Fate/ No.1order!   作:飲み屋蹴り注ぐ

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出現!秘密の力!

なつかしい、だれかの過去(ゆめ)を見る。

その子供は──被害者であった。

父親が神と交わした約束を反故したが故に怪物として生まれ、名前以外の愛情を与えられる事なく子供は迷宮に閉じ込められた。

やがて、迷宮に子供達が捧げられるようになった。

父親は息子に、子供を殺して食うように命じた。

息子は、ただ従って食らった。

怪物として生まれた以上、それが正しいと思った振る舞いだったから。

殺しくなかった。

食べても、美味しくなんてなかった。

それでも嬉しかった。

その時だけは──自分が、怪物だと思えたから。

それが三度行われ、怪物はテセウスと言う英雄によって打倒された。

彼は悪くない、なんて事もなく

彼だけが悪い、なんて事もない。

だからだろう。

英雄が、最後に彼に言った言葉がいつまでも耳に残ってた。

 

「僕は君を、助けたかったよ」

 

──今も、その言葉は耳で反響し続けている。

 

「がああああああっ!!」

 

アステリオスの両斧がヘラクレスを海へと吹き飛ばす。

魔術によって海を足場に踏ん張る事でヘラクレスは体勢を立て直すが、その時には既にアステリオスは真上に迫っており、斧による振り下ろしでヘラクレスを海の中へと叩き込む。

 

「アステリオスが押してる……これなら!」

 

「バカだなぁ!付き合って貰ってるのが分からないのか!?」

 

オリオンの言葉に、イアソンが即座に反論する。

その言葉を表すように、再び放たれたアステリオスの斬撃は容易く避けられ、拳が顔を穿ち、アステリオスはゴールデンハインド号へと激突してしまう。

 

「アステリオス!」

 

「行っちゃダメだ!!」

 

アステリオスの側へと向かおうとしたエウリュアレを、陸王が静止する。

状況は──はっきり言って最悪。

アステリオスとヘラクレスの実力差ははっきりとしており、このまま行っても全滅は明らか。

 

「──潮時だキャプテン、最悪彼女を……」

 

エウリュアレを守りたい。しかしそれで全滅するのが最悪のケース。

エウリュアレは恐らく捕獲であって殺されることは無い。

その考えからアーチャーはドレイクの方を見て──

 

「ぼくが、たたかわなきゃ……」

 

こいつはつよいから、だれかがぎせいにならないと。

それなら……ぼくだ。

ぼくはかいずうで、わるいやつだから。

 

過去。

と言っても少し前──黒髭戦の前夜。

 

「アンタらさ、この戦いが終わったらどうしたい?」

 

既にたらふく酒を飲み、酔っ払った状態のドレイクがそう全員に問い掛ける。

全員が顔を見合わせ

 

「何の話?」

 

とエウリュアレが尋ねる。

ドレイクは何度目かの酒を煽りつつ

 

「やりたいことさ、アタシだったら世界一周?

指輪争奪戦とか人理焼却とか一旦置いといてさ、酒の肴代わりに教えてくれよ」

 

ケラケラと笑い、自らのセンタイリングを月光に照らしつつドレイクは尋ねる。

藤丸は数秒考えた末に

 

「何もねえな、元々俺はこの世のはぐれ者。適当にまた流れるさ」

 

「サーヴァントに聞いてどうするの、あっても言わないわ」

 

先ず藤丸が頭を掻きつつ話せば、エウリュアレが呆れたようにため息を吐きつつ答える。

 

「僕は……恩人に会って、またライブをやりたいな」

 

「緒乙に会う、何が何でも……!」

 

次に陸王が微笑みながら答えれば、角乃が指輪を握りしめつつ決意を新たにする。

 

「私はテガソード様を広めるのみ!」

 

と竜儀がいつもの調子で答えれば

悩みに悩んでいたマシュがおずおずと口を開く。

 

「わたしも……とくに思いつきません」

 

「ぼくは、ない」

 

そしてマシュと藤丸に同調するようにアステリオスが話せば

 

「なんだい、3人共無いのかい?

こりゃあ宿題だねえ、この海での旅が終わるまでに見つけな。

自分の望み──"願い"って奴を。

で、見つからなかったら連帯責任!」

 

ドレイクは突然立ち上がったかと思えば、片腕で藤丸とマシュを纏めて抱き寄せ

もう片方の腕でアステリオスへと腕を回す。

 

「アンタら全員纏めてさ、アタシの世界一周(ゆめ)に付き合うってのはどうだい?」

 

その時のドレイクの顔は、月光に照らされ──何よりも、楽しそうに笑っていた。

 

アステリオスの斧がヘラクレスによって弾かれる。

その隙を逃すはずもなく、ヘラクレスの一撃がアステリオスへと放たれ──

 

「アオーン!!」

 

「いやさか!!」

 

棍棒が、剣とハンマーによって受け止められる。

大英雄の一撃を、今を生きる人間が止めた。

 

マスターとサーヴァントは、時に互いの夢を見ると言う。

俺は見た、怪物の過去を。

アステリオスには罪がある。

その罪を贖う為にも、犠牲になろうとしているのだろう。

嫌だ、と思った。

私は過去を知らない。

しかし、見た。

あの夜、あの日の船長の言葉に

お前が確かに──夢を見ていた事を、見ていたから。

 

「令呪を以て命ずる!!」

 

ウルフデカリバー50とティラノハンマー50が棍棒を受け止めたが、少しヘラクレスが力を込めれば吹き飛ばされるのは明らか。

故に、全ての令呪を以て命じよう。

 

「願いを叶えろ!アステリオス!!」

 

己が願いを賭けて争うのが、指輪争奪戦。

指輪は、願いを持った者の元に向かう。

人理焼却により時空が焼き尽くされて尚──それは変わらない。

怪物の目の前に、男が立っていた。

スーツを着ている、熱い男。

神秘の力、アースフォースの力を宿した指輪。

男は頷き、手を伸ばす。

アステリオスは、その手を確かに握った。

 

ヘラクレスは驚愕する。

自らの一撃を、ただの人間が防いだ事。

ゴジュウウルフとゴジュウティラノを振り払った時には、既にドラゴンの雷と共に迫った怪物の一撃が、最早防げぬ事。

感嘆した。

その一撃、雷神の子さえ超える一撃が故に──!!

 

雷光の一撃

 

《ヘラクレス……撃破ぁ!!》

 

全員に驚愕の表情が浮かび上がる。

ヘラクレスの身体から血は溢れ、膝を突いている。

 

「……アステリオス、願いを叶える為に……全員で、生き残るぞ」

 

「……おう!」

 

気絶していた状態から目覚め、大英雄から時間を稼いだ藤丸。

大英雄相手にも対抗出来る合力を振るった竜儀。

アステリオスは頷けば──自らの手に現れた、銀色の剣に自らが指輪を嵌める。

 

「えん、げーじ!」

 

【センタイリング!】

 

手拍子が、海へと響き渡る。

怪物は願いを見つけた。

故に──それを叶える為に、戦おう。

赤き竜の鎧は、怪物の味方となって装甲となる!

 

【チェンジマン!!】

 

また、新たなユニバース戦士が

今ここに誕生した。

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