世界にその名を轟かす最凶最悪の海賊、エドワード・ティーチ。
フランシス・ドレイクが駆け抜けた大航海時代が終わり、海賊時代が幕開けた。
その最中で生まれたのがこの男。
海賊として瞬く間に頭角を現し、部下ですら彼を恐れた。
海賊の黄金時代を彗星の如く駆け抜け、人類史にその名を刻んだ。
だが幾ら後世にその名を轟かせようと、末路の惨めさは変わらない。
彼は黄金時代の終わりと共に、軍の戦いに敗れて首を船首へと吊るされ見せしめとされたのだ。
「ぬふぅ!部下の死を前に黒髭超絶怒涛のパワーアップを果たし、戦闘力も急上昇を果たしたのである!気分的にね!!」
──それが今や、この有り様である。
オタクみたいになってる理由は不明、マジで。
そんな今も尚ふざけてるように見える黒髭の首元に、一つの刃が突きつけられる。
「ふざけないで船長、時間がないんだ」
刃を突きつけたのは黒髭の船員であるメアリー。
半身であるアンがやられた以上彼女は長く持たず、指先から徐々に光の粒子へと還っていた。
黒髭は笑みを崩さぬまま
「心配性ですなあメアリー氏は!
安心しろ、テメェの命はちゃんと使い切ってやる」
と海賊らしく言い切った黒髭に対してメアリーは一つ頷いただけで剣を収めた。
黒髭は敵船へ向き合えば
「では拙者はBBAとタイマン張りますんで、メアリー氏とヘクトール氏は他の奴等の相手をお願いしますぞ?」
「……おっと船長参ったね」
黒髭の命令に思わず敵船を見れば、盾を持った少女……マシュとばっちり目があった。
となるとまあ情報は必然的に共有されてしまうであろう。
今頃彼方ではトロイア戦争の諸々について語られてしまっているのは何となく分かる。
「失敬口が滑ってしまいました」
申し訳なさそうにしてる黒髭にヘクトールはやれやれと肩をすくめれば
「ま、いいですよ。
いずれバレてたでしょうし?」
とだけ言えば、そのまま槍を構えた。
「船長、後ろに。
一対一に乗る必要は……」
「かまいやしないさ、タイマンなら話は早い。
大英雄様は任せるよ」
マシュが前に出たが、それを制してドレイクは前へと出る。
構えるは己が願いを賭けて生まれた武器、テガソード。
「エンゲージ!」
【センタイリング!】
「ドゥフフ、ノリが良くて助かりますなあ!」
指輪を剣へと嵌め、手を叩くドレイクを見れば黒髭は笑いつつも鉤爪を構える。
【ゴーカイジャー!】
ドレイクに豪快な赤き海賊の鎧が収まるのを見れば、それを合図としたように全員が敵へと向かって駆け始める。
「それじゃあ早速、おっ始めるとするかあ!!」
ドレイクと黒髭が中央で打つかると同時、ドレイク側の船と黒髭側の船、両方の端で大きな爆発が巻き起こった。