《緊急事態発生。緊急事態発生。
中央発電所、及び中央管制室で火災が発生しました。
中央区画の隔壁は90秒後に閉鎖されます。
職員は速やかに第二ゲートから退避して下さい。》
《繰り返します──》
何が起こっている?
訓練?ドッキリ──あり得ないだろそんな事は、現実逃避は辞めろ。
事故は起こった、そしてサイレン以外に聞こえた音もあった、
それは恐らく──
「今のは爆発音か!?
一体なにが起こってる……!?
モニター!管制室を映してくれ!
皆んなは無事なのか!?」
ロマンにもそれは聞こえてたらしい。
そしてモニターを着けてくれるのは有難い、シバはこう言う非常事態用にあったのだろう。
──頼む、無事でいてくれ。
ある少女の事を思いつつ、モニターを見つめる。
映し出されたのは──
真っ赤に燃え盛る、中央管制室。
叩き出されてなければ、あの中に自分も居たであろう場所。
人の姿は見えない
──最悪の妄想を振り払う
「これは──」
ロマンも思わず言葉を失ったかのように管制室を見つめる。
そして数秒した後、先程談笑していたようなふわふわとした雰囲気は何処にも見当たらぬような真剣な顔で此方を見つめる
「藤丸、直ぐに避難してくれ。
ボクは管制室に行く。
もうじき隔壁が閉鎖するからね、その前にキミだけでも外に出るんだ!」
ロマンが外へと指を指せば、そのまま部屋から飛び出して行く
ロマンが言うのはきっと正しい事なのだろう。
はぐれ者一匹、助けに向かっても寧ろ足手纏いになるのかもしれない
──白い獣が此方を見つめて来る。
…………あぁ、分かってるよ。
「マシュを助けに行くぞ!」
「フォウ!」
そうこなくちゃ、と言わんばかりにフォウは元気に一つ鳴く。
そうと決まれば行動は直ぐに行おう。
ロマンの後に続いて外へと飛び出し、彼の後を追う。
「──いや、何してるんだキミ!?
方向が逆だ、第二ゲートは向こうだよ!?
……まさか、ボクに着いてくるつもりなのか!?
そりゃあ人手はあった方が助かるけど……!」
「はぐれ者の手も借りたい状況なんだろ!
俺で良けりゃ幾らでも貸してやる!!」
「──あぁもう、言い争ってる時間も惜しい!
貸して貰うけど、隔壁が閉鎖する前に戻るんだぞ!」
ロマンの言葉にこくりと頷き、無論引く時はロマンと一緒の時にしか引かないつもりだが──走り出す。
幸い後輩に案内して貰った道のり、迷う事なく中央管制室へと辿り着く事は出来た。
扉を蹴破り、中へと入る。
ロマンは息を整える暇も無く辺りを見渡せば──
「…………生存者はいない。
無事なのはカルデアスだけだ……」
「此処が爆発の起点なのだろう。
これは事故じゃない、人為的な破壊工作だ」
生存者は居ない、と言い切った医者を尻目に辺りを見渡す
世の中はそんなに理不尽なのか?
はぐれ者にさえ微笑んでくれた、後輩の命さえ奪ってしまうのか?
《動力部の停止を確認。
発電量が不足しています。》
《予備電源の切り替えに異常があります。
職員は手動で切り替えて下さい。》
《隔壁閉鎖まであと40秒。中央区画に残っている職員は速やかに──》
無情なアナウンスが響き渡る。
分かってる、切り替えなきゃならない事は。
人手は必要じゃ無かった、後は逃げるだけだと言うのに。
彼女の顔が、忘れられなかった。
「……ボクは地下の発電所に行く。
カルデアの火を止める訳には行かない。
キミは急いでまた来た道を戻るんだ。
まだギリギリで間に合う。
良いな、寄り道はするんじゃないぞ!生存者はもう居ないんだ!
外に出て、外部からの救助を待つんだ!!」
そうロマンは念入りに警告をすれば、そのまま走り去って行く。
生存者はもう居ない。
爆発が起こったんだ、生き残っている方が正しく奇跡なんだろう。
《システム:レイシフト最終段階に移行します。
座標 西暦2004年 1月30日 日本 冬木 》
《ラプラスによる転移保護 成立
特異点への追加枠 確保
アンサモンプログラム セット》
《マスターは最終調整に入って下さい》
辺りを見渡す、居るだろう?
共に逃げるんだ。恩くらいは返させてくれ
見る、見る、見る──居た!
確かに見えた、後輩の姿。
その姿を目掛けて走り出す。
彼女の元へと駆け寄れば
「……あ、」
「待ってろ!今助けてやる!!」
「……良い、です……助かりません、から……
それより、はやく……逃げないと、」
「五月蝿え!お前を置いて逃げれるか!!」
どうにかならないのか!ロマンは地下へと向かった、下手に動かしたらそれこそ助からないが逃げなければ先ず死ぬ
何か、何か手は──!
辺りを再び見渡せば……赤い、星が目に入る。
《観測スタッフに警告。
カルデアスの状態が変化しました。
シバによる近未来観測データを書き換えます。》
《近未来百年までの地球において人類の痕跡は発見出来ません。》
【ユニバース大戦において、二つの時空は結び付いた】
《人類の生存は確認出来ません》
【凡ゆるスーパー戦隊は力だけを残して消えた。】
《人類の未来は保証出来ません》
【英雄とスーパー戦隊、二つの力は結び付く。】
声が五月蝿い。
アナウンス以外の、夢で聞いた声まで聞こえる気がする。幻聴なのか?
ただでさえ頭が混乱してると言うのに、余計な情報まで入れないでくれ!
「カルデアスが、真っ赤に、なっちゃいました……
いえ、そんな、コトより……」
《中央隔壁閉鎖します。》
《館内洗浄開始まで、あと180秒です。》
「障壁、閉まっちゃい、ました……
……もう、外に、は…………」
「元より後輩を置いて逃げる気なんて無かったからな、丁度良いさ」
はは、と笑えない状況だが笑って話す
退路は既に絶たれた──が後悔は無い。
恩人を置いて逃げるよりマシだ。
此処で死ぬ定めだったのだろう
ま、はぐれ者には相応しい末路だな。
《コフェイン内マスターのバイタル》
《基準値に達していません。》
【無数のユニバース戦士が凡ゆる時空に生まれる】
《レイシフト定員に達していません。》
《該当マスターを検索中……発見しました。》
【己が願いを賭けて!】
《適応番号48番 藤丸立香 をマスターとして再設定します》
《アンサモンプログラムスタート》
【契約の時は直ぐ側に】
《霊子変換を開始します》
【その時に、改めて問おう】
何がどうなっているのかすっかり分からない。
ユニバース戦士?己が願い?マスター?
死に際ってのに疑問を増やさないで欲しい
「……あの、……せん、ぱい……」
黄金の粒子が、辺りに満ち溢れる
彼女は助かるのだろうか。
頭から溢れる血、五体はボロボロ。
……助からない、だろう。
「手を、握ってもらって、良いですか?」
《レイシフト開始まで 3 2 1 》
手を、しっかりと握り締める
願いだか何だか知らねーしどーでも良い
今はただ、はぐれ者の後輩を見つめる。
来世とやらに期待しちゃいねーが
目の前の後輩、マシュに幸あれと願っておこうか。
《全工程
【ナンバーワン!】
《ファーストオーダー実証を開始します。》