サンソンが振るった刃が、テガソードで塞がれる
マリーはそのまま後方へと跳躍すれば、ワイバーンさえ落とす歌を歌う
──しかし
「ああ、君の歌をこんなに近くで聞けるだなんて──幸せだ」
【キラメイシールド!】
凄まじい速度で迫る斬撃、咄嗟に剣から結晶の様なシールドを展開するも
尚凄まじい衝撃をマリーへと与え、吹き飛ばす。
そのままマリーは地を転がり、体勢を立て直すが、既に眼前へと迫っていたサンソンの斬撃により脇腹を斬られてしまう。
思わず苦痛の声が漏れてしまえば
サンソンは刃を構えつつ笑う
「出来れば抵抗しないで欲しい……痛みや苦痛を与えるのは本意ではないんだ」
表情から見ても、嘘ではない心からの言葉
自嘲するように笑いつつサンソンは言葉を続ける
「殺すくせにおかしいと感じるかい?
けどね、死刑と言うのはソレ自体が罪の清算に値する罰だ」
だからそれ以上の苦しみを与えてはならない
それが当然の心掛けであり……自分はその先を目指したとサンソンは言う
「つまり──快楽!
その瞬間がまさに──死ぬ程気持ち良いと言う訳だ」
狂気に犯された笑みを浮かべつつ、サンソンは刃に着いたマリーの血を撫でる
「その生涯最高の一振りが君に向けた
光悦とした、異常な笑顔にマリーは思わずキラメイショットを構えつつも後退りをしてしまう。
「だから会って確かめたかった……マリー、僕の断頭はどうだった?
君!最後に絶頂を迎えてくれたかい!!?」
サンソンは再び刃を振り下ろすべく、マリーへと迫る
マリーは盾を構えつつ、それに対抗すべく銃を放った
場所は変わり、藤丸達
「クソッ……遠すぎる!テガソードを呼ぶしかねぇ!!」
馬でマリー達の場所へと駆け始めていたが、いかんせん真反対ということもあり距離がありすぎる
こうなればバレることは前提で巨大ロボを呼ぶしかない──
藤丸はテガソードに手を掛けたが
「やめなよ、元が遠い以上あまり変わらないし……アレは目立ちすぎるから敵を引き連れて向かうことになる」
「どの道間に合わないだろうしさ」
はは、とアマデウスは軽薄に笑う
そのあんまりな態度に藤丸は口を開くが──
「理由次第で、燃やします。
好きではないのですか?マリーの事が」
それよりも先に、アマデウスの首元へと清姫が扇子を突き付ける
青い火が灯ったそれは、即座にアマデウスの首を焼き切れるであろう火力がある事だけは間違いなかった。
アマデウスは一切表情を変えずに、ただ言葉を歌う。
「……彼女に対する情熱はもう無い、特別な分岐ではあったけどね。
マリアが現界して最初に合流したのが僕だった
彼女は少しだけ、この聖杯戦争が歪んでいる事を喜んでいた
自分が、願いを叶える殺し合いではなく──人々を守る命として喚ばれたこと」
今も、マリーとサンソンは闘い続けている
キラメイレッドの力を存分に駆使して、マリーは煌めくガラスを巧みに操る
サンソンはその全てを切り裂き、マリーの首を刎ね飛ばさんと剣を振るい続ける
「今度こそ間違えず、大切な人々と大切な国を守る為に
正しい事を正しく行うのだと──そう、マリアは誓ったんだ」
そして、それこそがマリーがユニバース戦士と選ばれた理由
【マリー・アントワネット。
お前の願いを言え──】
テガソードは召喚された直後の彼女に向けて問い掛けた
そして、彼女は笑顔で答えた
「私の願いは──愛しい民を、祖国を守る事よ!」
煌めくような、儚ささえ感じる願い。
マリーの願いは私利私欲ではなく、正しく祖国の為の願いであった。
少しの静寂の後、マシュが口を開く
「生前の死とは違うと言う事なのですか?」
アマデウスは肩をすくめれば
「さぁね?
例え同じ物だとしても──マリアは同じ選択をするんじゃ無いかな?」
清姫は溜め息を吐けば、扇子を収めて炎を消す
……そして、呟いた
「哀しいですわね、恋では無いなんて」
悲しげな表情の清姫に、アマデウスは微笑んでみせた
「そんなことはないさ、愛ではあるからね」
再びの沈黙の後
顔を下げてた藤丸が顔を上げれば
「──来やがれ!テガソード!!」
【アウェイキング!】
空を切り裂くように、黄金のテガソードが現れる
藤丸は全員を集めるように側によれば
赤き指輪は4人を包み、そのまま頭部へと収まっていく
【掴め!切り裂け!レッド!】
「──人神一体!」
【テガソードレッド!】
藤丸が座席にテガソードを置けば、藤丸とテガソードレッドの身体は一つになる。
バレるかもしれないが、それでも間に合わないよりマシだ!
「飛ばすぞ!」
テガソードレッドが全速力で駆け始める
《藤丸君!冷静になってくれ!サーヴァント一騎くらいの犠牲は覚悟っ──》
ロマンが通信を掛け、藤丸に何とか思い直させようと口を開くが
その前に管制室の通信は遮られてしまう
《──そらあかんで、ロマン。
スーパー戦隊に誰か1人を見捨てろなんて……無理や。》
戦隊五十古事録を握り締めた往歳巡は、笑いつつも首を振っていた。
「僕は覚悟はしていたんだ。
所詮死者だからね、けれど……確かに残念ではあるんだ
ピアノ、聴かせられなかったな」
距離的も、やはり間に合わないなとアマデウスは思いつつも
少しだけ哀しそうに笑いつつ呟く
「君が7歳、僕が6歳。
……あの頃からずっとすれ違ってばかりだ、僕達は」