罪無き人々の、首を刎ね飛ばす。
寧ろ善良と言える人々を、残らず殺す。
殺して殺して殺して殺して殺さねばならない
もっともっともっと、⬛︎⬛︎くなればならないのだから。
しかし刃は届かない
煌めきによって、防がれ続ける
何故だ?何故だ?何故だ!!
僕は首を刎ね飛ばさねばならない!
僕は、君に──貴女に!!
「どうしてだ……何故殺せない!」
息を荒く吐き、サンソンは刃を構えつつ思わず尋ねてしまう
これがユニバース戦士の力とでも言うのか?いや、そんな実力差ならとっくの前に首を刎ねている筈なのに──
「此処に呼ばれて何人も殺した!生前の何倍も強くなった!!」
格段に刃の切れ味は増した、鋭さも上がった
何処をどう見ようと生前に劣っている要素はないのに──何故なのか。
マリーはキラメイバスターを構えつつ、その疑問に答える
「哀しいわね、シャルル=アンリ・サンソン。
だからこそ、私を殺さないと言うのに」
「は──?」
マリーの言葉に、サンソンは惚けたように口を開く
そんなサンソンを無視するように、マリーは言葉を続ける
「貴方は素晴らしい処刑人だった。
罪人を決して蔑まず、彼らが苦しまぬようにギロチンだって開発した。
でも、今の貴方は違う──ただの人殺し。
処刑人と殺人者が違うのは、貴方が1番分かるでしょう?
だからね、サンソン。
処刑人としての貴方の刃は──無辜の民の血でとっくに錆び付いているのよ」
マリーの言葉を聞いたサンソンは……
半端絶叫するように、宝具を展開する
「違う!!」
真の処刑道具、ギロチンは具現化し
黒き腕が無数に伸びる
「ずっと君に会えると信じていた……!
だから、腕を磨き続けた!
だってそうしなければ……僕は、僕はぁぁぁ!!!」
「
手が、死を具現化したような腕が
王妃をギロチンへと向かわせんと迫り来る
マリーは硝子の馬へと跨り、空を駆け抜け
キラメイショットでその手を打ち砕いていく。
あの腕に捕まれば──生前のように、殺されることは簡単に予想出来る
怖くて怖くて仕方ない、けれど
マリーは、眼下へと広がる街を見る
小さな子供が、自身を見ていた
私は穏やかに微笑んで手を振って見せる
子供は笑顔を浮かべた。
ふと、視界に煌めく王妃を描き続ける1人の少年を見た気がしたが
何処か赤い煌めきを持つ少年を気にする前に、黒き腕が迫って来たので咄嗟に回避
再び街を見れば、絵を描いていた少年の姿は見えなくなっていた。
……私はまだ、必要とされている。
「燦ざめく花のように──陽のように!」
煌めきはまだ此処にある……今はその煌めきを束ねて──!
「
栄光のフランス王権を象徴した宝具、幼少期に乗った回転木馬。
フランス王家の紋章を背負った硝子の馬は、黒き腕を跳ね除け
マリーを乗せて駆け抜ける
【キラッキラメイチャージ!】
マリーはキラメイバスターをしっかりと握り締め──殺人者へと引き金を引く!
【チェックメイジ!】
煌めく弾丸は、硝子の馬と一つとなり
そのまま、サンソンを貫いた。
「僕、は……
もっと巧く首を刎ねて、もっともっと最高の瞬間を与えられたのなら──
君に、許して貰えると思ったんだ……」
半身を消し飛ばされて、尚生きる殺人者。
彼は刃さえ持たずに──ただ涙を溢す
「もう、本当に哀れで可愛い人なんだから……
私は貴方を恨んでない。
初めから、私に許される必要なんて無かったのに──」
ふふ、とマリーは穏やかに笑い
子供のように涙を流すサンソンを見ていた──が。
「令呪を以て命ずる」
【マジレンジャー!】
「アサシンよ、我が城へ戻れ」
サンソンの姿が、忽然と消える
マリーは疲れたように肩で息をしつつ──命令を下した魔法使いを見据える
「……随分と遅い到着ですのね?竜の魔女さん?」
「色々面倒なんですよ、此処は。
それより
マジスティックを構えつつ、呆れたように黒ジャンヌは溜め息を吐く
「いいえ、違うわ」
「彼女は希望を持っていったのよ」
汗をこぼしつつも微笑みを絶やさない王妃に、竜の魔女は吐き捨てるように嘲笑う
「馬鹿馬鹿しい……仲間を守り民を守る?
よくもそんな下らない使命に酔いしれられるわね。
他ならぬその民に殺された貴女が!
竜の魔女の身体から、黒き炎が溢れ出る。
マリーはそんな黒ジャンヌを見れば目を閉じる
理解出来る、その憎しみも怒りも
だからこそ
「ジャンヌ・ダルクはそんな事言わないわ」
そう、自信を持って断言して見せよう
確かに私は処刑された。嘲笑も蔑みもあった。
けれども──それは殺し返す理由にはならない
民に乞われて王妃となった私。
民無くして王妃は王妃と呼べない。
だから、あれは当然の帰結。
彼等が望まないのなら、退場する。
それが国に仕える者の運命
「私の処刑は、次の笑顔に繋がったと信じています」
だから、いつだって高らかに叫ぶのだ
「
「星は輝きを与えてそれでよしとすれば良い!」
黒きジャンヌ・ダルク……マジレッドは信じられないような目で
マリー・アントワネット……キラメイレッドを見つめる
「そして、確信したわ」
「貴女は誰なの?」
マリーが、首を傾げる
竜の魔女はその目を見て──
「──黙れぇ!!」
竜の魔女はマジスティックソードを構え、マリーを切り裂かんと駆け出し
同時に竜の魔女と共に居た邪竜が火を放たんと口を開くが──
「
歴代フランス王家の権勢を示す巨大にして優美を誇る宮殿に、竜の魔女は咄嗟に立ち止まってそれを見上げてしまう
第二宝具。
マスターが居るとしても相当な負荷になるであろう宝具の連続行使!
しかも街全てを覆う程の規模──持つ訳が無い。
「そこまでして、貴様……貴様はぁ!」
「マジ・マジ・マジカ!」
邪竜の炎に合わせるように、マジレッドは魔法力を瞬間的に高め、強力な炎の魔法を放つ。
マリーの身体は既に、変身は解除されており
過負荷によって光の粒子へと還りつつあった
「さよならジャンヌ……ええ、会えて良かった。
フランスを救った聖女の手助けが出来たのなら
……ううん、友達の手助けが出来るのなら
私は喜んで煌めき、散りましょう」
「星のように」「花のように」
「泡沫の夢のように」
「それがサーヴァント」
「それがマリー・アントワネットの生き方だから──」
マリーは満面の輝く笑みを浮かべて炎へと飲まれんとする
目を閉じて、その炎を受け入れようとした時──
マリーは、確かに聞こえた
この場に居ない筈の──マスターの声が
「令呪を以て命ずる!!」
ピアノが聴きたいなら聞けば良いじゃない!