辺りを見渡せば、其処は森の中だった。
服装もいつも通りの物であり、身体に異常も無く
テガソードも健在。
盾を持ち、デミ・サーヴァントの姿となったマシュが周辺に敵対存在が無い事を確認すれば
「レイシフト完了。
どうやら、森の中へと出たようです」
盾を地面へと刺しつつ、一先ず無事に到着した事にほっと胸を撫で下ろす
「ともあれ、無事に転移完了です。おケガは──」
「フォウ!」
ぴょこ、とマシュの肩から顔を出すのはフォウ。
そのまま地面へと降り立ったフォウに対して、2人は思わず驚いてしまう
「つ、着いて来たのかよ此奴……」
「コフィンに紛れ込んでいた、のでしょうか?」
呑気に肉球を舐めてるフォウを藤丸は撫でつつ
前々から……しかし尋ねる機会を失っていた事を質問する
「此奴、一体何科の動物なんだ?
レイシフト適性まであるって……」
「ドクター曰く職員の誰かが作った魔法生物、らしいです。
それならば適性を持っているのにも頷けます」
魔法生物……んなファンタスティックな存在なのか、と眼前の獣を見れば
フォウはとことこと近くの草むらへと潜っていた。随分と自由である。
まーそんなに離れる事は無いだろう、とフォウを見送れば
ププー、と管制室より通信が入る
藤丸が予め渡されていた腕輪のスイッチを押せば、電子画面が眼前へと登場される
「ハイテクだな」
《驚いたかい?魔術を併用しての空間通信さ。プロジェクターは場所を選んでしまうからね。》
呑気な笑顔を浮かべるロマンに、んな驚きませんでしたと正直に告げれば
多少しょんぼりしつつもロマンは言葉を続ける
《それで〜……時間軸だね、此方でも確認できてるよ。》
《A.D1431年、フランスはロレーヌ地方のドン・レミ村
大分田舎だけどまあ許容範囲内だ。》
ふむ、1431年──と藤丸は一応考えてみたが
いかんせん知識なんて無いのでめちゃくちゃ昔と言う事しか分からなかった。
しかしマシュは違ったらしく
「1431年のフランスと言えば、百年戦争の只中ですね。確か──」
と何も分かってなさそうな先輩に自らの知識を教えようとしたが、その前に
「ドフォーウ!?!?」
と言うフォウの珍妙な鳴き声に遮られてしまう
「フォウさん!?」
「なんだぁ!?」
マシュは盾を、藤丸はテガソードを握って同時に駆け出す
悲鳴らしき鳴き声が聞こえたのは森を抜けた辺り、お互いに走り出して森を抜ければ
「フォウさん、ご無事で──」
空が、目に入った。
光の輪、光帯が浮かんでいる空は
先ず、自然現象などでは無く、異常としか言えなかった
通信越しにロマンもそれを目視すれば
《光の輪……いや、衛星軌道上に展開された何からの魔術式か……?》
人類の滅亡に関係する何かか、或いはスーパー戦隊関連なのか。
《往歳教授、すまないけど似たような事例が無いか調べて欲しい》
《任せとき!歴史関連ってなると……タイムレンジャー、いや衛星軌道となるとキュウレンジャー辺りも……》
管制室にて、巡は早速図書館へと駆け出す
元々巡は最初のレイシフト……事故が起こった時にも図書館へと籠りきりだったため、難を逃れていた。
所長に呼ばれたと言う強権を使用して、カルデアスタッフの何と1割を強引に連れ出して自身の作業を手伝わさせていたのだが……結果的にそのスタッフ1割は爆破から難を逃れた形となる。
故にスタッフと巡の仲は結構良好だったりする。
今も資料捜査の為に数人のスタッフを連れて図書館へと向かっていった。いかんせんスーパー戦隊は様々な歴史と関わっているので1人じゃどうしても時間を食ってしまうのである。
管制室が慌ただしく動く中、藤丸は空よりも地上……ある村を見ていた
「……あれは、」
煙が至る所から立ち上り、炎が見える村
「……恐らく、ドン・レミ村かと」
マシュは周辺地域の情報から、本来燃えるはずの無い村が燃えている事を理解していた。
「理由は分かりませんが、何者かが焼き払った跡かと──」
生存者は、不明だ。
此処からでは遠すぎて人影は見えないし、そもそも煙が上がっているとは言えほぼ燃え尽きた後なのだから。
藤丸はその状況に歯噛みしてしまう。
《1431年には、光帯もドン・レミ村が燃えた記録はない》
想定よりも遥かに早く、大きく歴史が変化し始めている状況。
ロマンは思わず手を握り締めてしまうが──
「ロマン、指示を。今止まってる場合じゃねえだろ」
《……ああ、先ずは情報収集を。土地のデータを今送る。
藤丸君、マシュ。百年戦争のこの地で何が起きているのかを突き止めてくれ!》