Fate/ No.1order!   作:飲み屋蹴り注ぐ

31 / 146
あなたたちがいて輝いた

 

罪無き人々の、首を刎ね飛ばす。

寧ろ善良と言える人々を、残らず殺す。

殺して殺して殺して殺して殺さねばならない

もっともっともっと、⬛︎⬛︎くなればならないのだから。

しかし刃は届かない

煌めきによって、防がれ続ける

何故だ?何故だ?何故だ!!

僕は首を刎ね飛ばさねばならない!

僕は、君に──貴女に!!

 

「どうしてだ……何故殺せない!」

 

息を荒く吐き、サンソンは刃を構えつつ思わず尋ねてしまう

これがユニバース戦士の力とでも言うのか?いや、そんな実力差ならとっくの前に首を刎ねている筈なのに──

 

「此処に呼ばれて何人も殺した!生前の何倍も強くなった!!」

 

格段に刃の切れ味は増した、鋭さも上がった

何処をどう見ようと生前に劣っている要素はないのに──何故なのか。

マリーはキラメイバスターを構えつつ、その疑問に答える

 

「哀しいわね、シャルル=アンリ・サンソン。

だからこそ、私を殺さないと言うのに」

 

「は──?」

 

マリーの言葉に、サンソンは惚けたように口を開く

そんなサンソンを無視するように、マリーは言葉を続ける

 

「貴方は素晴らしい処刑人だった。

罪人を決して蔑まず、彼らが苦しまぬようにギロチンだって開発した。

でも、今の貴方は違う──ただの人殺し。

処刑人と殺人者が違うのは、貴方が1番分かるでしょう?

だからね、サンソン。

処刑人としての貴方の刃は──無辜の民の血でとっくに錆び付いているのよ」

 

マリーの言葉を聞いたサンソンは……

半端絶叫するように、宝具を展開する

 

「違う!!」

 

真の処刑道具、ギロチンは具現化し

黒き腕が無数に伸びる

 

「ずっと君に会えると信じていた……!

だから、腕を磨き続けた!

だってそうしなければ……僕は、僕はぁぁぁ!!!」

 

死は明日への希望なり(ラモール・エスポワール)!!」

 

手が、死を具現化したような腕が

王妃をギロチンへと向かわせんと迫り来る

マリーは硝子の馬へと跨り、空を駆け抜け

キラメイショットでその手を打ち砕いていく。

あの腕に捕まれば──生前のように、殺されることは簡単に予想出来る

怖くて怖くて仕方ない、けれど

マリーは、眼下へと広がる街を見る

小さな子供が、自身を見ていた

私は穏やかに微笑んで手を振って見せる

子供は笑顔を浮かべた。

ふと、視界に煌めく王妃を描き続ける1人の少年を見た気がしたが

何処か赤い煌めきを持つ少年を気にする前に、黒き腕が迫って来たので咄嗟に回避

再び街を見れば、絵を描いていた少年の姿は見えなくなっていた。

……私はまだ、必要とされている。

 

「燦ざめく花のように──陽のように!」

 

煌めきはまだ此処にある……今はその煌めきを束ねて──!

 

百合の王冠に栄光あれ(ギロチン・ブレイカー)!!」

 

栄光のフランス王権を象徴した宝具、幼少期に乗った回転木馬。

フランス王家の紋章を背負った硝子の馬は、黒き腕を跳ね除け

マリーを乗せて駆け抜ける

 

【キラッキラメイチャージ!】

 

マリーはキラメイバスターをしっかりと握り締め──殺人者へと引き金を引く!

 

【チェックメイジ!】

 

煌めく弾丸は、硝子の馬と一つとなり

そのまま、サンソンを貫いた。

 

「僕、は……

もっと巧く首を刎ねて、もっともっと最高の瞬間を与えられたのなら──

君に、許して貰えると思ったんだ……」

 

半身を消し飛ばされて、尚生きる殺人者。

彼は刃さえ持たずに──ただ涙を溢す

 

「もう、本当に哀れで可愛い人なんだから……

私は貴方を恨んでない。

初めから、私に許される必要なんて無かったのに──」

 

ふふ、とマリーは穏やかに笑い

子供のように涙を流すサンソンを見ていた──が。

 

「令呪を以て命ずる」

 

【マジレンジャー!】

 

「アサシンよ、我が城へ戻れ」

 

サンソンの姿が、忽然と消える

マリーは疲れたように肩で息をしつつ──命令を下した魔法使いを見据える

 

「……随分と遅い到着ですのね?竜の魔女さん?」

 

「色々面倒なんですよ、此処は。

それより彼女(わたし)は逃げたのですね、なんて無様」

 

マジスティックを構えつつ、呆れたように黒ジャンヌは溜め息を吐く

 

「いいえ、違うわ」

 

「彼女は希望を持っていったのよ」

 

汗をこぼしつつも微笑みを絶やさない王妃に、竜の魔女は吐き捨てるように嘲笑う

 

「馬鹿馬鹿しい……仲間を守り民を守る?

よくもそんな下らない使命に酔いしれられるわね。

他ならぬその民に殺された貴女が!

断頭台(ギロチン)に掛けられ、嘲笑と共に首を刎ねられた女が!!」

 

竜の魔女の身体から、黒き炎が溢れ出る。

マリーはそんな黒ジャンヌを見れば目を閉じる

理解出来る、その憎しみも怒りも

だからこそ

 

「ジャンヌ・ダルクはそんな事言わないわ」

 

そう、自信を持って断言して見せよう

確かに私は処刑された。嘲笑も蔑みもあった。

けれども──それは殺し返す理由にはならない

民に乞われて王妃となった私。

民無くして王妃は王妃と呼べない。

だから、あれは当然の帰結。

彼等が望まないのなら、退場する。

それが国に仕える者の運命

 

「私の処刑は、次の笑顔に繋がったと信じています」

 

だから、いつだって高らかに叫ぶのだ

 

祖国万歳(ヴィウ・ラ・フランス)!」

 

「星は輝きを与えてそれでよしとすれば良い!」

 

黒きジャンヌ・ダルク……マジレッドは信じられないような目で

マリー・アントワネット……キラメイレッドを見つめる

 

「そして、確信したわ」

 

「貴女は誰なの?」

 

マリーが、首を傾げる

竜の魔女はその目を見て──

 

「──黙れぇ!!」

 

竜の魔女はマジスティックソードを構え、マリーを切り裂かんと駆け出し

同時に竜の魔女と共に居た邪竜が火を放たんと口を開くが──

 

愛すべき輝きは永遠に(クリスタル・パレス)!」

 

歴代フランス王家の権勢を示す巨大にして優美を誇る宮殿に、竜の魔女は咄嗟に立ち止まってそれを見上げてしまう

第二宝具。

マスターが居るとしても相当な負荷になるであろう宝具の連続行使!

しかも街全てを覆う程の規模──持つ訳が無い。

 

「そこまでして、貴様……貴様はぁ!」

 

「マジ・マジ・マジカ!」

 

邪竜の炎に合わせるように、マジレッドは魔法力を瞬間的に高め、強力な炎の魔法を放つ。

マリーの身体は既に、変身は解除されており

過負荷によって光の粒子へと還りつつあった

 

「さよならジャンヌ……ええ、会えて良かった。

フランスを救った聖女の手助けが出来たのなら

……ううん、友達の手助けが出来るのなら

私は喜んで煌めき、散りましょう」

 

「星のように」「花のように」

「泡沫の夢のように」

 

「それがサーヴァント」

 

「それがマリー・アントワネットの生き方だから──」

 

マリーは満面の輝く笑みを浮かべて炎へと飲まれんとする

目を閉じて、その炎を受け入れようとした時──

マリーは、確かに聞こえた

この場に居ない筈の──マスターの声が

 

「令呪を以て命ずる!!」




ピアノが聴きたいなら聞けば良いじゃない!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。