アークナイツ メカニカル   作:願望ちゃんねる

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AIを使用


EP3「invitation」 旧話

「……ふむ。カズデルとウルサス、双方に『毒』と『薬』は撒き終えた

 

状況は……順調と言えるな」」

 静寂が支配するブリッジで、和多志は深くシートに身を沈めた。

 モニターには、チェルノボーグの地下から強引に転送・回収した「石棺」のバイタルデータが流れている。中に眠る「ドクター」の意識は、現在、和多志の記憶にある原作知識を観ているのであった。

「目覚めた時、彼は何を思うだろうか。……少なくとも、無力な自分を演じる必要はなくなるはずだ。

 さて、

次は『外』だ。この時代は、準備期間だからな」

 和多志の視線の先、メインスクリーンに映し出されたのは、雪原を逃走するタルラの反応だった。

 コシチェイの呪縛から解き放たれた少女は、親友となろうとする者の村へ向かっている。

 

「彼女の意思を示したのなら、こちらも示さねばならないな。」

 

 

 

 

 その頃、バベルでは。

 ケルシーは目の前のホログラム「内臓の機械置換技術」を自らの端末でシミュレートしていた。

「……生命を、物理的な摩耗から切り離す。鉱石病の進行を、肉体の一部を『非生物』に変えることで遮断する……」

 それは、彼女が数千年の時をかけても辿り着けなかった、ある種の極致だった。

 テラにおける死の象徴である鉱石病を、医学ではなく「工学」でねじ伏せる力。

「……ありえない。こんな高度な技術、エネルギー出力……。これはテラの技術体系から逸脱しすぎている

 

テレジア、これを見てくれ。……この理論が実用化されれば、感染者は『病人』ではなく、新たな『可能性』になる。差別も、隔離も、物理的な意味をなさなくなる」

 彼女の隣で、優しげな貌をした女性――テレジアが、悲しげに、しかし確かな希望を見出したように目を細め、そのデータの中に、送り主の傲慢なまでの「慈悲」を感じ取っていた。

「ケルシー、これは招待状よ。私たちが歩もうとしている修羅の道の先に、別の出口を作ろうとしている者からの」

 ケルシーは震える指で、消えた石棺の座標データをなぞる。

 送り主は自分を「愚者」と呼んだ。

 テラの全ての理を知る自負があった彼女にとって、これほど屈辱的で、これほど待ち望んでいた言葉はない。

「……いいだろう。その『招待』、受けて立たせてもらう。……未知なる存在よ」

 

 ●●●●年後、 後に歴史家たちは、この年を「始まりの年」と呼ぶことになる。

 本来ならこの後、カズデルは悲劇的な終焉を迎え、ウルサスの少女は絶望の炎を抱いて闇に落ちるはずだった。

 だが、上空から冷徹に見下ろす、謎の存在の介入によって、運命の糸は、今、誰も知らない色へと染め替えられていく。

 

 

 

 

『――第二フェイズ、移行。第一目標、カズデル内戦の完全停止、軍事委員会、バベルとの対話。第二目標、海に潜むシーボンの対処。第三目標、ゲート封鎖および「壁」の建設』

 ブリーフィングルームでミッションに参加する指揮官達にシステムオペレーターの声だけが冷たく響き渡った。

 

「始めようか。新たなるテラの未来のために」

 

 ブリッジに座り、サブモニターを観ながら和多志の瞳が、光を放った。

 

 

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