魔改造ダガーでC.E世界を駆け抜けたい【完結】 作:萩月輝夜
感想コメントで養殖に関するものが非常に多かったのでビックリしました。
作者の知識が某美食漫画のせいであんな感じになってしまいました。
あの下りを直すか悩んでいますが変更した場合報告しますのでよろしくお願いします。
(エアリスの父親の思考が固い偏っているイメージで書いた為よくも悪くも”ナチュラル”らしい感じにしたかったため。)
長すぎたので分割…。カガリとアスランの出会いまで行きません。
それではどうぞ!
”アークエンジェル”がザフト部隊に遭遇する少し前。
アフリカ北部のバルトフェルドが討たれて防衛網の構築を進めると同時に追撃の任務を言い渡されたボスゴロフ級潜水艦を母艦とする部隊モラシム隊がカーペンタリア基地から発進していた。
<バルトフェルド隊長戦死の件には私も酷く驚いております。地球に”足つき”を降ろしてしまったのは私の失態であり複雑な思いです>
「ふん…」
モラシム隊隊長であるマルコ・モラシムは映像データを流しながら興味もなさそうにコーヒーを注ぎ終えるとベッドに腰掛けモニターに映る仮面の男を見て鼻で笑った。
<【オペレーション・スピットブレイク】…近々その作戦も近い。私も地球に降りその際にはモラシム隊長にお力を貸していただきたく思い…>
「ふんッ」
男の言葉を言い終える前にモラシムは壁にあるスイッチを乱暴に叩いて映像を終了させた。
「クルーゼめ…こんな通信を送ってくることが既に下手な挑発だぞ…まぁ良かろう。その”足つき”とやらをこの紅海に沈めてやろう…」
白々しいクルーゼの丁寧な言葉使いにモラシムの瞳には憎悪が渦巻く。
彼は戦争で大切な人を亡くしている。それ以降ナチュラルへの恨みの炎が尽きることなく燃え続けていた。
ナチュラルとの戦争に妥協点を見つけながら戦ったバルトフェルド、自分達の庭である”宇宙”でナチュラルを取り逃がしたクルーゼ…どれもこれも敵を叩くのならば徹底的に叩かなければ。
「ナチュラルは鬼子だ、滅ぼさねばならん…!」
”紅海”を示した海図を見ながらそう呟いた。
◆ ◆ ◆
時は戻る。
<背後より接近する機影あり!同系統の機体と思われます!数”六”!>
<エアリス気を付けて!増援よ!>
「…って数が多いじゃない!」
発進してすぐにミリアリアの通信と目の前に展開する敵影をエアリスを見て悪態を吐いた。
カタパルトより吐き出された”ジェットダガー”は背面のスラスターユニットを吹かせると墜ちることなく数十トンある巨体を空中に浮かせ接近してきているディンを視界とレーダーに捉えたのだが…ミリアリアの報告あった数が違い多かった。
その数は”六”。小隊規模の編成で襲ってきておりその光景は秋の風物詩である蜻蛉の群れのようだ。
既に戦闘に突入しているムウの”スカイグラスパー”は二機の”ディン”相手にしている為此方で対応するしかない。
悪態を吐くエアリスであったが逆に”アークエンジェル”に襲撃を仕掛けてきた”ディン”のパイロット達もデータで送られてきたものと異なっていることに驚いている。
<こいつがゴーグル付き…!>
<おいおい!空を飛んでやがるぞ!?>
<飛べなかったんじゃなかったのか?!それにあれは…!?>
<”ディン”に似ている…パクりやがって!>
「(全く…確かにデータにない装備ではあるが戦況が進めばそういった装備が出てくるのも予想が着くだろうに。その程度で驚くとは…)落ち着け!操縦の錬度で言えば此方の方が上だ!『彗星の魔女』を落とした、となれば勲章も手に入る…行くぞッ!」
すると元々コーディネイターの選民思想が浸透している兵士達は直ぐ様やる気を取り戻し目の前に接近する”ジェットダガー”に攻撃体制へ移行した…がその戸惑いは【彗星の魔女】相手に悪手であった。
「1Gでも十分な機動性…遅いッ!」
相手が構えるより先に先制を取ったのは”ジェットダガー”だった。
一機の”ディン”が緑色のビームに撃ち抜かれ、その合間を縫って反転し、左手の装備を構え対空散弾銃を発射する。
しかし片方の”ディン”には飛行ユニットが食い破られた程度で撃墜には程遠い。
<なっ!?こいつ…!>
<散開!面で制圧しろ!!>
<了解!墜ちろ!ナチュラル風情が!!>
”ディン”達は散会し左右から挟み込むように手にしている対空散弾銃と重突撃機銃で弾幕を形成し追い込むように攻め立てるが決定打を今の”ジェットダガー”に与えることは出来なかった。
<バカな!?何て旋回性能なんだ…!>
「ぐうぅぅぅぅぅッ…!やっぱり地球の重力は重い…ッ!!だけどッ!!」
左右に展開した”ディン”が放った突撃銃の弾丸を回避するためにエアリスは呻き声を上げながらスラスターを吹かすと身体にGが掛かる。
装甲をPS装甲に換装されているとは言えども攻撃を食らって電力をイタズラに消耗しないようにするのは当然だったし癖になっていた。
「うりゃあああああっ!!」
<なにッ!?うわぁあああああああっ!!>
反転し背後をとって手にしたライフルを発射しコックピットを撃ち抜き爆発させてその場から囲まれないように離脱する。
「数は圧倒的に向こうが有利でも数より質って…こんなときに故障!?ええい…拾った装備を使うからこんなことになる!」
構えた左手の対空散弾銃が
◆ ◆ ◆
「くそっ…!」
一方でエアリス達が”ディン”との戦闘を繰り広げている最中”アークエンジェル”の右舷ハッチから顔を出して手にしたビームスナイパーライフルで狙撃するが水中に潜む”グーン”を捉えることが出来ずにただただ海上を蒸発させていることに歯噛みするキラ。
”イーゲルシュテルン”や”バリアント”に狙われさっと海の中へ身を隠したかと思えば予想だにしない場所より出現しその船体と”ストライク”を揺らしていた。
「このままじゃ埒が空かない……!マードック曹長!」
”ストライク”は取って返しモニター越しにマードックを呼び出す。
「第八艦隊からの補給品に水中用のストライカーと武装がありましたよね!?準備してください!」
<お前海に降りる気か?!無茶だ!いくら嬢ちゃんが水中用に防水処理しているとは言え…>
「やらなきゃ”アークエンジェル”が墜ちます!それに”ストライク”はPS装甲がありますから水圧は大丈夫ですし、推進も超伝導電磁推進がありますから!」
<…分かった!>
怪訝な表情を浮かべていたマードックだったがキラの勢いに押され装備を準備し始める。
”ストライク”の背中と肩、脚部、左腕にストライカーパックと増設ユニットが装備されていく。
背面のブースターユニット、脚部ユニットは細かいスラスターが幾つも着いており水中での電磁推進を生かすための開発されたものであった。
両肩部にはフレキシブルアームに保持された”タル”のようなものが二対装備される。
水中ではビームの減衰率が非常に高くなり使い物にならない…が左腕には亀の甲羅のような盾に銃口のようなものが付き、右手には下部ユニットに水中用のハープーンランスが装備された複合レールガンが保持される。
水中用ストライカー…【ソリッドストライカー】と呼ばれる試作ストライカーパックであった。
「キラ・ヤマト、”ガンダム”行きますッ!」
海中から顔を出していた”グーン”がミサイルを発射するのをシールドで防ぎ頭部バルカンで牽制しながら海中へ突入するとそこは日の光が少ししか差し込まない暗がりの世界でありその圧迫感は宇宙にいるよりも大きいもので底冷えするような恐怖がキラを襲い始め自分が荒く呼吸していることに気がついた。
落ち着かないキラの視界を白い影が通り抜けると直ぐ様衝撃が襲いかかる。
「くっ…!?」
水中へ飛び込むと三機の流線型の機体が離れていくのを確認すると後を追うように頭部バルカンで追撃を仕掛けるが水の勢いに殺され通常の弾丸速度で敵を捉えることが出来ずにいる。
もう一機の”グーン”が接近したのに気がつき、キラは手にしたレールガンを構え発射するとグーンは短い腕がもぎ取られ体勢を崩した。が、突撃そのものを防ぐことは出来ずに激突、衝撃で吹っ飛ばされて機体を立て直すと先に遭遇した一機目の”グーン”が旋回し再び此方に向かってきているのを確認し、機体に搭載されたスケイルモーターを動作させその場から移動した。
<なんだと!?>
「もういい加減に…!」
突撃し体勢を崩す算段だった”グーン”のパイロットの目論みは潰えて背後を取った”ストライク”は手にしたレールガンを構えるとコックピット内部に響くアラートがそのパイロットが最後に聞いた音だった。
電磁力で引き伸ばされた弾丸が耐圧性に優れた”グーン”の装甲を食い破ってスパークを散らせるとその傷ついた場所より外圧に耐えきれずに圧壊してしまうのだった。
「もう一機…!うわぁああッ!?」
<見つけたぞ!連合のモビルスーツ!>
残された”グーン”を仕留めるために意識をそちらへ向けようとすると”ストライク”のコックピットが大きく揺れた。
咄嗟に攻撃を受けた方向を見るとそこには”グーン”…ではなく別のモビルスーツがそこにいた。
”グーン”が烏賊のような見た目であるのならば此方は猿人類…オランウータンのようなずんぐりしたシルエットのモビルスーツ…水中戦の近接格闘に特化した”ゾノ”が魚雷をぶち当てていたのだ。
「これは…ッ!?」
”ゾノ”が現れた途端”グーン”は海面へ向かっていくのを確認したキラは後を追いかけようとしたが行く手を阻む様に長い手をつき出すように伸ばすと緑色の光を放つ。
ハッとしたキラは咄嗟にシールドを掲げるとコヒーレントされたレーザーが放たれ装甲表面を焼いていくと同時に移動し物陰に隠れようとしたその瞬間に位置がズレ背面に在った岩が大きく抉り取られる。
その間に一気に隙を詰めてきた”ゾノ”は鋭い鉤爪を振り下ろすが機体を捻り回避し手にしているハープーンランスを突きつけようとするがあっさり回避され逆に魚雷を直撃してしまった。
「クソーッ!!」
”ゾノ”に搭乗するマルコ・モラシムは水中で無様に踊る”ストライク”を見てニタリと笑った。
<その機体、パイロット共々海の藻屑にしてくれる!!>
◆ ◆ ◆
「数ばかり用意したところで!!」
<本当にあれにはナチュラルが乗っていると…ぐあああああっっ!?>
水中では”ストライク”と”ゾノ”が死闘を繰り広げている最中、空でも激戦が繰り広げられていた。
複数の”ディン”が”ジェットダガー”に向けて重突撃銃と散弾銃を発射するがひらり、と回避され振り向き様に手にしているビームライフルの火線が”ディン”の胸部を撃ち抜き火の玉に変えて撃墜する。
<貰ったぜ《彗星の魔女》…なにッ?!うわぁあああああッ!!?>
「うぐ…ッ!!ああああああああッ!!」
背後を取っていたもう一機の”ディン”はスラスターに狙いを定める。しかし
発射された重突撃銃の弾丸は空を切り明後日の方向へ飛んで行くと次の瞬間目の前に現れた”ジェットダガー”は抜刀したビームサーベルで”ディン”を両断して海の藻屑へ変えた。
<何て動きを…!あんな挙動をすれば内臓がシェイクされちまうぞ…!?>
<ば、化け物…うわぁあああああッ!?>
<そんなことが…!?うぉおおおおおっ?!>
残った”ディン”二機はたった一機で大立回りする連合のモビルスーツに恐怖すら覚え始めていたが”敵”はナニも一機だけではない。
怯えている声をあげて撃墜した一般パイロットが乗ったディンは”ジェットダガー”のライフルに貫かれ爆散しもう一機最後に残った隊長機である機体も”アークエンジェル”から飛来した攻撃で羽をもがれミサイルが直撃しこの世から消え去ってしまった。
航空戦力の大半を撃墜したが敵は直接オーストラリア大陸の基地から来ているわけではない、と判断したエアリスは一度補給へ戻ったムウヘ通信を繋いだ。
「フラガ少佐!敵は恐らく潜水母艦で来ている筈です!”スカイグラスパー”で索敵して撃沈できませんか?」
<嬢ちゃんもそう思ったか?>
「ええ。幾らなんでもカーペンタリアの基地から此処に来るのは不可能です。バッテリーの問題もありますし」
<こっちも動いてる。ギリギリ来て戦えたって損耗してりゃ戻れないからな…艦長!そっちで敵さんの航路を辿って母艦の位置を割り出せないか?>
ムウがマリューヘ話を振るとブリッジでは敵母艦の位置を割り出すことにしたらしい。
「私が”アークエンジェル”の直援に入ります。フラガ少佐は敵母艦を…」
「だからなんで機体を遊ばせておくんだよ!」
<なんだ?…ってあのお嬢ちゃんか…>
ムウとの通信を繋いでいるとカタパルトデッキではカガリとマードックが言い争い?をしていた。
「私は乗れるんだぞ!?」
「いや、でも、あんたは…」
マードックが許可を出さないのは当然だった。
カガリは地球連合の軍人でもなければパイロットですらない一般人だ。一般の人間に機体を任せることは勿論の事であるがもし、撃墜されでもすれば…と思うのだから。
それでもカガリはマードックに噛みつく。
「”アークエンジェル”が墜とされたら同じだろう!?なのに、なにもさせないでやられちゃったら化けて出てやるからな!」
マードックはたじたじになり一号機の上からムウが笑って声を掛けた。
「曹長の敗けだな?二号機用意してやれよ!」
「少佐ぁ!?」
「母艦をやりに行くんだ。火力は多い方がいい」
そして笑みを引っ込めて真面目な表情でカガリへ問いかける。
「遊びに行くんじゃないんだぜ?それはわかってるよな?お嬢ちゃん?」
「お嬢ちゃんじゃない!カガリだ!わかっている!」
「だ、そうだ。いいよな嬢ちゃん?」
通信越しにエアリスに振ると不満げに答える。
<なんで私に振るんですか少佐…私は彼女の保護者じゃ…>
「違うのか?」
<違います!>「違う!」
シンクロしてしまって返答するとムウは再び笑い声を挙げる。
メットを被りランチャーストライカーが装備されたスカイグラスパー二号機とバーストストライカーを装備した一号機が敵艦予測位置のデータを取得して発艦する。
しかし、已然として海中と空中から”アークエンジェル”を撃墜せんと攻撃を仕掛けている。
海中から顔を出した”グーン”が腕部から放たれたミサイルが白亜の艦艇が大きく揺れた。
「アークエンジェル!くっ…しつこいッ!」
直援についているエアリスは接近する”ディン”を相手取るために海中にいる”グーン”に向かえない。
苛立たしさを隠さずにエアリスはフットペダルを押し込み接近してくる”ディン”へ向かう。
「ランダム回避運動!」
「バリアント、てぇーっ!!」
艦橋でもマリューとナタルの声が響く。
回避をしようにも海面にいる敵に対して有効打を取れる武装が挺部”イーゲルシュテルン”と”バリアント”のみと言う歯がゆいという苦しい状態であり苛立ちを込めナタルが怒鳴った。
「”ストライク”はナニをしている!」
「”ストライク”は”ゾノ”と交戦中!身動きが取れない模様!同様に”ダガー”も”ディン”に囲まれています!」
「くそっ…”ゴットフリート”の射線が取れれば…!」
サイが思わず毒づいた。そしてその言葉を聞いたマリューはハッとして振り向いて操舵席に座るノイマンへ声を掛けた。
「ノイマン少尉!一度で良い。”アークエンジェル”をバレルロールさせて!」
「ええっ!?」
マリューの言葉にノイマンが唖然とした表情で振り返りそれと同様に他のクルーも目を丸くする。
この大気圏内で戦艦を三百六十度回転させる?戦闘機でもないのに?困惑がクルー達の脳内を支配するがマリューの言葉でハッとした。
「”ゴットフリート”の射線を取る!一度で当ててよ、ナタル!」
「ッ…わかりました!」
「ノイマン少尉!やれるわね!」
マリューに念を押されたノイマンも困惑を隠せずに上擦った声で了承する。
「本艦はこれより三百六十度バレルロールを行う!衝撃に備えよ!繰り返すー」
パルの声がアークエンジェルに響き渡る。
「大気圏内でバレルロールだとぉ!?」
「”グーン”二機、来ます!!」
「”ゴッドフリート”照準!良いわねナタル!」
マリューが確認しシートベルトを締めるのを確認すると他クルーも急いで身体を固定し飛んでもない曲芸飛行に備えた。
「行きますよ!」
言うのが早いかノイマンが操縦桿を引くと巨大な艦艇が大きく傾き始めた。
「無重力じゃねぇーんだぞ!!?」
格納庫にいるマードックが悲鳴にも近い罵声を操縦しているノイマンにぶつけると艦艇内部の固定されていない備品が動き回った。
同時に格納されていた主砲”ゴットフリート”の砲座がせり上がり艦橋の視界がぐるり、と回った。
それを”ダガー”に乗りながらみていたエアリスは思わず度肝抜かれてしまった。
「ホントに……嘘でしょ…!?」
モニターを映す映像がついに海面だけになって海をおおう影を割って”グーン”がその姿を現して言葉を失った。
<なッ…!?>
「”ゴッドフリート”てーッ!!」
ナタルの号令が艦橋に響き渡ると主砲が火を吹く。
モビルスーツを飲み込むほどの太い光条が海中から飛び出してきた”グーン”を撃ち抜いた。
火の玉へ変わる前に元の位置へ戻った”アークエンジェル”の艦橋では歓声が上がっていたのだった。
「…やっぱりノイマン少尉普通のナチュラルじゃないって…スーパーナチュラルに改名しないとダメでしょ」
エアリスは少しひきつった笑顔でノイマンをそう評するのだった。
◆ ◆ ◆
一方では海中で”ストライク”と”ゾノ”が戦いを繰り広げていた。
自在に潜航する”ゾノ”に”ソリッドストライカー装備のストライク”が食いついて遠距離からレールガンを発射する。
がそれよりも素早い速度で移動する”ゾノ”に接近を許し長い腕が振るわれ”ストライク”が岩盤に叩きつけられる。
「しまった!?」
同時に手にしていたレールガンを手放してしまい攻撃の手段を失ってしまう。
次の瞬間に魚雷が迫り辛うじて回避するが次の行動に移ろうとしていた”ゾノ”が接近し”ストライク”の頭部を鷲掴み腕部のフォノンメーザーを発射しようとしたそのときだった。
海面で爆発が引き起こったことに動きを止めた。
どうやら僚機の”グーン”がやられてしまったようで気を引かれたようだ。
この一瞬で思案しキラは動いた。
ー今しかない!
身動きが取れない以上腰部の”アーマーシュナイダー”を抜くことが出来ない。
となれば今攻撃オプションで扱うことが出来る武装で一撃で倒すことが出来る装備…それを発動した。
<これで…!!>
光が収縮する前に”ゾノ”の機体を緑色の光条が後ろから貫いた。
撃ち抜いたのは”ソリッドストライカー”のアームから分離したバレルユニット…ムウの乗る”メビウス・ゼロ”の”ガンバレル”を参考とした場所は限定されるが有線誘導分離兵器でありその上部分が開き砲がせりだしコヒーレント光…フォノンメーザーを発射した。
<うぉおおおおおおおおッ!!?>
運良く動力部分を撃ち抜いたのか機体がスパークし始めたのを確認したキラは”ストライク”を動かし覆い被さる”ゾノ”を蹴り挙げ後ろへ投げ飛ばすと次の瞬間爆発した。
”紅海の鯱”と呼ばれたマルコ・モラシムは奇しくも多くの敵兵を討ってきた紅海で散ることになったのだ。
それも連合のナチュラルが開発した水中専用の装備でだ。
「戦わなくちゃ行けないのはわかるけど…くそっ」
”ゾノ”が爆発し海中が掻き回され水流が”ストライク”を叩き揺さぶられる衝撃にやるせない想いになり目を閉じた。
◆ ◆ ◆
「お仲間はもういない!さっさと帰りなよ!」
敵対する”ディン”二機と応戦していた”ダガー”がスラスターを吹かす。
海中の僚機がやられたからか距離を取っていた二機が此方に向かってくる。
その姿勢に歯噛みした。
「…向かってこなければやられなかったのに!」
接近しているのに気がついた”ディン”だがエアリスを前にして僚機がやられたことに気を取られることは死を意味していた。
「はぁああああああああっ!!」
サーベルを抜刀し”ディン”の胴体を両断する。
残る一機は離脱しようとしたが躊躇いなくエアリスは左手に保持したサーベルを投擲すると胴体に吸い込まれるように滑り込んでいき最後の一機も爆発し海の藻屑へ変わった。
「……」
静かになりモニターに映る海面にモビルスーツの残骸が浮くのを見てエアリスは”アークエンジェル”へ帰投した。
残る母艦の処理は二人が行う。
エアリスは出撃している
「これからのことに備えるのならあの二人を必ず会わせないと…ゴメン」
”ダガー”のコックピットで一人呟いた。