「な、に、よソレ!!失礼にも程があるわあなた達!!」
何故か少女の前に正座させられる4人……ドレイクと竜儀は普通に立っているので、実質二人なのだが……を見つつ、怒ったように少女は4人を指差す。
「す……すみません」
相手の剣幕に思わずマシュが謝罪の言葉を口にすれば、それで多少満足したのか少女は溜め息を吐きつつも
「別に良いわ。あなた達は聖杯を探してこの島に来た訳で、私達を追って来た訳じゃないんでしょう?」
と尋ねられれば、マシュはドレイクをチラリと見る。
ドレイクが頷いたのを見ればマシュも頷きつつ
「その通りです、お二人は誰かに追われているのですか?」
少なくともどちらかが誰かしらに追われていなければその考えには先ず至らない、故にマシュはそう尋ね少女もまた頷いて見せる。
「追われてるのは私だけ。この子とはこの島で出会って守って貰っていたの。
……私を追ってる奴、かなり面倒だから」
「で、アタシ達をその追手と勘違いした訳だ。
それから結界を張って、アタシ達は島から出れなくなったと……
お互い難儀だねえ、ええとサーヴァントの……?」
成る程、と納得したようにドレイクは頷く。
確かに追手が来たのなら、増援を呼ばれぬうちに閉じ込めて餓死させてしまうか始末してしまう方が合理的である。
ドレイクが二人をなんと呼ぼうか迷えば
「アーチャーのエウリュアレとバーサーカーのアステリオスよ」
少女……エウリュアレが自らのアステリオスの真名とクラス名を告げる。
マシュがその真名に納得した様子で頷く様子を見た藤丸が首を傾げれば
「ミノタウロスとは本来の名では無いのです。
父親に与えられた本当の名前は"アステリオス"
そしてエウリュアレさんはギリシア神話に登場するゴルゴンの三姉妹、その次女に当たる方です」
因みにローマで出会ったステンノさんは長女ですよ、といつも通り藤丸へと説明をすれば、ほほうと藤丸も漸く納得した様子で頷く。
「とは言え困ったわね、あなた達島を出たいのでしょう?」
エウリュアレが爪を弄りつつもそう声を出す。
結界により今まで安全を守って来た以上、解除すれば安全はもう保証されないと言っても良い。
どうするべきかエウリュアレが考えていると、ドレイクがエウリュアレとアステリオスの二人の前に出れば手を差し出し笑う。
「二人とも、アタシの船に乗りな!
アタシ達は聖杯探しに戦力が欲しいし、アンタ等は追手を倒すのに戦力が要る。
一緒に居れば問題解決さ、良い商談だろ?」
エウリュアレがドレイクを珍妙な目で見つめた後、思わず尋ねる。
「……私達が何なのか分かってる?」
その問い掛けにドレイクは一切淀み無く答えて見せた。
「女神と迷宮育ちの用心棒だろ?
二人とない人材でワクワクするねえ!」
ドレイクの背後に、真っ赤な海賊服に身を包んだ男が愉快そうに頷くのがエウリュアレの目に入る。
瞬きする間に消え失せた男に変な人間ね、あなた達はと溜め息を吐けば
「どうする?アステリオス」
と巨体を見上げて問い掛ける。
アステリオスは下……エウリュアレと目を合わせれば
「おまえ、が、いく、なら、ついていく。
ひとりはさびしい」
藤丸はアステリオスとエウリュアレを見比べ、何処か似ているような雰囲気を感じ取る。
それと同時に地響きが辺りへと鳴り響き、迷宮は元の洞窟へとすっかり戻ってしまう。
「入り口が直ぐそこにあるぞ……どれだけの距離を伸ばされたんだろうな」
竜儀が背後を見やれば、少し上の方に入り口がある。
入ってからかなり探索したと言うのに数十秒分の距離しか前に進めていなかったとは、改めてこの迷宮の恐ろしさを感じさせられた。
「奥があるね、行った事あるかい?」
ドレイクが洞窟の奥、光が届かない場所を見つつアステリオスに尋ねる。
アステリオスが首を振るのを見てドレイクはそりゃ良かった、と笑えば
「お宝とかあるかもだ!」
と目を開かせる。
宝!?と藤丸が反応し、マシュが帰還しなくてはと言おうとしたが
「冒険は行ける所まで行ってこそさ、途中で終わりなんてつまらないだろ?」
どたけ言って洞窟の奥へと進み始める。
アステリオスとエウリュアレは顔を見合わせ、一先ずドレイクの後に続いて歩き出すのを見たマシュもまた向かおうとしたが
意気揚々と歩こうとする藤丸を見て竜儀が
「……藤丸、確か鼻が良いんだったよな?」
と問い掛ける。なんだ?と怪訝に思いつつ藤丸が頷くのを見れば
「それで宝が有る場所が分かるんじゃないか?花咲か爺さんにも出てただろう」
至極真面目な顔で尋ねる竜儀に藤丸が数秒フリーズした後
「俺は犬じゃ無くて狼だ!!」
と大声で突っ込めば、マシュが思わず吹き出してしまう。
すまなかったな、と軽く謝りつつ竜儀もまた歩き出せば
やれやれ、と肩をすくめる藤丸と共にマシュもまた歩き出した。