花の魔術師もどきと英雄王もどき、神ゲーに挑まんとす   作:ロクデナシな文字書き

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 設定考えるの楽しいよぉ……!



類は友を呼ぶというけれど

 

「ねぇ、ギルガメッシュ。まだ行くのかい」

 

 黙って着いてこい、と言わんばかりの目で私を睨みつけてくるギルガメッシュに、つい口を閉じる。どうやら行きたい場所があるらしい。まったく、我儘な王様だ。

 

「……ちなみにどれくらいかかったり?」

 

「……さぁな。(オレ)も知らん。ただの勘よ」

 

 ええ、とは思いつつも、この人の言う勘は恐ろしいほど当たることをこれまで知ってきたので黙々とついて行く。しかし、知らんって。余りにも長かったら流石に休憩しにログアウトしないとなんだけど。やだなぁ、彼が静かな時ほど恐ろしいものはないんだよなぁ……

 

 悠々と伸びた草をかき分け、荒々しく枝を広げる木々をくぐり、石のせいか凹凸の激しい道を踏みしめ、何処かを目指してただただ宛もなく歩く。

 

 何時まで歩いたのか分からなくなってきた頃に、ふとギルガメッシュがピタリと立ち止まった。何やら真剣な表情で、何でも無い草むらを見つめている。

 

 ふぅん……

 

「モンスターかい?」

 

「いや……貴様も分かっておろうが、ここには気味が悪いほどに生命が存在しておらぬ」

 

 眉間の皺を深めて、地面を睨みつけるギルガメッシュにクスリと笑う。流石、王様だね。

 

「まぁ、確かにそうだね。で、私は何を?」

 

「ハッ、この(オレ)を前にして惚けようとは、貴様は随分と偉くなったようだな?」

 

「いやぁ、そう言われても。マスターの要望には誠心誠意答えたいだけさ」

 

「フン、胡散臭すぎるぞ貴様。せめてもっと怪しさを失くさぬか」

 

「ひっど?!」

 

 いや、ちょっと笑ってカッコつけただけなのに酷くないか、としくしく肩を落としていると、ギルガメッシュがじとりと此方を見る。なんだいそのロクデナシを見るかのような目は。

 

「……まぁ良いわ。どうせ貴様のソレもロールプレイの一つなのだろう」

 

「……なんのことかな?」

 

「フハハ、白々しい奴め。構わん、何にせよ貴様は貴様だからな」

 

 やっぱり観察眼鋭すぎないかな、この王様。千里眼持ってたりしない? というかやっぱり本人だよね君?

 

「おい、マーリン。幻術を使え」

 

 彼への尊敬と言うか畏怖を高めていると、ギルガメッシュが唐突に命令する。しかし、幻術? ああ、幻術(ファントム・アート)のことか。……モンスターがいるわけでもないのに、これまたどうしてこんなところで魔法を?

 

「構わないけど、どうし……ああはい、やるよ。やるからソレしまってくんないかなぁ?」

 

 ぎりぎりと弓を最大限引っ張って私へと向けるギルガメッシュに、つい顔を青くして言葉を失う。口答えするでないわ、とね。あはー、さすがにそろそろ不敬メーター振り切れちゃう感じなのかなぁ? おおっと落ち着き給え、私は何も考えていないさ。そう、だからその矢尻を私に向けないでくれるかな。多分一発でデスするからね、私紙装甲だもの。

 

「はぁ……まったく、人使いの荒いマスターだ。マイロード達といい、どうしてボクのマスターは皆こうなのかなぁ……幻術(ファントム・アート)

 

 美しくも、生命の輝きを感じ取れないツクリモノの花が咲く。心安らぐその香りに、ウンウンさすが私と一人納得していると、絶対零度の視線を背中で感じた。その視線は久しぶりだなぁ、マイロードたちにも負けずとも劣らないとは、流石王様!

 

 ところで、幻術(ファントム・アート)を使うことは別に良いのだが、一体この後どうするつもりなのか。正直全く持って分からなかったので尋ねてみる。

 

「で、どうするんだ……い?」

 

 その途中、花が咲く草原の一部が、まるで何かが突然現れたかのようにがさりと揺れる。むむむ、ここにはモンスターとかはいなかったはずなんだが。よく見つめてみると、小柄なリスのような白い物陰がそこにいた。

 

 首を傾げていると、ギルガメッシュが唐突に高笑いを響かせる。何、どうしたのさ。もしかしてレアエネミーか何か?

 

「く、ふふ、フハハハ!! やはり(オレ)の見込みに狂いはなかったな! さてマーリン____行くぞ!!」

 

「ええ、何処にさ……」

 

 

 

「決まっておるだろう、ユニークシナリオとやらだぞ、これは!」

 

 

 

 ……はい?

 

 嬉々として声を上げるギルガメッシュが動くと、その真っ白な物陰が揺らめいた。

 

 ユニークシナリオだと、と驚くのも束の間。目の前に、とある文字列が浮かび上がった。

 

 

 

『ユニークシナリオ「幾年月を渡る白影(エターナル・ホワイト・ファントム)」を受注しますか?』

 

 

 

***

 

「これ……いつまで続くのかなぁ。君、私よりもずっと前からやってるのかい? ログアウトとか」

 

「せぬわたわけ! 後ろでボソボソと戯言を抜かすな、気が散る!」

 

 ひょいと逃げ続ける白影を、ただただ追いかける。所々スキルを利用して__そう、例えば幻術(ファントム・アート)で目印を付けたり、ギルガメッシュが薄明視とかいう索敵スキルでなんとか見逃さなかったり__したものの、いつまで経っても縮まらないその差に、思わずポロリと本音を零せばギルガメッシュに怒られた。まったく、君さぁ、過労死するよ? そんで冥界で「本当に死んでいるではないか、(オレ)______!」って叫ぶことになるよ?

 

「ええい、視線が鬱陶しいぞ貴様! 黙って(オレ)に着いてこい!」

 

「……」

 

「喋れぬからといって杖で突くでないわ! 子供か貴様!」

 

 はいはーい、と不貞腐れながら腕を頭の後ろで組めば、ギルガメッシュはため息を吐きながらも再び前を向いて加速する。ちぇっ、つまんないの。これだから王様は……あっ、すまない、だからその目で見ないでくれ頼むよ。

 

 ギルガメッシュからの酷く冷えた視線が外れて安堵したその瞬間、唐突に彼がブレーキをかける。危ない、追い越すところだったぞ。せめて何か声をかけておいてくれよ。

 

 そう口から出かけたものの、ふと花の香が漂っていることに気付いて首を傾げる。おや、幻術(ファントム・アート)は使っていないけど、これはまた一体?

 

「……ほう」

 

 ゆるりと目を細め、楽しげに口角を上げてみせたギルガメッシュ。嫌な予感というか、何か起こりそうじゃないか、とため息を吐いていると、ギルガメッシュは一切の躊躇もなくその足を踏み出した。右足を、大胆不敵にも大きく一步。

 

 瞬間、彼は消えた。

 

「……おっとぉ、これはこれは」

 

 驚きながらも辺りを見回すも、誰かがいる様子もなく、またギルガメッシュが何処かへ自分から動いた様子もない。それに何より、あの顔。あの人、分かってて一人で行ったな。少しくらいは私に何か言っておいてほしいんだけど。

 見事に置いていかれたんじゃあないか。とはいえど、その場でただ待ち惚けていても怒られるだけなので、私も恐る恐る一步を踏み込む。

 

 

 

「さて……ユニークシナリオ、やってやろうじゃないか」

 

 

 

 にんまりと口角を上げて、__それこそマイロード達、いや私の友人が見れば「うっわマーリン(胡散臭い)顔してる」とでも言われそうなもの__私はこの何の変哲もない草原から姿を消した。

 





薄明視
索敵スキル。明確な場所までは分からないが、どの辺りに、何がいるかが分かる。ただしギルガメッシュは本体の性能良すぎてそんなに意味がない。ただし、このスキルを育て上げると____(ヒント:マーリンも将来的に獲得予定。どっかのゆるふわお医者さんも多分手に入れる)

ユニークシナリオ『幾年月を渡る白影(エターナル・ホワイト・ファントム)
遥か昔、この世界には『白き幻獣』がいた。だが今、その姿を見た者はいない。
もし出会えたならば、それは幾年月を渡る縁、あるいは魂からの繋がりによるもの……
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