魔改造ダガーでC.E世界を駆け抜けたい【完結】 作:萩月輝夜
「バルトフェルド隊長!」
格納庫にイザークのヒステリックな声が響き渡るとバルトフェルドが振り向く。
「納得できません!どうして我々の配置が”レセップス”
その言葉に臆面なくバルトフェルドは嫌味な笑みを浮かべる。
「おやおや。クルーゼ隊では上官の命令に部下が異議を唱えても良いのかね?」
「いえ、しかし…奴らとの戦闘経験は我々の方が上で…」
「
バルトフェルドとイザークの会話に茶々をいれたのはピンク色のパイロットスーツを身に纏ったアイシャであった。その言葉にイザークはカッとなって反応してしまう。
「なにぃ!?」
「アイシャ」
「あら、ごめんなさい」
宥めるとアイシャは身を翻して「ごめんなさい」と告げるが悪いとは微塵も思っていないようだ。
バルトフェルドは視線を若いパイロット二人へ向けた。
「君たちの機体は砲撃戦仕様だ。”バクゥ”の高速戦闘にはついてこれまい?」
「そんなことは…」
「もう止せイザーク。命令なんだ…失礼しました」
食って掛かろうとするイザークを同じ隊のディアッカが肩をつかんでその場から離れた。
その後なにかを言い含めるように伝えているのだろう…とバルトフェルドに見透かされていた。
「混戦になれば分からない、軍功を上げれば命令違反を咎められない」と。
「彼、彼女のような真似、誰にでも出来る訳じゃないだろうしな」
そう一人ごちて彼専用機である”ラゴゥ”にアイシャと共に乗り込む。彼女の射撃の腕はこの隊にいる誰よりも優秀で其れは疑いようもない真実だ。
「それじゃ、艦を頼むぞ?ダコスタ君!」
<はっ!>
「アンドリュー・バルトフェルド、”ラゴゥ”出るぞ!」
”砂漠の虎”が今出陣した。
◆ ◆ ◆
「砂漠で”バクゥ”は確かに強敵…だけどッ!!」
出撃して”バクゥ”と戦闘を行う”ダガー”は接近するミサイルを迎撃し、手にしたハンドキャノンで頭部モニター、ミサイルコンテナを破壊した上で破損箇所に狙いを定め撃破する…これを既に”二回”行っていた。
機動力のある”バクゥ”相手では二足歩行のMSでは相性が悪い…筈だが其れはエアリス発案の戦闘方法により解決しかけていた。
確かに荒れ地や砂地を走破する四肢機動は素晴らしい機動性を誇る…が”乗っている人間の状態を無視した急旋回する”MS相手には並みのパイロットではその効力を発揮しない。
”バクゥ”も陸上では並外れた運動性能を誇るのだろうが”追いかけていた相手が急に旋回し、急接近”してきたら相手がコーディネイターといえども人間が操っている以上制動をかけて反転するが直ぐ様直線移動に移れない…そもそも前肢が突然の制動で故障するほどの負荷が発生してしまう恐れがあった。
エアリスは其れを狙ったのだ。”心理的なブレーキを掛けさせる”という戦術を取った。
それは功を奏した。
反転するより先に”ダガー”を見失ったザフトのパイロットはアラートを聞いたのが最後で意識を失う。
ブレードスラスターを吹かして宙返り、”バクゥ”を推力に物を言わせて蹴り上げる。
「遅いッ!」
次の瞬間、背面から接近するミサイルを蹴り上げた。仰け反った”バクゥ”にそれが直撃し、その命を散らせたのを確認したエアリスは無事に着地して撃ち切ったハンドキャノンを投げ捨てて腰のビームカービンを素早く抜いて黒煙が上がっている向こう側に構えた。
「そこッ!」
次の瞬間にビームカービンから放たれた緑色の光条がミサイルポットを抱えた”バクゥ”を撃ち抜いて爆発。鉄屑へと変えていき、向こうからしてみれば黒煙で見えない筈の向こうからの射撃、あまつさえ動いていたというのに当てられたことに疑問が浮かんだだろうがそんなことを考える暇もなくこの世を去った。
「これはこれで余りにも数が多い…ッ」
反対方向から飛来するレールガンをその場からスラスターを吹かして回避し直ぐ様振り返ると掛かったGに思わず苦悶の表情を浮かべるエアリスだったが馴れてしまっていた。
飛び上がり、背面スラスター上部に移動したビームサーベルを逆手に引き抜き励起させ接近した為、迎撃の為に相手もレールガンを発射。その間を縫うように接近してピンク色の荷電粒子の筒が”バクゥ”の胴体を横一文字にバターのようスライスした。
破壊され地に伏す”バクゥ”を見つめる”ダガー”のゴーグルカメラは”狩人”のそれのように輝く。
彼女にとって”バクゥ”は既に狩られる”獲物”でしかなかったのだ。
◆ ◆ ◆
「”ゴットフリート”、”バリアント”てぇーッ!」
ナタルの号令が”アークエンジェル”のブリッジに響く。
敵艦に砲撃を向けるが自身も被弾しながら艦体が大小の衝撃に晒された。
外ではレジスタンスの車両が戦闘ヘリにランチャーを向けて撃墜すると同時に別機体からの攻撃を受け爆散する光景が広がっている。
”アークエンジェル”は的として大きいために攻撃が集中しやすく、それでも軽微なのは”バクゥ”を足止めする”ストライク”と”ダガー”の活躍あってこそだろう。”スカイグラスパー”は艦艇と戦闘ヘリを相手にしているため、飛び回っている姿はブリッジでも確認されている。
「ECM及びECCM強度、十七パーセント上がります!」
サイが計器を見ながら叫び、射撃管制を務めるパルが報告する。
「”バリアント”砲身温度、危険域に近づきつつあります!」
其れを受けたナタルがマリューに呼び掛けた。
「艦長!”ローエングリン”の使用許可を!」
「ダメよ!あれは地表への汚染被害が多すぎるわ!」
「”バリアント”の出力とサイクルチャージで対応して!」
「…了解しました!」
ナタルはマリューの指示に面従腹背しながら内心で「落とされたら元も子もないだろうに…!」と思いながら上官の指示に従うために火器管制に指示を出す。
「うっひょー!すげぇ威力だ!アグニは効くぜぇ!!」
そんな中、”スカイグラスパー”が背負った”バーストストライカー”が駆逐艦に集中砲火を浴びせ、”ツインアグニ”の強力な二色の荷電粒子が艦上にいた”ザウート”ごと貫き、機体に突き刺さるとその威力ゆえに艦体は激しい誘爆に巻き込まれ停止して爆発した。
敵艦の撃沈に”アークエンジェル”のブリッジが歓喜に満ちようとしていたその瞬間に大きく揺さぶられマリューやナタルが呻き声を上げる。
同時にレーダー要員のトノムラも衝撃で傾いた体勢を建て直し、それからモニターを見て驚きの声を上げる。
「ッ!?ろ、六時の方向に艦影あり…!敵艦が…!」
「もう一隻伏せていたのか!?」
「艦砲直撃コース!来ます!」
「回避!」
「打ち落とせ!」
マリューとナタルの指示が飛び其々担当していたブリッジ要員が対応しようとしたがどちらも叶わず数発のミサイルが直撃し艦体を揺らす。
被弾した巨体は大きく傾きタルパティア工場跡地に突っ込みのめり込むように停止した”アークエンジェル”は其れをチャンスとして敵の艦砲射撃とミサイルが降り注いだ為、大きく揺れるがナタルが抗戦を命じた。
「”コリントス”、”ヘルダート”てぇーッ!!」
発射されたミサイルが飛来する艦砲とミサイル、戦闘ヘリを打ち落としていく。
そんな中、モニターをチェックしていたトノムラが驚いた声を上げる。
「”レセップス”の甲板上にX-102、X-103…”デュエル”と”バスター”を確認!」
「なにッ!?」
ブリッジにいた全員が「こんなところにまで…!?」と。
マリューは焦りを感じて操舵するノイマンに指示を出した。
「スラスター全開!上昇!このままでは”ゴットフリート”の射線が取れない!”バスター”に狙い撃ちされるわ!」
「やってます!ですが艦体になにかが引っ掛かっているようで…!」
墜落の際に、建物の骨組みに”アークエンジェル”の下部翼が引っ掛かり身動きが取れなくなってしまった。
これでは射線を取る所か砲撃を回避することが出来ない。
その時また艦砲射撃が艦体を揺らし、クルー達の背筋に冷たいものが走る。
負ける…!?この砂漠の真ん中で死ぬのか……!と。
◆ ◆ ◆
”ダガー”と”バクゥ”が宙で交差した。次の瞬間に”ダガー”が着地すると”バクゥ”がブレードスラスターによって真っ二つにされて爆発し、コックピット内部にアラートが鳴り響くが、驚く様子を見せないエアリスはこちらを狙っていた”バクゥ”の頭部カメラに”ストライク”が投擲したサーベルが突き刺さり動きを止めてしまったところにライフルで狙撃。そして放たれたビームが命中した事によって爆発し、最後の一機が散る。
その時に”アークエンジェル”が艦砲に晒され身動きが取れなくなったのを確認した二人は振り返る。
「”アークエンジェル”が…!」
<身動きが取れなくなったのか…!>
救援に向かおうとする二人の進路を遮ったのは突如放たれたビーム。其れを寸でのところでシールドで受け止めた。
”ストライク”に向かおうとする”ラゴゥ”が攻撃を仕掛けるが入れ替わるように”ダガー”がシールドを構えライフルを発射し牽制する。
<気を抜かない!これは隊長機…恐らくあの人達が乗ってる…>
「あの人達が…」
キラの脳内に宮殿で出会ったコーディネイターの女性と”砂漠の虎”の姿を思いだし操縦桿を握る手が少し弱まる。
目の前でエアリスに襲いかかろうとしている”隊長機”は今までの”バクゥ”とは一線を画していたのを本能的に理解し守ろうと焦るキラにモニター越しに笑みを浮かべた。
<残酷だけど…躊躇ったら私たちが殺られるよ…!手加減できるほど相手は甘くない!私たちなら勝てる…キラ君は私を守ってね?私もキラ君を守るから>
「ッ…はいっ!」
”ストライク”にビームを発射する”ラゴゥ”の射線に割って入りシールドで弾きながらライフルで狙いを定めビームを発射する。”ストライク”は”アークエンジェル”救援に向かう。
「悪いけど…相手をして貰いますよ”砂漠の虎”…!二対一が卑怯って言わないでくださいね…!」
◆ ◆ ◆
「”アークエンジェル”が!」
廃工場に突っ込み”アークエンジェル”が身動きが取れなくなってしまったのを目撃したカガリは退避した廃墟の物陰から叫ぶ。
「これでは狙い撃ちだぞ…!おい、カガリ!どこへ行く!」
バギーから降り立ったが一瞬遅れ、キサカはカガリを追いかけようとしたが近くで爆発したそれに阻まれてカガリとの距離が空いてしまい、その隙に彼女は”アークエンジェル”のハッチから格納庫へと向かう。
駆け込んできたカガリの姿を見て驚くマードックが目を見開いた。
「おい、なんだ!?嬢ちゃん!!」
カガリは彼には目もくれずに、真っ直ぐに待機中の”スカイグラスパー二号機”に駆け寄ろうとする…が。
「バカ野郎!何してんだ!」
「機体を遊ばせていられる状況か!こいつで出る!」
「なんだって!?阿呆!こいつは玩具じゃねーんだぞ!!そもそもお前正規兵じゃねーだろ!!」
タラップに駆け寄ろうとするカガリを羽交い締めにし、其れを聞き付けた整備兵達が取り押さえる。
「離せバカッ!こんなところで落とされたら元も子もないだろ!」
身動きが取れないカガリが叫び、どうしても乗せたくないマードック達との攻防が続いていたが通信が入る。
<マードック曹長!カガリを”スカイグラスパー”に乗せてください!>
「嬢ちゃん!?だがこのお嬢ちゃんは…」
<数は多い方がいい!”アークエンジェル”が落とされたら終わりです…ッ!私が責任を取りますから乗せてくださいっ!>
「…分かった!おう、このお嬢ちゃんを”スカイグラスパー”に放り込め!」
カガリはマードック達によって”スカイグラスパー二号機”のコックピットに押し込まれ、「もっと丁寧に扱え!」と怒鳴るが投げ入れられたメットを受けとり、計器を確認しているとエアリスからの通信が入った。といっても一方的なものだが。
<カガリ、貴方は”アークエンジェル”の動きを妨げている建物の破壊だけに集中して。其れ以外の行動は認めないからそのつもりで…墜とされたら承知しないからね!ぐぅっ!?>
「エアリスっ!?」
次の瞬間に通信機越しに爆発音が響いていたのは戦闘中だったからだろう。その事に心配になるカガリだったが、機体を預けてくれた彼女のためにも”アークエンジェル”を助けなくては!
準備が整いハッチが解放されてカガリの”スカイグラスパー二号機”が発進した。
機体に掛かるGに戸惑うがぎこちなく操縦桿を動かし、上昇するのを確認してシミュレーション通りだ、と強く自分を鼓舞した。
<スカイグラスパー二号機が発進…!?>
<なに…フラガ少佐が?>
<おい!二号機には誰が乗っている!?>
<パイロットは…カガリさんです!>
<なんだと!?>
驚く声を上げるナタルにブリッジにいるメンバーも声を上げた。
既に一号機が攻撃している”レセップス”目掛けて飛翔し、鷹のような優麗な曲線を描き襲いかかる。
”スカイグラスパー”に搭載されているバルカン砲とミサイルが着弾し、主砲と甲板に直撃して爆発した。
<うひょ~っ!やるねぇお嬢ちゃん!墜ちるなよっ!>
二機の戦闘機は翼をキラリと輝かせて翻し後方より接近していた駆逐艦へと飛翔する。
一号機の”ツインアグニ”が火を吹いて駆逐艦のエンジンを破壊し、二号機が”ミサイルとアグニ”を発射して砲台と甲板を撃ち抜く。
「どうだ!」
カガリの駆る二号機を逃すまいと最後の力を振り絞った駆逐艦が放った対空ミサイルが”スカイグラスパー”の右翼エンジンに直撃こそはしなかったが付近で爆発、その影響か推力が低下していく。
「くそっ!」
カガリは腹立ちげにコンソールを小突く。
幸いにしてダメコンをして立ち直らせて”アークエンジェル”を固定している廃墟を攻撃しに向かおうとするが…。
◆ ◆ ◆
「成程、良い腕ね?」
照準から目を離さずにアイシャが淡々と告げた。”ラゴゥ”を駆りながらバルトフェルドは声を弾ませながら「だろう?」と同意を求める。
「今日は冷静に戦っているようだったがこの間はもっと凄かった。其れにあの”ゴーグル付き”に乗っているレディも曲芸じみた動きで凄かったよ」
バルトフェルド達の前には”ストライク”と”ダガー”が立ち塞がり、一進一退の攻防を繰り広げていた。
エアリスは”アストレイ”に乗っていないが目の前の”ダガー”の動きを見て彼女だろう、とバルトフェルド達は本心で理解していた。
その言葉にクスリとアイシャが笑った。
「でも、どうしてそんなに嬉しそうなの?」
その問い掛けにバルトフェルドは答えることは出来なかった。
”彼ら”がこの地に降りてきてから既に物資も人的資源も多く失った…皆、自分を慕う気立ての良い連中だった…にも関わらず彼は敵のパイロット達を褒め称えていることに自分自身で「人でなしだな」と冷笑した。
そんな彼の心を汲み取ってかアイシャは的確に言葉を掛けた。
「辛いわね、アンディ…ああいう子達好きでしょ?」
ナチュラルの中で一人寂しく戦うコーディネイターの少年。
ナチュラルの中でコーディネイターを差別せず”一人の人間”として接する少女。
報告書と噂によれば”アークエンジェル”で保護されたラクス・クラインを彼女が手厚くもてなし、返還した…とされるが事実だろうな、と思った。彼女の性格ならあの”ラクス・クライン”にも気に入られるだろう。
エアリスのような少女がこの混沌とした世界で上部だけでない信念を持ち銃を取って確かな想いを持って返り血を浴びながら戦っていることを。
”マトモな感性を持っている少女”が眩しく見え、そんな彼女を好いている少年。そんな二人の子供達の在り方をバルトフェルドは好ましく思っていた。
「…投降する、と思うかい?」
アイシャは即答した。
「いいえ」
バルトフェルドは笑った。
そうだろう、そうでなくては彼女達に失礼だ!と。
「そうか…では付き合ってもらう!」
◆ ◆ ◆
「ちぃ!ビームの減衰率が高すぎる!大気圏内じゃこんなもんかよ?!」
”レセップス”の甲板上にて”バスター”を操縦し、ビームを吐き出していたが本来の威力よりも低下し、命中率も悪い状態に悪態を吐く。動けない”アークエンジェル”が目の前にいると言うのに墜とせない状況にディアッカは歯痒さを覚えていた。
「ッ!見つけたぞ”ゴーグル付き”ッ!ここでこんなことをしていられるか!」
其れはイザークも同様であり”レセップス”前方で繰り広げられる”ラゴゥ”と”ストライク”…そして”ダガー”の戦闘を見たイザークは頭に血が登り、リベンジせんとスラスターを吹かして甲板上から飛び降りた。
「イザークッ!クソッさっさと墜ちろよ”足つき”!!」
独断専行してしまった親友を追いかけるために目の前の戦艦にガンランチャーとエネルギー砲を連結させて超高インパルス砲をその艦体を狙い発射した…が、ここで其れを使わずに散弾を使っていれば歴史が代わっていたかもしれないと後世の歴史家は語るだろう。
発射されたビーム砲は熱対流によって狙いを大きく外し”アークエンジェル”を拘束していた廃墟を吹き飛ばす。
「外れた!」
ノイマンが歓声に近い声を出して今まで重かった操縦桿を引くと底部翼が廃墟から引き剥がされ瓦礫をふるい落としながら”アークエンジェル”の巨体が持ち上がるのが早いかマリューが指示を出した。
「面舵六〇!ナタル!」
「”ゴットフリート”照準!てぇーッ!!」
次の瞬間”アークエンジェル”の主砲が火を吹くと”レセップス”甲板上にいた”バスター”は飛び上がる。
熱線は”レセップス”後部主砲を焼き貫き側にいた”ザウート”も貫かれて爆発した。
”砂漠の虎”の母艦は黒煙を上げて座礁した姿を見てディアッカは悪態を吐く。
「おいおい!何が”砂漠の虎”だよ!…うわっ!?」
砂漠に着陸する”バスター”であったが案の定砂地に足を取られて身動きを取れなくなってしまう。
その一方では。
「そろそろ終わって!もう母艦も僚機もいない!降伏して!」
「くそーっ!!」
”ラゴゥ”が見せる従来のMSの動きとバルトフェルドの操縦に翻弄されるエアリスとキラは機体のエネルギーと精神をすり減らしていった。
其れでも撃墜されていないのはこの砂漠での経験を高速蓄積し、答えを出して反応しているキラ。
そして”直感的に攻撃を予知して”回避、反撃をしているエアリスが異常なだけだった。
”ストライク”はバッテリーが心許なくなっていたが”ダガー”は未だ余裕がある。
「エアリスさんッ!…………ッ!?あ、れは…!!」
其れを言ってしまえば”ラゴゥ”のバッテリーも二人を相手にするのは厳しかったが其れを感じさせないほどに二機を相手取っていた。ビームを放ちミサイルを打つ。其れで”ストライク”と”ダガー”が分断されてしまい一対一の状況に持ち込まれてしまった。
キラは援護をするべく向かおうとするがコックピット内のモニターに見慣れた機体を捉えた。
「くっそ…!なんなんだこの地面は!?」
イザークが悪態を吐く。
キラの視界には”ゴーグル付き”を追いかけ砂地に着地する”デュエル”の姿がソコにあった。
が、其れは踏ん張りが効かずに直ぐ様膝をついてしまう。
「デュ、エ…ル……!」
その光景を見てキラの脳内にフラッシュバックした。
攻撃を受け地球に墜ちていく”ダガー”、医務室で苦しそうに横たわる”エアリス”…その原因を作り出した”デュエル”…!!
お前が…お前がエアリスさんを…!!
そう”敵”と認識した瞬間キラの<SEED>が弾けた。