最強キャラ、アポカリプス世界で自由に生きる   作:大抵序盤で死ぬモブ一般市民

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第一話

 大都会。そう呼ぶに相応しい街が広がっている。だが、本来そこにいるべき人間の姿はなく、荒廃した都市の風景が広がっていた。そんな都市を破壊するは人間、ではなくそれに似た何かだった。

 何か、というのは人間から感じない腐臭を漂わせ、おぼつかない足取りでゆっくりと歩いており、目的地がないのか周囲をふらふらと歩ているだけだった。

 それはこの世界において都市のみならず人間の文明そのものを崩壊させる原因となったゾンビであった。人を見つけては襲いかかるそれは都市部を中心に大量に存在した。

 ゾンビの世界となって早5年。もはや都市部に人の姿はなくなっていた。それもそうだろう。都市部は人口が多く、ゾンビの数が多すぎる。更に言えば物陰が多く、見晴らしが悪いために奇襲に会いやすく、直ぐに囲まれてしまうリスクが高いからだ。

 そんなわけで都市部に近づく人間はあっという間にいなくなり、一部の物資を求めて決死の覚悟でやってくる者以外訪れる人間はいない、はずだった。

 

 

 

 日本国中国北陸地方某県。その中でも北陸有数の都市として栄えていたこの街に今では聞き慣れないエンジン音が響き渡った。それは荒廃した都市を颯爽と進み、まるでこの世界が崩壊しているとは思えない程軽快に進んでいた。

 それ、大型のバイクを運転している男はふと視界の端に捕えた物を見て足を止めた。男が見た物は完全に荒れ果てたビルに作られた服屋であり、窓ガラスは所々割れているが比較的にきれいな様子だった。

 

「……」

 

 男はバイクに備え付けていたショットガンを手に取るとゆっくりとその店に近寄っていく。周囲には驚くほどにゾンビの姿はないがだからと言って油断が出来ないのが都市部のゾンビであり、一瞬の油断で食い殺されてしまう事になるだろう。

 

「……」

 

 男はある程度店に近づくと地面に落ちていた小さな瓦礫を手に取り、割れていなかったガラスに向かって思いっきり投擲した。男の全力で投げられた瓦礫はガラスを甲高い音を立てて割、服屋の中に消えていった。人のいないこの街でガラスの割れた音は驚くほどに響き渡たったが男はじっと何かを待つように動く事はなかった。

 しかしそれも5分ほどすれば終わり、先ほどと同じようにゆっくりと服屋の中に侵入する。服という他の物資よりも比較的に優先順位が低い為か中は荒らされた形跡はなく、崩壊以前の様子を色濃く残していた。ビルの一階部分が店舗になっているためか中は比較的に広く、カジュアルな服装が並んでいた。

 

「……」

 

 男は警戒を解くことなく店内を物色し、いくつかの動きやすい服装を3組ほど選ぶと背負っていたリュックに無造作に入れていく。古臭く、ボロボロに見えるそれに押し込むでもなくするりと入れた男は目的は済んだと言わんばかりにまっすぐに出口に向かって歩き出すがピクリと体を震わせ、その場にしゃがみこんだ。

 

【ア、アァ……】

【グゥゥゥ……】

 

 出口にはいつの間に現れたのか2体のゾンビが立っており周囲をしきりに見回していた。明らかに先ほどの窓を割った音でやってきたゾンビであった。店内からではその2体以外に把握する事は出来なかったが数がこれだけとは思えず、まだまだいると予測が出来てしまう状態だった。

 普通なら危険な状態であり、男一人ではおびき寄せて1体ずつ処理するか逃げるかの選択しが普通だが男はあろうことかゆっくりと近づくと手にもったショットガンを躊躇なく発砲した。

 

ドガン!

 

 ショットガン特有の分散する弾は広がり切る前に1体のゾンビの頭部を中心に破壊を生み出し、後方へと吹き飛ばした。それに気づいたもう1体のゾンビが男の方へとからだっを向け襲い掛かろうとしたがその時には既に男のリロードは終わり、銃口を向けた後であった。当然、もう1体のゾンビ同様に頭部の粉砕と共に吹き飛ばされ、その活動を永遠に終える事となった。

 空の薬莢が地面に落ち、軽い音を響かせるがそれを最後に周囲は再び無音の空間へと戻っていく。耳鳴りを感じそうな程の無音の中で男は警戒を怠る事なく耳を澄ませ、周囲の音を聞き取るが周囲でゾンビが活動する音がせず、軽く息を吐いた。

 

「……これで1000ポイント。漸くだな」

 

 男が小さくつぶやいたその言葉を当然ながら聞いている人間はおらず、男はさっさとバイクに戻るとエンジンをふかし、都市部の中心に向けて疾走を始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Zサバイバル。

 アクションゲームに分類されるそれはゾンビに支配された世界でただ一人の生存者として様々な地域を渡り歩くゲームだ。

 銃に剣に棒に拳。武器となりえる物は全て使用できるが何よりも特徴的なのはゾンビを倒す事でポイントを得られる事だ。このポイントは様々な物と交換が出来る。例えば武器に弾薬、車両や燃料、食料に飲料等交換できない物はないとも言える程膨大だ。それとは別にスキルと呼ばれるゲームをより楽しくさせてくれる能力もあり、射撃補正や身体能力の強化等こちらも多岐にわたって存在し、一種のやりこみ要素となっている。

 このゲームに出会ったのは俺が高校生の時だから……凡そ10年前か。今では懐かしのゲームに数えられるこれを俺は10年間欠かさずにプレイしてきた。おかげでゾンビの撃破数はこの前600万を超えた。キャラクターも最強になった。残念ながらプレイヤースキルはこの最強キャラを十全に生かすには低すぎたがな。だが、難易度を最大にしてもクリアできる程には高くなっているし十分だろう。

 

「う、うーん? 限界か……」

 

 だが、やり始めた当時は高校生で時間も体力もあったが今では仕事に追われ、体力と精神力を日々削られ続けている。プレイできる時間は日ごとに少なくなってきている。それに最近では少しマンネリを感じ始めてきた。まぁ、10年間飽きずにプレイしていたから持った方ではあるだろう。オンラインは出来るが一昨年を最後にオンラインでプレイしている人は完全にいなくなったしそろそろ限界だろう。

 

「仕方ない。久しぶりにゲームショップでも行ってみるか……」

 

 ゲームを終え、ベッドに横になった俺は今後の予定を組み立てながら眠りへと落ちていった。願わくばこのゲームのように夢中になれる物が見つかる事を願って。

 

 

 

 だがそれが、俺が自分の世界で最後に見た、聞いた、喋った事だった。値を覚ました時、俺は荒廃したゾンビだらけの世界に立っていた。Zサバイバルとも違う、本当のゾンビだらけの世界に。

 普通なら俺は成す術なく殺されるモブ程度でしかなかっただろう。しかし、幸か不幸か俺は自分がZサバイバルで10年間育て上げた最強のキャラになっていた。しかもZサバイバルで仕えたシステム、つまりポイント交換が可能となっていたのだ。

 

「何故こんな事になったんだろうな……」

 

 俺はゲームで愛用していたバイクに乗りながらそう考える。ポイント交換によりゾンビを倒せば倒すだけ物資を手に入れる事が出来る。この世界にある物だって価値があればポイントに交換する事さえ出来た。スキルも手に入り、その恩恵を得られる。

 

「まぁいいさ。俺はこの世界で俺なりに生きてやるさ」

 

 俺はそう一人ごとを言いながら次の目的地に向けて当てもない旅を続けるのだった。

 




主人公のキャラスペック
NAME:Hunter
AGE:24
SEX:Man
CONDITION:Health(95/100)
HP:1000/1000
SKIL:
身体強化Lv10
射撃補正Lv10
ヘッドショットLv7
未来予測Lv8
リロード時間短縮Lv8
感染耐性Lv2
空腹耐性Lv3
脱水耐性Lv2
病魔耐性Lv5
耐久Lv3
ナビゲートLv3
跳躍Lv4
立体機動Lv6
隠密Lv2
物資運搬Lv8
応急手当Lv5
総合格闘術Lv6
武器格闘術Lv5
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