアッシュの目が鋭く光る。
「我々は災害の上に守られていたと?」
「皮肉だが、そうだ。」
アースが答える。
■ 第四の爆弾 ― エンフィールドの時代
ドクターが続ける。
「エンフィールド期、外宇宙進出は再開された。」
だが記録は断片的。
再び通信途絶。
そして共通する兆候。
重力異常。
観測反応。
イヴァンジェリスタXI世が低く言う。
「つまり――」
「封印が完全解除され、重力核が安定制御された場合。」
ケルシーが淡々と告げる。
「外側に“再び認識される”。」
室内が静まり返る。
■ 結論
アースが最後に告げる。
「アウロラ計画が成功していたら。」
「テラは数十年以内に消滅していた可能性が高い。」
誰も言葉を発さない。
ヴィクトリア代表がようやく言う。
「……証拠は?」
ドクターが即座に提示する。
外宇宙消失拠点の残骸解析。
重力波パターン一致率。
観測理論再計算。
反論は出ない。
■ お通夜状態
空気が重い。
戦争でもない。
政治でもない。
文明規模の存亡。
ヒルデガルトが静かに言う。
「我々は……無知だった。」
エリナは拳を握る。
「協力しなければ、終わる。」
シルバーアッシュは珍しく笑わない。
「均衡とは、かくも脆いか。」
イヴァンジェリスタXI世が静かに立ち上がる。
「この情報は秘匿する。」
全員が頷く。
公表すれば混乱は不可避。
■ それでも
アースが言う。
「だからこそ、協力が必要だ。」
国家単位では足りない。
宗教も企業も越える必要がある。
ケルシーが締めくくる。
「我々は星に見られている可能性がある。」
「だがまだ、確定ではない。」
「だから時間がある。」
ドクターが最後に言う。
「今度は間違えない。」
沈黙。
重い。
だが、絶望ではない。
全員が理解した。
争っている余裕はない。
世界は静かに一致する。
“協力しなければ終わる。”
アストライアの窓の向こう。
テラは変わらず灰色の空を抱えている。
だが今。
その空の向こうを、全員が意識していた。