花の魔術師もどきと英雄王もどき、神ゲーに挑まんとす   作:ロクデナシな文字書き

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 いやぁね、ちょっと、ほんとに。独自設定もりもり過ぎて原作の重要設定を覆しそうというか、もはや別物というか……まぁ楽しいから良し!
 多分途中で力尽きるのでその時は誰か続きを書いてほしいなぁ(チラッチラッ)

※フォウくん関連のネタバレ注意※



その獣を知るのは

 

「……おっとぉ??」

 

 覚悟を決め、なんならクサイ台詞も決めて踏み込んだその先の世界は、間違いなく見覚えのあるものだった。

 

「来たか、マーリン。見よ、中々に良い眺めだ。貴様には到底見ることの叶わぬ光景よ。しかと、その目に焼きつけておくがよい」

 

 かの英雄王の写し身と言っても過言ではない彼、ギルガメッシュが賛美するその場所。

 

 地には、鮮やかながらも何かを欠いている(生命の輝きがない)ように見える(ツクリモノ)が咲き乱れている。陽は天から差し込んでいて、一切の暗闇を作らず、春の温かみを持ってして花々を照らし、燦々と煌めく。まさにそれは、人が求めんとする理想郷(アヴァロン)

 

 しかしその世界は狭く、閉ざされていて。

 

 その牢獄がごとき小さな世界の中央には____

 

 

 

白亜の塔が浮いていた。

 

 

 

「……っふ、ふふふ」

 

「あははははは!! そうか、そういうことか! なんだ、同志でもいたのか制作者に?! ははは!」

 

 涙をぬぐいながら、腹を抱えてただただ笑う。視界の端で、彼がなにやら物凄い表情をしているような気もするが、正直それどころじゃない。

 

 

 

 ____薄々感じてはいた。

 

 

 

 始めはあの、真っ白なモンスターを倒した時。あのモンスターは、どことなく神秘的な雰囲気を纏っていた。しかしまぁ、レアエネミーだとしたら納得できる話だったから、大して気に留めていなかった。

 

 次にユニークシナリオ。これもまた、暫くは気にしなかった。いや、遭遇したこと事態は驚いたけれど。正直シナリオ名で連想したモノもあったけれど、やはり気の所為だと思った。なんせ全くの別のゲーム、会社なのだからそういった繋がりは無いはずだった。

 

 だがしかし、その考えはあまりにも簡単に覆された。

 

「おいマーリン! しっかりせぬか、気味が悪いぞ!」

 

「はははっ、はは……し、失礼な!」

 

 ギルガメッシュが疎ましそうな目つきで此方を見る。なに、此処に心当たりでもあるのか、って?

 

 

 

 ああ、ああ! もちろんあるとも! このボクが知らずして、一体何だというんだい!

 

 

 

 かつて無いくらいに上がる口角と、興奮のあまり紅潮し火照る頬。ギルガメッシュが、そんな私を気怠げに見つめて、口を開く。いかにもため息を吐きそうな表情だ。

 

 

 

「分かるのだろう? 答えよ、マーリン」

 

 

 

 丁寧に、落ち着いて語れと言いたげな面持ちで見つめてくる。

 

 しかし私は非常に興奮していた。

 

 まるで役者のようにわざとらしく、杖と腕を目いっぱいに大きく広げて、ギルガメッシュ、いや()の方を向く。よく見ればその足元に、見覚えのある白き獣がポツリと座っていた。

 

 きっとこの獣にも言葉は伝わるだろうから、視線を合わせて良く聞いておけよ、と伝える。尻尾が不快そうに揺らめいたような気がした。

 

 すぅ、と息を吸い込んで、腹の底から声を張り上げる。

 

 

 それはまるで、誰かに話を伝え歩く吟遊詩人のように、あるいは誰かの自慢(王の話)をするかのように。

 

 

 

「____ここは星の内海。物見の(うてな)

 

 壁もなく城もなく、国すら無い始まりの空が広がる小さな窓。

 

 希望に満ちた大地、あるいは楽園の端。

 

 

 

 

 その名は____

 

 

 

 

 

 

____永遠に閉ざされた理想郷(ガーデン・オブ・アヴァロン)

 

 

 

 

 

 

 そうだろう____

 

 

 

キャスパリーグ(比較の獣)!」

 

 

 

 フォーウ! と、肯定するかのような獣の声が、閉ざされた箱庭に響き渡った。

 

 

 

***

 

 

 

「いやはやまさか、こんな事になるとは! 改めて感謝するよ、ギルガメッシュ!」

 

 

 

 私は今、かつて無いほどに興奮している。具体的には、息は荒れ、目は異様に細められ、口は弧を描き、落ち着きなく身体のどこかしらを動かしてしまうくらいに。なんというか、宝くじにでも当たった気分だ。

 

 しかしその様子はどうも気味悪かったらしく、ギルガメッシュはまるでゴミを見るような目線で……

 

「座れ」

 

「はい」

 

 やばいやばい声がもの凄く低いまずい不敬メーターがっ!

 

 そう冷や汗をダラダラと垂らしながらも正座をすれば、ギルガメッシュはフン、と腕を組んだ。まっずいギルガメッシュを置いてけぼりで喜びすぎた。どどどどどうしよう焦り過ぎてロールプレイがががが。

 

「この(オレ)の面前での痴態、重ねて(オレ)の声にも耳を貸さぬということが、どれほどのことか貴様は分かっていようなぁ?」

 

 凍りついてしまいそうなくらいに冷ややかな視線が突き刺さる。

 

 終わった、と思っているのも束の間。ギルガメッシュはため息を吐いてその金髪をグシャグシャに搔き上げた。わぁ、流石ギルガメッシュ、前髪を崩しても絵になるぅ。

 

「本来であれば許されぬ所業____だが、今回はこのゲームに免じて許してやろう。恐らくこの後、貴様のその知恵が必要だ。あいにく(オレ)そのゲーム(Fate)の知識に疎い」

 

「……ぃやっほ「だがしかし!」ひゃい!」

 

「次は無い! ゆめ、忘れるなよ!」

 

「はい!」

 

 ぴし! と姿勢を正して返事をする。うん、マーリンはひゃいとか言わないと思うけど仕方ない。だってロールプレイどころじゃあない。この人を怒らせたら現実的に死ぬ。本当の意味で。

 

「ひぇ……ぇふぅ?!」

 

 恐ろしや、と震えていると、背中にドスンと何かがぶつかった。ギルガメッシュはどうやら気付いていたらしく、プルプルと身体を震わせている。気付いてたんなら教えてくれよ、と文句を言いたいところだが、たった今許されたばかりなので口を閉じる。

 

 ため息を吐きながら後ろを振り向き、地面の辺りを見てみれば、そこには何時ぞやの獣____キャスパリーグがいた。

 

「フォウ、フォーウ!!(ザマァ見ろこのロクデナシ!)」

 

 何を言っているかはわからないが、大体わかった。今のはあれだな、マーリンザマァ見ろ、だ。全く、ここまでそっくりだとやはりコラボでもしていたのだろうかと疑いたくもなる。

 

 じっとキャスパリーグと睨み合いをしていると、さっきからついていけずに蚊帳の外にいたギルガメッシュが痺れを切らして口を開いた。

 

「で、マーリン。そこな獣はなんだ」

 

 

 

「ああ、すまない。紹介、というのも私だって初対面だから可笑しいような気がするけど。この獣はキャスパリーグ。ボクの使い魔だ」

 

 

 

「マーリンシスべシフォーウ! (マーリンが主人でたまるかー!)」

 

 

 

「どフォーウ?!」

 

 

 

 頬に向かって勢い良く放たれた蹴りは、とても痛かった。

 





キャスパリーグ(フォウくん)
継久理創世がFateファンだった世界線で、会社に直談判からの採用で産まれた白い幻獣。「花の魔術師」らしき人物を判別するプログラミングによってこんな事になってる。実は他のNPCにもFate要素が本人レベルだと対応が変わるプログラミングが仕組まれている。(継久理創世があまりにもその「本人判定」を厳しくしたため、他の社員や企業から「こんなのに当てはまる人間いないっしょ」と何やってもいいよと許された。残念、もはや本人なガチロールプレイヤーがいるんだなぁ)

設定はFate原作そのままの、かの厄災の獣で霊長の殺戮者(プライミッツ・マーダー)。故にそれは、世界の真実へとも触れてしまうほどの謎を抱えている。本来有り得ぬその知能の高さは、神代より来たりし叡智の結晶、あるいは人の過ち。
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