魔改造ダガーでC.E世界を駆け抜けたい【完結】 作:萩月輝夜
偽りだった平和
皆さんは【ガンダムSEED】と言う作品をご存じだろうか?
この世界には二つの人種が存在し自然そのままに人の腹から生まれたナチュラル、遺伝子操作を行い人間としてのスペック限界に挑んだコーディネイターと呼ばれる二つのそれぞれの人種はとある切っ掛けで戦争をし始めた。
最初は自治権を目指した小さな小競り合いであったが大規模となりお互いがお互いを滅ぼし合う後先を考えずに戦争をし始めたのはC.E.70…農業プラントであった【ユニウスセブン】と呼ばれたコロニーがナチュラルを主体とした地球連合が放った一発のミサイル…核ミサイルが直撃し約20万人の死者を出した事件、【血のバレンタイン】を切っ掛けに各地で戦線が拡大していくのだった。
地球とコーディネイターの国であるプラントとの戦火は日に日に拡大していき数で勝る地球連合は優勢か?と思われたが知能指数が高いコーディネイターは人型機動兵器【モビルスーツ:ジン】を開発しその優劣をひっくり返し既に戦争は9ヶ月以上の膠着状態を続けていた。
あるものは地球を離れたり戦争がいやで中立国に逃げ込むなど手段を取ったのだった。
気を抜けば大量破壊兵器で居場所を破壊されるか気がつけば上空からレーザーで焼き払われるか…どう転んでも明日の命などないかもしれない極限のストレス状況に叩き込まれるそんな世界…頼まれても入り込みたくない。
それ程までに民度が終わっており主人公の両親が唯一の良心…と言わんばかりの世界である。
あ、二十年越しに見た映画は最高だった。思わず映画館で「行けー人の業!」と叫びたくなったが。
◆ ◆ ◆
コロニー内部に振動と爆発音が響いている。
一人の少女が軍事ブロックを走り抜けていた。生き延びるために。
「(おいおい…やっぱりC.E.の世界はクソでしょ!?ガンダムの世界に行くならビルドファイターズに行きたかったよ!委員長とイチャイチャしたかった!)逃げるよ!」
「お、おいっ!?私のことは放っておけ…っ」
「この状況で死なれちゃ困るのよ!」
少女は転生者だった。
先程までこの体はこの世界の住人だったが先の爆発で頭を打ったことで自分がこの世界の住人ではないと理解した。一応地球連合での身分がある技術士官であることは持ち物で判明した。白衣を着用しネームプレートをぶら下げていた。そして今いるのはガンダムSEED第一話…思いっきり巻き込まれた。前世のことは覚えていない。男だったか女だったかも定かではないが…今は良いか。
アニメは好きだった。ガンダムも一応履修はしていた…が!一番迷い込みたくない「ガンダムSEED」の世界に転生していたことを舌打ちした。
行動しようと思った矢先にバッタリ出くわしてしまったキラと
「お父様の裏切り者ぉぉぉぉ!!」
眼下にはザフトが奪取しに来た連合の新兵器を護衛するために連合軍人が必死の応戦を繰り広げていた。
カガリは眼下に広がる光景と横たわる機動兵器をみて恨み節をぶちまけている。
「バカっ!ここで声を出したらっ…っ?!危ないっ!」
次の瞬間に上にいた少女達に気がついた兵士が銃を向けたのが見えたので同行者二人を押し倒すように覆い被さると先程までいた空間に弾丸が殺到した。
此方に銃口を向けている女性兵士…恐らくマリューだろう。いや、流石はC.E.世界最強のナチュラル…と感心したかったが当事者となればそうも言っていられない。肝が冷えた…漏らしそう。
銃口を向けられた事にキラは狼狽えた。
「冗談じゃない!こっちにっ」
「逃げるよ!」
急いで立ち上がって倒れているカガリの手を引いて逃げるように反対側に走りだしシェルターのドアの付近に移動した。
やはり既に定員オーバーだったがそうも言っていられない。
「お願いします!この金髪のお嬢ちゃんだけでも入れませんか?」
『分かった!でも君たちは!?』
「お構い無く!」
騒ぎ立てるカガリを無理矢理にシェルターに押し込め脱出させる。
…まぁ砂漠でランボーと一緒に楽しい実地訓練をするんだろうけど今はここから脱出するしかない。
カガリを押し込めた後にキラが銃口を向けられているラミアスに声を掛けたことで死なないで済んだ為原作崩壊は免れた、のだが…
「うわっ!?」
突如として付近で爆発が起こってキラは手すりの下に落ちてしまったが受け身を取ったのか無事だったが爆発の影響で下に降りれなくなってしまった。原作主人公に茨の道を歩かせるのは正直良心が痛むが。
「…あいたたた………………ん?」
人のことを心配している場合ではなかった。
咄嗟に爆発の影響から逃げるために先程通ってきた通路に戻った少女は閉じ込められてしまった。
ここで少女の物語は終わりか…と思いきや飛び込んだ通路、横道が偽装されていたらしく爆発の影響でその姿が露になってプレートには『緊急脱出用通路』の表示があり扉を開けるためのキースリットが備え付けられていた。
「…これで開いたら神様がいるって信じても良いかもね」
少女は導かれるようにネームプレートを首からはずしてスロットに通す。
次の瞬間にロックされていたドアが横へスライドした。ダストシュートのようになっていて非常電源になっているのか奥は真っ暗で見えなかった。それは奈落へ通じる道なのか分からないがここを通る意外道はなかった。
少女は身を投げるようにその穴へ飛び込んだのだった。
◆ ◆ ◆
「やめろぉおおおおおおおおおっ!!!」
キラは負傷した女性士官の代わりに【ストライク】を操作していた。
この巨大なモビルスーツを動かすにはお粗末すぎるOSに苛立ちながら現場で書き換えると言う離れ業をやって見せた
襲いかかるザフト軍製モビルスーツ【ジン】の攻撃を回避して右ストレートを叩き込んで見せた。
そして腰にあるアーマーシュナイダーを突き刺し破壊させた。
その光景を見て安堵するキラはそれで一拍反応に遅れてしまった。
「えっ」
「右よ!…間に合わないっ…!」
アラートがコックピット内部に響き渡る。合流してきたジンが腰に懸架していた重斬刀を引き抜き切りかかっていた。実体攻撃を無効にするPS装甲が生きていればこう焦ることもなかったのだが先の戦闘で機体を動かすための電力しか残っていなかったストライクは
「うわぁあああああっ?!」
「くっ……!!」
眼前に迫る重斬刀がストライクのコックピットに突き刺さるーーー。
「…えっ?」
が、来るはずの痛みと衝撃がいつまで経っても来ないことに可笑しいと思いながらキラは閉じていた目を開けるとそこには自分が乗っているストライク…をより簡略化したような見た目のゴーグルをつけたようなモビルスーツがジンの重斬刀を持っていた右手を保持している右手の筒から延びている光の刃で切り裂いていた。
ジンが後退しエアロックへ飛び上がろうとしたそのとき割って入ったモビルスーツがコックピット目掛け突き刺す。
飛び上がったジンは力を無くしたように地面に崩れ落ちるのだった。
ジェネレーターに誘爆しなかったのか爆発を起こさずにいた。
「はぁ…はぁ…どうしてあの機体が…?ぐっ……」
そうコックピットに搭乗している女性はそう言い残して気絶してしまったようで静かになった。
恐らくアスランに受けた攻撃と今の状況が改善したことで気が抜けてしまったのかもしれない、と思っているとコンソールに味方からの通信が入ったのだろう赤くランプが点滅しているのが見えたのでボタンを探って応答する。
『大丈夫?生きてる?』
機体がすこし揺れたのは肩を掴まれて接触回線で話しかけているからだろう。
すこし手間取って通信をオンにすると液晶に光が宿る。
「あ、貴女は…!」
そこにはすこし薄汚れた白衣を身に纏った…先程銃撃から守ってくれた少女がそこにいたのだった。
『やっほ。一先ず一息吐こうか』
少女は気さくにキラに挨拶を返すのだった。