魔改造ダガーでC.E世界を駆け抜けたい【完結】 作:萩月輝夜
”パウエル”から出撃しエアリスの駆る”ディスペアー”へ接近する航空戦力とイージス艦の武装を潰しながらオノゴロ島へ進むがコックピット内部で眉をひそめた。
現時点で展開しているモビルスーツの種類が明らかに
(”ストライクダガー”に混じって”105ダガー”が指揮官機で投入されてる…?しかもちらほら”ジェットストライカー”装備してるし…私がやりすぎたか?)
目の前には強襲揚陸挺から出てきた四機一個小隊の”ダガー”部隊が展開しており”M1アストレイ”と戦車戦闘ヘリ隊と激戦を繰り広げている光景を見て少しだけ後悔した。
恐らくは”アークエンジェル”での実戦データを反映されて作成されて戦時急造品なのだろうが今の時点で
名前も”105ダガー”ではなく”
(だけど”オーブ”も装備充実してない?)
しかし、空に浮かんでいるのも”ダガー”だけでなくオーブもただ空中から攻撃に対抗するために”M1アストレイ”がフライトユニット”シュライク”の試作品を装備して応戦している。
きっとデータをあのときオーブに置いていったのと自分が”M1アストレイ”の改良点を指摘しそれを受けエリカ主任が形にしたからだろう。
「ちぃ…目敏いな!」
アラートが鳴り意識を戦場へ向けこちらに気がついた接近する三機のモビルスーツがビームを放ち撃墜しようと攻撃を仕掛けてくる。
機体の慣熟は既に終わり手足のように扱える専用機のスロットルレバーとペダルを踏んでスラスターを吹かしゴーグル部分が輝く。
加速された機体は放たれたビームの間を通り抜け最初に発射してきた”M1アストレイ”の武装とカメラを撃ち抜き無力化しスラスターを吹かしてすれ違いざまにサーベルを抜刀し二機、三機と武装とメインカメラを破壊して撤退に追い込む。フライトユニット装備のM1では今の”ディスペアー”の機動性に追従することはできなかった。
「”アークエンジェル”…!」
機体を通り抜け目の前に現れたのは弾幕を吐き出しながら友軍を沈める白亜の巨艦の姿がある。
この目で見るまでは信じられなかったがここで確信できたのは幸いだった。
しかし味方であれば頼もしいが敵に回せば厄介この上ない…かといってアズラエルから助けられた身の上裏切るわけには行かなかった。
しかし今は”地球軍兵士”であり”サザーランド勢力の地球連合兵士”の動向を見なければならない…と同時自分は”アークエンジェル”側の味方なので「巧くやれよ」と機体を翻し先行したオルガ達と合流する。
だが…キラの操る”フリーダム”がどれ程の力を見せてくれるのか。エアリスは自らが自覚しないまま”対峙”することを期待し胸おどらせていたのだった。
◆ ◆ ◆
「目標を捕捉!皆行くよ!」
「おうよ!」
「了解」
「わかったー」
”アークエンジェル”は地球連合軍の艦隊と蝗害の如く群がる戦闘機をオーブ艦隊と共に混じり戦闘を続けていたがその艦橋でトノムラがハッと息を飲む。
「熱源四!モビルスーツ…いや、モビルアーマー接近!」
モニターには飛来する機影が映し出される。どれもこれも今戦場で闊歩する”ダガー”とは装備も見た目も違う機体であり
そして最後に現れた”ストライカーシステム”が搭載された
「あれは…!?」
「”ダガー”…!?」
ミリアリアが言葉を漏らす。
オーブを侵攻する量産機、そして隊長機らしい機体の外観が嘗てこの”アークエンジェル”に搭載されエアリスが搭乗した”ダガー・アーキバス”…の面影を覗かせる。
守り続けた機体が敵としてやって来たことに少ない動揺を与えた。
その感情など当然オルガ達は知る由もない。巨艦をターゲットに捉え勇ましく吠えた。
「おらぁあああッ!!」
カラミティの武装が有効射程圏内に入り手にしたプラズマバズーカ”トーデスブロック”の弾頭と”シュラーク””スキュラ”を吐き出す。
「回避ッ!」
マリューは素早く指示を出すとノイマンが面舵を取ると回避した海面は熱線によって晒され蒸発し近くにいたオーブ艦艇のエンジン部分を掠り黒煙を吹き出させる。
「チィッ!」
「外すなよ下手くそ!」
「んだとぉ!?」
クロトは背に乗せていた”カラミティ”を振り落とすように小島に着陸させると急接近し”アークエンジェル”の迎撃をすり抜け艦橋前へ向かおうとするがそこで敵を蹴散らし接近するのに気がついたトールが割って入る。
「ッ地球軍の新型!?やらせるもんかよ!!」
「ちっ!?コイツッ!」
”スカイグラスパー”がツインアグニで牽制し艦艇との距離を開けざる得ない”レイダー”は離れ急降下して離れていく戦闘機へ攻撃を仕掛けるためにモビルスーツ状態へ変形し”ミョルニル”をぶつけようとする。
「そらぁあああああっ!撃・滅!」
「でりゃぁあああああッ!!」
「何ッ!?うわぁあああああっ!!?」
放たれた”ミョルニル”は直撃コースだった筈なのにトールはあろうことか”ブレードスラスター”を展開しそれを弾き返したのだった。その突拍子もない攻撃にクロトは面くらい帰ってきた鉄球を直撃してしまう。
体制を崩した”レイダー”に”スカイグラスパー”の”ツインアグニ”が火を吹いた。
「これで…何っ!?うわっ!?」
「突っ込みすぎだよクロト!周囲を良く見て!」
しかし、放たれた赤と白のビームは割って入った”ディスペアー”のシールドに防がれお返しと言わんばかりにビームライフルを放つが咄嗟に機首を下げ海面スレスレに離れていく。
その光景を見て外すつもりで撃ったのを回避されたのにエアリスは内心驚くどうやらあの戦闘機に乗っているパイロット…恐らくトールだろうか?凄まじい技量になっていることに驚く。
「へぇ、やるじゃんあの戦闘機」
「くっ…!」
後ろへ下がったクロトと入れ替わるように海中から飛び上がりレールガンを撃ち放つ。しかし、トールは当たらないとばかりに急制動を掛け回避する。
なんとか回避し”アークエンジェル”から引き剥がそうとするがしかし、状態は三対一でトールが劣勢を強いられている。
「トール!」
「こ、コイツっ…!?」
”フリーダム”が現れ狙いを定めていた”フォビドゥン”を蹴り飛ばし撃ち掛けていたレール砲を中断させ近くにいた”ディスペアー”へ攻撃を仕掛けるがその外観にキラに少ない動揺を与えた。
「…ッ”ダガー”!?いや、でもあれはッ」
サーベルを抜いて武装を破壊しようとしたがそれにエアリスも対応する。
「(防がれたッ!?)…くっ…強い…!」
「やっぱり防ぐよね…そうじゃなきゃ!」
抜刀し腕を切り落とそうとしたがシールドに弾かれ逆にキラは振るわれたサーベルをシールドで防ぐしかなく二機はぶつかり斬り結びながら自然と”アークエンジェル”近くの場所へ移動する。
「キラ!こいつらぁ!!」
「コイツッ」
「戦闘機の癖にやるじゃん?」
トールの駆る”スカイグラスパー”は”レイダー”と”フォビドゥン”と対峙する。
◆ ◆ ◆
ディアッカとニコルもその戦闘をオノゴロ島の海岸付近から見ていた。
二人に逃げる手段が無かったわけではなく手渡された資金を使って”カーペンタリア”に連絡をとったり個人所有の輸送機に乗ってここを脱出する手段もあっただろうが二人は何故か島を離れることができなかった。
敵を前にして機体を没収されたのも気になり二の足を踏ませ戻ったところで皆の良い笑い者になるだろうなというものあったがそんな下らないプライドでこんな危険な場所に留まったりあの戦場で白旗を上げたり無様に捕虜になどなったりしていない。
二人とも死ぬのが嫌だ。当然だろう死にたくないから戦っていたのであったのだから。
ディアッカはともかくニコルも”ナチュラル”相手に負けるわけがない、と思っていたのに…
捕虜になって”ナチュラル”にも良い奴がいて自分と同い年の女の子が戦って同じ平和を祈っていることを知った。
だからこそ動けずにいたがその迷いを吹き飛ばす”四機”が現れたのだった。
洋上から出撃したと見られる部隊がオノゴロ島に上陸しゴーグルタイプの頭部を持つ禍々しい黒青色の機体が背面に備え付けられた嘗て自分達がオーブ近海で戦った”ゴーグル付き”の機体と似たような見た目と背面装備のビーム砲を発射して一瞬にして地上施設と防衛に回っていた”M1アストレイ”四機を吹き飛ばすすさまじい威力を発揮した。
蹂躙していくその姿はまるでゲームを楽しんでいるように思えて二人は憤る。その姿に自分達が”ナチュラル”を倒していた自分達の姿と重なったからか。
「ディアッカ…!」
「ああ、行こう…!」
いくらこのオーブが軍事的に優秀で”アークエンジェル”があったとしてもこのままでは陥落するのは時間の問題なのは二人の目からしても明らかだった。
二人は顔を見合わせて”モルゲンレーテ”への道を被害を受けないように走り出した。
「後方オーブミサイル艦沈黙!敵戦闘機数二十!」
「”スレッジハマー””ヘルダート”てぇーッ!!接近する戦闘機群を潰す!」
後部ミサイル発射管から迎撃ミサイルが放たれ連合の戦闘機がバンバンおとされていくがそれを上回る物量でひっきりなしに襲いかかるミサイルを迎撃するが続々とやってくる戦闘機がそれを邪魔する。
至近距離で迎撃したミサイルが船体を揺らした。
連合の新型機の内三機は”スカイグラスパー”と”フリーダム”が押さえてくれているが如何せんあの連合が物量戦を仕掛けている為に”ダガー”とその指揮官を相手取るには戦艦だけでは機動兵器に対応できないのは既にザフトとの戦闘で実証済みなのは皮肉だった。
不幸中の幸いだったのはあの三機の指揮官と見られる機体が攻撃を仕掛けられるタイミングであったとしても余り動きを見せていない。
しかし、現状そんなことを言っていられる場合ではなく”アークエンジェル”は降り注ぐミサイルを防ぐのに手一杯である。
放たれたミサイルを迎撃し艦橋を揺らす。そして増援の戦闘機が狙うがーー。
次の瞬間艦橋を狙っていたミサイルが後ろからやってきた緑の光条に飲み込まれ爆発した。
思いもよらぬ援護に艦橋にいた全員が騒然とするが入ってきた通信にミリアリアが目を丸くした。
<聞こえますか”アークエンジェル”!援護します。そこから退避してください!>
<とっととそこから下がれよ”アークエンジェル”!>
聞こえてきたのは捕虜だったコーディネイターの少女と少年の声だった。
「あの二人…なんで?」
オノゴロの海岸沿いに改修されモルゲンレーテに運ばれた”ブリッツ・エクレール”にニコルが乗り込み失われた”トリケロス”の変わりに複合武装を構えディアッカは修繕された”バスター”に搭乗し超高インパルス狙撃砲を構えて援護してくれていた姿を見てミリアリアは言いようもない暖かさを感じた。
◆ ◆ ◆
戦場は熾烈を極めた。
オーブ軍の艦艇は火を吹き沈み地球軍の護衛艦軍もビームを受け沈黙する。
一秒も立たず内に続々と戦闘機、モビルスーツ達はその残骸を地面や海にばら蒔く。
「敵部隊第二防衛ラインを突破!」
「”ウズキ”自走不能!”ミカズキ”撃沈!」
「抜けた穴を埋める!”バリアント””ウォンバット”てぇーっ!」
オーブ護衛艦群が連合の艦隊と戦闘機によって沈黙し空いた穴から部隊が流れ込む。
その空いた穴を”アークエンジェル”が埋めるように砲撃を続けフリゲート艦とミサイル艦を潰す。
しかし、攻撃はやむことを知らずに苛烈になっていくのはまるで蛇口が壊れた水道のようだ。
「退け、貴様らでは話にならん」
沿岸エリアに部隊が上陸し手にしたビームライフルが”M1アストレイ”を撃ち抜き大破した残骸と化した友軍を巻き込み機体破壊した。
オーブ軍の歩兵がその圧倒的な力に恐怖し悲鳴を上げながら撤退する。
地球軍空母”イルガルス”を母艦とする【ネクロシス】はサザーランドが用意した特殊部隊だった。
それが今回の戦闘で初めて実戦投入されその隊長である
黒と濃紺を基調としたパーソナルカラーで色づいておりPS装甲を搭載し指揮能力を向上させるために増設されたブレードアンテナを備えたバイザーを模した高感度センサーヘッド、
攻め込まれていた沿岸部の西エリアを防衛していた”M1アストレイ”の指揮官機が率いていた中隊が全滅する。
最後の残っていた隊長機がコックピットを撃ち抜かれ破壊され周囲には破壊された残骸が散らばり炎を上げていた。
その部隊は熟練者かエースにのみ与えられる其々のパーソナルカラーで塗装された”01ダガー”が目を引く頭部デザインと肩に割れた棺桶と王冠を被った死神をモチーフとしたエンブレムがペイントされそれぞれが背面に専用ストライカーパックを装備していた。
「…その程度か。この物量では流石の”オーブ”もどうしようもないか」
隊長機である”ファントムダガー”のコックピットで
「なんか拍子抜けね」
背面に鷲のような翼を備えサイドアーマーには特徴的なビームソードが備えられ緑と白の軽量化された装甲を持つ機体に乗りつまらなさそうに少女が呟く。
「他愛ない。どうやらロールアウトされたばかりだが…隊長がそう言っても仕方ない」
左右の腕のマニュピレーターに保持された大砲が特徴的な赤と黄色の重装甲を持つ機体の中で地面に散らばるモビルスーツの残骸を見ながら呆れ気味に告げた。
「アハハッ!でも壊し甲斐がある玩具いっぱいだぁ」
手には巨大なランスと背面にはジェットユニットとアームに棺桶のような盾が備えられ機体全身に鱗のようなモノが装備され青と水色の装甲を持つ機体に乗る先ほどの少女達よりも幼い少女は無邪気に笑う。
道を開けた彼女たちに続いて僚機である”ストライクダガー”と”01ダガー”はオノゴロ島中央に位置するモルゲンレーテに向かい突き進むが不意に前方にいた僚機の”ダガー”が破壊され散会する。
「ちっ…間抜けめ。散開しろ」
咄嗟の攻撃に対応できない僚機に呆れながら《エアリス》が指示を出す。
指示を受けた部隊が散会し次の瞬間にビームとミサイルが飛び交う戦場に現れた機体を見て眉をひそめる。
「…奪われたXナンバーが元鞘にでも戻ったか?」
モニターには奪われたとされた前期Xナンバーが立ち塞がるのを見て呟く。
データとして既に連合機体のライブラリとして登録してあるが”ブリッツ”の見た目がデータと違うことに少しだけ興味を引かれた。
対峙するディアッカ達は連合の機体の”顔”を見て苦い顔を浮かべた。
それもそうだろう。苦渋を舐めさせられた機体がたくさんいるのと同じなのだから。
「僕たちのトラウマ顔がたくさんですね…!」
「数だけ揃えたって”ゴーグル付き”にゃ劣るってね!」
”アークエンジェル”が防衛していた海岸沿いから敵が侵攻していることに気がついたディアッカとニコルはそう自らを鼓舞して立ち向かう。
改修された”ブリッツ”…”ブリッツ・エクレール”は破損した背面バックパックをシャドウストライカーを直付けし機動力を確保、失われた”トリケロス”はエアリスが作成して倉庫の奥に置かれていたアンチビームシールドに付けられた折り畳み式対艦刀と下部ビームライフルの複合武装を装備している。
バスターもその充実した火砲で敵を殲滅していく。
「少しは楽しませて貰おうか?時代遅れの機体共。お前達は周囲の敵を掃討しろ。コイツらは私がやる」
<りょ、了解!>
「了解した」
「了解」
「えーッ?隊長ばっかりずるーい」
「…さっさとあいつらを援護してモルゲンレーテまでの道を開け」
「りょーかーい」
ブーブーと文句を垂れる部下に冷たく突き放し攻撃を回避しライフルを構える。
引き連れていた部下が離れ僚機が打たれ撃墜、被弾していくのを気にも留めずに”エアリス”は立ちふさがる二機相手に数的不利等気にせずに攻撃を仕掛ける。
部下達には周囲に展開している敵部隊へ攻撃を指示した。
離れていく僚機の姿を見てディアッカは眉をひそめたが一機になったのなら都合が良い。
攻撃を仕掛ける。
「このぉ!…なっ!?」
”バスター”はガンランチャーと超高インパルス砲を放つが射線の中に飛び込むようにスラスターを全開にして突っ切りサーベルで直撃する攻撃を払い仕留めようとする。
「ディアッカ!」
「…むっ」
”ブリッツ”が左手についているグレイプ二ールを発射し防御体勢を取らせるが受ける、のではなくライフルを投げサーベルを引き抜き切り裂いて破壊する。
後ろに回り込んでいた”バスター”はガンランチャーを放つが右手に持っていたサーベルを投擲し銃口に滑り込ませ吸い込まれたサーベルはランチャーを破壊した。
「なっ…うわああっ!?」
「甘いな」
”エアリス”はその隙を逃さずに投げ捨てたライフルを回収して連射し”ブリッツ”のシールドに当て肩部を抉り取る。
流れるような動作にモビルスーツとの戦闘経験がある二人は目の前の敵の戦い方があの”ゴーグル付き”と同じことに驚愕した。短いやり取りでここまで被弾させられるとは…!
二人の脳裏に”ある姿”が思い浮かぶ。
「こいつまさかあの…!?」
「そんな筈は…だって彼女は…」
そんな筈がない。彼女は討たれた筈なのだから。
しかしそれが今目の前にいる。ザフトが恐れる畏怖であり憎悪の対象である【彗星の魔女】の戦い方と似ていたのだから。
「…?弱いな…弱すぎる。ナチュラルでも乗っているのか?」
対峙するXナンバーを見て落胆する”エアリス”は援軍だろう”M1アストレイ”の部隊が接近しているのを確認した。
◆ ◆ ◆
進軍しそれは分かれた三機も視認する。
「増援?」
「みたいだな」
「イッパイ来たねッ!!」
同じく沿岸部の防衛に参加していたムウを隊長として即席で結成されたアサギ達の部隊はその機体をモニターに捉える。
「なんだありゃ…!?」
「新手!?」
「地球軍め…!」
「一筋縄じゃ行かなさそう…!」
「…来るぞ!散開!!」
その一言で全員が散った。
次の瞬間に水色の機体が我先にと槍先を向け突撃してくる。
”ストライク”を見て疑問を浮かべるがそれは些細な問題だった。
「あれぇ?その機体ってオーブで壊れちゃったんじゃ…?まぁいいや。アハハハッ!!」
重装突撃斧槍”ホロウハート”を引っ提げた”レヴィアタン”が一番槍としてムウの”パーフェクトストライク”へ突撃しスラスターを吹かし回避するがとてつもない加速度に”ストライク”は回避しきれず肩アーマーの装甲が掠ってぶつかり鈍い音を立てた。
「綺麗に直したってことは壊して良いってことだもんねッ!」
PS装甲と言えども機体が無事でもパイロットは只ではすまないだろう事に冷や汗を流す。
「くそっ…!何て加速度だ…!こんなん食らったらひとたまもりもねぇぞ!?」
「逃げないでよッ!上手く壊せないじゃん!!」
”レヴィアタン”のパイロットである少女は憤慨する。
吹き上がるスラスターは周囲を巻き込みながら撒き散らされ回避した”ストライク”を追いかけるように機体各所に取り付けられたスラスター、脚部スラスターを吹かしてホバー移動し旋回する。
通信から入ってくる幼い声に驚くムウ。
「子供ッ!?…連合め何をかんがえてやがんだ…勘弁して欲しいぜ…!」
ムウは対艦刀を引き抜き迫ってくる突撃娘に対してビームを放つ。しかしそれは弾かれ霧散してしまう。
「おいおい…!直撃だっただろ!?ビームを弾くのか!?」
機体の鱗上のパーツに当たった瞬間にビームが弾き霧散させてしまう。
”レヴィアタン”はPS装甲を搭載していないがラミネート装甲材を多重積層しアンチビームコートを塗布されている為ビームに対して絶大な防御力を誇っている。
「大口叩いた手前…どう対応するか…ちぃっ!」
目の前の突撃してくる猪突猛進娘の機体をどう対処するのかムウはライフルを仕舞い対艦刀を手にして思案するのだった。
「アハハハッ!バラバラにしてあげるよっ!”ストライク”!!」
新しい”オモチャ”を見つけた子供のようにはしゃぎ機体の脹ら脛に装備されたスラスターを動かし地上だと言うのに自在に動くそれは海中を泳ぐ”
◆ ◆ ◆
一方でアサギ達は一機のモビルスーツと対峙していた。
「見た目が違うみたい…それがハリボテじゃないことに期待したいものね?」
鷲のような翼を持つ機体がサイドアーマーからビームソードを引き抜く。
機動性に重点を置かれ接近戦に特化した機体”ハルピュイア”は構えスラスターを吹かした。
「来るわよアサギ!」
「分かってる!ジュリ!」
「任せてマユラ!フォーメーション”アルファ”!」
「「了解!!」」
アサギが指示を飛ばす。
オーブ三人娘はテストパイロットとして他よりも稼働時間が長くエースとして数えられていたがそれでも実戦経験は少なく今回の作戦に当たり他オーブ兵士達とは異なる機体を宛がわれていた。
”M2アストレイ”…エリカ・シモンズがオーブ滞在時に”M1アストレイ”の試乗したときに問題点を洗いだし改良し更にエースパイロット向きにスラスター出力を向上させた機体だ。
橙色の装甲色に装備はスタンダードであるがバルカン砲にビームライフルにシールド、ビームサーベル…そして火力向上のために”デュエル”の様にライフル下部にグレネードを備える。
正式採用を目的としたこの機体は部隊長向けのチューンが施され”ストライク”のような四本のV字アンテナとコストカットの意味合いも兼ねてストライカーパックはオミットされてるが標準装備されている背面バインダースラスターは1Gでの飛行を可能とする。
その機体を操りマユラとジュリがシールドを構えライフルをタイミングをずらし交互に発射しシールドで敵機の視界を覆う。
(…今よッ!)
タイミングをずらし射線を隠しシールドを外すとビームが”ハルピュイア”へ向かっていく。
不意を突き流れを此方に引き込む為の戦術だった。
「上手いな…だがッ」
「避けた!?」
「ジュリッ!」
しかし”ハルピュイア”はサイドスラスターを吹かしその攻撃を避け肥大化した光の収束体を接近してきたジュリ機へ叩きつけ体勢を崩した。素早く腕部のマシンキャノンを展開しジュリの”M2アストレイ”を仕留めに掛かる。
装甲が柔らかいのは先程の戦闘で確認済みであり葬るのは容易い事だった。
しかし。
「やらせないッ!」
「へぇ…やるわね?むっ…!」
「貰った…!」
アサギがサーベルを引き抜き捨て身紛いの攻撃でマシンキャノンでの攻撃を寸での所で中断し身を捩り回避し突っ込んできたアサギ機を狙う…がすぐ後ろに移動していたジュリがライフルを発射しフォローに入る。
「うっそ!?」
「今のを避けれるの!?」
「ッ変形した…!?」
しかし"M2アストレイ"のライフルがコックピットを狙うが腕を動かし装甲を少しだけ焼き大空へ飛翔し回避された。
太陽を背に降下するその姿は変わってた。脚部が猛禽類のような三つの爪が展開しその爪先にはビームサーベルが展開しその姿は神話に出る上が女性で下が鳥という…”
”ハルピュイア”のコックピットで嗜虐的に笑みを浮かべ舌舐めずりした。
「さぁ…私に見せて頂戴。貴女達の戦場に冴える抜き身の刃を!!」
◆ ◆ ◆
「ほらほら退いたぁ!死にたい奴から前に出てきなぁ!!」
周囲に展開していた部隊を”ストライクダガー”と”01ダガー”を率いて”モルゲンレーテ”を目指す赤と黄色の重装甲機の”ファーブニル”は”バスター”と”カラミティ”と同じ砲撃戦に重点を置かれた機体であり左右マニュピレーターが保持するビームランチャー”プロメテウス”、レールキャノン”ダイダロス”が無慈悲に貫き爆散していく。
展開する”M1アストレイ”とリニアガンタンク部隊ではその勢いを押し止めることは出来なかった。
「”サツキ”轟沈!”ウズキ”中破!」
「第四機動群通信途絶!第七航空部隊全滅!」
進行する敵部隊に関して司令室では絶望的な報告が上がってくる。カガリはそんな中で必死に歯を食い縛り指示を出す。ここで弱さを見せれば下の者達が動揺してしまう。
「第六機動群からの支援要請です!」
「第八機甲大隊を支援に回せ!近づけさせるな!」
◆ ◆ ◆
「オラオラぁ!ん!?」
”ファーブニル”のコックピットでアラートが鳴り響き咄嗟に機体を動かすと近くにいた”ダガー”部隊が火線に巻き込まれ撃墜されてしまう。
「チッ!」
「こっちもこっちで新手かよ!?」
マリューの指示でトールは戦域を離れ第四機動群の支援に来ていた。”スカイグラスパー”が翼を翻し攻撃を開始した。またしても見たことのない地球軍機体を見て悪態を吐いた。
「なんだぁ?…戦闘機…ちょこざいなッ!!」
”ファーブニル”は両腕の複合武装を掲げ嵐のような弾幕を形成する。
それに付随するように僚機もライフルを構え戦闘機を狙う。
「えええいッ!!数ばかり揃えたって!!」
バレルロールしライフルの火線を潜り抜け”アグニ”と翼に懸架したガンランチャーユニットが火を吹き無数の機体を貫き爆発させる。その場に残ったのは”ファーブニル”のみ。その姿にコックピットで笑い声を上げる。
「アッハッハッ!すげぇな!楽しい戦いが出来そうだ!!」
両腕のマルチランチャーから火を吹き弾幕を形成する。
狙いを定めない”乱れ撃ち”だ。その圧倒的な弾幕をトールは駆け抜ける。
「うぉおおおおおおおっ!!」
「ッ!やるね!!持ってけダブルだぁ!!」
ブレードスラスターを展開し接近する”スカイグラスパー”に驚くがすぐにニヤリ、と笑みを浮かべその場から待避しお返しと言わんばかりに打ち返す。
「何なんだよお前らはッッ!!」
「楽しませて貰おうか?雑魚ばかりで飽きてきたからさぁ…行くぜ”戦闘機乗り”!!」
二門の砲身が竜の顎のように開く。
”
◆ ◆ ◆
上空で戦う”フリーダム”のコックピットでキラは困惑していた。
目の前の機体は明らかに他機体とは異なりカスタム機なのだと分かる。そして攻めきれないのだ。
(くそっ…!?一体これは…!?)
此方が武装を狙って攻撃すればシールドに防がれ手足を狙えばずらされるように回避されてしまう。
そして向こうも同じで攻撃を受け体勢を崩し此方が晒した隙を逃さずに攻撃してくる。
息つく暇すら与えてくれない攻防にキラの神経はすり減らされていく。
そしてその戦いかたは何処か見たことがあった。
しかし…それは想像したくない事だった。
自分が生きているのなら彼女もまた…生きているのではないのか、と。
しかし今のキラはその目の前の機体だけを相手にしている訳には行かなかった。
(まさか…貴女なんですか…!?)
確証を得られずにもどかしい気持ちが募る、がそんなことを気にしていられるほどキラに余裕は無かった。此方に戦力を割かれ過ぎれば上陸してきている連合部隊をムウ達だけでは押さえきれなくなってしまうからだ。
「悪いけど抜かせないよ…こっちも仕事だから!」
「くっ…!行かせてくれ…!」
<キラ!そっちに連合軍機が向かった!>
「ッ!?」
”アークエンジェル”から離れた”レイダー”と”フォビドゥン”がキラ目掛け攻撃を仕掛けてきた。
「なんだ未だ落ちてないじゃん?」
「おねーさんが大分苦戦してみたいだし…さっき蹴られたお返しだ!」
二機がそれぞれ武装を発揮する。
「くっ…ビームが曲がる!?」
”フォビドゥン”へビームを放つが機体へ届く前に大きく逸れていく。
その間に”レイダー”が破砕球ミョルニルを凄まじい勢いで繰り出した。キラはその攻撃を避け接近してくる”フォビドゥン”にレールガンを撃つがそれも左右のシールドに防がれてしまう。
「実体弾も通用しないのか…!?」
連合の新型は想像以上の性能を持ち機動力も高い。
パイロットは自分と同じようなコーディネイターかと錯覚する程でナチュラルではあり得ない武装を適時切り替え使用している様に思えた。
「おいおいおい!なにやってんだよお前ら!」
「くっ…!」
「おらおらおらぁ!!」
オノゴロ島の沿岸部に降りた”カラミティ”がスラスターを吹かし上空へ飛び上がり背中の二対の砲を撃ってきたのを察知しキラは機体のウイングバインダーを展開し寸での所で回避するが狙っていたかのように”レイダー”の攻撃を受けて大きく体勢を崩してしまう。
「しまった…!」
落下を食い止めようとスラスターを噴射するが、体勢を建て直す前に”フォビドゥン”が誘導プラズマ砲を放つ。
その射線は確実に”フリーダム”を捉えていた。
ーやられる…!
回避は出来ず直撃することを確信しコックピットで驚愕の表情を浮かべる。
しかし、その瞬間に目の前に影が舞い降りた。
◆ ◆ ◆
”プラント”から出撃し地上での戦闘の跡地を巡っていたアスランはキラと自分が戦った島へ降り立った後マルキオ導師と出会いそこで保護している孤児達にザフトによって親を奪われた恨みを向けられたことに自分が直接関わったわけではないがアスランは言い表せない気分になった。
マルキオ導師に別れを告げオーブに到着するとそこには驚く光景が広がっていた。
眼下には離れていても分かるほどにオノゴロ島からは黒煙が上がり砲火に晒された護衛艦が沈み圧倒的な物量の前には幾ら技術大国のオーブといえども対抗することは出来ないだろう…とアスランは自分を送り出したあの少女の事を思い出し国を焼かれまいと必死に戦っているのだろうと思うと胸が痛んだ。
不意に”ジャスティス”のコックピットに反応する艦艇がありそれを確認し驚愕する。
なぜ”足つき”がオーブにつき地球連合と戦っている!?疑問に思うと同時に胸騒ぎがして彼は海上で飛び交うモビルスーツ達を見てモニターを拡大する。
一機を取り囲み三機…いや内一機は動いてはいるが明後日の方向にライフルを撃ちやる気がないように見られたがそれよりも囲われているその一機は機体に登録されているライブラリが答えを出す。
ーZGMF-X10A フリーダム
「キラ…!」
ーキラにお渡ししました。今のキラに必要な力でしたので
ー奪還が不可能な場合破壊せよ。これは”命令”だ
モニターに浮かぶ”フリーダム”を見て汗がアスランの額に浮かぶ。
今”フリーダム”は三機に取り囲まれており此方に気がついてない為撃墜は容易だ。…しかしそのトリガーが強張る。
あれにはキラが…親友が乗っている。その命令は本当に正しいのか?
命令に従い敵を討つ…それが軍人として命令を履行するのが正しい姿である…しかし頭で分かっていても迷いを振りきることが出来ずにいる。
地球に降下して”戦場”を”痛ましい子供達の思い”を感じ、見たアスランの胸を突き刺す。
ー貴方の信じるものはなんですか?敵を殺して得た勲章ですか?お父様からの命令ですか?
問いかける。婚約者だった少女からの正論という名の”真実”が彼の定まらない正義を投げ掛ける。
眼下ではもう一機の連合機体が加わり”フリーダム”を翻弄する。
三機を敵に回したのでは結末は見えていた。
嘗てはキラと敵対し、その大切な人をこの手で討っておいて今さら手を差し出した所で払い飛ばされてしまうかも知れない、と言う事実と恐怖にアスランは操縦桿を強く握った。
ーどうして…キラは…軍人でもないのに戦い続ける?
ラクスから受け取ったその機体で何を成す?
俺はどうしたい?キラを…敵となった”親友”を殺したいのか?
違うッ…俺は…俺はッ…!
「…ッ!」
アスランは”ジャスティス”を衝動に突き動かされるように機体を駆った。
◆ ◆ ◆
「漸く来たか…」
”ディスペアー”のコックピットからエアリスは現れた機体を見て呟く。ようやく主役が揃ったことに。
”フォビドゥン”の攻撃を割って入った深紅の機体…”ジャスティス”がシールドを掲げライフルを突きつけクロト達は困惑していたがもっと困惑しているのはキラだろう。
<此方ザフト特務隊所属アスラン・ザラだ。…”フリーダム”聞こえるか?>
「アス、ラン…?!」
困惑するキラを他所にクロトは突然割って入った”ジャスティス”に敵意をむき出しにする。
「なんだてめぇは!」
”レイダー”が二人の間を割って入るように突撃し”ジャスティス”はサーベルを連結させ迎撃する。
そして”フォビドゥン”がレール砲と誘導プラズマ砲を放ち”フリーダム”はシールドで防ぎ応戦する。
「どういうつもりだ!?ザフトが…ザフトがこの戦闘に介入するのか!?」
<俺は…軍からこの戦闘に対して、何の命令も受けていない!俺は…俺は…お前を助けたいんだ!キラ!>
「ッ!?」
”レイダー”が”ジャスティス”の攻撃を受けそうになり”ディスペアー”が割って入り迎撃する。
そして”カラミティ”が撃ち放ったビームを”フォビドゥン”のシールドが湾曲させ”ジャスティス”と”フリーダム”へぶつけた。
「くっ…!」
<こいつ…!>
「こいつ、強いじゃん!」
「おらおらおらぁ!!」
「なかなかやるじゃん」
「流石はザフトレッド…面倒くさいなアスラン!」
六機のモビルスーツが宙を舞う。
”フリーダム”のコックピットで助けに割って入った”ジャスティス”…アスランの行動理由に混乱しかけた。
僕を助ける…?あれだけの事をして君は大切な人を討った…。
だが彼が介入したことで自分を助けてくれたことは事実だ。
ーあれは
何のために?彼は自分を助けたいと言った。その言葉の裏に打算は感じられない。
戦場でぶつかり一度は殺したいほどに憎んだ相手を許しそうになる。
”親友”だった。その言葉に言い表せない感情が溢れキラは泣き出すのを必死に堪えた。
”ジャスティス”と”フリーダム”を相手取っていたエアリスは脳裏に閃光が迸る。
直感にも似た感覚が突如として突き抜けた。
「ッ!オルガ!そっちをお願い!」
「え?あ、おいッ!」
<何だ…?>
「あの機体…何処へ…?」
返答を受ける前にエアリスは機体を翻し山間部へ機体を向けた。
(くそ…ッしっかり失念していた…あれは…!)
オノゴロ島のモルゲンレーテの外れにある山道を走る四人家族がモニターに映る。
その中の一人、”シン・アスカ”の姿があった。
そして港に集まる連合軍のモビルスーツが
その先の
だからこそーー。
「やめろぉおおおおおおおおッ!!!!!」
その
◆ ◆ ◆
「はぁ…はぁはぁ…父さん!」
「マユ、急いで!」
「シン、大丈夫だ!もう少しで避難挺に着く!」
「はぁ…はぁはぁ…!」
シン達が避難に遅れたのは両親がモルゲンレーテの重要データを破棄するために立ち寄ったのが悪かった。
実際にオノゴロ島は戦火に包まれ何時巻き込まれるか分からない。
宙をモビルスーツが飛び交い地上には連合のモビルスーツとオーブの機体が競り合う。
「きゃぁああああっ!!」
飛び交うモビルスーツの風に吹き飛ばされそうになるが両親が子供達に覆い被さるようにしていた。
モビルスーツの恐怖、そして戦争の恐怖を味わうには十分な結果だった。
そして程近い場所の山肌がビームによって吹き飛ばされる。
「母さん!」
「マユ!頑張って!」
震える足で必死に山岳部の斜面を下り降りる。
しかし、走っている反動でマユはバックに納めていた携帯電話を落としてしまう。
「あっ!マユの携帯!」
「そんなの良いから!」
「いやーっ!!」
携帯を落とし足を止めるマユを母は引っ張ろうとするが幼い妹はそれを聞き入れず駄々をこねる。
「俺が拾いに行くよ!」
後で文句を言われるのも面倒くさい、と考えたシンは落ちた携帯を取りに行く、そんな考えだった。
携帯を拾いマユへ手渡し家族と共に急ぎ避難挺へ走る。
途中でマユが転びそうになるが何とか間に合い避難挺の直ぐ近くにたどり着いた。
「うわああっ!」
パッと空が明るく光るのは近くで戦闘が行われているからだ。
そして先ほどまでいた山の斜面がビームの着弾によって爆ぜたのを見て肝が冷えたが一安心…思ったが機械の駆動音が間近に響くのを聞いて視線をそちらの方向へ向ける。
連合の機体に近くで護衛している"M1アストレイ"が撃ち抜かれ爆発したのだ。
「えっ…?」
シンは突然の事に動きが全てスローモーションに見えてしまう。
複数集まった連合の機体は停泊する避難挺と周囲に集まる避難民に対して銃口を向ける。
連合の機体が構えたライフルの銃口に光が集まった。
「ひッ…」
悪夢のような光景に近くにいるマユからの短い悲鳴を聞いてシンは襲いかかる衝撃に対して咄嗟に近くにいるマユを抱き抱えながら腕で顔を守りその意識は刈り取られる筈だったーー。
上空からのビームが降り注ぎ非戦闘員を狙っていた”ストライクダガー”と”01ダガー”の武装を的確に破壊し残っていた機体の放たれたビームをシールドで弾き舞い降りた。
「えっ…?」
何時まで経っても来ない衝撃、そして影が降りていることに気がつき恐る恐る閉じていた目蓋を開く。
そこにあったのはーー。
「な、に…?」
腕に抱かれていたマユが視界の先に映るその姿を見てそう呟く。
「モビル…スーツ?」
シンも釣られその視線の先の姿を見て今オーブを攻めてきているなにかが違う、そう感じた。
此方を攻撃してきた連合のモビルスーツに似ているがバイザーの奥に力強く輝くツインアイ。
此方に背を向け背面には美しい巨大な白色と青のラインが走る機械羽を六枚広げ舞い降りた姿はあたかも戦場を断罪するその姿はーー。
「てんし、さま…?」
”絶望”を冠するその機体はそう少女に呟かれた。