「──生きてたんだな!マシュ!!」
藤丸の口から思わず笑みが溢れてしまう。
マシュは油断なく盾を構えつつ、こくりと一つ頷けば
「行って下さい、マスター!
わたしは──負けません!」
藤丸はマシュの姿を見れば頷き返し、そのまま再び走り出す。
「おかえり、マシュ。やれるね?」
「はい!」
ドレイク達がマシュの隣へと並び立てば、マシュは笑顔で答えて見せる。
「わたしの中に眠る英霊が力を貸してくれました
──そして、皆さんも!」
【キラメイジャー!】
【ファイブマン!】
【オーレンジャー!】
ヘラクレスの身体へと突き刺さるは3つのスーパー戦隊の力。
既にボロボロとなっている陸王、竜儀、角乃、アステリオス、そしてダビデが森から姿を現した。
「よぉし……運が此方に向いてきた!」
「んじゃまあ、もう一勝負行くとするかあ!!」
全勢力は集った。
──此処で藤丸を目的地まで行かせねば、何が海賊か。
黒髭とドレイクが拳を打ち合わせれば
大英雄相手の、最後の戦闘の幕が開けた。
「イアソンが騙されてる?」
再び走り続け、体力を回復させる為の小休憩中の事。
エウリュアレの言葉に、藤丸は首を傾げる。
「言動があってないのよ、彼奴」
海の王と自称しておいて、エウリュアレを契約の箱へと捧げて特異点を消滅させようとする矛盾。
恐らく彼もある意味被害者ではあるのであろう。
「──んじゃ誰が」
と、藤丸がエウリュアレへと尋ねようとした時にロマンより通信が入ってしまう。
《最後の休憩も終わりだ、君達は今地下墓地の入り口手前に居る。
合図と共にアークの元へ走ってくれ、ヘラクレスとの距離は1km──一跳びで詰められる距離だ》
はっきり言ってコレは賭けだ。
少しでも遅れてしまえば、アークに辿り着く事なく藤丸は──。
藤丸はチラリと奥を見る。
激しい戦闘音と土煙、色とりどりの弾丸が上がっており、戦闘の激しさが伝わってくる。
「怖い?藤丸」
抱えられたエウリュアレがそう尋ねる。
藤丸は数秒考えた末に
「……怖いな、やっぱり」
と答える。
やはり怖いものは怖い。
一般からの逸れ者と言えども、其処ばかりは一般人と変わりやしない。
「そう、私も怖いわ。
けれど──そうね。
アステリオスにカッコいい所を見せたいわね、マスター?」
今も尚大英雄相手に戦っているアステリオス。
彼を見て、藤丸は改めて──覚悟を決める。
《作戦を最終段階に移行する、カウントダウンを始めるで》
巡より通信が入る。
藤丸は息を整え、構えを取る。
《5、4、3、2、1》
マシュが道を譲るように距離を取る。
ヘラクレスは何かしらの意図──罠の可能性を本能で感じるが
それ以上に、成し遂げなければならぬ事の為に空を飛ぶ
《0!!》
「アオーン!!」
狼の遠吠えが鳴り響くと同時に、ヘラクレスの姿がマシュ達の前から消える。
「始まったね、僕達も最後の仕事に取り掛かろうか!」
「──先輩、どうかご無事で」
陸王がそう話せば、全員が慌ただしく移動を始める。
マシュは藤丸が居た方をじっと見れば、祈るように呟いた。
次回でヘラクレス戦は終わります