Fate/ No.1order!   作:飲み屋蹴り注ぐ

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言わずと知れたあの男


魔進誕生!進めよアイドル

ぱちぱちと焚き火が燃えている。

現在は深夜、藤丸とマシュは既に眠りへと着いており

管制室も最も静かな時間帯と言えよう

そんな中、ジャンヌ・ダルクは焚き火を見つめつつ、藤丸とマシュに話された事を反芻していた。

 

「カルデア……焼却された未来を取り戻す為に、遣わされた子供達……」

 

「私の悩みなど、小さな物でしたね……」

 

憂いた顔をしつつ、裾を握り締める。

私の悩み、それは──

竜の魔女とは何者なのか?

そもそも、私は本当にジャンヌ・ダルクなのか?

全ては、もう1人の自分へと会わねば分からない。

明日から行動を始める以上、睡眠を取っておこう。

自身は英霊の筈だが、何故か睡眠が必要となっている。

これも何らかの影響なのだろうか……と思いつつも

敵の気配が無いことを確認しつつ、布を羽織って目を閉じる

私を呼び止めてくれた、私をジャネットと呼んでくれた。

少し痩せてしまっていた、母さんの顔。

いつか、全てが解決したのならば

貴女に会いに行きたいです。

そうして私は眠りに落ちた。

そして、夢を見た。

魔法、それは聖なる力 

魔法、それは未知への冒険 

魔法、そしてそれは勇気の証

溢れる勇気を魔法に変えて戦う、家族の物語。

私の前に、誰かが立っている。

顔を見る事は出来ない

秘めたる勇気を持った人。

貴方は──

 

「良い朝ね」

 

目を開き、咄嗟に旗槍を構える。

私と良く似た声、しかして私の物ではない声。

辺りを見渡す、誰も居ない

何より響くような声なのに藤丸とマシュは眠ったままだ。

 

「行きましょう、皆さん」

 

「朝が苦手な人が居るけれど、構わないでしょう?」

 

「本物の吸血鬼ならば関係ないのですから、でしたっけ?

違う?まあ何にせよ」

 

何者かの声が、直接脳内に流れ込んで来ている?

しかして何故。

相手が意図した物とは思えない。

──しかして、そんな事を考える暇は無くなった

 

「殺すのならば、この旗がよく見える時刻で無ければ」

 

あまりにも不穏で殺意の籠ったその言葉に

心臓が、大きく跳ねた

 

《2人とも!悪いが起きてくれ!》

 

カルデアからロマンの通信が入れば、藤丸とマシュが慌てて飛び起きる

慌ただしい管制室から、警告が飛ぶ

 

《数キロ先で巨大な生命反応を確認した!》

 

《近くにはラ・シャリテと言う街がある!行くにしても退避にしても気を付けてくれ!》

 

ラ・シャリテ──確か、砦の人々が言っていた。

其処まで落ち延びれば、と言っていた街!

 

「ジャンヌ!」

 

咄嗟に声を掛けるが、頭を押さえて顔を真っ青にしている彼女に思わず

 

「大丈夫か?」

 

と気遣いの言葉を掛ける。

しかしてジャンヌは緩く頭を振り

 

「──大丈夫、です」

 

「それより何が……」

 

ジャンヌに事のあらましを手早く話せば、即座にラ・シャリテへと走り出す

藤丸はゴジュウウルフへと変身し、サーヴァントの全力でも置いてかれない程に走り抜けた。

また、ドラゴンが人を──!

藤丸はそう考えていたが、ジャンヌは一つの、最悪の可能性を考えていた

 

「間に合って……!お願い……!」

 

必死に走り続け、森を抜ければ──その異様な光景を目視する

あまりにも巨大な、竜。

ワイバーンが小動物か何かに見えてしまうような…怪物。

 

《口腔部に魔力反応──!》

 

竜の口から、黒き炎が溢れる。

狙いは、街。

ジャンヌは咄嗟に駆け出そうとするが

それは自殺行為と変わらない。マシュが咄嗟に止めに入る

 

「やめ──やめなさい!」

 

「やめて……」

 

無慈悲にも黒き火球は放たれて

そのまま、街ごと全ての人々を焼き払わんと迫り──

 

【放て!吠えろ!ブルー!!】

 

無数の巨大な銃撃により、火球は空中で爆ぜる。

凄まじい衝撃が辺りへと広がるが──

街は、無傷であった。

 

「なっ──」

 

藤丸はその光景に目を疑う。巡より聞かされてはいたが

 

「青い、テガソード……」

 

【テガソードブルー!】

 

テガソードの右腕にはライオン型の巨大なガトリングガンを身に付け、青き顔が日光に反射して煌めいていた。

巨大な竜と同等、或いはそれ以上の大きさを誇るテガソード。

それに対してワイバーンに乗った黒い少女は舌打ちをすれば

藤丸達の前へと降り立った。

 

「……ほんと、最悪よ。

折角の炎を、あんな訳の分からないのに消されてしまったのだもの」

 

「けれど、貴女を見れば少しは気が紛れるわ。

ねえ?哀れでちっぽけな……もう1人の私」

 

青きテガソードは、黄金の粒子へと還り

青き指輪と共に消失する。

 

「ジャンヌ・ダルクが本当にもう1人……!?」

 

黒と白と言う違いこそあれど、同一人物と言っても良い程に

ジャンヌ・ダルクの要望をしている黒きジャンヌ。

 

「何その新しい小さいの、悪い趣味ね──ジルの変わりなのかしら?」

 

マシュとゴジュウウルフ……藤丸を見れば、黒ジャンヌは思わず笑ってしまう。

そうして手を掲げ──

 

「なら私も紹介しないとね。」

 

「来なさい、私の従僕(サーヴァント)──!」

 

周囲に隕石が落ちたかのように、4つの衝撃が辺りへと広がる

3人が咄嗟に背中合わせになりつつも、マシュがその正体を報告する

 

「新たな敵性反応を察知!しかもこれは──」

 

《其処に居るのは全員サーヴァントだ!逃げろ!!

こんなの敵いっこない!》

 

「逃げろって言ったって──!」

 

ロマンが逃げろと警告を飛ばすが

自分達を囲うように、5つのサーヴァントが此方を睨んでいる。

全員が黒く染まっており、目に宿すのは──殺意。

レイピア、杭、拷問器具、杖、旗槍が此方へと向けられる

 

「もう1人の私も、小さな貴方も──笑い死んでしまいそうな程滑稽ね?」

 

「だから、その前に殺してあげる」

 

銀色のテガソードが嵌められた右手が、黒き炎へと包まれる

しかもテガソード持ちかよ──!藤丸は内心舌打ちをしたが

どうにかして戦闘を逃れる方法を思案する……が、何も思いつかない。

やるしかないのか、とテガソードを握り締める

そんな藤丸を

 

「ネズミが生き足掻いて──その小さな脳ミソで何を思いつくのかしら?」

 

と、黒ジャンヌが嘲笑うが

白ジャンヌは耐えきれない様子で尋ねる

 

「貴女は──本当に、私なのですか?」

 

私は、何故フランスを滅ぼそうとするのか理解出来ない。

そんな事を思いつくことさえ有り得ない

故に問う、黒きジャンヌは私なのか。

黒ジャンヌは心底呆れたように溜め息を吐けば

 

「こんなに鈍いとは思いませんでした」

 

「この国は私に唾を吐いて裏切った。故に滅ぼします」

 

「子供でも分かるでしょう?やられたらやり返す」

 

「私は、人類を救済します」

 

「人類種と言う悪しき種を根元から刈り取り、フランスを沈黙する死者の国へと作り変える」

 

「そんな事さえ、分からない貴女こそ私では無いのです」

 

「その残り滓のような身体が、何よりの証拠でなくって?」

 

黒ジャンヌは白ジャンヌを見れば嘲笑い、旗槍を構える

黒きサーヴァント達も、各々が構える。

 

「さ、問答は終わりです」

 

「──死になさい」

 

黒ジャンヌが一歩踏み出せば

 

「2人とも、来ます──!」

 

マシュが盾を、藤丸が金のテガソードを構える

全員が動き出そうとし──

 

フランス万歳(ヴィヴ・ラ・フランス)!」

 

光を乱反射して、煌めくガラスの馬車が空より姿を現す!

新たな敵?あまりにも眩く輝くそれに、全員が注目をする

 

「……マリー、何だい今掛け声」

 

「あら、こう言う時は名乗りを上げるものだと()()()()()()()()()()()()()?」

 

「さあさ、行きますわよ、皆さん!」

 

ガラスの場所より溢れるは、重厚で濃厚で破壊的な歌声

黒きサーヴァント達が、その衝撃により弾き飛ばされる

衝撃波による物理的攻撃と歌声による魔術的な強制力!

黒ジャンヌは新手のサーヴァント達の攻撃だと理解する。

ガラスの馬車より姿を見せるは

銀のテガソードを身に付けた赤い王冠を被った少女

バイオリンを奏でる華奢な男

2本の角が生えたゴスロリの少女

その3人が音楽の発生源で有り

その間にガラスの馬に跨って、角を生やした着物の少女が

 

「逃げます、呆けてないで乗って下さい」

 

と藤丸達をガラスの馬へと乗せる

 

「逃がさないわよ──!」

 

黒ジャンヌがその様子を見て、黒き爆炎を放つも──

その時には既に、自らの従僕以外の姿は無かった。

黒きジャンヌは舌打ちをすれば

 

「──興醒めです、帰りますよ」

 

ワイバーンに乗ってその場を後にする。

街を焼き払ってやりたいが、またあの巨大なロボが邪魔をしてきたら面倒だ。

次は、万全の状態で焼き払う。

こうして、一つの街と多くの人々

そして、聖女の母は救われた。

 

場所は変わって、ラ・シャリテより南東のジュラ。

王冠を被った少女がのびのびと肩を伸ばせば

 

「──あの、貴方達は?」

 

と藤丸が尋ねる。

ガラスの馬車に乗せてもらって、先程助けて貰った事から味方と言うことは分かっているのだが──

 

「気付かないかい?サーヴァントだよ」

 

「ご覧の通り竜の魔女と敵対している。それより──」

 

と、華奢な男が言葉を続けようとしたが

王冠を被った少女により遮られる

 

「ノン、ダメよアマデウス。

自己紹介も無しにお話なんて失礼です」

 

と言えば、藤丸達に各々の真名とクラス名を告げる

ライダー、マリー・アントワネット

キャスター、ヴォルフガンク・アマデウス・モーツァルト

アイd……ランサー、エリザベート・バードリー

バーサーカー、清姫

各々が名乗れば

藤丸がマシュにこっそりと

 

「……説明頼めるか?」

 

「はい、では軽くですが」

 

と耳打ちすれば、マシュは嬉しそうにしつつもそれぞれの説明をする

 

悲劇の王妃

偉大な音楽家

血の伯爵夫人

怒りで竜へと変化した女性

 

後半2人の説明で、若干藤丸が引いたのは言うまでも無い。

そして今のうちに、とマリーを見れば

 

「あんたも指輪の戦士なのか?」

 

と尋ねる

マリーは微笑みつつも頷いて

 

「ええ、実際に見せた方が早いかしら?」

 

ふふ、と楽しそうにセンタイリングを取り出せば、銀のテガソードへとセット

 

【センタイリング!】

 

そのまま舞い踊るように、優雅に手を叩けば──

 

【キラメイジャー!】

 

キラキラと煌めく赤き宝石がマリーの身体を包み

煌めく小さな消防車が彼女の胸へと収まり、一つの宝石へと輝く

マリー……キラメイレッドは輝くような笑顔を浮かべて

 

「改めて、皆様宜しく頼むわね?」

 

と優雅に一礼をすれば

流石に煌めきすぎて目立つのか、そのまま変身を解除した。

 

《此方でも確認したよ、彼らは間違いなくサーヴァントだ。》

 

《しかし……こうなってくると不思議だな。》

 

管制室でも確認したのか、通信が入ってくる。

しかしてロマンは腕を組んで悩んでいた。

聖杯戦争にしてはサーヴァントが多すぎる、7騎なんてとっくに超えているのだ。

むむむ……と頭を悩ませていれば

アマデウスが手を挙げて発言する

 

「それについては僕らから仮説がある」

 

「そもそも、聖杯戦争において聖杯を手にするのは最後の勝者のみ

けれどもあの魔女は既に聖杯を手にしている。

矛盾も良いとこだが、逆に謎が解けた」

 

「僕達は聖杯によって、その矛盾を是正する為に聖杯自身に呼ばれたサーヴァントなんだよ」

 

《バカな──そんな事有り得ない》

 

と、ロマンが思わず反論をするが

やれやれ、とアマデウスか頭を掻き

 

「有り得るよ、その証拠として僕達がマスターと契約したのはほんの数日前。

しかも召喚されておらず、旅の途中でばったりと出会って契約したんだ。

僕達には単独行動のスキルが無いにも関わらず、かなり長い期間行動出来た、これが聖杯が僕達を呼んだ証明」

 

《……マスターと言う楔が無くても、存在していた事が証明か、確かに聖杯ならば可能……なのか?》

 

ロマンは頭を抱え、スタッフの1人に休憩中のダ・ヴィンチちゃんを呼びに行かせた

あの天才無しだとたぶん行き詰まる、とロマンは予測していた。

藤丸はそー言えばジャンヌもそんな状態だったな……とジャンヌを見たが

肝心のジャンヌは首を傾げるばかりであった。

 

「まあ良いよ、取り敢えず次は君達の事を──」

 

「アマデウス、マスターである僕を省くのは良くないんじゃないかな?」

 

「別に、来ないようだし先に話しておこうと思っただけさ」

 

正面に、人影が見える

藤丸達は咄嗟に武器を構えたが

──その男の、金色のテガソードを見て武器を下ろす

アマデウスとその男は親しげに話せば

マリーが彼へと手を向けつつ、笑顔で話す

 

「あの巨大ロボを見たでしょう?あれは彼が操縦していたの。

見つかったら不味い、と言う事から此処で合流する事になっていたの!」

 

「僕抜きで話を進めているのが聞こえてたから、内心焦ってたよ」

 

青い指輪を身に付けた手で髪をかきあげつつ

アイドルのように爽やかな笑顔を浮かべて見せる

 

「紹介するわ!彼が私達4人のマスター……」

 

「百の夜を君と共に。言わずと知れた百夜陸王!

僕と会った事、周りに自慢していいよ♪」

 

百夜陸王は慣れたように自己紹介をすれば

パチン、と女性を虜にするようなウインクをした




ジャンヌの呼び分けは、黒ジャンヌの正式名称が出るまで
黒ウォズ白ウォズと同じ呼び分けをします。
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