「……んだコレ」
眼前に広がるは人工的な建物。
洞窟の中に広がっているのもそうだが、明らかに人を意識したとは思えない無茶苦茶な配置。
天井に床があったり床に柱が立っていたり、先ず普通の手段で作られたものでは無い事は明らかであった。
【ゴーカイジャー!】
「財宝の匂いがするね!早速中に入ろうか!!」
ゴーカイサーベルよりワイヤーを射出し天井に突き刺せば、ゴーカイレッドへと変身したドレイクは嬉々として迷宮へと足を踏み入れんとする。
「待って下さい!準備も無しなんて……」
「一度撤退すべきだ、どんな罠が待ち構えてるかさえ分からんのだぞ」
そんなドレイクをマシュが引き留め、竜儀が明確な理由を述べる。
普通に考えて入ったら即死さえ有り得るダンジョンにサーヴァント……アーチャーを引き連れて行かない理由はない。
故に一度撤退を進言したのだが、ドレイクはそれを笑い飛ばす。
「優等生だねえ、竜儀とマシュは。
全員連れてって仲良く全滅したらどうするのさ?」
「あっ……」「……ふむ」
確かに初見殺しもあるかもしれない以上、戦力を分散するのは理に適っている……気もする。
故に優等生と言われた二人は沈黙し
「ま、そうなったらそれまでの人生だけどね!
けどまあツイてるよアタシ達は、偶然良い感じに戦力が分かれたんだ、何かあっても救援を期待出来る」
洞窟に向けて跳躍するゴーカイレッドを見て、藤丸達もまた洞窟内へと入って行く。
「行くよマシュ、藤丸、竜儀。
アタシと行動するってのはそう言う事さ」
相変わらずの破天荒さだな、と竜儀はぼやき
マシュと藤丸は軽く笑いつつ船長の後へと続いていった。
迷宮を船長の勘頼りに進んで結構な時間が過ぎた。
一応マシュが道を覚えており、最悪テガソードを呼べるとは言え不安が無い訳ではないが、それでも不思議な安心感を覚える。
ジャンヌやネロとはまた違った英雄。
しかし、同じように信じられる英雄。
それが藤丸が抱いた、ドレイクの印象であった。
「こういうのを
大分奥まで進めば、ドレイクがそう呟く。
迷宮の壁の意匠はギリシャ風、それはさながら……
「クレタ島のラビリンスじゃないか」
「……マシュ」
「はい、ギリシャにある島の一つですね。
ギリシャ神話では其処ではかつて迷宮が建てられていて、その奥には人の体に牛の頭を持った怪物──」
ドレイクが呟いた単語、相変わらず何も分からない藤丸がマシュに尋ねれば
いつも通りマシュが解説をする。
その最中にふとドレイクが立ち止まり
「……どうやら一悶着あったらしいねえ」
硬い床が切り裂かれており、周囲には無数の切り傷が刻まれていた。
結界も貼れて床も切り裂ける怪力、所長に教わったサーヴァントのクラスにそのどちらもこなせるようなクラスは思い当たらない。
どんなサーヴァントだ?と藤丸が考え込んでいれば、この島に上陸したときのような地響きが響き渡る。
「また地震かよ!?」
「いえ!この連続的な地響き……まるで誰かの足音のような!!」
それは仮面を着けた全身傷跡だらけの牛頭人身の怪物であった。
巨大な片刃の二丁の斧を持っており、圧倒的な威圧感を放っている。
クレタ島の迷宮に閉じ込められた怪物。
ミノス王の牛と名付けられし、世界で最も有名な怪物の一体
「……ミノタウロスか!」
藤丸達がテガソードを構えると同時、怪物の雄叫びが藤丸達を吹き飛ばした。