「……来たか」
黒髭は海賊船の船首にて、目を開く。
朝日が海を照らしており、何処までも綺麗だがそんな事はどうでも良い。
自身の目標は──此方へと迫る海賊船のみ。
ドン、と言う着弾音。
前回とは違い今回は砲撃が届いている。
「あのBBA、前とは違うって顔じゃねえか……!」
黒髭は雄々しく笑い、船員達へと号令を飛ばした。
《無事パワーアップ成功だ!
竜鱗が触媒となって聖杯からの魔力供給の効率が上がり、センタイリングで──》
「届くようになった御託は要らないさ!
カルヴァリン砲用意!射撃組も良いね!」
ロマンの生き生きとした説明を遮り、ドレイクは号令を飛ばす。
お互い視認した以上、相手側も間違いなく砲撃してくる。
それにプラスして……確かアンだったか、彼女が銃で狙撃してくる事も確定。
つまり今から起こるのは前のような戦闘とは一味違う。
「砲撃戦、
船の間を無数の砲弾が行き交いし、互いに着弾し船が揺れる。
【マジレンジャー!】【ファイブマン!】【オーレンジャー!】
「マジ・マジカ!」「ファイブラスター!」「スターライザー!」
マジレッドへと変身した陸王が炎で砲弾を焼き払いつつ相手にも炎を飛ばし、ファイブレッドへと変身した角乃がブラスターで敵船へと攻撃。
そしてセンタイリングを借りた竜儀がオーレンジャーへと変身し、斬撃で砲弾を切り落としつつピラミッド型のバリアを貼る事で他の船員を砲弾から守る。
黒髭の船にして宝具は部下が増える事に強くなる代物。
エウリュアレを狙ったのはそれが理由である(9.5割私情であろうとロマンは言っていたが)
火力は陸王達をフルで扱って漸く互角と言った所、近付いて白兵戦に持ち込むのは中々困難であった。
「……どう言う事だ?」
撃ち合いを始めたは良いが、明らかに互いの有効射程外。
相手のスーパー戦隊とやらの力も其処まで狙撃特化とは思えないし、そもそも此方は全員英霊。レーザー如きで死ぬような奴は居ない。
なら目的は──と黒髭が考えた辺りで、突如として敵船が加速する。
普通に考えるならどう考えても蜂の巣になる……だからこそ、相手には策がある!
「弾薬装填!ヘクトール!宝具用意──」
ランサーの真名を呼び、宝具を発動させて何かさせる前に沈めてやろうとした時──異変は起こる。
ドゴォン、と爆炎と共に自らの船が爆ぜた。
「なんだ!?」
「まずいよ船長!弾薬庫で爆発が起こった!!これじゃあ砲撃が出来ない!」
弾薬庫の爆破!?
メアリーの慌てた声を聞きつつ、黒髭は冷静に思考を回す。
此方に小船が接近した事も無い、細工なんて不可能。
ならばどうやって……?
その方法は、既にヘクトールが目視していた。
「これ俺が帰還する事考えられてないよねえぇぇ!?」
海を走るクマの人形がそう叫ぶ。
英雄オリオンは海神ポセイドンの息子。
それ故に彼は水面を自由に歩く事が出来た。
後は小さな身体を生かしてこっそり船へと上がり、マジレッドの錬成魔法で作られたライターを使って弾薬庫を着火。
見事任務は果たされた、と言えよう。
まあ砲弾飛び交う中をオリオンは走らされているのだが
「……メアリー殿、無事だった弾薬を今の内に運び出してくだされ。
奴等の目的を阻止するのは……我が黒髭海賊団随一の狙撃手に任せますぞ!」
オリオンを仕留めた所でメリットは殆どない。寧ろ小さな的を狙えばそれだけ船の接近を許す事になる。
故にオリオンは無視、敵船への対策は──
「我が銃弾我が誇り」
「我等の名は
アンが構えし銃が、火を吹いた。