「──投影」
それは、所有者の魔力尽きようとも輝き続ける名剣。
その名を
それは魔術師の杖を寸断せんと振り下ろされ
「甘えよ!」
しかして、杖は水のように唸り、剣を弓兵の手元から叩き落とす
すかさず描かれるは無数のルーン
弓兵の目を潰すように文字が輝いたかと思えば
風が刃となって弓兵へと迫り
「投影」
七枚の花弁が舞い上がり、風を防ぐ。
既に何度、攻防を繰り返したのだろうか。
弓兵は無数の宝具を投影し
魔術師は無数の文字を描き続けた。
お互いの身体に依然一つたりとも傷は無い
一度の傷が、そのまま致命傷になると互いに理解しているからだ。
やれやれ、と油断なく杖を構えたまま魔術師が口を開く
「──ったく、時間稼ぎも良い加減にしたらどうだ?
此処は手っ取り早く──宝具で決着付けようや」
魔術師の予想だと、自分が勝てる。
三騎士に対しての勝利の予想
しかしてそれは傲慢では無く、数多の戦場の経験が伝える
この杖が赤き槍ならば、と何度も神を恨んだが
仕方ねえ、と舌打ち一つで割り切る。
「──良いだろう」
弓兵もまた、頷いてみせる
自身の役割は時間稼ぎ
しかして最も面倒なのは、相手がありったけのルーンを行使し、此方を少しでも動けなくする事
かの騎士王が負けるとは思わないが
眼前の魔術師を野放しにするのは少々──いや、かなり面倒と断言出来る。
ルーン魔術について全てを知らない以上、互いに決着を付けるのは妥当と弓兵は判断をした。
泥がまだ、自分の思考を闇へと染め上げぬ内に
仕事を、全うするとしよう
なんの動作もなく
しかして同時に、言葉は紡がれる
「
「我が魔術は炎の檻」
錬鉄の固有結界。
広がる光景は燃えさかる炎。
無数の剣が大地に突き立つ一つの荒野が広がる。
空には回転する巨大な歯車。
しかして歯車はひび割れ、剣は闇へと侵食されている。
荒野には乾かぬ泥が溢れ
正義の味方はその中に立っていた。
「
「茨の如き緑の巨人」
「
「因果応報」
「
「人事の厄を清める杜」
「
「焼き尽くせ──」
「
「木々の巨人」
「
荒野に現れるは巨大な巨人。
尽きぬ炎を宿した巨人は、正義の味方へと歩み出す
そしてそれを仕留めんと展開されるは無数の宝具
全ては投影されし贋作
しかして、その贋作は決して原作に劣らず
寧ろその数、巨人さえ穿つ。
「
「
二つの宝具が同時に放たれる
数えるのも億劫な程の、しかして一つ一つが必殺とも言える宝具の雨が巨人へと降り注ぐ
しかして巨人は止まらず、我が身の炎を絶やす事なく歩み続ける
「──ッ!」
弓兵もただ鎮座するのみにあらず、手に収まるは弓と矢
無数の宝具で穴だらけとなり、されども止まらない巨人の頭部を穿つ!
それと同時に、
此方へと杖を投擲せんと構える
──
「──その心臓、貰い受ける!!」
そしてその杖は、正義の味方の心臓を貫いた。
歯車は砕け、荒野は無くなり
巨人もまた朽ち果てる
「この勝負、俺の勝ちだ」
魔術師は弓兵を一瞥すれば
洞窟内へと霊体化をして、向かっていく
弓兵は、消える寸前に呟いた
「──全く」
「次こそは、まともに働きたいものだ」
WINNER:クー・フーリン