「……おかえりセイバー、ゴジュウイーグル。
真名を明かさなかったのはゴジュウイーグルのおかげだろうね、君絶対すぐ言うタイプだしと言うか此処に招いた時点で言う気だろう?」
整った顔立ちと翠色の瞳を持つ落ち着いた風貌の青年は、モードレッドを見ては溜め息を吐きつつ眼鏡を押し上げる。
そしてセイバーを話させないように、続け様に口を開こうとして──
「あ、すまん。儂が言ってもうた」
変身を解いたゴジュウイーグルの言葉に、そのままずっこけてしまう。
「あのですねえ!聖杯戦争における真名はそのまま性能を告げてしまうのと──」
何とか体勢を立て直した青年が思わずそう言うが、当の真名をバラされたモードレッドは笑いつつも
「いいだろ別に、これはお前の言う聖杯戦争なんかねえし」
青年のお気に入り個人用ソファへと腰を掛け、勝手に冷蔵庫から取り出したシードルを飲みつつ叛逆の騎士はけらけら笑う。
「やっぱ碩学ってのは良いねえ、冷蔵庫もあるしな!」
そんなやり取りを見ている中、ゴジュウジャーは誰一人として声を出さずに変身を解いたゴジュウイーグルを呆然と見ていた。
「……嘘でしょ??」
角乃の言葉が、そのままゴジュウジャーの心情を表している。
何せ眼前に立っている男は──明らかな、老人だったのだから。
「お初にお目にかかる!儂は猛原譲二。以後……よろしくお願い申す!!」
着物を着た老人は深々と頭を下げる。
呆然としていたゴジュウジャーを置いて、マシュが一番先に我に帰ったのか
「は、はい!宜しくお願いします!」
ペコリと頭を下げるマシュを見て、ゴジュウジャーも慌てて頭を下げる。
そのやり取りを見ていた青年はそろそろかな、と呟けば
「猛原さん、冷蔵庫にスクランブルエッグがあるよ」
と告げる。
好物なのか?と竜儀が首を傾げたが、当の譲二は有難い!と一目散に冷蔵庫へと向かい、スクランブルエッグを持って机へと付けば
「頂きます!!」
と一気にスクランブルエッグを掻き込む。
ペロリと食べ終えた譲二が皿を下ろせば──今度は、明らかに若い青年が先程の譲二の着物を来て満足そうな表情を見せていた。
「……?????」
一同の脳内が宇宙へと包まれる。
「取り敢えず自己紹介を、僕はヘンリー・ジキルという。
……まあ君達の心中はよく分かるよ、僕も初見はそうだったし」
それを何処か達観したように眺めてるジギルは冷静に自身の名前を告げれば、譲二だった青年は勢い良く立ち上がり
「そして僕が猛原禽次郎と申します!"禽ちゃん"と呼んでくれよな!」
爽やかな、紛れもなく青年としての笑顔を見せる禽次郎を見てゴジュウジャーが再起動するのはもう暫く後なのであった。