魔改造ダガーでC.E世界を駆け抜けたい【完結】 作:萩月輝夜
「う、ううん…」
顔に小さな瓦礫辺が当たったことで目が覚めた。
頭を振って上体を起こすと下は固いとも柔らかいとも言えないクッションが敷かれておりすこし打ち所が悪かったのか『緊急脱出路』と記載された扉を開いてダストシュートに飛び込んだ私はその高さゆえすこしの間気絶していたらしい。
頭を触って血は流れていないを確認して問題ない、と判断した、
「まだ戦闘は続いてるか…」
今揺れたので戦闘の真っ最中だろう。
立ち上がって赤い非常灯が照らす通路を進むと同じような扉があったので手にしているキーをスリットに通すと扉が開いた。その先の光景はある意味見たことないものが広がっていた。
「ここ…モビルスーツの試験場か………ん?」
広い空間にはキャリアーに乗せられた“四機のモビルスーツ”が寝かせられておりフレームが剥き出しの赤、青、金色のガンダムヘッド…即ち【
が、それよりも私は金色の隣に寝かせられている機体に目を奪われた。
「こいつは…」
寝かせられていた機体は連合軍主力量産機である【ストライクダガー】…ではなく【105ダガー】なのだが…うーん、どちらかと言えば全体的な雰囲気は続編に出ている【ダガーL】と【ストライク】を掛け合わせたような軽量型の機体に見えた。顔はダガー系統のゴーグルタイプだ。うーん、悪役顔でいらっしゃる。
私は【アストレイ】よりも此方の機体の方に心惹かれてしまった。
急ぎ駆け寄りコックピットハッチに近づくとハッチは開いていた。
「この子…動くのか!?」
解放しコックピット内部を確認すると既に炉に火が入っているのかスタンバイモードになっていた。
「あいたたた…」
コックピットに飛び乗ると深さがあったのかお尻を打ってしまい痛かったが大丈夫だろう。
この体の持ち主はモビルスーツを動かせる才能があったのと知識があったのか座っただけでこの機体の動かし方を理解できた。
主電源を起動させるとOSが立ち上がった。流石にOSは【GUNDAM】ではなかった。が、別の補助システムが搭載されているようだ。
「『
頭文字を取って良い感じの名前にしてみた。
テストヘッドの機体らしく名前が起動時に出てきただけでダガーの名前はなかったが。
うん、ダガー・アーキバスと名付けよう。
「ここから出ないと…」
シートベルトを着けて計器を確認しながらスイッチを押して立ち上げる。計器が正常を示したのを確認しフットペダルを踏みながらスロットルレバーをゆっくりと押していると機体が立ち上がる。
排熱を胸のダクトから吹き出しトレーラーに足をおいて立ち上がるその姿はガンダム第一話の再現のようですこし興奮した。
「OSは…ってこっちで調整するしかないか…」
私は原作で主人公が口走ったようなことを呟きつつ機体のOSを再構築していく。
無論この体はナチュラルなのでスーパーコーディネイターのような無理な作成はできない。
必要最低限の再構築をしていく…良し。これで最低でも2話で襲ってきたミゲルジンの動きは出来る筈だ。
機体を動かし地上運搬用の大型エレベーターに乗り込む前に武装を確認すると一緒にあった武装コンテナにこの機体の装備が積まれていた。
「専用のビームライフルにサーベルの予備…それに試作型のビームランチャー…ああ。だから【
コンテナトラックをリモートで動かして一緒にエレベーターに乗り込む。
これである程度壊してもマードックさんに怒られずに済むかもしれない。
「良かった……って危ないっ!!」
乗り込み数分後地上へのゲートが開くと【ストライク】がフェイズシフトダウンをしてその死角から増援だろう無傷のジンが重斬刀を構えて突っ込んできている光景に遭遇してしまった。
私は地上へのゲートが開いたのを待つ前にスロットルレバーを押してフットレバーを踏んだ。
OSに組み込んだビームサーベルの抜刀モーションを起動させコックピットに突き刺さる重斬刀を持つジンの片腕を切り落とした。
「墜ちろッッッッ!!!」
武装を失い後退するジンがブースターを吹かして上空の重力ブロックへ逃げ出そうとしたが私はそれを見逃さずコックピット目掛けサーベルを突き立てる。
狙いは完璧だったのかサーベルがジンのコックピットを貫きジェネレーターを誘爆させることなく沈黙させることに成功させた。
「はぁ…はぁ…はぁ……ふぅ」
私の体に罪悪感が押し掛かる…と思いきやそれは直ぐ様霧散してしまう。
元々この身体がそういった経験があったのか記憶を失う私がそういった経験があったのか分からないが。
それは一先ず【ストライク】に搭乗しているパイロットに声掛けとマリューさんの手当てをしなくては。
◆ ◆ ◆
「とりあえず無事で良かったよ。一先ずその機体に乗っている女性の士官がいると思うんだけど…今どんな状態?」
「え、あ、はい銃で撃たれて怪我をしてます!」
「そっか…ならコックピットの上の部分にメディカルキットが入っているケースがあると思うからそれを外して。機体を膝立ちにさせて女性を降ろすのを手伝ってくれる?」
「わ、分かりました。」
戦闘が終わって放心していると同じ年齢くらいの女の子が指示を出してくる。が命令ではなくお願いだった。
カレッジで見たことはない…この機体の関係者なんだろうか?
一先ず指示に従い一緒に搭乗していた女性を降ろした。近くにあったベンチに寝そべらせ女の子にメディカルキットを手渡し慣れた手付きで治療していく。…ツナギを脱がせるものだから目のやり場に困ってしまった。
「き、…君その包帯取ってくれる?」
「は、はい…」
「弾は…うん貫通してるね。これならすこし縫って化膿しないようにして包帯を……と。良し。ありがとう、君が居てくれなかったらこの人死んじゃってたかも」
「そ、そんな…」
治療が完了したタイミングで同じカレッジの友達であるトール達がやって来る。
近くにある機体に触れようとしたタイミングで負傷していた女性が起き上がって発砲した。
「それに触れないで!」
銃声に驚き離れるトール達に銃を突きつけてきたのだ。
「その機体は軍の重要機密なの。…悪いけど貴方達民間人を解放するわけには行かなくなりました。付いてきてもらいます。一人づつ名乗りなさい。」
「……サイ・アーガイル」
「ミリアリア・ハウ」
「………カズイ・バスカーク」
「トール・ケーニヒ」
「………キラ・ヤマト」
「…あのモビルスーツに乗っていたのは誰?」
銃を突きつけるが誰も知らない、がこの中で僕だけがそれを知っていたが名前は知らなかった。
女性は僕たちが乗っていた人物を知らないことを確認して名乗りを挙げる。
「…私はマリュー・ラミアス。地球連合軍大尉です。申し訳ないのだけれど貴方達をこのまま解散させるわけには行かなくなってしまいました。詳しい話はーー」
そういって銃を突きつけて名前を告げるように指示した…がソコに割って入る人がいた。
「ラミアス大尉。そう銃を突きつけられてしまっては民間人はビビって話も出来ません。銃を降ろすべきかと。」
「ッ!?」
そういって声のする方向へ女性は銃を向けると先程の女の子がトレーラーの中から出てきたその姿に驚いていた。
「エアリス特務少尉!無事だったのね…良かった。」
少尉、と階級のある女の子に視線が集中していた。軍人だったんだあの子…
「はっ!難を逃れあの機体を起動してストライクを援護しておりました!」
トレーラーから降りラミアス、と呼ばれた女性の前に立つと連合式の敬礼を行った。
奇しくもその立ちふさがりは僕たちに銃口を遮るような形になっていた。
「…そうね。ごめんなさい…少尉の言う通りね。貴方達は軍の重要機密に触れてしまった以上拘束せざるを得ません。然るべき場所に連絡が着くまで、私たちと行動を共にして貰います」
なんで…と思った。戦争に巻き込まれただけなのにどうして僕たちが拘束されなくちゃならないんですか!と声を思わずあげそうになったがエアリスさんが補足してくれた。
「皆落ち着いて聞いてほしいのだけれど大尉は別に君たちを罪に掛ける訳じゃない。今はザフトとの戦闘中で君たちを安全に返してあげられない、ってことで一緒に来てほしいって言ってるの。少なくとも“ザフト”が攻撃を仕掛けてきたコロニーにいるよりは安全だと思うよ。」
そう告げるとラミアスさんは先程までの敵意が薄れ優しげな表情で拳銃を降ろす。
「ええ。少尉の言う通り今は危険な状態なの。貴方達に危害を加えるつもりはない、だけれど私たちは軍人で貴方達を見逃すことは出来ない…分かって頂戴」
そういって頭を下げるラミアスさんを見て誠意が伝わったのか僕たちを含めた仲間は一先ずここから脱出するために行動を開始し始めた。
ラミアスさんとエアリスさんから僕が乗っていた機体【ストライク】の装備を乗せたトレーラーを工廠から引っ張り出すお仕事を頼まれた。残っていたトレーラーは三台あってそれぞれに補給部品が詰め込まれていた。
「どれですか?その…パワーパックって言うのは…」
「キラ君。ストライクのパワーパックは武装一体型だから誘導指示にしたがって装備してくれる?サイ君も手伝ってあげてくれないかな?」
「わ、分かりました…」
ストライクはさっきの戦闘でバッテリーが落ちてしまっている。
回復させるには背面のコネクターを通じてバックパックを装備するしかない。
手順に沿って装備を装着しているとアイリスさんが搭乗している【ダガー】から通信が入った。
『キラ君!急いで装備して!敵が来るっ!!』
「…え?」
次の瞬間コロニーの外壁が破壊された。
黒煙とオレンジの光、破片を飛び散らせながら切り裂くように飛び出してきたのはオレンジ色のMAと銀色のモノアイを持つMSだった。
◆ ◆ ◆
「しかし少尉…良く無事だったわね…もうダメかと思ったわ。」
「偶々外出していたのが幸いしたのか騒ぎに巻き込まれずに。…【ストライク】を動かしていた少年と道中で出会ってシェルターに移動させていたのですが、どこもかしこも満員でありました。ソコで仕方なく軍部ブロック近くにあったシェルターに避難させようとしたのですが…結果はこの通り。申し訳ございません大尉。」
「気にしないで……って貴女もしかして上部エリアにいたの?」
「はい。ラミアス大尉の正確な射撃でヘッドショットを頂きそうになりました」
「……それは、ごめんなさい。」
「気にしないでください。お陰で機体を発見できましたので。」
そういって私は【ダガー】を指差す。
「所であの機体は一体何なのでしょうか?地下の軍事ブロックに鎮座していましたし装備も一式揃っておりましたので。ラミアス大尉はあの機体をご存じではないのですか?」
一応私の所属は地球連合軍技術開発局第七技術班特務少尉と言うことらしい(さっき所属を確認した。)
問いかけるとマリューさんが答えてくれた。
「…あれは【GAT-Xシリーズ】の基礎なの。…面影は【デュエル】【ストライク】を足して割ったような見た目ね。でもどうしてかしら?あの機体は分解されて地上へ降ろされる予定だったのだけど…」
となれば私がこの世界に来たために無から生まれた機体かもしれない。話の辻褄を合わせておかないとな。
「…となればラミアス大尉とは別部署が組み立て別装備の試射を行うためのテスト機体だと思います。持ってきたコンテナにG兵器の装備データにないものがありましたからそれだと思われます。」
「そうかもしれないわ。詳しいことを聞こうにも装備開発を担当していた少佐は先程の襲撃で戦死を…」
ううむ、どうやら私の上官に当たる人物は迎撃で死亡してしまったらしい。まぁこれで辻褄が合うだろう。
「一先ず装備を集めて本部に連絡を。ラミアス大尉お願いできますか?」
「分かったわ。少尉はどうするの?」
どうするの?と来たか…この時点ではマリューさんはどうなるか分からないから仕方ないよね…まぁそれっぽいことを告げて誤魔化そう。
「私は機体で待機します。先の戦闘でジンを二機撃墜してしまいましたからね…敵の指揮官が有能ならジンを撃墜できるモビルスーツを見す見す見逃す、とは思えません。」
「ッ…再び襲撃に来る、と?」
「はい、その可能性は高い、かと。」
…まぁ襲ってるのが
「分かりました。少尉は周囲を警戒。敵が襲撃してきた場合迎撃を。私は本部に通信を試みます。」
「了解」
敬礼し【ダガー】へ走りだし、乗り込んでバッテリー残量を確認する。
…うん、さっきサーベルを使ったからすこし減ってるね。フル充電されていなかったから大体今は七割、って所だろうか…OSの調整をしつつ学生達に指示を出す。
サイ君達がトレーラー…って数多くない?あのとき一台しかなかったトレーラーが三台に増えていたのに驚きつつストライクのバッテリーが自己稼働限界の残量しか残っていないので急ぎバッテリーパックを装備させているとふと私の頭上に閃きが走った。
「キラ君急いで!敵が来るッッッ!!」
『え?』
その瞬間、上空が爆発し煙と爆炎の中から機体が躍り出る。一機は【メビウス・ゼロ】と…指揮官機である【シグー】だった。
◆ ◆ ◆
「ほう、あれが最後の一機…いや二機か?」
クルーゼは人工の大地に立つ二つの機影をみてそう呟いた。既にジンが二機ヤられてしまっている。見過ごすわけには行かなかった…が最後のゴーグルタイプの機体は送られてきたデータの中には存在していなかった。
困惑するクルーゼであったが彼のやることは変わらない。
「ちっ!やっぱり機体は奪われて一機だけか…ってなんだあの機体!?データになかった筈だろ?だがッ!」
同じく【メビウス・ゼロ】のコックピットから見下ろす下界には二機の機影があり困惑したが彼もまたやることは変わりなく満足に動けない筈の友軍機に近づくクルーゼが操るシグー目掛けリニアガンを発射する。
が、しかしそのリニアガンの弾丸はクルーゼのシグーを捉えることは出来ずに地表を穿つだけに止まってしまう。
「何ッ!?……クソッ!!」
バレルロールし回避したシグーはすれ違いざまにメビウス・ゼロのリニアガンを切り飛ばしてしまう。
先の戦闘で武装の大半を失ってしまい今の攻撃で完全に手段を失う。
そんな手負いの機体を無視してシグーは未だに動けないストライクに狙いを定め左手に装備しているコンバインガトリングシールドを構え発砲したーーー。
「させないッ!!」
その前にブーストを吹かし飛びかかる機影…エアリスが動かすダガーが右手に保持したライフルを発射した。すると発砲されたガトリングガンの銃身がビームにより融解してしまう。
「ストライク以外のG兵器はくれてやったんだ…とっとと出ていけよっ!!!」
「戦艦並のビームをあれほどまで小型化させたか…!だが!」
「ちぃ!ちょこまかと!!」
二射目のライフルは回避され接近を許してしまうが狙いはストライクではなくエアリスのダガーへ変更した。
シグーが重斬刀を引き抜くと同時にダガーも背面のバックパックからビームサーベルを励起させた。
二機がぶつかり合うと同時にシールドとサーベルが激突する。
「うおおおおおおおおっ!!!さっさと退いてくれ!!」
エアリスがコックピット内で吠えスロットルレバーを押し込む。
「なにッ!出力が負けているだと!…くっ!?」
体勢を崩されてしまったシグーはシールドを保持していた左手を弾かれた。
逆に重斬刀を受け止めていたダガーのシールドは押し返すように弾いて隙を作りシグーのコンバインシールドが両断されてしまう。
「腕は良いようだが…甘いな!」
「くっ…!?」
が今度は逆に重斬刀を叩きつけられ怯んだ瞬間にシグーが持つ突撃銃が火を吹く。
ダガーはPS装甲が搭載されていないため実弾は非常に危険だ。
追撃を決めようとするクルーゼであったがそれは突如の乱入者によって阻止されてしまった。
突如レーダーに表示される高エネルギー反応…無視するわけには行かずにクルーゼとエアリスは注視する。
コロニー内に大きな振動が走ると次の瞬間に軍港に繋がる隔壁が爆破破壊され白い戦艦が姿を現した。
「アークエンジェル!?」
「助かったけどこの状況で出てこないで欲しいかなぁ!?」
アークエンジェルが飛び出てきた、と言うことはコロニーに更なる被害が出る、と言うことだからだ。
「エアリスさん!」
バッテリーが回復したストライクがPS装甲を展開し立ちふさがるように色づく。
シグーの銃弾が装甲に阻まれた。
「新型か!仕留め損なうとは…!それに此方も分が悪い…一時撤退する!」
武装を破壊され白亜の戦艦より飛来するミサイルを華麗な動きで回避しながら一対三の不利な状況に舌打ちしながら
自分達が開けた隔壁まで飛翔し撤退していった。
シグーが立ち去った後のへリオポリスにはランチャーパックを装備したストライクとダガー、そして白亜の大天使がこの場に集っていた。
「死ぬかと思ったわ……一先ずコロニーに穴を空けなくてよかった…かなぁ」
エアリスは一先ず集めた部品をアークエンジェルに搭載するために動き始めるのだった。