魔改造ダガーでC.E世界を駆け抜けたい【完結】   作:萩月輝夜

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毎度感想コメント、評価ありがとうございます。
誤字脱字報告も重ねてありがとうございます。

たくさんのコメントありがとうございます。返答が追い付いていないですがありがたく読ませていただいております。
返答できるように頑張ります。

そろそろ砂漠編も終盤…!


砂塵は吹き荒れる

「この辺りの廃坑は空洞だらけだ」

 

サイーブの指が地図上を動き、一点に止まる。

 

「こっちには俺たちが仕掛けた地雷原がある戦場にしようってんならこの辺だろう」

 

今度は付近を囲んで、その指はクルリと円を描いた。

 

「向こうもそう考えるだろうし、折角仕掛けた地雷を使わない手はねぇ」

 

”明けの砂漠”の司令室でサイーブと”アークエンジェル”の士官達は地図を前に顔をつき合わせていた。その話を聞きながらムウがちらりとマリューに目線をやった後、訪ねた。

 

「しかし…本当にいいのか?俺たちはともかく、あんたらの装備じゃ、被害はかなり出ちまうぞ?」

 

サイーブは唸るように答えた。

 

「確かに『虎』に従いヤツらの元でヤツらの為に働けば、確かに俺たちにも平穏な暮らしが約束されるんだろうよ…バナディーヤの連中のようにな…街の女達からはそうしようって声を聞く。」

 

マリューも資材調達に向かったナタルとトノムラから占領下にあるということがまやかしに思えるほど街の住民は笑みに溢れ活気に満ちていると言うことを聞いていた。

 

「だが支配者は気まぐれだ。俺たちの祖先がそれで何十年、何百年泣かされてきたと思う?」

 

ムウの顔に苦々しいものが浮かぶ。マリューもサイーブの言葉を聞いて複雑な渦中にあった。ザフトとは立場は違えど自分達がいる陣営、元の国家を考えればサイーブ達を虐げ搾取している側に立っており実際に害した訳ではないが旧暦から反抗する力を持たない弱者から搾取し不利な立場に置かせることで自分達の地位と富を築いている。

が、サイーブは弱者であることを感じさせぬ誇り高い調子で続けた。

 

「…支配はされない、そしてしない…俺たちが望むものはそれだけだ」

 

平和を犠牲にしても大切な”誇り”を守るために銃を取る…人間にはどうしても守らねばならぬものがある、と自分のその為に戦いに身を投じたのではなかったのか?と日々の戦いに磨耗しすっかりその事を忘れていたことを自覚しサイーブ達と同じような立場にいるのなら自分もきっと同じ行動を取るだろう。もしこの後に戦争に敗北したとしても自分達は自らの尊厳と自由を守るために…銃を取るだろう、と。

 

「『虎』に押さえられた東の鉱区を取り戻せば、それも叶うだろう…」

 

サイーブは髭面に、太い笑みを浮かべた。

 

「こっちはあんたらの力を貸してもらおうってんだ。それで良いだろう?余計な気遣いは無用だ。」

 

「オーケイ、わかった」

 

ムウは無粋なことを言ったな、という調子で肩を竦めマリューに同意を向けるような笑みを浮かべた。

 

「艦長?」

 

マリューも微笑んだ。

 

「わかりました。では”レセップス”突破作戦へのご協力、喜んでお受けいたします」

 

◆ ◆ ◆

 

「おおっとぉ!」

 

「うわぁー!すごぉ…これで十五機目よ?」

 

「へえーっ!」

 

「すごいなぁ…」

 

”アークエンジェル”の右舷格納庫の一角にて少年達が口々に興奮した声を発していた。通りかかったトールが興味深そうに近づき声を掛ける。

 

「なにやってんの?」

 

”スカイグラスパー”のシミュレーターを取り囲んでいたミリアリアやフレイとサイが振り向いた。

 

「あ、トール見て!この子すごいの!」

 

「あっ!また一機!」

 

「また撃墜した」

 

そう言われシミュレーターを覗き込むと操縦桿を握って”スカイグラスパー”を操っていたのはカガリだった。その様子にノイマンも寄ってきて皆背後から覗き込み、面白がりつつも意外そうな顔を浮かべる。

 

「たしかにやるねぇー…カガリちゃん、だっけ?空中戦の経験あるの?」

 

そう問いかけられカガリは満更でもない笑みを浮かべトリガーを引いた。画面の中では最後の敵機が撃墜されて行程が終了しシュミレーターがリザルト画面に移り変わり三位につけ皆が感嘆の声を上げた。

 

「二発喰らっちゃったかな」

 

「でも凄いじゃないか。俺なんかすぐに撃墜判定貰っちゃったよ」

 

「私は入ってすぐ撃墜判定貰っちゃった」

 

「え、なにみんなもうやったの?」

 

トールが身を乗り出す。

 

「お前ら軍人の癖に銃を撃ったこと無いんだって?んなこっちゃ死ぬよ?」

 

カガリは得意気に”人に向けて銃を撃ったことがある”と伝えるためにシミュレーターをから身体を乗り出す。

 

『想いだけ先走った力の無い理想論に一体どれだけの価値があるって言うの!!?』

『“連合”が勝とうが、“ザフト”が勝とうが勝者はいずれ同じ種族で“敵”を作り出す。人類は“争い”をしないという選択肢を取れずに。“ナチュラル”だろうが“コーディネイター”だろうが其れは変わらない。』

 

カガリの脳裏に同い年の少女の声が反響する。アフメドが目の前で死んで他のレジスタンスのメンバーも沢山死んだ。

”砂漠の虎”の本拠地で銃を突きつけられ動けなくなって銃を取る、という行為が奪い奪われる…戦えばきっと良い未来が待っていると盲信していた自分の視界の狭さを理解し始めていた…そして戦場ではどれだけ綺麗事を述べようと”人殺し”であることと”戦う力が無ければ”死ぬ…戦場という極限状態で得た真実であった。

先程まで得意気な表情をしていたカガリであったが、その元気は鳴りを潜めてしまった。

 

「…戦争してんだろ。お前達」

 

そう言ってシミュレーターから立ち去るとノイマンは腕を組んで頷いた。

 

「確かに」

 

「ふん!なによ。威張れることじゃないわよ…銃を撃ったことがあるだなんて…」

 

「撃ったこともないってのも威張れることじゃないな、軍人なんだし」

 

そう告げるとミリアリアとサイはシュンとなったが空気を変えたのはフレイとトールだった。

 

「ねぇノイマン少尉。私もやってみてもいい?」

 

「あ、俺も俺も!」

 

「あのなぁ…ゲーム機じゃないんだぞ?」

 

「は!分かっております!訓練と思い真剣にやらせていただきます!」

 

「私も訓練として真剣に取り組ませて貰います!」

 

連合式の敬礼を行うとノイマンはイタズラに笑って見せる。

 

「それじゃ撃墜判定もらったら二人とも今晩の飯抜きな?」

 

「「えぇ~~っ!?」」

 

ノイマンの言葉に声を上げつつもトールとフレイがシュミレーターに交代で収まり開始する。

其を取り囲んだ子供達が声援を送り一層騒がしくなったのを聞きながら格納庫の一角にある白く美しい機体…”スカイグラスパー”の実物を物欲しそうな目で見上げていた。

 

「?カガリ、あなたは部外者なのに何で”アークエンジェル”にいるの?」

 

近づこうとするカガリに作業着を着用し顔にオイルをつけたエアリスが心からの疑問をぶつけるとカガリは少し拗ねたような表情になって口を尖らせた。

 

「…別に良いだろ?」

 

ふとカガリの後ろに人だかりが出来ているのをみてエアリスは合点が行った、と手を叩く

 

「一応これ地球軍の軍艦なんだけど……ってあぁ”スカイグラスパー”のシミュレーションやってたのね…ってダメだよ、本物は」

 

物欲しそうに”スカイグラスパー”を見つめるカガリはおもちゃを欲しそうに見ている子供に見えた為、大袈裟に手を広げて視界を遮る。

 

「わ、分かってるよ!」

 

「本当に分かってるのかな?」

 

「うるさいなっ」

 

そう言いつつもカガリは白く美しい機体から目を離せずにいたことはエアリスにバレており、溜め息を吐き出ていく姿を見送った後にシミュレーターに交代で座っているトール…とフレイを見て頭痛の種が増えた…と彼女は頭を抱えた。

 

◆ ◆ ◆

 

「ジブラルタルの連中は随分”本気”らしいねぇ…?これで”バクゥ”補充分に追加、そして”ザウート”と…大盤振る舞いだ。欲を言うなら”ディン”も送って欲しかったが」

 

「ジブラルタルも懐事情が厳しいんでしょう。向こうの司令官も頑張ってくれたようですし」

 

ザフトの補給部隊が到着しリストを確認しながらバルトフェルドは苦笑した表情になっていた。

其を見てダコスタも同じような感想を覚えたがジブラルタルもアフリカの地に落ちてきた”足つき”の戦闘能力を加味して”増援”を送ってくれているようだ、とフォローする。明らかに艦一隻に当てる戦力ではない。

”バクゥ”はこの3日間で消耗した機数の補填と追加。そして”ザウート”…極めつけは

 

「それに”代わり”…という訳ではないようですがクルーゼ隊のあの二人も送って寄越してくれたみたいですよ」

 

そう言って今着陸した輸送機から”ザウート”と共に見慣れない形のMS…あの”ストライク”に似たレイアウトのMSがそこにあり輸送機のタラップからエリートの証である赤いパイロットスーツを着用した少年達が此方に向かってくるのを見てせせら笑うように言った。

 

「…かえって邪魔になりそうな気がするけどね。地上戦の経験無いんでしょ?彼ら」

 

()()()()()()ですからね」

 

「大体クルーゼ隊ってのが気に食わない…僕はあの仮面野郎が嫌いでね?素顔を見せない男をどうやって信用しろっていうんだい?」

 

上官の言葉にダコスタはそれとなく頷くしかなかった。

 

◆ ◆ ◆

 

「うわっ!なんだよこりゃ…ひでぇところだな」

 

「……ッ」

 

輸送機から降りてきたディアッカとイザークを出迎えたのは砂の微風だった。吹き上がった砂が彼らを襲い驚きとしかめっ面を其々に浮かべていた。

宇宙にいた彼らがなぜ地球にいるのか?それはエアリス達が大気圏突入の最中に攻撃を仕掛けたが反撃され母艦に戻ることが出来ずに地球に落下…燃え尽きるかと思ったがPS装甲を持つ”デュエル”達は無事に突破しジブラルタルの防空圏に入って保護され駐留軍に合流…そして”足つき”へのリベンジに熱意を滾らせこの砂の地にやってきたのだった。

 

「砂漠はその身をもって知ってこそ、ってね。ようこそ”レセップス”へアンドリュー・バルトフェルドだ」

 

「クルーゼ隊、イザーク・ジュールです」

 

「同じく、ディアッカ・エルスマンです」

 

「宇宙から大変だったな。歓迎するよ」

 

バルトフェルドは心にもないことを告げてジッとイザークの顔を見つめる。下ろしている拳が震えているのは武者震いか煮え湯を飲まされた”足つき”…その艦搭載機にリベンジする機会が巡って来て歓喜しているのかどっちかであったが其を見たバルトフェルドは笑って見せる。

 

「ッ…其れよりも”足つき”の動きは?」

 

「ここから南東180キロの地点、レジスタンスの基地にいるよ。無人偵察機の映像を見るかね?」

 

バルトフェルドがレセップス艦内で入手した映像を見せていると輸送機から”デュエル”と”バスター”が搬入されるのを見る。

 

「なるほど…同系統の機体だ。アイツに良く似ている。」

 

「バルトフェルド隊長は既に連合のモビルスーツと交戦されたと聞きましたが…」

 

ディアッカの言葉にバルトフェルドが反応する。

 

「ああ。僕もクルーゼ隊を笑えんよ…」

 

「”足つき”から…”ゴーグル付き”の姿を見ましたか?」

 

続いてイザークが問いかける。”ゴーグル付き”というのはザフトが未だ連合の試作最新鋭機である”ダガー”の名称が知られていない頃にクルーゼ隊が付けた名称だ。

そう問われ少し考えた後にイザークに”正直に答えた”。

 

「いや、彼らがこっちに落ちてきてから見ていないな…報告書で見たが大気圏突入の際にミサイルが着弾して落ちて行ったんだろう?中の人間がナチュラルなら生きてはいないだろうさ…”普通のナチュラル”であるのなら、な?」

 

そう告げながらバルトフェルドは宮殿で見た愛らしい亜麻色の少女の姿を思いだしザフトが名付けたという”彗星の魔女”という名は似合わないな、と一人心の中でごちた。

 

◆ ◆ ◆

 

”アークエンジェル”のエンジンが唸りを上げ基地の岩壁を震わせる。

その白亜の巨体の下で難民キャンプと化している基地内は男達に混じりその妻たちが忙しなく戦闘準備に励んでいた。あるものは弾薬をバギーに積んで、とあるものは家族に別れを告げるもの…様々であった。

凄まじい喧騒の中でカガリは一人の妙齢の女性からあるものを手渡されていた。

それは大きいマラカイトの原石…アフメドがカガリに手渡そうとしていたものだが彼亡き後其を母親が手渡したのだ。

 

「………」

 

其を見つめて以降黙ってしまったカガリの側に立つキサカが低く呟く。

 

「綺麗な石だな」

 

そのマラカイトの原石を握りしめ顔を俯かせるカガリ。

 

『君も死んだ方がマシな口かね?』

『どちらかが滅んだところで生き残った陣営が再び敵を作る…同類でも』

『戦争にはゲームやスポーツのように制限時間はない』

『血反吐を吐きながら続けるマラソンと同じだよ。』

 

カガリはこの地に父からの命題…”戦争”と言うものを学ぶためキサカに連れられて目にした。

”戦争”というのは至極簡単な構図だと、そう思っていた…弱者と強者、理不尽を押し付けるものと理不尽を押し返そうとするもの…”正義”と”悪”が対立しているものだと。

その根っこは広く深く、黒く重く…コールタールのように巻き込まれるものを絡めとり混沌としている。

 

”戦争”とはそう簡単なものではない、とそう思い始めてきていた。

ルールはない。明確な悪は戦争という行為に納めることは不可能だということ。

その事に”私自身”というちっぽけな存在はその大きな渦の前では無力であるということ。

どうすれば良いのだ、とカガリは鉱石を握りしめたままサイーブの号令で発進するバギーに揺られるしかなかった。

 

◆ ◆ ◆

 

「えー、動き出しちゃったって?」

 

「は!東に向かい進行中です」

 

モニターを見ていたイザークが『足つき』だ!と興奮した様子を見せていた。

 

「タルパティア工場跡区に向かっているか…ま、ここを突破しようとすれば僕も向こうの指揮官なら同じことを考えるだろうね」

 

「隊長…」

 

「うーんもうちょっと待って欲しかったんだが…仕方がない」

 

「出撃ですか?」

 

「ああ。”レセップス”発進する!コード二○!”ビートリー”と”ヘンリーカーター”に打電しろ!」

 

「は!」

 

命令を受けて行動する部下達を尻目に苦笑するバルトフェルドは腕を組んで人の悪い笑みを浮かべた。

 

「”レディ”を先に動かせるなんて悪いことをしたなぁ……せめてもの”お詫び”に盛大な花火を咲かせることとしよう」

 

◆ ◆ ◆

 

「…ふふ…あははははっ!」

 

格納庫にて機体のチェックを行っていた”ダガー”のコックピットにて抑えきれない笑みを浮かべるエアリスが人の悪い表情を浮かべていた。

 

「うーん…誰が送ってくれたのか分からないけど…こんな装甲外装一式送ってくれるなんて有り難過ぎる…ここ砂漠だよね…?」

 

MSハンガーに納められている”ダガー”は通常の装甲色…オーシャンブルーと赤、白とは異なりバイザーの碧色以外は”灰色”一色に染まっており通常とは異なる外観に変更されていた。

ナタルがジャイリーとの物資受けとりの際に「()()()()()()のプレゼント」と言われて渡されたらしいがピンと来ない…一体誰なのか?と考えたが答えは出なかった。

が、それは今はどうでも良くなる程の想像で結果受け取ったプレゼントは機体を生まれ変わらせる。

装甲に配線のレイアウトを総配置…となれば1日では終わらない筈だったが技術部及び整備兵(巻き込まれ)の助力も相まって完了している。

残念だが”アストレイ”達はお留守番だ。整備した上でカーゴに収まっている。

 

「まぁ機動性はあっちの”アストレイ”の方が上だけど…やっぱり私はこちらの方が相性が良い」

 

既に各機体にキラが設定したプログラムを搭載してるので砂地での戦闘も問題ない、がキラは従来通り”ストライク”でムウも”アストレイ・ゼロ”で出撃…だと思ったが訓練をしていないため”スカイグラスパー”で出撃することになるのは想像に固くない。

 

「本来なら”あのストライカー”を使えればもっと楽なんだろうけど…”アストレイ”じゃバッテリー残量が無くなる。仕方ない、か…」

 

そう言ってエアリスは外にある調整中のストライカーを確認しつつモニターを切った。その後”ダガー”のコックピットから出てクローズし、ラダーを後ろに振り向く…”補給品”が想像以上で魔改造されていく愛機をみやり食堂へ向かう。

するとムウとキラが食事をとっているのが見えて近づくと”原作通り”の会話を繰り広げているのを尻目に食堂担当の伍長からトレーを受け取って紙に包まれた”ケバブ”を二つほど受け取りテーブルにつく。

 

「あ、エアリスさん…」

 

「お、嬢ちゃん仕事終わりか?」

 

「はい。調整が済んだのとプログラミングを少し」

 

そう言ってケバブを手にとって頬張るエアリスを見てその量に苦笑いを浮かべるキラだったがムウは

 

「ヨーグルトソースかけて食った方がうまいぞ嬢ちゃん?」

 

そう言ってソースが入った容器を差し出してくる…其れで思い出した。

 

「…そう言えば”砂漠の虎”もヨーグルトソースが美味い、って言ってました。」

 

「ふぅん…味の分かる男だな」

 

ムウは口に持っていきかけたケバブをピタリと止めた。

キラの脳内にあの敵将の姿とヨーグルトソースの酸味…そして硝煙の匂い混じり思い出させた。

 

「けど、敵のことなんか忘れちまえ。覚えてたって良いことはないしな。これから戦おうって相手のこと覚えていたってやりづらいだけだろ?」

 

「え…?」

 

意味が分からず聞き返してしまったキラに代わってなのかエアリスが反応して見せた。

 

「…そうですね。相手のことを知らずにいれば”敵”だと認定して容赦なく引き金を引けますからね」

 

「嬢ちゃんは手厳しいねぇ…まぁ事実なんだがな」

 

「…まぁ敵に回るなら容赦なく潰すだけです。辛い目に遭うのなら一発で終わらせた方が慈悲がありますし」

 

敵として出てくるのなら、だが。

 

「エアリスさん…」

 

「嬢ちゃん…」

 

底冷えするような冷たい声色に呆気に取られる二人だったがすぐさま何時もの調子に戻り何事も無かったかのように食事を進めている。

 

「冗談ですよ?そんな物騒なこと言うわけ無いじゃないですか」

 

そうして最後の一つとなったケバブの包み紙を開けて口をつけようとした瞬間に”アークエンジェル”に鈍い爆発音が響き渡り遮られムウがそれに反応した。

 

「なんだっ!?」

 

◆ ◆ ◆

 

”アークエンジェル”の居住区まで届いた轟音を前にカガリ達は立ち尽くしていた。

目の前を炎の壁が立ち上がり行く手を遮っていたのは仕掛けていた地雷原が起動し地響きと共に黒煙が立ち上っていた。其を見たレジスタンスのメンバーが動揺するがサイーブが檄を飛ばす。

 

「狼狽えるな!仕掛けを破壊されただけだ!」

 

そう告げるが心理的なダメージは大きい、仕掛けてきたトラップが一瞬で破壊される光景は想像以上だった。

 

「『虎』もいよいよ本腰を入れて牙を向いてきたようだな…!」

 

その言葉にカガリも向こうにとってレジスタンスの行動など”お遊び”であったのだとそう思った。

 

◆ ◆ ◆

 

ロッカールームからパイロットスーツに着替えたエアリスは”ダガー”のコックピットに収まり機体の電源を立ち上げていく。

 

「そうだ!一号機には”バースト”!二号機には”ランチャー”だ!【ゲイボルグ】と【アーキバス】は外せ!飛べなくなる!」

 

マードックが声を張り上げ指示を出し、近くには”スカイグラスパー”二機。其々”バースト””ランチャー”を其々装着していく。

 

(…思ったんだけど戦闘機に対艦刀つけるのってどうなの…?)

 

エアリスはストライカー各種を装備している戦闘機を見ながら疑問に思う。

今回は”ソードストライカー”は装備していないが元の場面では推力を増加させようと思うのなら”エールストライカー”や”シャドウストライカー”で良いのでは…?と思ったが前者は自分が壊してしまったし、後者は予備を含めて後一台しかない…壊してしまったことに顔を渋くしたがなってしまったものは仕方がない…ソードは論外だろう。

”バーストストライカー”は機体の挙動を安定させるために”ゲイボルグ”を外して”アグニ”を装備している。

 

(火力過多では…?ムウさん「アグニは効くぜぇ!」とか言ってくれそう…)

 

そんなことを考えていると通信が入る。トノムラとチャンドラの声だ。

 

「レーダーに敵影と思わしき影!撹乱酷く、数は補足不能!一時の方向です!」

 

「その後方に熱源二!敵空母及び駆逐艦と思われます!」

 

肉眼でも見え始めたブリッジではマリューが指示を出した。

 

「対空、対艦、対モビルスーツ戦闘!迎撃開始!」

 

其を受けてナタルが指示を飛ばす。

 

「”ストライク”、”スカイグラスパー”、”ダガー”発進!」

 

指示を受けムウが乗る”スカイグラスパー”が発進したのを見送るとCICに座るミリアリアから誘導が入った。

 

<APUオンライン、”ダガー”スタンバイ!カタパルトへ接続>

 

クレーンによってカタパルトに接続された”ダガー”はガントリークレーンによって運ばれたストライカーが背面コネクターに接続される。

 

<ストライカーパックは【シャドウストライカー】を選択、装備します。>

 

砂漠では重い武器は使えない、であれば割り切って機動力に【ベシュヴィンクト】をスラスターとして活用すれば地球の重力を”ある程度”無視して動くことが出来る、と考えた。

両腰部のハードポイントにピストルホルダーを装着する。機動力と手数が必要だった。

 

”今後の戦闘”に備えて腰後ろにビームカービンをマウントし、準備は完了した。

先にムウの駆る”スカイグラスパー”一号機が発進し続けてキラの”ストライク”も発進した…その際にPS装甲を展開していない状態で戦闘ヘリ”アジャイル”と接敵したがバルカン砲で撃墜していた。

 

<進路クリアー!レインズ機発進どうぞ!>

 

”ストライク”が発進した直後の右舷カタパルトからエアリスの機体がリニアカタパルトの推力で外へ弾き出した。

 

「エアリス・レインズブーケ、”シャドウダガー”行きますッ!」

 

射出と同時に”ダガー”のゴーグルモニターが点灯し火が入り、装甲色が灰色から鮮やかにオーシャンブルーの濃淡青を基調と差し色で白が入り色づいていく。そう”ストライク”と同じく装甲がPS装甲へと変更されたのだ。

 

接近している戦闘ヘリに気がつき、頭部バルカン”イーゲルシュテルン”が起動し撃ち抜き砂地のシミへ変える。

”ダガー”が地表へ着地する前に背面のブレードスラスターを展開し滑るように滑空していく。

 

「”バクゥ”は…八機!?増えてるじゃない…!」

 

エアリスは隊列を組んで接近してくる想定よりも多い”バクゥ”の小隊に弾丸が足りるかどうかを計算しながら復活した愛機を駆って突撃した。

 

今、砂漠の地で火蓋が切られた。

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