魔改造ダガーでC.E世界を駆け抜けたい【完結】   作:萩月輝夜

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急にランキング五十位内に入っててビックリ。どうしたんだ一体…。
後お気に入り一時間でめっちゃ増えてて怖いです。
今回は長い。長すぎる。機体解説…いれるとテンポ悪くなるかなぁ…。

最新話どうぞ。

※11/2”エアリス”の戦闘描写一部変更あり。申し訳ない…


開かれる扉

「んあ?…あぁ、もうダメだねその艦。壊して良いよね?答えは聞かないけど壊しちゃおーッと!!」

 

身の丈以上の斧槍を持つモビルスーツが身動きの取れない戦艦へ進路を向ける。

 

GAT-X299”レヴィアタン”

特殊フレーム機体であるX-207《ブリッツ》のデータを基に建造された機体は全身が美しい薄青と純白の装甲で覆われている。

この機体は”へリオポリス”で奪われたXナンバーが持つビーム兵器がザフト製モビルスーツに搭載することを予期して”ビームに対する絶対的な防御を持つ”というのコンセプトに連合系統戦艦に積まれたラミネート装甲材を全身に施し特殊塗膜であるナノラミネート塗料を塗布しビームを屈折し弾いてしまうという効果をもたらす。

実際にその性能はオーブ解放戦で遺憾なく発揮するがその圧倒的な防御力は機動性を殺してしまう結果となり華奢で華美な見た目とは裏腹に地上、宇宙でも鈍重。その機動力を補う為にメイン武装であるブースターユニットを兼任する重装突撃斧槍”ホロウハート”は円錐部分に四つの銃口を備え実体弾を吐き出し機動力を確保する為に専用ストライカーである”トライデントストライカー”は増設スラスターと防御用の軽量化されたコフィンシールドを備える。機体の重心バランスを整えるために頭部後方にはポニーテールのようなテールスタビライザーが備えられている。

大推力の機体のため強化手術を受けていないパイロットではコックピットで圧死してしまう可能性すらあり得る。

”カタリナ・イノセンス”はコックピットの中で無邪気に笑っていた。

 

メタポリマーストリングに絡め取られ動けない”クサナギ”を確認したカタリナは指示を無視して突撃槍のスラスターを吹かし進路上にいた”M1アストレイ”を貫き爆発させながら突撃しビームサーベルを用いてケーブルを切断していた”M1アストレイ”は艦橋からの突然報告に驚く。

当然の事ながらコロニー建築資材は大きくモビルスーツの武装でも焼ききることは時間が掛かり急ぎ切断しようとするが間に合わない。

 

「ッ…よせ!!」

 

”クサナギ”の艦橋でカガリが悲鳴を上げるが目の前に”レヴィアタン”が出現し矛先が”M1アストレイ”を貫こうとしたそのときーー。

 

「さっさとやれよ、やられちまうぜ?」

 

突如として割って入った電磁力の弾丸が放たれ急制動を掛ける”レヴィアタン”の前に現れるのは”フォビトゥン”であり手にした<ニーズヘグ>を構える。突然の事にパイロットは驚くがシャニは気にせずに対峙する。

 

<え、あ、は、はい…!>

 

「あ、邪魔したな!お前も壊してやる!!このカメムシ!」

 

「あ?このクソガキ…!」

 

カタリナは機体を操り今度は割って入った”フォビドゥン”へ突撃してきた。シャニも<フレスベルク>や<アルムフォイヤー>を放つが”レヴィアタン”の装甲に阻まれ止まらない。”クサナギ”も対空砲火程度を放つが決定打を与えられず続々と距離を詰められてしまいカガリは息を呑むがまたしても赤い彗星が割って入った。

 

「何をしている!急げ!」

 

<は、はいっ!>

 

「お前はそっち頼む。此方は糸を切り落とすから。こいつが動けばそいつらも撤退するだろ?」

 

何故、お前達が俺たちを…と思ったが今はそれよりこの敵を払い除ける必要がある。彼らのリーダーがキラの言う”あの彼女”ならその言葉の意味に嘘はない、と。

 

「分かった…!”クサナギ”を頼む」

 

「りょーかい(まっ、此方が楽させてもらう為なんだけどさ)」

 

”ジャスティス”が<ファトゥム00>が”レヴィアタン”に激突し撥ね飛ばす。

サーベルを連結し<アンビテクストラス・ハルバートフォーム>に変え牽制し”フォビトゥン”は纏わりつくメタポリマーストリングの切除作業に入った。

 

「いったぁ!!うぅ…よくもやったなぁ!?この鶏冠ヤロウ!!」

 

「くそッ滅茶苦茶だな…!本当にナチュラルなのか…?」

 

水色の機体は斧槍を構え赤い機体へ突撃し赤い機体も反応する。

 

「アスラン…それにあの機体…」

 

”M1アストレイ”は切断作業へ戻るのを確認しカガリはホッと息を吐く。敵モビルスーツから守ってくれたその後ろ姿を見つめた。

 

◆ ◆ ◆

 

「面白そうな機体ね。あれは…烏賊…なのかしら?」

 

”アークエンジェル”を護衛する機体へ接近する機体が緑の残像を作り出す。

 

GAT-X399”ハルピュイア”

X-303(イージス)のデータを流用し"01ダガー"のパーツを用いられ整備性とコストダウンを加味され建造された可変モビルスーツである。緑と白の装甲は通常の物で駆動部分のみPS装甲を搭載し半鳥人のような姿に変わるモビルアーマー形態が特徴的な機体は高速戦闘を得意として武装も高速で動く対象へ決定打を与えられる武装を多く有する。

接近装備は両腰には高出力ビームソード、モビルアーマー形態時に展開する足裏のビームクロー、射撃武装として腕部には三連装マシンキャノンと専用ストライカーである”ラファールストライカー”は二対のウイングバインダーに内蔵されるウェポンラックには数百発に及ぶマイクロミサイルが搭載されている。盾を装備していないため推力で敵の攻撃を回避し指揮能力を向上させるために二対のブレードアンテナが備えている。複雑な機体の操作と武装構成は通常のナチュラルでは操るのは不可能であり操れるの強化手術を受けたこの機体のパイロットである”ジャンヌ・オルデイシア”だけである。

彼女が疑問と笑みを浮かべるのに連動するようにバイザーの裏に隠されたツインアイが輝いた。

 

一方でトールとクロトの戦闘に割って入った緑色のダガー…”ハルピュイア”は両手にビームソードを展開し襲い掛かり寸でのところでモビルアーマー形態に変形し攻撃を避ける。

 

「コイツら”オーブ”にいた…!」

 

コックピットでトールは奥歯を噛み締め襲いかかるGに耐える。急速旋回したGに耐えつつ再びモビルスーツ形態へ変形し左手のサーベルを励起させ切りかかる。

 

「目は良いようね。でもその目の良さが命取りよ?」

 

サーベルでの攻撃を回避し”ハルピュイア”はウイングバインダー上部を開き数十発のマイクロミサイルを展開したのに気がつく。

 

「不味いッ…!?」

 

しかし、気づいたところで接近戦を挑み防御姿勢を取ることが出来ず発射を確認する。機体にはPS装甲を搭載しているもののメインのコックピットブロックは発泡金属だ。当然ミサイルの直撃に耐えきれる筈がない。

背筋に凍るような感覚を覚える。

やられるーー、と身構えたその時。

 

「え…?」

 

「ボサッとしてんな!そんなんじゃやられちまうぞ!!」

 

突如として割って入った黒い影…”レイダー”が<ミョルニル>を回転させ降り注ぐマイクロミサイル全てを撃墜し<二連装高初速砲>を打ち掛けるが”ハルピュイア”はモビルアーマー形態へ変形し距離を取る。

 

「お前、どうして…?」

 

トールは思わず疑問を口を吐く。その疑問にたまたま通信が繋がった目の前の”レイダー”のパイロットが返答した。

 

「お前達が落とされたら此方が困るんだよ。さっさとアイツを倒すぞ。手を貸せよ!」

 

ああ、そうだ。俺が落とされたらミリィが悲しむ…誰が”アークエンジェル”を守るんだ?

トールは自らを奮い立たせ叫んだ。

 

「ああ…そっちこそ落とされるなよ!」

 

「当たり前だろッ!そらぁあああああッ!!撃・滅!!」

 

二機は変形し距離を取った”ハルピュイア”へ向かっていく。

 

「ふふ…良いわ良いわね…見せなさい旧式の力を!」

 

”橙””黒””緑”の三つ巴の機体が姿形を変えて戦場を駆け抜けていた。

 

◆ ◆ ◆

 

「おらおらおらぁ!!その程度かぁ?」

 

アークエンジェルを襲う黒い”01ダガー”を率いる赤色の機体は圧倒的な砲の数で随伴していた"M1"を戦闘不能にしていく。

 

GAT-X199”ファーブニル”

X-102(デュエル)X-103(バスター)の拡張性と砲撃支援に注目しデータを取り込まれ開発された機体であり高い攻撃力と機動性を誇り武装は腕と一体化するように装備されたビームランチャー<プロメテウス>、大型ガトリングガン<ダイダロス>はPS搭載非搭載に決定打を与える射撃機体でありシールドとして扱えるほど堅牢であり両腰部には三連装短距離誘導ミサイルポットを備え背面の専用ストライカー”イフリートストライカー”には大火力の対艦ミサイルが装填されたミサイルポット、両肩に来るように装備される四連装ビームガトリングとレールキャノンと言った射撃武装が満載のストライカーを装備する。

頭部センサーを保護するために獅子のようなヘッドギアを装備し一機で戦艦以上の火力を有する機体だが複数の火器プログラム運用とそれを扱いきれるOSは通常のナチュラルでは負荷が掛かりすぎて一瞬で廃人になる恐れがあり強化手術を受けたパイロットである”バルバラ・レイジフィア”にしか扱えないのである。

 

「オーブにいたあの部隊…!」

 

「しつこい…!」

 

「あっ…!味方が…このぉ!」

 

”アークエンジェル”の護衛に回っていたアサギ達は接近する”ファーブニル”が引き連れる”01ダガー”をコンビネーションで撃墜する。しかし僚機をやられたというのに赤い機体は我関せずにこちらに攻撃を仕掛け防戦一方となっているのはムウの”ストライク”とディアッカの”バスター”、ニコルの”ブリッツ”が離脱した為だ。その理由は向こうの港口に”ザフト”がいるというのだ。この状況でも厳しいのに別勢力が入り込んだらこれ以上と無い混乱になるだろうが今は目の前の状況に注視するしかないのは気を抜けば自分達がやられてしまう。彼女達にその気を回している余力はない。

 

「雑魚に用はねぇよ。さっさと撃墜されちまいなぁ!!」

 

”イフリートストライカー”から放たれた艦艇を一撃で撃墜せしめる大型ミサイルが分裂し多弾頭のミサイル、そして搭載された火器がアサギ達の”M2アストレイ”達を襲う。

 

「ジュリ!マユラ!」

 

襲いかかるミサイル群が僚機を付け狙う。迎撃を行うが追い付かず撃墜されるーーー。

そう思った三人娘は表情を強張らせる。

 

しかし。

 

「えっ…?」

 

別方向から放たれたビームの嵐が迫るミサイルを打ち落とし迫る”ファーブニル”を追い払う。

割って入った濃緑の機体が通信を入れた。

 

<おい!戦えないのならさっさと退けよ!邪魔だ!お前らは援護してろ!>

 

<シュラーク>や<トーデスブロック>を放ちながら赤い機体へ向かっていく砲撃戦仕様の機体…”カラミティ”のパイロットからの通信にアサギはムッとなる。

 

「な、なにぉ!?私だってやってやるわよ!ジュリ、マユラ!」

 

「勿論!」「みてなさい!」

 

体勢を整えフォーメーションを再編成しながら”カラミティ”を援護する。

一糸乱れぬ射撃、放たれる攻撃を防御しながらの反撃はバルバラもコックピットで舌舐めずりした。

 

「いいねぇいいねぇ…!これだから戦争ってのはやめられねぇなぁ!!」

 

バルバラは”ファーブニル”の武装を全解放しながら即席の編隊を組む”カラミティ”と”M2アストレイ”へ突っ込む。

その瞳はギラつき笑みを浮かべていた。

 

◆ ◆ ◆

 

<すいません、手間取りました!>

 

「推力最大!もう引っ掛けるなよ?」

 

”M1アストレイ”と”フォビトゥン”の助けもありようやく自由になった”クサナギ”は敵部隊を追い払う為に動き出す。

 

「マーク二0チャーリー!敵母艦確認!…これは…!」

 

オペレーターの戸惑った報告にカガリはなんだ?となったがモニターに映る艦影をみて息を呑む。

それは艦長席に座るキサカも同じような反応を見せる。

 

「あれは…”アークエンジェル”?」

 

同じ種類の戦艦をみて驚くカガリであったが割り切りは早い。カガリは素早く指示を出す。

 

「<ゴットフリート>照準!目標アークエンジェル級…てぇーっ!」

 

同時に遠方で攻撃していた”セラフィム”は”クサナギ”の事など頭からすっぽ抜けていた艦長はオペレーターからの報告を受け舌打ちする。

 

「距離二十!オレンジ十五マーク一、アルファにオーブ・イズモ級!接近してきます!」

 

「ちっ…!回避!取り舵二十!…ここまでか、信号弾撃て!一時撤退する!」

 

一方で”セラフィム”から信号弾が放たれ戦闘を繰り広げていた”ディスペアー””フリーダム”と対峙していた”ファントム”は迫る攻撃を弾きながら舌打ちした。

 

「ちっ…役立たず共め…見えたな、一時撤退する。」

 

<えーっ!?>

 

<あら、もう時間?>

 

<んだよぉ…これからだってのに!>

 

「貴様らのエネルギー残量も危険域だ。さっさと戻って補給を受けろ」

 

そう言って”ファントム”を翻し集合地点へ向けスラスターを吹かし撤退する。四つの機体は光の尾を引いて遠くに輝く光点へ向かっていった。

 

「撤退か…」

 

”ドミニオン”のブリッジにでナタルが呟く。見事な引き際に感心していた、と言って良いだろう。

同じくアズラエルも同じことを感じていた。

 

「向こうの指揮官も無能ではなさそうですね。数的優位はこちらですが…」

 

「…どうされますか?これから」

 

「勿論、合流しますよ。此方から戻ったら難癖つけられて撃墜されかねないですからねぇ…?」

 

「了解しました…信号弾撃て!」

 

ナタルが指示して”ドミニオン”から信号弾が放たれる。同時に”敵対意思はない”の白い信号弾が放たれる。

黒い巨艦は”アークエンジェル”へ向け進んだ。

 

◆ ◆ ◆

 

「撤退するのか…」

 

襲撃してきたモビルスーツがにげていく、いや戦術的な撤退だろうそれを見てコックピット内部のインジケーターを確認する。戦闘自体は継続可能だが既にバッテリー残量は戦闘継続注意(イエロー)を通過し戦闘継続警告(レッド)を示しアラートがなっている。

いくら燃費と機体性能が向上したと言ってもバッテリー駆動ではこれが限界だ。

この勢いのままメンデルへ突入したかったが何が出てくるか分からない状況では万全にしておきたかった。

 

(あれは…なんだったんだ…?)

 

襲撃してきた敵部隊…”ファントム”と呼ばれるダガーを操りこちらに攻撃してきて刃を合わせた。

 

ーそうさ!元々私たちはひとつだったのだからな!

 

ーお前は私だよエアリス…いや姉、というべきかな?

 

その言葉を聞けば聞くほど訳が分からない。私に妹はいない。一人っ子だ。

 

「ん…?」

 

”ドミニオン”からの撤退命令が出たのでこちらも機体を翻そうとするが”フリーダム”が行く手を阻んでいた。

いや、そこにいられると動けないんだけど…?不意に接触通信での音声が入る。

 

<エアリスさん、です…か?>

 

キラくんの声を聞いて自分では把握していないが彼女の口角は明らかに上がっていた。

しかし、同時に悲しい感情も彼女の内に広がる。それを悟られないように通信回線を開き音声でのみ自分の存在を伝える。

 

「うん、そうだよ。キラくんの知ってるエアリスだよ」

 

通信回線に聞きなれた優しい少女の声が届く。キラの心は様々な想いが込み上げる。

 

<ッ!?やっぱり……生きていてくれたんですね…>

 

喜色を浮かべんばかりの声色にエアリスは苦い顔を浮かべる。まだ敵は引き上げたわけではなくこれからが()()であることを。

 

「うん。話したいことは沢山あるけれど…再会の挨拶は後にしよう。敵は一旦引いただけだから整備と補給を。此方はもうバッテリーが限界だから。此方は引き上げるよ」

 

<あっ…>

 

キラ…”フリーダム”は別れるのを惜しむように手を伸ばすが”ディスペアー”は離れていき”ドミニオン”へ収容されて

まだ戦いは終わったわけではない、これが終わったら必ず聞きに行こうと後ろ髪を引かれる思いでキラは”アークエンジェル”へ帰投した。

彼女のいう通りまだ戦いが終わったわけではない…向こうの機体もエネルギーが少なくなって撤退しただけだ、とキラは今自分が預けられている機体に搭載された”禁断の力”を思い出し操縦桿を強く握りしめた。

 

◆ ◆ ◆

 

”コロニーメンデル”に入港した二隻の”アークエンジェル”は肩を並べている。

本来の歴史ではあり得ない光景であったが”エアリス”という存在がこの状況を作り出した、と言っても過言ではなかった。

 

「しかし…驚きましたわ…理事がこのような場に…」

 

「なぁに僕は現場主義でねぇ…重要なことは自分の目で見たものしか信じない質でして」

 

そう告げるアズラエルを見て頭を抱えるナタルをマリューは小さく吹き出してしまう。

もしも万が一の事があれば大事なってしまう心労は計り知れないだろうが優秀な彼女の事だから問題はないだろう…とは思うが自分がその立場なら…と考えて苦笑いした。

 

湾口ドックで各艦の艦橋にて通信モニター越しにナタルとマリューが再会していた。

これまでの経緯を話し合い両者それぞれに思うところがある。

軍を離脱し変えようとするもの、軍に残り内部を変えようとするもの…二人の艦長は一度道を違えたが再び同じ道へ降り立つ。

アズラエルの言葉にマリューは安堵の色を浮かべていた。はじめから味方ならば最初から…と思ったが彼はビジネスマンであり全体を俯瞰して()()()()()という理由で同じ場所に立っているがボタンが掛け違っていれば敵になっていた事だろうを考えると少し恐怖を覚えた。

そして懸念事項であったかつての上官であるハルバートンとも戦わなくてはならない、と覚悟をしていたがそれはその一言で崩壊する。

 

「ハルバートン提督が…?」

 

「ええ。彼も此方の味方です。今ごろ反撃の準備をしているでしょう。それとラクス嬢のお父様も後ほど合流しますよ?」

 

「まぁ…お父様も!」

 

話を振られたラクスは父の生存を知らされ年相応の喜びを見せる。逆に”クサナギ”のブリッジではカガリがその表情に影を落とす。

しかしそれもアズラエルはぶち壊した。

 

「それと…そこでショボくれた表情をしている貴女に合わせたい人がいます。通信を」

 

アズラエルにそういわれムッとなったカガリは彼の映る画面をみると言葉を失う。それはマリュー達”アークエンジェル”のクルーも声がでなかった。

 

「もう会うまい…と言った手前でこのような再会になるとは…どう言葉を掛けてよいかわからんな…」

 

そこには特徴的な首長服ではなく目立たぬように一般市民の年相応な服装を身に纏う男性はその特徴的な長髪と髭はそのままであった。

第八艦隊の”メネラオス”より繋げられた通信にその姿を現しそれを見たカガリは恐る恐る口を開く。

確認するかのように。

 

「おとう…さ、ま…?」

 

「久しいな、と言うべきか…カガリ」

 

「おとう…さまぁ…!」

 

”オーブの獅子”…本来ならば死亡しているオーブの元最高指導者であったウズミ・ナラ・アスハがカガリの前に現れた。その姿に先程まで勇猛に指揮していた姿はなくただ一人の愛娘の姿だった。

モニター越しではあるが感動の再会も程程に”ドミニオン”のメンバー以外が気になっている事を聞くためにラクスが口火を切った。

 

「アズラエル理事…先程戦闘の前に仰有っていた事…”エアリス”と…彼女は本当に生きているんですか…?」

 

「ッ…」

 

その問いかけにカガリもビクリ、と肩を震わせる。それに共感するように三隻同盟、特にエアリスに親交のあるメンバーはアズラエルの表情を窺う素振りを見せるが問いかけられた本人は少し息を吐いて得意気に返答した。

 

「ええ。生きていますよ。正真正銘、本物のエアリス・A・レインズブーケが、ね?」

 

◆ ◆ ◆

 

<ハッチ解放…一番格納庫へ収容作業を急げ>

 

「補給作業急げ!弾薬と充電作業を忘れるなーッ!」

 

<整備班は”01ダガー”各機体のA5からC29までのダイオードバンクのレギュレーターをチェックせよ…>

 

<艦外作業員はラミネート装甲の剥離は融除ジェルの補填作業を…>

 

<イーゲルシュテルン一番、五番、十七番被弾…損害箇所の確認…補修作業員作業に掛かれ…>

 

「少佐の機体をハンガーに固定だ!」

 

”ドミニオン”のハンガーは作業員が忙しなく動き回り負傷者の救助、補修作業を行っている。

格納庫に到着し誘導員の指示に従い機体に装備されたアーマメントとストライカーは解除され素の状態に戻され”ディスペアー”は補給を受けていた。

 

「ふぅ…」

 

パイロットスーツのバイザーを開き珠になった汗がコックピットに散らばるがハッチを開き外へ出しドリンクのチューブを口につけ水分補給を行う。

同じくハンガーでは”カラミティ”レイダー”フォビドゥン”、そして生き残った01ダガーのパイロット達は疲労を隠せていないようだが三馬鹿達は寛いでいる。これでバテているようであれば訓練メニュー増やしてやろうか、と思ったけど。

 

コンソールを操作して艦橋へ通信を繋ぐ。

 

「艦長、状況は?」

 

<依然動きは無しだ。艦搭載機のエネルギー切れもあるだろうが…>

 

「このまま撤退はない、ですね…」

 

そう告げるとナタルは頷いた。

 

<ああ。私ならこの状況を座して見ているわけには行かない。増援を呼ぶか、そのまま補給を進め…だな>

 

会話をしていると艦橋にいる管制官からの報告が入った。

 

<艦長!偵察班からの入電です!”メンデル”反対湾口付近にザフト軍戦艦を確認、数”三”ナスカ級と判明!>

 

オペレーターからの情報にナタルは苦い顔を浮かべる。

 

<この状況で。厄介だな…>

 

<恐らく”フリーダム”と”ジャスティス”を奪還しに来た部隊でしょうね…タイミングが悪い>

 

「私が確認してきます。」

 

<エアリス?>

 

「此方は殆ど被弾無しでもう少しで補充も終わります。向こうが攻めてきても此方には”アークエンジェル”とオルガ達がいます。後ろから攻められる方が面倒でしょう?」

 

そう告げるエアリスだったがこの状況は都合がいいと強引に割り込んだ。実際にこの艦のリーダーはナタルであるが最上位士官はエアリスである。作戦の有無は彼女に決定権があるのだ。

 

<…分かった。ただし無茶はするな?お前がやられたら士気は総崩れだからな>

 

ナタルは「仕方ない」という感じに許可を出す。隣にいるアズラエルも肩を竦めて「彼女の好きなようにさせましょう」という感じだ。

 

「やられませんよ。そう簡単に。生きしぶといので」

 

そう告げエアリスは管制官へ指示を飛ばす…前にアズラエルからの言葉を聞いて「うげぇ…」となった。

 

<それと一段落ついたら貴女の事を向こう側は知りたいそうです。何故生きていたのか、ってね>

 

「後にしてください…」

 

あぁ…生きている事がやっぱりばれたのねぇ…てかキラくん?喋ったでしょねぇ?うぁ…ラクスとカガリに激詰される光景が浮かぶ…あれ、ちょっと会いたくなくなってきたかも。

と言ってもこれから一緒に戦うのだから甘んじて受けよう…後でな!

 

「…ブルームリーダー発進する!アーマメントをtype1を!ストライカーは<パラディオン>をお願い!」

 

<了解!ブルームリーダー発進スタンバイ…”パラディオンストライカー”を選択…>

 

各種補充整備を完了し装備選択を終えて”ディスペアー”が飛び立つ。

先程の”エアリス”の件もある…何故かその答えが”メンデル”に在る気がしてならないのだ。

キラの問題もある…出来ることなら知られずに処理してしまいたい。

 

(あの破滅おじさんの言葉を借りるなら「上手く行けば全てに片がつく」じゃないけどさ…)

 

そんなことを考えていると準備が終了し”ドミニオン”から飛び立つ。”クサナギ”と”エターナル”の艦橋でカガリとラクスが此方を見ていた気がしたが気にしないことにした。

 

<エアリスさん!>

 

発進したと同時に”アークエンジェル”から”フリーダム”が発進し”メンデル”のシャフトへ向かう。

通信が繋がりキラが心配そうな声色で話しかけてきた。

しかし、内心で苦い顔を浮かべる。

 

「(キラくんには来て欲しくなかったなぁ…()()を知ることになっちゃう…)どうしたの?」

 

ここに来る、ということはクルーゼからの大暴露大会(お前スパコな)を仕掛けられるし「俺はお前の親父のクローンだぜ!ムウ」とカミングアウトしてしまう。複雑だった。

 

<ムウさん達が戻ってきていないんです…内部を確認するためにそれで…>

 

「港の反対口にザフトがいるって聞いたし…コロニー内部に入ってきた部隊と交戦しているのかもね」

 

<まさか…>

 

「いや、少佐の事だから普通のコーディネイターじゃ返り討ちに合うだけだよ。随伴機はいたんでしょ?」

 

<はい。”バスター”と”ブリッツ”が一緒に>

 

「それなら大丈夫でしょ。それよりこっちが敵じゃないって二人に伝えてね」

 

<あ、はいっ>

 

軽口を叩きながらゲートを通り抜け操縦桿を握る手が強くなるのはこれから起こることを知っているからかなのかは分からない。

 

<ラクスとカガリ…二人だけじゃないですけどすごく心配してました>

 

あ、やっぱり会いたくなくなった。

うーん、その一言、余計かなぁ…。

 

◆ ◆ ◆

 

ムウと共にメンデル内部に侵入したディアッカ達は一番想像していた最悪の場面に遭遇した。

キラ達と歩むことになればザフト…ひいてはイザーク達と敵対することは分かっていた筈なのにいざその場面に直面することになればその覚悟は揺らいでしまう。

 

”デュエル”は”バスター”へ向けミサイルとレールガンを放ち圧倒するがディアッカは苦虫を噛み潰しガンランチャーで迎撃する。

一方で”ディープ・ゲイツ”の両肩に備え付けられた二門の改良型バルルスが”ブリッツ”を襲いシールドの表面を焼いていく。

両者ともに同じ釜の飯を食った”仲間”であり銃口を向けることなどそう簡単に出来る筈がない。

咄嗟にディアッカは敵対する二人の機体へ通信を呼び掛けた。

 

「イザーク!ハーネンフース!」

 

「止めてください!僕たちが戦う理由はない筈でしょう!」

 

周波数はそのままだったらしくディアッカとニコルの声が二人の機体へ届く。

 

<ディアッカ…!?それにニコル…?!>

 

<二人とも…生きて…?!>

 

信じられないとイザーク達はその声を聞いて鋭く息を呑むと問いかける。

 

<本当に…貴様達なのか…!?>

 

<何故、”ストライク”と共にッ!?>

 

イザークが問いかけると二人はモニターをONにして答えた。

 

「ああ。そうだ…」

 

「はい…」

 

此方のモニターにも馴染みのあるイザークの表情が映る。”ストライク”によって傷つけられた顔はそのままだ。

イザークは唖然としていたが次第に表情が強張り二人を睨み付ける表情へと変わっていく。

 

<貴様達が生きていてくれたのは嬉しい…だがっなぜ”ストライク”と共にいる!?事と次第によってはキサマ達とて許さんぞぉ!!>

 

<ジュール様…>

 

イザークの目に滲むものがある。

 

「イザーク…」

 

ディアッカとニコルは答えあぐねてしまう。どの理由であっても彼らからしてみれば自分達は自らの組織から離反した”裏切り者”になるからでありどうしたものか、と考えていると通信が飛んで来る。

 

<ディアッカ!ニコル!>

 

通信に第三者の声が入る。ディアッカとニコルがモニターの方を見やると港口から飛来する機体…”フリーダム”と”ディスペアー”が接近するのを見て驚いた。

 

「キラ…!となんで”ディスペアー”が…!?」

 

「まさか…本当にあれに?」

 

同時にそれを確認しイザークも驚く声をあげた。

 

<あれは…あの機体は…!?>

 

イザークは驚きの声を上げた後に機体を向ける。あれはオーブで”アークエンジェル”を攻撃していた地球連合の機体だ。一体何故…!?

 

一方でエアリスは目の前にいる機体のシルエットを確認し驚く。

 

(あれはデュエルと…鳳仙花のパーソナルマークのゲイツ!!?つーことはシホ・ハーネンフース!?なんじゃあの”ゲイツ”の魔改造品!?)

 

確かにと、本編でジブラルタルで一緒にクルーゼとテレビ見てたけど…ここで出てくるか。

シャフトと通り抜けると赤茶げたコロニーの内部に四体の巨人が対峙する…その内の一機は見たこともない改造を施された”ゲイツ”…両肩に大型のビームキャノンにシグーのガトリングシールド、そして増加装甲である”アサルトシュラウド”が装備された”重装備型ゲイツ”と言うべき機体がおりそれ含めた四つの機体は此方へ機体を向ける。がキラが通信を続ける。

 

<やめてくれディアッカ、ニコル!エアリスさん…”ディスペアー”は味方です!>

 

キラが叫ぶと二人はすぐに悟り”デュエル”と”ゲイツ”の間に割って入る。

 

「こいつらは…俺たちに任せてくれ!」

 

「はい!キラ、エアリス…こっちは任せてください」

 

<いいんですか…?>

 

「ああ。」

 

<わかりました…>

 

キラは機体を引いてその場を立ち去ろうとする。退き側に二人に伝えた。

 

<アスランと僕たちみたいにならないでくださいね…>

 

<アスラン…?>

 

イザークもその通信を聞いて当惑する声を上げる。何故”フリーダム”のパイロットが奴の名前を…?

そんなことを考えているイザークとは反対にディアッカは覚悟を決める。”腹を割って話すしかない”とーー。

ディアッカとニコルはハッチを解放するとイザークとシホはハッと息を呑んだ。

 

「銃を向けずに話をしよう…イザーク」

 

◆ ◆ ◆

 

<ッ!ムウさん!?>

 

四機の間を通り抜けメンデルの反対側へ…ではなくエアリスは真実を…と。しかし、それはある意味で()()()()()

 

「…ッ!?なんでこの場所にお前がいるんだよ…!」

 

二人の視界、研究所付近の赤茶た大地には四肢が破壊された”ストライク”が無惨に転がっておりその付近に佇むのは見慣れた、いや見慣れないシルエットの機体。

 

「ッ!キラくん!」

 

そして戦場で感じる()()()()を感じとり直ぐ様回避行動を取ると佇んでいた機体の背面がバックパックより四つの円錐状の物体が分離し無数のビームが飛来し”フリーダム”と分断される。

 

「やっぱりお前か…ラウ・ル・クルーゼ!」

 

此方が感じとる、ということは向こうも勿論感じ取っていた。”プロト・プロヴィデンス”のコックピットの中で仮面の男が叫んだ。

 

「…!やはり生きていたようだな…!”彗星の魔女”!いや、エアリス君!」

 

「くっ…!」

 

<試作ドラグーン>から放たれた荷電粒子を高速反転機動で回避しサーベルを抜刀しスラスターを吹かし距離を縮めるとお互いのサーベルがシールドにぶつかり合いスパークが散る。

 

「ここで再会するとは…やはり君は面白い…!」

 

「こっちは面白くないッ!なんなんだその機体は!」

 

打ち付けられたサーベルを弾き距離を取る”P(プロト)プロヴィデンス”は背面のプラットフォームから<ドラグーン>を分離した。まるで意思があるかのように死角に入り込み対角線上に配置された。

 

「ぐっ…!?」

 

放たれるビームの嵐。経験のない兵士であれば上下左右から放たれる必殺の火線から到底逃げ切れる筈もなく撃墜されるのは必至だった。()()()()()()()()()

 

「ぐぅううううううッ…?!」

 

エアリスの脳裏に誘導兵器の対処法が駆け巡る。

フットペダルを押し込みスラスターを地表目掛け降下すると追いかけるように展開した<ドラグーン>は案の定追ってきた。

 

(きた…ッ!)

 

エアリスは体に掛かるGに耐えながらニヤリ、と笑みを浮かべる。

円形状のコロニーの外側へ近付く度に人工重力に捕まる。有線で繋がっていれば動きに制約が掛かる。それが狙い目であった。

放たれた火線の中に飛び込んで機体を加速させ捻りながら胴体へ直撃する筈だったビームを盾で弾き同時に背面からの攻撃を回避する。

同時に左右に展開した<ドラグーン>が十字砲火を行うがシールド側の手に握られたサーベルが切り払った。

 

「ひと…つ!」

 

腕を振るった慣性で反転し反対側に保持したライフルが火を吹き円錐状のユニットを撃ち抜く。

 

「ふた…つ!」

 

そして横殴りのGに耐えつつスラスターを吹かし姿勢制御を行おうとする<ドラグーン>へ接近しサーベルで切り裂き破壊した。

 

「ほう。避けるか…流石だな…!」

 

クルーゼは攻撃の手を緩めること無く<ドラグーン>と手にした<ユーディキウム・ビームライフル>と共に射撃を続けその一撃は”ディスペアー”を捉える。

 

「ぐっ…!?」

 

”ディスペアー”の装甲パーツが吹き飛び機体が大きく揺れるがエアリスは構わず保持したビームサーベルを”Pプロヴィデンス”へ目掛け投擲すると同時に反対側のライフルで投げたサーベルへ狙いをつけた。

 

「行けッ…よぉおおおおおおおおッ!!」

 

「なんだと!?」

 

次の瞬間に投擲されたビームサーベルにビームライフルから放たれた荷電粒子が激突し()()した。

広範囲に広がるビームの散弾が戻ろうとする<ドラグーン>を穿ち破壊する。

その光景に流石のクルーゼも驚き声を上げる。

エアリスが脳裏に浮かんだ無人兵器への対応策…()()()()()()()()()…即ち”某宇宙世紀(ビームコンフューズ)”での攻撃方法であった。

 

「キラくん!」

 

「ッ!?ちぃ…!”フリーダム”ッ!」

 

放たれた散弾によりライフルを被弾し誘爆しないようにするために手を離すと次の瞬間に破壊することに成功する。

有効な射撃武装を失った<Pプロヴィデンス>は意識外からの攻撃によって沈む。

サーベルを抜刀した”フリーダム”が機体の足を破壊し姿勢制御を崩すと同時に”ディスペアー”からのライフルによって頭部が破壊され赤茶げた大地に転がった。

大破した機体から金髪の男…クルーゼが飛び出し”ストライク”へ発砲していた。コックピット付近で遮蔽物として回避していたムウが拳銃を打ち掛けるが飛び出したクルーゼを廃棄された建物へ入っていくのを確認したムウは追いかけて行く。

 

<ムウさんッ!>

 

その姿を見て”フリーダム”を大破した”ストライク”の付近に着陸させる。

エアリスもその光景を見て”ディスペアー”を着陸させた。

 

<エアリスさん!>

 

「(仕方がない…腹を括るしかないか…)わかった…でも先に行ってムウさんを迎えに行って。私は機体を見張っておく」

 

一緒に行くものかと思ったがその提案を蹴られ戸惑ってしまう。

 

<えっ?>

 

その拒否の理由にはキラも頷くしか出来なかった。

 

「周辺には未だ敵がいる…機体を破壊されるかもしれない見張っておかないと破壊、若しくは強奪される…その機体奪われちゃ”不味いもの”が搭載されてるんでしょ?」

 

<ッ…わかりました>

 

キラもエアリスが明言しないだけで”フリーダム”に搭載されているものを感づいていることに気がつき自然と口をつぐんでしまう。

 

「それと行くなら医療キット持っていって。たぶんムウさん負傷してるから…こっちも安全が確保できたらすぐに向かう。電源が生きているかわからないけど…暗闇で私が出てきても間違って撃たないでね?」

 

<わかりました。…う、撃ちませんよッ>

 

キラがそう告げ通信を切りムウの後を追って廃棄された研究所へ向かっていく。

それを見送って機体を見る…がこの状況で襲ってくる連中はいないだろうと考えているとナタルから通信が入る。ノイズは走っており聞こえづらい。が、その声色は緊急を要するのを察しするには十分であった。

 

<エア…ス…!そ…に、例の…たい…が…とっ…して…むか…っ……!>

 

「ッ!?あれは…ちっ…!」

 

港口から此方の味方の追跡を振り切り内部へ侵入した機体…自身にとってノイズだらけの機体であった。

 

<やはり…というべきか!ここでぶつかり合うのは運命らしい…!エアリスッ!!>

 

「またお前か…!」

 

機体を直ぐ様稼働させ飛び立つお互いに放ったビームライフルの火線がコロニー内部に飛び交った。

 

◆ ◆ ◆

 

「ムウさん!」

 

廃墟に入っていたムウを追いかけると二重螺旋のモニュメントを遮蔽物として身を屈めているのを確認し近付く。

その近付いてきた人物にムウは驚き声を上げた。

 

「キラ!?」

 

「キラ・ヤマト…?生きていたのかね?」

 

突如として敵兵から自分の名前を呼ばれて驚くが直ぐ様遮蔽物、ムウの近くに身を寄せた。

 

「君まで来てくれるとは嬉しい限りだよ…キラ・ヤマト君!」

 

「チッ…!」

 

ムウは忌々しく顔をしかめる。しかしそれだけが理由ではないようなのはキラは気がついた。

 

「そうか…君が”フリーダム”のパイロットか…!」

 

「ッムウさんそれ…」

 

「へっ…どうってこと無い…ってか何で来たんだお前ッ」

 

「あのまま待つことなんで出来ませんよ!マリューさんにどう説明すればいいんですか?」

 

ムウが咎めるが言い返され肘で小突く。

 

「生意気なんだよッ」

 

「ムウさん…その傷…治療します」

 

「へっ…なんてこない。ただの…かすり傷だ…」

 

「せめて…止血だけしておいてください」

 

止血帯を用いて出血を止め応急処置を施した後に拳銃を取る。それを見たムウはため息を漏らす。

 

「それよりお前、撃つ気あるならセーフティ外しておけ」

 

「あっ…」

 

キラは自らの拳銃を見る。勢い勇んで来たものの拳銃のセーフティをロックしたままでは撃つことは出来ない。

自らを恥ながらセーフティを外す。

 

「これじゃエアリスさんに笑われそうですね…」

 

そう呟くとムウが問いかけてくる。

 

「嬢ちゃん?やっぱり理事が戦闘前に言ってたのは…」

 

「ええ。生きていました…エアリスさん…」

 

「そうか…ったくお前といい嬢ちゃんといい…生きしぶといねぇ…」

 

その間にも敵は二人を挑発するように声を無人の破棄研究所内部に響かせる。

 

「さぁ遠慮せず来たまえ!()()()()()()()な!」

 

そして続けられた言葉にキラは思わず意識を取られてしまう。

 

「キラくん!ここは君にとっては()()()()()()だろう!?」

 

「えっ…」

 

「バカッ!いちいち奴の言葉に引っ掛かるんじゃない!」

 

前に乗り出そうとするキラの首根っこを押さえ発砲された弾丸から守ると応戦するように拳銃をクルーゼがいる空間へ発砲するが跳弾する音しか聞こえない。銃声がやむのを確認し逃げ込んだ空間へ足を踏み入れると異様な光景が広がっている。

 

「なんだここ…」

 

部屋の床はキャットウォークのようになっており下は青い液体に浸かり釜戸のような装置が浸からない程度に埋まり規則正しく並べられモニターが点灯し何かが映し出されていた…それは妊娠中の胎児を確認するエコー写真のようで…奥へ進むとガラスのシリンダーには…奇形な形をした小さな生き物が浮かんでおりそれがヒトの胎児であることに気がつきキラはゾッとした。

 

「キラッ!」

 

ムウが叫び頭を押さえられるとすぐその上の頭上に銃弾が横切る。押さえられていなかったら今ごろ即死だっただろう。反撃するが只虚しく跳弾の音が響くだけであった。

 

「懐かしいかね、キラくん?」

 

奥の空間から男の嘲るような声が響く。その声色にキラは聞き入ってしまう。

 

「知っている筈だ…君はここを」

 

(知っている…僕が…?)

 

その言葉にキラは妙な胸騒ぎを覚えた。当然ここにきたことも存在も知らない。

だが何故か、そう覚えずにはいられなかった。

 

◆ ◆ ◆

 

「いい加減…しつこいッ!!」

 

「堕ちろぉおおおおおおっ!!私ッ!!」

 

一方で廃棄研究所付近で戦闘を行う”ディスペアー”と”ファントム”。

両者機体の性能は互角。

 

「ぐっ…!うぉりゃあああああああッ!!!」

 

「なっ…!?チィッ!!」

 

しかし損耗の具合で言えば前者が著しいが刷り込まれた”贋”の実力と”本物”の実力では一瞬の差が明確となった。

撃ち合い、切り結んだ後にサーベルで切りかかる”ファントム”の攻撃が”ディスペアー”が装備するライフルが破壊されたが反対に”ディスペアー”は放ったビームキャノンがスラスターを吹き飛ばし余波でストライカーのスラスターユニットが大破した。

 

姿勢制御を狂わせ不格好な形で着陸する”ファントム”は機体の各所から火花を散らさせている。端から見ても戦闘継続は不可能だった。

 

「ちっ…ハイドロ消失…クソッ!」

 

機体の状態を確認した”エアリス”は乗り捨てるように飛び出す。

 

「ッ!待て!」

 

パイロットスーツを着用する小柄な少女…モニターに映るのは見慣れた姿…いや。()()()()()()だった。

機体を着陸させ同じように研究所へ逃げ込む”エアリス”を追いかける為にコックピットから降りると全身を乾燥しきった冷たい空気が体に纏わり付くがコックピットから武器を取り出し後を追いかける。

 

背筋に妙な寒気を覚えつつセーフティを外し走り出す。

禁断の地(メンデル)へ足を踏み入れるのだった。

 

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