魔改造ダガーでC.E世界を駆け抜けたい【完結】 作:萩月輝夜
補給と整備を終え艦隊を再編したサザーランド率いる地球連合艦隊は”ジェネシス”へ向け進撃する。
その中核部隊となる”セラフィム”は前進し前面に展開するザフト軍を蹴散らしていく。
”セラフィム”は主砲を放ちナスカ級とローラシア級を撃ち抜き戦線を崩していくが迎撃を掻い潜ったモビルスーツが連合艦艇に取りつき艦橋を潰す。”ダガー”の群れがモビルスーツを手にしているビームライフルと”アグニ”を放って破壊していく。
「部隊を前面に火力を集中しろ!敵陣を突破するのだ!」
”ドゥーリットル”の艦橋でサザーランドは焦っていた。叩いては湧き出てくるウジ虫のようでそれを更に彼の心を苛立た少しも近づいているようにも思えない…そのときだった。
「前方より高エネルギー体の発射を確認!」
”ジェネシス”より強烈な光の渦が放たれ宇宙空間の塵を燃やし尽くしながら横断していく
サザーランドは息を飲んで凍りつく。一歩遅かったというのか…!?
「管制官!推定される目標地点は!」
その問い掛けに管制官は震える声で返答する。
「目標地点は…月!”プトレマイオス・クレーター”です!」
「なん…だと…!?」
地球連合軍月基地を攻撃されたのだ。
モニターが月の一部をピックアップするとその進行方向が小さな光が散って行くと月面から立ち上がる大きなキノコ雲が見えた。
「し、支援隊からの入電!」
沈黙していた艦橋に管制官から咳き込みながら報告が入る。
「…『先の攻撃により、我、艦隊の八割を喪失』…」
「ッ…お、のれぇ…!」
恨みの言葉を吐き出しながらサザーランドはアームレストを叩きつける。
月基地より発進した援軍は基地諸とも”ジェネシス”の餌食となって宇宙の藻屑へと消え去ってしまったのだ、と理解したのだ。
クルーの皆は「負けた…」と理解していた。
増援はなくなりその拠点である月基地も失った…しかしその胸の内で照準が地球に向けられていなかった事に基地と命運を共にした兵士達には申し訳無いが数十億の人命を守られた事に安堵していた。
我々は敗北したのだ、と……。
しかし。
「…”ピースメーカー隊”状態はどうだ?」
「えっ…」
「”ピースメーカー隊”の状態はどうか、と聞いている!」
サザーランドの怒声が艦橋に響くとクルーがびくり、と肩を竦めながら返答する。
「ッ…”ピースメーカー隊”は現在は弾頭の積込がもう少しで完了いたしますが…」
「急がせろ!準備が済み次第部隊を発進させい!目標は”プラント”!あの忌々しい砂時計…全て落とさねば此方がやられる!」
この状況で”プラント”に攻め込むのか!?とサザーランドの言葉に反射的に反論する士官は立ち上がる。
”ブルーコスモス”側の兵士であったが人間としての良心が残っていた人物であった。
「お待ちください司令!既に補給部隊は無し基地も壊滅しております!それにあれは非戦闘員の居住区です!この状態で攻めましても既に」
パァン
「意味、は…」
一発の銃声が響く。反論しようとした兵士の一人が撃ち抜かれる。撃ち抜いたのはサザーランドだった。
「た、大佐…何を!」
周りのクルーが動揺するが強い言葉で告げた。
「我々はこの戦争の根元である”コーディネイター”を討ちに来ているのだぞ!?それに見ろ!あの光景を!」
サザーランドが指し示した先には先程強烈な光を放った”ジェネシス”が使用したミラーブロックを交換しているのが目に見えた。
既に勝敗はついている…しかし、それを交換して
クルー達の背筋に凍りつくような嫌な汗が浮かぶのは
「我らが退けば奴らは地球を撃つ!それだけは絶対に阻止しなくてはならん!忌まわしきコーディネイター共の巣を破壊すればこの戦争は終わる!」
そうだ、自分達は忌まわしきコーディネイターを滅ぼしに来ているのだ。
それにアレを撃たれてしまった後権力を握る自分の玉座が消失してしまうことに恐れがあったのだ。
それにあの恐ろしい威力を見せつけられて何故
クルー達は我に返り反論しようとした兵士の死体を片付け空いた席に別のクルーが座るのを確認しサザーランドは”セラフィム”へ通信を繋ぐ。
<大佐>
「【ネクロシス】に道を開かせろ!目標は”プラント”群だ!」
<了解。直ちに発進させます。>
そう指示を飛ばした後にクルーより報告が入る。”ピースメーカー隊の準備が整った”とーー。
「”ピースメーカー隊”発進せよ!あの忌々しい砂時計一基たりとも残さず叩き落とすのだ!」
そう告げるのが早いか、”セラフィム”から”ファントム””ハルピュイア””ファーブニル””レヴィアタン”が発進し道を切り開く。
「司令!”メネラオス”とザフト軍戦艦が”プラント”に向かっています!」
あの二隻にはプラント、オーブ、地球連合の最高指導者が乗っている。今の彼にとっては忌々しい”障害”の一つでしかないのだ。
その報告を聞いたサザーランドは迷うこと無く指示を出す。
「あれは敵と手を組んだ反逆者達の旗艦だ!ザフト軍艦諸ともシズメヨ!!」
その表情には狂気の影しか張り付いていなかった。何かに取り憑かれたように。
◆ ◆ ◆
「月基地が…?」
アスランは呆然とする。父は躊躇い無く撃ってしまった。それなのに三発目のミラーを換装しているのを目の当たりにして呆然としそうなる自分を奮い立たせる。
もうあれを…父上に引き金を引かせてはならないのだ、と
<これ以上
<矛先が地球に向けられたら終わりだぞ!>
ラクスの凛とした声を引き継ぐようにバルトフェルドが矢継ぎ早に言い放った。
”ミーティア”を装着した”フリーダム”と”ジャスティス”、そしてFA・Dが”ジェネシス”へ向け進行を開始する。
”フリーダム”が放つビームとミサイルが一瞬の内に数十機のモビルスーツが四肢や武装を撃ち抜き戦闘不能にして”ジャスティス”は”ミーティア”から放たれたビームソードが戦艦の艦橋を切り落とす。
「こんなのを守ってどうするの!?虐殺者にでもなりたいのかッ!!」
エアリスは叫びながらFA・Dは背面ビームキャノン、それぞれに手にしたアンチマテリアルビームライフルとビームライフルを手動でマルチロックオンしながらザフト・地球軍のモビルスーツを撃墜していく。
また、他友軍の機体も敵に囲まれながらも目標へ向かう、しかしそれは遥か彼方にあったのだ。
”ジェネシス”は容易く二度目を放った。
その結果月面基地は壊滅し増援は全滅と言って良い状況に元基地司令であったハルバートンは拳を握りしめる。
「くっ…どうしてそう容易く引き金を引けるのだ…!」
「苦しんでいる暇はないぞ、奴ら三射目を放とうとしている…!」
実際に”ジェネシス”はミラーブロックを破棄し三個目の装置を移動させようとしていた。
既に決着はついているが…地球連合艦隊は憎しみに突き動かされるように撤退を選択せずに攻撃を続けている。
「もうよせ!既に決着はついている!これ以上無駄な犠牲を出すな!」
ハルバートンは呼び掛けるが当然返答など無く此方にまで攻撃を仕掛ける始末であり自分達の身を守ることすらままならない状況になりつつある。
”ジェネシス”と”核ミサイル”を両方とも止めねばならんというのに!
マクシミリアンは冷静に判断を下した。
「ハルバートン!”メネラオス”は部隊をつれて”アプリリウス・ワン”へ強硬突撃する!このままでは共倒れだぞ…!」
「はっ、しかし…」
この状況では”プラント”本国へ突入するのも難しい状況だ。既に第八艦隊旗下の艦艇も攻撃を受け少なくない被害を受けている状態で背を向ければザフト連合両軍から攻撃を受けかねなかった。
<閣下達は”プラント”へ!連合とザフトは我々で押さえます!>
<閣下達が討たれれば益々被害は広がります!お急ぎを!>
”メネラオス”に通信が入った。”アークエンジェル”と”ドミニオン”の艦長達からの願いにハルバートンは苦しげに頷く。
「すまん…!だが、無茶はするな…!」
<部下は上官に似る、と言いますから…ご武運を!>
敬礼して通信を切った後ハルバートンは指示を下す。各国の首脳陣を乗せた”メネラオス”とシーゲル派ザフト艦達は”プラント”へ向け進路を向ける。
しかし一方で”アークエンジェル”と”ドミニオン”は連合艦隊の動きに変化があったことを察知する。
「”セラフィム”含むアガメムノン級一部転進していきます!これは…!」
ミリアリアが報告しマリューはついに連合艦隊が撤退の意思を決めたのかと思ったがその転進方向を見て驚愕する。
向かう先は戦火の広がっていない”プラント”、そして向かおうとする指導者達の乗った戦艦だ。
その事にバルトフェルドが反応する。
<クソッ!不味いぞ連中”プラント”諸とも…!>
マリューは素早く受話器をとって”エターナル”へ連絡する。
「連合軍の対処は”アークエンジェル”と”ドミニオン”で!”ジェネシス”へは”エターナル”と”クサナギ”でお願いします!」
<分かった!>
同じ頃エアリスも地球軍艦隊から数隻が転進するのを確認し発進していく”メビウス”の姿を視界に入れて呻く。
「ッ…!?もうやめろッ!それ以上手を汚すなッ!!」
その下部モジュールに搭載されたミサイル…”核弾頭”を確認した。地球軍は月面基地をやられた報復と”ジェネシス”を攻めあぐねた結果として”プラント”を攻め落とし一気に戦争を終わらせようと画策しているのを理解し更に彼らが向かう先には”メネラオス”…首脳陣が乗る旗艦をも巻き込みかねない。そうなってしまえば全てが終わってしまう。あれにはカガリとラクス…自分の父親が乗っている。
即時旋回を決めると同時にスラスターを吹かし核ミサイル部隊を追うことにする。
それに続いて”Xナンバー”達は全速力でスラスターを吹かした。
◆ ◆ ◆
「えー?またこいつらのお守り?」
「仕方がないでしょう?仕事なのだから」
「うだうだ言ってても仕方ねぇだろ?迷ってたら此方が撃たれる。行くぞ!」
”セラフィム”から発進した【ネクロシス】は文句を垂れながら”ピースメイカー隊”を護衛していた。
カタリナがそれが顕著であり片手までザフトのモビルスーツを蹴散らすのは自分の手で沢山の命を壊すことが出来ないからだ。
そんなカタリナを諌めるジャンヌも接近する”ゲイツ”をビームソードで切り裂きバルバラも機体を操縦し進路上のモビルスーツを撃ち抜く。
その同時間イザークとシホは属するプラント守備軍は軍本部に程近い宙域で核ミサイルを抱える”ピースメイカー隊”を捕捉し自らが指揮する部隊員へ指示を出した。
「プラントに放たれる砲火、一つたりとも通すんじゃないぞ!」
必死に叫び”デュエル”を筆頭に向かうが”セラフィム”より出撃した【ネクロシス】の四機が行く手を阻む。
”ファーブニル”が放つ無数の火線が向かおうとする”ゲイツ”と”シグー”を撃ち抜き”ハルピュイア”がモビルアーマー形態に変形しクローが”ジン”を貫いて”ゲイツ”のビームライフルが”メビウス”を狙い射撃するが”レヴィアタン”の装甲に阻まれてしまい逆にビームガトリングでバラバラにされてしまう。
イザークも向かおうとするが”ファントム”にビームを撃ち掛けられなかなか前に進めず、そうしている間にも”メビウス”は懸架した核ミサイルを”プラント”へ打ち込んだ。
「クソッ…!?」
「ああ…ッ!」
シホが悲鳴をあげる。今度こそもうダメか…!?と諦め掛けたその時、高速で飛来する機影にイザークは歓喜の感情が沸き上がる。
”ディスペアー””フリーダム””ジャスティス”装備した武装からビームとミサイルを解き放ち飛来する核ミサイルを全て撃墜していたのだ。
大きな閃光が上がるのに気を取られていたイザークは背面から”ファントム”の手にしているレールバズーカによって被弾し吹き飛ばされる。
「くっ…!?」
余りの衝撃に呻くイザークは機体を建て直すことが出来ずにいると”ファントム”と随伴の”01ダガー”はトドメを刺そうと背面のビームキャノンとアグニを構え展開し必殺の砲火を放とうとするーー。
しかし、何者かがその機体を撃った。
攻撃を中断され仰け反る濃蒼色の機体…その射撃の方向を見ると見慣れた機体…”バスター”が二対の砲を構えているのが見えたのだ。
「ディアッカ…!?」
そしてもう一方の”01ダガー”も割って入った黒い機体に両断され宇宙の藻屑となる。
それもまた見慣れた機体…”ブリッツ”だ。
「ニコル…!」
しかし、その間にも核ミサイルの第二波が”プラント”に迫る。
核ミサイルを撃墜しようとエアリス達は追いすがろうとするがそれに気がついた【ネクロシス】の面々が追い付いてきた。
「”ファントム”…!?でも、違う…これは?」
対峙するエアリスは”ファントム”を見て”違う”と呟く。これに
では、何処にーー?
そう思いながら迎撃する”ディスペアー””フリーダム””ジャスティス”達の目の前を通り過ぎていく核ミサイルを”ストライク”と”ストライクルージュ”そして”イージス・カットラス”が追い縋って狙い撃ち破壊する。
それらは誘爆し眼前に大きな閃光の華を開かせた。
◆ ◆ ◆
「”アークエンジェル””ドミニオン”接近してきます!」
自分達に接近する脅威は直ぐ側まで迫っていた。
姉妹艦である”アークエンジェル”級はアンチビーム爆雷を散布し主砲とバリアントを起動し”ピースメイカー隊”を擁するアガネムノン級四隻へ向かっていた。
”セラフィム”艦長は命じられた命令は誤っているとは心の中で思っているが軍人として責務を全するのと同時に”エアリス”達の居場所を守るために告げた。
「本艦はこれより”ドゥーリットル”の前に出る!回頭二○度!アンチビーム爆雷散布、<ゴットフリート><バリアント>起動!ピッチ角二〇!下げ舵四○!」
”セラフィム”は”アークエンジェル”と”ドミニオン”の前に立ちはだかり”ドゥーリットル”の間に割って入り向き合った。
砲撃の瞬間は直ぐだった。
「「「てぇーっ!!!」」」
次の瞬間に”アークエンジェル”と”ドミニオン”は右舷と左舷<ゴットフリート>と艦尾ミサイル発射管が破壊され艦体が大きく揺れ乗っていたマリュー達は余りの衝撃に呻きをあげる。
反対に”セラフィム”は二艦からの砲撃により右舷主砲と左舷副主砲を大破し艦長とクルーは衝撃で呻きをあげた。
「くっ…だが我々もここで引くわけには行かんのだよ…!」
艦長は正面を見据えて唇を噛む。この判断が間違っているのは後世の歴史家が語ってくれるだろう。
それまで果たして人類が生きているのかどうか、と自分で問いかけて冷ややかな笑いを浮かべそうになった。
◆ ◆ ◆
カガリ達とは別にアサギ達も”プラント”の最終防衛ライン付近で”ピースメイカー隊”の放つ核ミサイルを狙撃していた。【ネクロシス】以外の連合の”ダガー”部隊が邪魔をする彼女達を排除しようと集結し、性能で勝る”M2アストレイ”はカガリの”ストライクルージュ”を護衛しようとするが、戦力を削がれたと言っても連合の物量は凄まじく、視界を覆う程のビームと超高インパルス砲のビームが三人娘を襲った。
ロックオンされたのに気が付き咄嗟に機体を翻そうとしたがここで回避を選べば戦っている”ストライクルージュ”が撃墜されることになることをアサギは理解した。
ーごめん、カガリさま…!
灼熱の奔流が迫ったその時。
「えっ…!?」
<くっ…!?ボサッとしてんな!狙い撃ちにされるぞ!>
直撃だったビームを濃緑色の機体…”カラミティ”が手にしているシールドで防ぐ、しかし複数の超高インパルス砲とビームの威力は防ぎきれる筈もなく左腕のシールドが吹き飛ぶ。
しかし、オルガもただではやられずに手にした<トーデスブロック>と<シュラーク>で”ストライクダガー”と”ランチャー01ダガー”を撃墜して見せた。
<あ、あんた…>
<こっちは只でさえ戦力が頭打ちなんだ!やられちゃ困るんだよ!>
そう言いながら残った武装を展開し接近するモビルスーツを相手取る”カラミティ”。
それだけでなくジュリとマユラも”フォビドゥン”と”レイダー”に助けられていた。
同時に他僚機を庇い”フォビドゥン”と”レイダー”も何処かしら被弾していたのは戦場の苛烈さを現している。
アサギは操縦桿を握りしめ僚機へ指示を出す。
<アサギ機から各機体へ!フォーメーションD3!
<<了解!!>>
D3…被弾した友軍を援護する防御陣形をすぐさまアサギは僚機へ命じると快い返答が返ってくる。
「お願いだから死なないでね…私たちも死ねないけど…お礼、言えないで逝くのは無しだから…!」
アサギとオルガ達は接近する連合軍の機体を迎撃しつつ目標へ向かうのだった。
◆ ◆ ◆
「アサギ…よかった…!」
”ディスペアー”は”ファントム”と交戦し”フリーダム”は”レヴィアタン”へ向かい多数のミサイルを発射し”ジャスティス”は”ハルピュイア”に対してビームソードで斬りかかるが圧倒的な機動性に翻弄されていた。
そんな中でカガリは不用意に目の前で広がるエースパイロットの戦いとアサギ達が”カラミティ”に助けられていた事に気を取られ足を止めてしまっていた。
それが良くなかった。足を止めていたのを狙っていたのは”ファーブニル”であり、多数の砲門から繰り出される必殺の砲火はアラートが鳴り響きハッとしたカガリは既に回避も防御も出来ない状態であり、全身の身の毛がよだつ。
撃墜される、と覚悟したその時何者かが割って入りアンチビームシールドを掲げビームを受け止めた。
その機体を見てカガリは息を飲んだ。自分を助けたのは味方の機体ではなく敵の機体…”デュエル”だったのだ。
当然のように自分を助けた”デュエル”と連携するように”バスター”が対装甲散弾砲で攻撃し”ブリッツ”が敵の武装を撃ち抜く。
よろめく”ファーブニル”に対して”デュエル”がビームサーベルを引き抜き突撃する。
「舐めるなぁ!旧式風情がッ!!」
バルバラは吼えた。
”ファーブニル”はサーベルを引き抜き向かってくる”デュエル”に対して生きている武装…レールガン、ガトリング、ビームランチャー、対艦ミサイルを発射した。
その向けられた火力に対して”デュエル”が掲げたシールドが耐えきれず砕け散って機体諸とも爆発に沈んだ。
「ああッ…!」
「イザーク!」
「くそっ…!」
その光景にカガリは悲鳴を上げニコルは名前を叫びディアッカは苦しい表情を浮かべバルバラは仕留めたことにニヤリ、と笑う。
が、しかし次に瞬間に爆炎の中から”デュエル”が
「いやぁああああああっ!!」
「…何だとッ!?」
ビームサーベルを二本抜刀し右手のサーベルで”ファーブニル”の
「…へへっ…良い、花火じゃ…」
コックピットに叩き込まれたビームサーベルはバルバラの肉体を蒸発させ推進剤に誘爆し”ファーブニル”は宇宙の藻屑と化した。
バルバラは痛みを感じること無く消え去った。自分が見たかった爆散する様子を見届けること無く。
「バルバラッ!?こいつらッ!!」
炎に包まれた”ファーブニル”を見たカタリナは驚きの声を上げる。
自分よりも大人な仲間であり普段ならば粗雑で口うるさいのがいなくなって清々した、と思えていたが死んでしまったことに”悲しみ”と”怒り”が沸き上がっていることに気がついた。
「よくも…バルバラを殺したな!!」
怒りが発露し目の前にいる
”ミーティア”のビームソードが迫り来るが間一髪でそれを回避し手にした<ホロウハート>のビームガトリングを打ち返すが”ディスペアー”が放った対MS用ライフルが撃ち抜き破壊する。
「くっ…!?こんな奴らに…!」
その直後に”レヴィアタン”のコックピット内部にアラートが鳴り響く。
背面から”ディスペアー”が対MS用ライフルの銃口を此方へ向けている姿が視界に入った。
カタリナは目の前での”仲間”の死。そして自らが置かれた状況によって本来ならば沸き上がる筈の無い感情が浮かび上がった。
「いやだ…くるなくるなくるなッ!!私はまだ…
その言葉は虚しく空を切って”レヴィアタン”はアンチマテリアル弾によって撃ち抜かれカタリナは蒸発した。
”死にたくない”と最後に願ってしまったのは奇しくも今まで取るに足らないと思っていた
「出てこなければやられなかったのに…!」
”レヴィアタン”を撃ち抜いた後に”ファントム”に対して隙を見せていたエアリスだったが放たれたビームを難なく回避し<アーキバスMk-Ⅱ>とビームライフルを放ち両腕と両足を破壊する。
武装を失ってしまった”ファントム”は”ディスペアー”の対物ライフルによってコックピットを撃ち抜かれ爆発した。
「…これで…ッ…!?」
その直後にエアリスの脳天に稲妻が走る。この感覚は知っている。
機体を翻しその感覚を感じ取った方向へ機体を翻した。
<エアリスさん…!?>
突如として機体を”ジェネシス”の方面へ向かわせるエアリスにキラは声を掛けるが短く切り返しスラスターを吹かした。
「そっちはお願い!」
スラスターを吹かし撃ちきった<イチイバル>のマガジンを交換しながらコックピットで呟く。
「エミリア…!」
◆ ◆ ◆
「”ピースメイカー隊”第二部隊通信途絶!」
「核魚雷残弾”八”!」
その報告を聞いたサザーランドはアームレストに拳を叩きつける。全ては順調だったのに…頭で描いていた図面は悉くめちゃくちゃにされている。あの三機が出張ってからだ。予定が崩されるのは…!愚か者のマクシミリアンとアズラエル…!それに恥知らずのハルバートンめ…!何故コーディネイターという野蛮な人種を守る…!?
「火力をあの三機へ集中させい!打ち落とせ!!」
サザーランドは苛立だしげに告げ火砲を集中させようとするがすぐ近くに”バスター”は二門を連結させて超高インパルス砲で僚艦のアガネムノン級を狙撃し機関部を撃ち抜くとバイタルパートに引火したのか大きな花火を上げて轟沈する。
「”X-199””X-299”及び”X-001”の反応消失!」
「なっ…?!」
虎の子の【聖女部隊】も敵の攻撃に晒され既に影も形も見えなくなっていることにサザーランドは言葉を失う。
咄嗟に希望である”エアリス”を呼び戻そうと指示を出すがそれは遅かった。
「エアリス少佐を呼び戻せ!何をやっておるか!…ッ!?」
目の前には艦隊の対空砲火を潜り抜けた”デュエル”が”ドゥーリットル”の艦橋に迫り手にしているビームライフル下部に備え付けられたグレネードが撃ち込まれた。
ーそんな、バカな…!?こんなところで…!?
膨大な熱量に焼かれながらサザーランドは最後の最後まで自らの敗北を認めることが出来なかった。
同時に核弾頭を抱えている艦艇を”フリーダム”と”ジャスティス””ブリッツ”はそれぞれの武装で艦橋を撃ち抜き破壊する。
”コーディネイター”を絶滅させるという野望はここに潰えたのだった。
◆ ◆ ◆
「高熱源体接近!」
”ジェネシス”へ向かおうとする有志連合艦隊を指揮するアガネムノン級は前方より接近する熱源を感じクルーが報告し艦長が回避を命じる。
「っ回避!」
「間に合いませんっ!」
次の瞬間にアガメムノン級を中心として前方から迫る熱源によって悲鳴が上がるが艦橋ごと吹き飛ばされその余波で他戦艦を巻き込み爆発する。
その爆発を背景に一体のモビルスーツの輪郭が照らされる。
胴回りと頭部はキラとアスランの駆るザフトの”ファーストステージ”と似ているが武装とシルエットは大型で一回り程大きく重厚感を与える。
一部が分離しているようだが背面に背負うのはモビルスーツ一機分程の大きさを誇るバックパックに上下に伸び前面に突き出す四つの筒…ビームの砲身であり同様のものが太くスラスター出力を向上するために変更された脚部膝部分にも同様な設置されている。
この機体も”フリーダム”と同じく大火力砲撃戦を得意とする機体のようであった。
”ZGMF-X14A ジャッジメント”…型式から分かるようにこの機体もNJCを搭載している機体であった。
後方を飛翔する分離していたパーツが上部に合体する…そのパーツは王様が被る”王冠”のようにすら見え全体的な意匠はまるで”審判者”…”ジェネシス”を守る門番でもあった。
”ジャッジメント”のパイロットであるメイアは最終防衛ラインである防衛司令官であると同時に接近しようとしている有志連合の中に淡いピンク色の艦影を見つけ呟く。
ー恥知らずの同胞達…我々が受けた悲しみを忘れたというのか?間違っているのは貴様達で同士であるパトリックが正しいのだ…!
その事にメイアは操縦桿を握りしめ向かってくる有志連合艦隊へ向かう。
その艦艇の中にはナスカ級の姿もあり何故ナチュラルを守ろうとするのか、メイアには理解できなかった。
◆ ◆ ◆
一方で”プラント”防衛網付近で戦闘を繰り広げていた”アークエンジェル級”は両者にらみ合いの状態になっている。
守るべき旗艦を失い搭載しているモビルスーツもほぼ壊滅状態に近い。
「モビルスーツ各隊は”ジェネシス”へ!急いで!」
”プラント”への驚異は消え去った。しかしながらまだ地球を狙い撃とうとする”ジェネシス”の驚異は取り除かれていない。ここで一息つくにはまだ早すぎるのだ。
「”セラフィム”は我々で押さえる!被弾、補給が必要なモビルスーツは戻れ!」
マリューとナタルがモビルスーツ達へ指示を出す。
「”ディスペアー”の位置は!」
「不明です!ですがシグナルは健在です!」
突如として飛び去った”ディスペアー”を案じて指示を出す。
シグナルが生きていることに安堵するナタルとアズラエルであったが一息ついている暇はない。時間がないのだから。
「サブナック少尉!シールドを射出する。受けとれ!”カラミティ””レイダー””フォビドゥン”も”ジェネシス”へ向かえ!時間はないぞ!」
<戻る暇もないってのかよ!>
<しょうがないだろ!?あれが地球に向けられたらマジでヤバイ!>
<世界滅亡…笑えない…>
カタパルトから打ち出された”ディスペアー”の予備シールドを受け取りナタルの指示を受けた”カラミティ”達は”ジェネシス”へ向かう。
同時にマリューからの指示で”フリーダム””ジャスティス””ストライクルージュ”がその言葉を聞いて”ジェネシス”方面へ飛び立つ。この場に残ったのはムウの”ストライク”とトールの”イージス”や”バスター”に”ブリッツ”そしてイザークの”デュエル”と”ゲイツ重装型”…だれもかれも損耗し被弾している。
”ゲイツ”と”デュエル”に至っては敵対していた筈だが攻撃する素振りは見せず”バスター”と”ブリッツ”を見て躊躇っている雰囲気すら感じられた。
しかし、傷ついているのはモビルスーツだけではない。
「第八兵装バンク閉鎖!サブ回線オンライン、ダイアグノーシス進行中!」
「第九区画から火災発生!サブスラスター大破!」
白亜と漆黒の大天使は共に傷つき美しい威容は既に消え去っている。
同じく”セラフィム”もその艦体に多くの戦闘跡が刻まれ見る影もない。
悪い報告というものは連続して続く。
「先行していた有志連合艦隊部隊より報告!”被害甚大、我ザフトより打撃を受けたり”です!」
敵は連合だけではない。ザフトを相手にしているのだから当然と言える。
目の前に広がる苛烈な戦場にアズラエルは目を細めた。
(昔の自分が”コーディネイター”に対するコンプレックスを拗らせていたら…とこのような惨状を繰り出していたのかもしれませんねぇ)
他人事のようなことを思いながらこの戦局の行く末を案じていた。
世界が滅ぶか、存続するのかをーー。
その行く末は神のみぞ知ることになるだろう。
◆ ◆ ◆
エアリスは機体を動かしながら”ヤキン・ドゥーエ”の正面宙域を突破しようかとする辺りにてやってくる殺気を感じ取って機体を傾けるとその空間をビームが通り抜ける。
「ッ!?」
「ようやく来たな…
「エミリアッ!…その機体はッ!?(くそっ…!貴女がそれに乗ってくるのか…!?)」
目の前の機体…色こそ違えど機体の見た目は差違は殆ど無く恐らく”メンデル”で回収し運用している”プロヴィデンス”が出現したことに驚くが”ディスペアー”は手にしたライフルを射撃すると素早く回避行動を取ったエミリアは同時に背面のバックパックから”ドラグーン”を展開しエアリスへ殺到させた。
「(ドラグーンを使いこなしている…!?)くっ…!?」
膨大な数のビームの嵐をスラスター吹かし回避するが全てを回避することは叶わずアクティブクロークの装甲表面を焼いていく。
「私を殺したところで
「ッ貴様は最初から自分を持っているじゃないか!だからそんなことが言えるのだ!」
通信機から悲鳴にも似た怒号が入ってくる。
追加、と言わんばかりに腰の追加装備が分離しエアリスを狙う。全方位を狙う分離兵器から放たれたビームは目視で回避することすら出来ない筈だったがエアリスは直感で機体を動かし手にしているビームライフルを放ち相殺していくと同時に此方を狙っている連合とザフトの機体をエミリアの”アヴァロン”の攻撃に晒されるように誘導する。
度重なる激戦によってエアリスの秘められた能力が開花しつつあった。
一方のエミリアも漁夫の利を狙うザフト軍の機体を<ドラグーン>で狙撃しつつ”ディスペアー”を狙うが致命傷を与えられない事に苛立つ。
「その能力を…私より優れている事を…私に見せつけるなぁ!!」
「私と比べる必要なんか無い!貴女は貴女よ!私になる必要なんか無いッ!!」
「ッ!!…ハハッ、アハハハハハハハッ!!」
前方より接近する”ディスペアー”とエアリスの言葉を聞いてエミリアは狂喜の笑みを浮かべる。
「ぐっ…!?」
一斉射を回避しきれずに装備していたアクティブクロークと推進剤が残っていたVOBが被弾するのを認めパージすると1拍置いて吹き飛んだ。しかし、身軽になった”ディスペアー”は手にしている<イチイバル>を発射し<大型ドラグーン>を一基撃墜し未だに殺到するビームを避けながらビームサーベルを抜刀し”アヴァロン”へ斬りかかるがはね除け逆に”ディスペアー”へ複合防盾からビームサーベルを励起させ斬りかかった。
「それは貴様が私に”こうなって欲しい”と願っていることだ!全ては貴様のエゴだ!」
「…くぅッ!?」
血の繋がっている家族であったとしても本人そのものの気持ちまでは理解できない。
「良いことを教えてやろう姉さん。私の死亡事故はただの事故ではない!”ブルーコスモス”によって私は殺されたのだ!その連中が姉さんの体を作り上げた私の人格を移植した……全くのお笑い話だ!!」
「な、にっ!?」
「自然の摂理に反するクローン…それを”正しいもの”として扱う…これこそ”エゴ”だよ!」
言葉で押し負けるように”ディスペアー”が”アヴァロン”の攻撃によって後ろへ押し込まれていくと同時に機体から分離した<ドラグーン>が取り囲むように展開しているのに気がつき機体を蹴り飛ばしスラスターを吹かした。
「ぐぅ…ッ!?」
直後ビームの檻が襲いかかる。
凄まじい加速に臓腑が押さえつけられ苦悶の表情を浮かべるが慣れたものだ、と笑い飛ばす。
そうでもしていなければ告げられた”事実”に足を止めてしまいそうだったからだ。
「それでも、私は…!」
即時旋回し振り向き様にライフルからビームを放つと小型の<ドラグーン>が撃ち落とされる。
「吐き出せ…その想いの全てをッ!」
「エアリスゥウウウウッ!!」
”ディスペアー”と”アヴァロン”をエアリスとエミリアの意思を代弁するように激突した。